いろはSide
今回先輩に手伝ってもらっている目的には先輩と一緒に仕事ができるっていうのもありますが、先輩に私の成長を見てもらって認めてもらう事っていうのがあります。
先輩って強い信念とか能力とかを持っている人に一目置いている気がするんですよね。
雪ノ下先輩がまさにそれかなと。
先輩にしてみればそんな女の子から迫られて悪い気がするはずがありません。
コミュニティーセンター。
私達は海浜総合高校と合同卒業パーティの打ち合わせをするためにコミュニティーセンターの会議室に来ています。
先輩と雪ノ下先輩はやや緊張した面持ちです。
まあ、前回があれでしたからね。
その気持ちはよく分かります。
私達が会議室に入ると海浜総合高校の生徒会長の玉縄さんが私に挨拶してきました。
玉縄「やあ、いろはちゃん。今回はお互い大変だったね。今回も僕らのパートナーシップを発揮してこの危機を乗り越えようよ。」
いろは「はい、よろしくおねがいします。」
私が愛想のいい返事をすると玉縄さんは後ろにいた先輩達に気付いたようで顔を真っ青にしている。
玉縄「や、やあ、君たちも一緒なのかい?こ、今回もよろしくね。」
玉縄さんは先輩達に挨拶するとすごすごと自分の席に戻っていった。
玉縄さんは先輩と雪ノ下先輩が苦手なようですね。
まあ前回の経緯を考えると仕方ありませんが。
海浜総合高校のメンバーは前回と同じメンバーみたいでその中には先輩の中学時代の同級生の折本さんもいます。
じゃあ、そろそろ始めますか。
実はこの企画のミーティングの議長は私なのです。
いろは「両校のメンバーも揃いましたので始めさせていただきます。まず、現状の確認ですが・・・。」
私は事前に用意した資料で両校の現状、卒業パーティを合同で行うメリット、両校の現状使える予算等を説明していきました。
我ながら分かりやすいいいプレゼンだったと思います。
先輩達はびっくりしてます。
昨日夜遅くまで頑張ったかいがありました。
いろは「以上が現状となります。これを踏まえて本日は卒業パーティの場所決めの方向性とパーティの企画の方向性について話し合いたいと思います。意見のある方はどうぞ。」
海浜1「やっぱり両校のパートナーシップを生かしてシナジーと相乗効果を最大限に活かすような場所と企画だよね。」
海浜2「ミーティングの効率性を上げるために共有のクラウドとかフレームワークを作成するのが先じゃないかな?」
出ました、懲りずにまたこのパターンですね。
前回の事があったのによく同じことができますね。
まずいです。先輩と雪ノ下先輩が切れかかっています。
いろは「え~、そういうのもあると思うんですけど、そういうのは後でメールとかでお願いしてもいいですか?今日これを決めないとこの企画のためにうちの予算の承認が取れないかもしれないんですよ~。」
副会長達が驚いてこっちを見ています。
だってこれ嘘ですもん。
いろは「なので今日は卒業パーティの場所決めの方向性とパーティの企画の方向性が決まるまでミーティングは終われないんですけど~、徹夜でミーティングって事でいいですか~?」
私は精一杯の営業スマイルで言い放ちました。
玉縄「う、うん、そうだね。ビジョンの共有とかも大事だけどプライオリティをつけていかないとね。」
玉縄さんは前回を思い出したのか軌道修正を図ってくれました。
先輩と雪ノ下先輩はよくやったと言わんばかりにほくそ笑んでいます。
結衣「え~と、どうかな?今日はとりあえず卒業パーティの場所決めの方向性とパーティの企画の方向性を決めるっていうので、ははは」
折本「そ、それある~!」
海浜1「そうだね、タイムスケジュール的にも厳しいし、今日はそこから始めようか?」
その後会議は順調に進み、無事卒業パーティの場所決めの方向性とパーティの企画の方向性が決まり、次回の会議で海浜総合がパーティ企画の案。私達がパーティの場所の案をそれぞれ持ち寄ることになりました。
会議後。
八幡「ずいぶん会長ぽいじゃねーか。」
いろは「会長ですから。それに・・・」
私は褒めてくれた先輩の袖を引っ張って先輩の耳元でささやきました。
いろは「せんぱいのおかげですよ♪」
先輩は顔を真っ赤にしています。
八幡「お、おう。」
結衣先輩と雪ノ下先輩の視線が厳しいですが、これもお二人との差を少しでも詰めるためです。
雪乃「ずいぶん親密なのね。」
結衣「前から思ってたけどいろはちゃん、ヒッキーにくっつきすぎ~」
女の戦いは非情なのですよ結衣先輩、雪ノ下先輩。
翌日。放課後生徒会室。
私と奉仕部メンバーは私達の担当である場所の案を出すため生徒会室に集まっています。
他の仕事もあるため他の生徒会メンバーは今日は参加してません。
雪乃「総武高と海浜総合の2校の人員を収納できる場所となるとこの近辺では相当絞られることになるわね。」
八幡「そこは最悪東京の方に出てやるしかないな。」
雪乃「そうね。でもその場合費用が心配ね。」
いろは「あとこの時期はもう既に予約が埋まってるところが多いですからそこも考えないといけませんね。」
雪乃「とりあえず、二手に分かれて総武高と海浜総合の2校の人員を収納できてるところをリストアップして片っ端から電話して卒業式の日以降に空いてるところを探しましょう。」
私達は収納できそうな場所をリストアップし、片っ端から電話をかけていきました。
雪乃「ダメね。どこも空いてないわ。そっちはどう?」
結衣「こっちもダメ。」
八幡「どこもダメだな。しかもかかる費用を聞くと予算カツカツだ。千葉でこれじゃ東京でやるのはなしだな。」
私達が悩んでいると結衣先輩が口を開いた。
結衣「ねえ、卒業式の日を前倒しにするのはダメかな?」
流石結衣先輩、時々常識を外した発想をしてくれます。
雪乃「それよ!それなら他の学校やイベントとの時期をずらせて空いてるかもしれない。2月下旬から3月上旬の間でもう一度調べるわよ。」
いろは「でも卒業式の日程って、色んな人の都合で今の日程になってますからそれを変えるとなるとちょっと大変かもしれません。」
私は結衣先輩の提案について少し考えた。
でも現状これ以外思いつきません。
いろは「でも現状それを視野に入れるしかなさそうですね。」
私達はもう一度片っ端から電話を掛けるといくつか予約が取れそうなところが見つかりました。費用的にもなんとか行けそうです。
八幡「あとは卒業式の日程だな。流石に卒業パーティの後に卒業式を行うことにすると色々と不満がでそうだからな。」
いろは「そっちは私の方で調整しておきます。」
私は早速玉縄さんに事情を説明したメールを送り、至急卒業式の日程の調整の準備をしてもらえるように依頼しました。
いろは「じゃあ、卒業式の日程の調整と下見は私の方でやっておきますのでまた次の海浜総合とのミーティングの前に打ち合わせお願いします。」
方針が固まり、その日は解散した。
ふふふ、下見なんて美味しいイベント私一人でやる訳ないじゃないですか?
もちろん先輩を巻き込みますよ♪
翌日。終礼後。2年F組の教室。
私は自分のクラスの終礼が終わるとすぐさま先輩の教室へ向かった。
先輩のクラスの終礼は終わったばかりのようで先輩はまだ机にいます。
結衣先輩は葉山先輩達と話に夢中になっていますね。
今しかありません。
いろは「せーんぱい♪」
先輩は私を見て明らかに警戒の表情を浮かべています。
八幡「あれ、お前今日下見に行くんじゃなかったっけ?」
いろは「はい、行きますよ。でも、女の子一人で行くのってちょっと怖いじゃないですか~。だから先輩も一緒に来てくださいよ~。」
八幡「やだ、行かない。生徒会のメンバーに頼めよ。」
いろは「生徒会のメンバーは他の仕事で今忙しくて先輩しか頼める人がいないんです。」
八幡「じゃあ、雪ノ下か由比ヶ浜に頼めばいいじゃねーか。」
いろは「こういう時は男の人じゃないと舐められるじゃないですか。だから先輩しか頼める人がいないんですよ~。先輩どうせ暇ですよね?」
八幡「オレは忙しいの!」
中々折れてくれませんね。こうなったら最後の手段です。
いろは「先輩しかいないのに・・・」
私は周囲に見えるように泣きまねをしながら先輩に訴えかけた。
段々周囲の目が集まってきました。
先輩は焦り始めています。
八幡「わ、分かった。行く、行きます、行かせてください。」
いろは「ありがとうございます♪」
私は満面の笑みを先輩に返した。
八幡「ったく、あざといっての。」