八幡Side
一色に告白されてからも一色のオレに対する態度は変わらない。
相変わらず小悪魔的な態度でオレに接してくる。
告白されるまでは俺をからかっているだけだと思っていたがどうやら違ったようだ。
まあ、からかっている部分もあるんだろうが。
卒業パーティの企画の手伝いや下見の誘いを受けた時オレは戸惑ってしまった。
きっとこれを引き受ければ一色の思惑通り一色との距離が縮まるのだろう。
ただオレはいつか一色の想いに応えられるのだろうか?
一色との間に本物を見つけられるだろうか?
もし見つけられなかったら?
オレはそれが怖いのだ。
一色はもはや俺にとってどうでもいい人間ではない。
だからいつも一色の誘いにNoと言ってしまう。
まあ、一色はいつもそれを力技でYesと言わせてしまうのだが・・・。
雪ノ下や由比ヶ浜との関係。オレはあの中に本物の可能性を見た。
だが今オレは一色との間にも同じ可能性を見出している。
下見の会場への移動中の電車の中。
八幡「お前さ、随分頑張ってるじゃねーか。生徒会。最初あんなに嫌がってたのにな。」
オレが一色をほめると一色は嬉しそうに応えた。
いろは「はい、だって先輩言ってたじゃないですか?生徒会長をやって手に入るものは『一年生なのに生徒会長と部活を頑張っている私』だって。まあ、部活はちょっとどうしようか迷ってるんですけどね。それに・・・」
一色はオレの耳に口を近づけ囁いた。
いろは「せんぱいってできないでオロオロしてるか弱い女の子より、できる女の子の方が好きかなって♪」
一色はオレの方を見ていつもの小悪魔的な笑みを向けているがオレは顔を真っ赤にしながら薄笑いを返すしかなかった。
あの~、一色さんに色々と見透かされているみたいで怖いんですけど・・・。
確かに一色の能力は認めざるをえない。
オレや雪ノ下とはまた違ったアプローチで問題の解決を図ってくる。
雪ノ下なら合同というアプローチを取らずにカンパとコストカットでその解決を図ろうとしただろう。
オレなら卒業生の満足度に焦点を当てたアプローチをしただろう。
今回一色の取ったアプローチはそのいずれでもないアプローチだ。
八幡「ところで日程の方は大丈夫そうなのか?」
いろは「はい、そっちの方は今平塚先生が動いてくれています。事情が事情なので多分大丈夫だろうって」
八幡「そっか、良かったな。でもこれなら俺達は手伝わなくても大丈夫じゃね?」
いろは「そんな事ないですよ~、それに手伝ってもらった方が私が先輩に関わってられるじゃないですか~。先輩って放っておいたらどんどん距離空いていきそうですし・・・。」
八幡「そんな事ねーよ。」
いろは「そんな事あります。」
ぐっ、それは否定できない。自慢じゃないがオレは人間関係を続けられた経験がないからな。
流石一色、よくわかっていらっしゃる。
ある下見の会場。
今日はいくつかの会場を下見することになっていたが今日のところはここで最後だ。
俺たちは電車を降り、下見をするため候補となっている会場へと向かった。
いろは「ここは写真で見たより会場が暗そうですね。」
八幡「そうだな。こういうのはやっぱり実際来てみねーと分からねーよな。」
いろは「ここはなしですね。ちょっと疲れたので帰る前に休憩にしましょうか?」
八幡「そうだな、ここ駅からそれなりに距離あったしな。」
俺達は帰る前に休憩することにした。
いろは「先輩はこういうときっていつもどこに行ってるんですか?」
八幡「そうだなオレは戸塚といる時はだいたいファーストフード店かな?」
一色は呆れた様子で俺に尋ねてきた。
いろは「先輩ってどれだけ戸塚先輩の事好きなんですか?」
八幡「小町と戸塚はオレの中で断トツのトップだな。」
いろは「まあ、いいですけど。まあ近くにファーストフード店がなさそうなんでそこのカフェでもいいですか?」
八幡「別に構わないぞ。」
俺達はカフェに入り注文した。
いろは「先輩は何にするんですか?」
八幡「いや、マッ缶はねーかなと?」
いろは「こんなカフェにある訳ないじゃないですか?」
八幡「しょーがねーな、カフェオレにしとくか、練乳入りで。」
俺達は注文し、しばらくするとメニューがやってきた。
一色は来たスイーツの写真を撮っている。
どうして女の子って写真撮るの好きなのかね?
いろは「せ~んぱい、一緒に写真撮りましょうよ?」
八幡「え~、ヤダ~」
オレが否定の意思表示を示したにも関わらず一色は店員を呼び止め写真撮影を依頼している。
いろは「ほらほらせんぱいもっと寄ってくださいよ~。」
オレの意思は関係ないのね。
オレは諦めて一色の写真撮影に付き合う事にした。
一色の顔がオレの目の前に近づく。
こいつやっぱり顔はいいな。
などと考えていると一色は見透かしたように俺に微笑んできた。
ヤバい、かわいい。
オレは思わず照れてしまい頬が赤くなった。
そこで店員はシャッターを押した。
一色は店員からスマホを受け取り写真を確認すると満足げな笑みを浮かべた。
いろは「せんぱい、この写真送っておきますね。」
一色から送られた写真を見ると一色の顔を見て照れてるオレが写っていた。
これだけ見るとオレが一方的に一色の事好きみたいじゃねーか。
一色はどうやらこの写真が撮れてご満足のようだ。
こんな感じで俺たちは3日間かけて会場の候補となった場所の下見を行った。
海浜総合との打ち合わせの日。コミュニティーセンター。
俺たちは会場と企画を決めるための会議をするために集まった。
会議の目的がハッキリしているのはいい事だ。
一色は「こっちがイニシアティブを握ってる」と言っているだけあってうまく進めている。
とても一年生会長とは思えない手際だ。
玉縄「やあ、いろはちゃん。今日もよろしくね。」
いろは「はい、よろしくおねがいします。ところで卒業式の日程の方はいかがですか?」
玉縄「そっちの方は何とかなりそうだよ。事情が事情だけに反対意見もなくてね。」
いろは「良かったです。メールでお伝えした通り、今週中に日程を決めてしまいたいです。今場所は仮押さえしてもらってますけど先方は今週末までしか待てないって言っているので。」
玉縄「分かった。決まり次第連絡するよ。」
メンバーがそろうと前回同様一色が仕切って会議を進め、場所と企画内容が決まり、後は準備と卒業生と関係者への告知を残すのみとなった。
会議後。
オレが自販機でMAXコーヒーを買っていると折本に遭遇した。
なんかオレここでよく折本と遭遇するんだよな~。
折本「お疲れ~。」
八幡「おう、お疲れさん。」
折本「一色ちゃんなんか変わったよね?すごい堂々としたし、手際いいっていうか。」
八幡「ああ、そうね。大分会長が板についてきたって感じがするな。」
折本「ねえ、比企谷って一色ちゃんと付き合ってるの?」
オレは折本の質問に危うくMAXコーヒーを吹き出しそうになった。
八幡「なんでだよ。付き合ってねーよ。」
折本「そっか、いやなんか一色ちゃん比企谷の事チラチラ見てたし、あとその時の表情がね。」
えっ、そうなの?全然気づかなかった。流石女子同士。
折本「付き合ってないんだったら付き合っちゃったら?」
八幡「いや、こっちにも色々と事情があんだよ。」
折本「ふーん、あとの二人の女の子の内どっちかが好きなの?」
こいつどんどんぶっこんでくるなー。
八幡「い、いや、そういう訳じゃねーけど・・・。」
折本「まあ、いいや、誰かと付き合ったら教えてよ。中学の同級生絶対びっくりするし。」
例えそんな事になってもこいつだけには絶対教えねー。
その後無事卒業式の日程が決まり会場を抑えることができた。
あとは当日の準備を着々と進めるだけだとオレは思っていた。
日程決定の翌週のある放課後。奉仕部部室。
コンコン。
雪乃「はい、どうぞ」
扉が開くと一色が入ってきた
いろは「せんぱ~い、やばいです。やばいです。やばいです。」
どうやら何か問題が起こったようだ。