八幡Side
奉仕部部室。
オレと雪ノ下が本を読み、由比ヶ浜が携帯をいじっているいつもの光景の中に突如一色が血相を変えて部室に飛び込んできた。
いろは「せんぱ~い、やばいです。やばいです。やばいです。」
雪乃「どうしたのかしら、一色さん。」
いろは「合同卒業パーティの企画がちょっとまずいことになってて・・・」
八幡「何があったんだ一色。」
いろは「今海浜総合と合同で卒業パーティを企画してるじゃないですか?日程が決まったんで卒業生にその内容を告知したところ一部から反対の声が上がってるんですよ。」
雪乃「それはどうしてかしら?」
いろは「卒業は高校生活の締め括りだから今まで共にしてきた同級生だけで卒業パーティを行いたいって」
結衣「う~ん、言ってることは少し分かるかも。でも今の状況だったらしょうがなくない?」
雪乃「そうね。反対している人達はこうなった背景を知っているのかしら?」
いろは「いま城廻先輩が反対している人達に状況を説明して説得してくれているんですけどなかなか納得してくれなくて・・・」
八幡「こりゃもしかしたら海浜総合の方も同じ状況かもな。」
雪乃「可能性はあるわね。」
八幡「海浜総合には連絡したのか?」
いろは「いえ、まだです。まずはこちらの説得をと思いまして。」
八幡「まずは城廻先輩に状況を聞いてみるか。」
いろは「反対している卒業生との話が終わったらこっちに向かってきてくれるそうですよ。」
一色の言葉通りしばらくすると城廻先輩が奉仕部の部室にやってきた。反対している卒業生と話してきたからなのか少しぐったりしている。
城廻「こんにちは」
雪乃「ご無沙汰してます。城廻先輩。話は一色さんから聞きました。」
城廻「ごめんね。面倒な事に巻き込んじゃって。」
八幡「いえいえ、それが仕事なんで」
城廻「そう言ってもらえると助かるよ。」
城廻先輩は笑顔で俺に返してくれた。
やっぱ城廻先輩からマイナスイオン出てるわ~。
城廻「一応説得はしてみたんだけどね、中々うんって言ってくれそうにないんだ。反対している人達の言い分はね、「自分達は授業料を払いこんでいるから予定通りの卒業パーティに参加する権利がある。今の状況は学校の責任であり学校が責任もって補償すべき問題だ」だって」
結衣「何それ!無茶苦茶勝手じゃん。」
雪乃「でも一応の筋は通ってるわね。」
城廻「でもほとんどの人はこの状況の中でよくやってくれてるって生徒会の対応をすごく評価してくれてるよ。ただほんの一部の人がね・・・。」
八幡「その人たちを無視するっていうのはできないんですか?」
城廻「その反対している人達だけだったらそれもできるんだけど、その反対している人の親がね、理事で力を持っている人で、無理やり押し切っちゃうとちょっとやっかいな事になりそうなんだ。学校にも結構寄付をしている人で、最悪学校側に難癖つけて卒業パーティ自体を中止にもっていっちゃうかも。」
いろは「横暴です!卒業パーティを楽しみにしている人だっているんですよ?」
一色が反対している卒業生の態度に怒っているようだ。
八幡「とりあえず、その反対している卒業生達の話を聞いてみる必要がありそうだな。」
俺達は城廻先輩に話し合う場をセットしてもらうことにした。
翌日。会議室。
城廻先輩にミーティングをセットしてもらった。卒業生は代表して3人、こちらはオレと雪ノ下、由比ヶ浜、一色、城廻先輩というメンバーだ。平塚先生にも声を掛けたが生憎都合がつかなかった。
三田「今度卒業する三田だ。」
どうやら彼らが反対している卒業生の代表のようだ。三田は身長が185センチくらいある巨漢だ。彼が全員の代表で他の二人が付き添いといった感じだ。俺達は席について話し合いを始めた。
三田「今回の卒業パーティだが、なぜ合同でやるなんて話になった?俺達の卒業をぶち壊す気か?しかもよりによって海浜総合みたいなレベルの低いところなんかと一緒に」
いやいや、海浜総合だって新設ですけどそこそこ人気あるところですよ?
三田「今の生徒会長はそこの一年生だそうじゃねーか?」
三田とかいう卒業生は一色の方を見た。
三田「俺達の高校生活の重さも分かってないこんな頭の軽そうな女が生徒会長だなんてな。どうせ勉強もせずに遊び歩いてるんだろ?総武高校も落ちたもんだよな。」
一色がそれを聞いて明らかに切れかかっている。
だが切れているのはオレや雪ノ下、由比ヶ浜も同じだ。
八幡「一色を生徒会長に押したのはオレなんで文句はオレに言ってもらえませんかね?」
三田「なんだお前?コイツの男か?」
八幡「違いますよ。オレがこいつを生徒会長に推した理由はただ一つ。実力ですよ。」
まあ、本当は雪ノ下と由比ヶ浜を生徒会長にさせないためだったんだが、今の一色ならこう言っても問題ないだろう。
八幡「もう卒業式まで日程もないことですし、どの道今から他の選択肢は用意できません。なのでどうでしょう先輩方?ここは一旦卒業パーティに参加されてみて先輩方の高校生活の最後を飾るのに相応しいパーティなのかどうか見極めてみてはいかがでしょうか?」
三田「ほう、そこまで言って満足できなかった時はどうする?」
八幡「その時は土下座でも何でも先輩方のいう事を聞きますよ。」
雪ノ下達は怪訝な顔をしてオレを見た。
三田「あとそれからそこの一年も生徒会長を辞めろ。」
一色「分かりました。その時は私も生徒会長を辞めます。」
オレが拒否する間もなく一色が言い放った。一色も相当溜まっていたのだろう。
三田「よし、分かった。卒業パーティ楽しみにしてるぞ。」
卒業生達は話し合いに満足すると帰っていった。
雪ノ下達がオレを睨んでいる。
恐らく先ほどの対応が気に入らなかったのだろう。
雪乃「ちょっとあなたあんな事言って大丈夫なの?」
一色「そうですよ、先輩。あんな約束してどんな難癖つけられるか分かりませんよ。」
八幡「ちょっと待て一色、お前だって先輩達が満足しなかったら生徒会長を辞める約束までしちまったじゃねーか。」
一色「あれは・・・、先輩だけあんな約束をさせておいて私だけ知らん顔なんてできません。」
一色はちょっとむくれた顔で答えた。
八幡「でも今回話して分かったこともある。城廻先輩、親が理事で強い力を持っているって三田先輩の事ですか?」
城廻「そうだよ。三田くんの親は理事やってて結構発言力があるみたい。でもあんな事を言う人じゃなかったと思ったんだけどなぁ。」
八幡「あともしかしてですけど三田先輩って受験に失敗してたりしません?他の先輩は分かりませんけど。」
城廻「よく分かったね。三田くんは親の要望で自分の実力からかけ離れたところを受けさせられてうまくいかなかったみたい。」
八幡「やっぱりな。他の先輩は分からないが、三田先輩に限って言えば受験に失敗した憂さ晴らしっていうのが本音だろうな。」
結衣「どうしてそう思うの?」
八幡「海浜総合と一色の事を頭が悪いとかそういうポイントでけなしてたろ?だからそこにコンプレックスがあるんじゃないかなって。さっき城廻先輩があんな人じゃなかったって言っているのを聞いて確信した。」
雪乃「流石ね。一目で姉さんの事を見抜いただけはあるわ。」
結衣「でもそれって何をやっても難癖付けてくるってことじゃん!」
八幡「だからその対策をこれから考えるんだよ。とりあえず合同卒業パーティを開くことに障害はなくなったんだし、問題の根っこも見えただろ?」
由比ヶ浜はオレの発言に呆れているようだ。
俺達は奉仕部の部室に戻り、これからの対策を検討することになった。