いろはSide
総武高校入学試験合格発表日。
今日は外が賑わっていますね。
ん?前から先輩が物凄い形相をして猛烈なスピードで走ってきます。
いろは「せんぱ~い、」
八幡「わるい、一色、あとでな!」
私が先輩に話しかけようとすると先輩はそれを振り切り走って行ってしまいました。
先輩の走って行ったのは入試の合格発表の張り出された掲示板がある方向です。
私もついつい気になり、先輩を追いかけて掲示板の方へ行きました。
いろは「待ってくださいよー。せんぱーい。」
掲示板前。
掲示板前は入試結果を見るため、受験生やその親でにぎわっています。
しばらく人混みを探しているとその中に先輩を見つけました。
何やら嬉しそうに泣いています。
相手を見ると女の子です。誰でしょうか?
これは確認する必要がありますね。
いろは「せ~んぱい、どうしたんですか?そんな嬉しそうに泣いて。」
八幡「一色か、小町が受かったんだよ。」
先輩は涙を流しながら喜んでいます。
あ~、小町ってことは先輩の妹さんですね。
ということはこの女の子が先輩の妹さん?
アホ毛以外あんまり似てないような・・・。
うちの高校を受けてたんですね。
妹の受験が受かったくらいで号泣するなんて
先輩ってやっぱりシスコンですね。
小町「はじめまして、兄がいつもご迷惑おかけしてます。妹の小町です。」
いろは「いえいえ、先輩にはいつもお世話になってます~。はじめまして、先輩の後輩の一色いろはです。」
小町さんは私の自己紹介に反応しました。
どうやら先輩から何か聞いているんでしょうか?
小町「おぉ~、あなたが一色さんでしたか?たまに兄の話の中に出てくるのでどんな方なのかなと前々から気になっておりました。兄の会話に出てくる女性は雪乃さんと結衣さんと一色さんしかいませんからね。」
たまにですか・・・、先輩が私達の事を妹さんになんて話しているかは確かに気になるところですね。
いろは「そうですか、ちなみにせんぱいは私の事はなんと?」
あれ、先輩の顔色が悪くなったような?
小町「え~と、あざとい、腹黒い後輩・・・だったかな?」
ほほ~、これは後で先輩を問い詰める必要がありますね。
私は冷ややかな笑みを浮かべながら先輩の方を見ました。
先輩はそんな私の表情を見て焦っています。
八幡「いや、これは違うんだ一色。」
先輩は必至で弁明しようとしていますがこれは許せませんね。
ちょっといたずらしてやりましょう。
いろは「え~、先輩はですね~、そんなあざとく腹黒い後輩と今度デートするんですよ~。しかももう数回目ですよ。」
先輩はギョッと動揺しています。
八幡「待て、小町、これは・・・。」
私の発言に反応して先輩の妹さんは目を輝かせながらこちらを見てきました。
小町「ほう、雪乃さんや結衣さん以外にもこんな女性がいらっしゃったんですね。いや~、昔から常々兄の相手をするのは上から引っ張り上げるか、下から押し上げるかしかないと思っていましたが、なるほど同じくクズ同志という選択肢がありましたか。お姉さま(仮)とお呼びしても?」
な、な、なんて大胆な事を~。
私は動揺していつもの決まり文句を口走ってしまいました。
いろは「はっ、もしかしてこれは妹を通じてのプロポーズですか?先輩の妹さんからお姉さんと呼ばれるのは悪い気がしませんが、色々と手順を踏んでからにしてもらっていいですか、ゴメンナサイ。」
小町さんはきょとんとしています。
私はハッと我に返り弁明しました。
いろは「すいません、予想外の展開についテンパりました。とりあえず私の事はいろはと読んで下さい。」
小町「分かりました。いろは先輩。」
いろは「じゃあ、私の方はお米ちゃんって読んでもいいですか?」
小町さんがちょっと不満の表情を浮かべています。
気に入らなかったんですかね?
私はかわいくていいと思うんですけど。
小町「お米じゃないです。私の名前は小町です。」
いろは「いいじゃないですか、可愛いニックネームで。後輩キャラは弄られると色々とお得ですよ♪」
小町「そういうもんですか?」
お米ちゃんはまだ納得してないようですけど女の子はあだ名である程度序列をつけておかないと後々揉めますからね。
???「小町ちゃ~ん。」
ん?結衣先輩の声がしますね。
振り返ると結衣先輩と雪ノ下先輩がいました。
小町「結衣さん!」
結衣先輩が来るなりお米ちゃんは結衣先輩の方に走っていき抱きつきました。
結衣「小町ちゃん、良かったね。本当に頑張ったね。私もすごく嬉しい。」
結衣先輩もお米ちゃんに釣られて泣きながら喜んでいます。
雪乃「小町さん、良かったわね。おめでとう。」
今度はお米ちゃんは雪ノ下先輩にも抱き着いて泣いています。
こういう光景を見せつけられると私って新参者なんだって思い知らせられちゃいます。
雪ノ下先輩とのやりとりが終わるとお米ちゃんが再び私の方にやってきました。
小町「あ、そうだ。いろは先輩、私とLINEを交換してもらっても?」
お米ちゃんはそういうとスマホを出し、近づいてきてこっそり私に話しかけてきました。
小町「デートで兄がご迷惑おかけするといけないんでぜひ交換させてください。」
おっ、これは強力な助っ人です。ぜひ交換しましょう。
いろは「はい、ぜひぜひ~。」
私達はLINEを交換しました。
一色家自宅。その日の晩。
私のスマホが鳴っています。
どうやらLINEのメッセージが届いたようです。
スマホを見ると小町さんからメッセージが届いています。
小町「こんばんは、いろは先輩。今日はありがとうございました。それでですね、お伺いしたいことがありまして、いろは先輩って兄とどういうご関係なんですか?兄の妹である小町としては兄といろは先輩のご関係を知っておきたくて。テレテレ」
私と先輩の関係ですか?
何でしょう?先輩と後輩?っていうのもちょっと違う気がしますし、
お米ちゃんにはきちんと知ってもらっておいた方がいい気がします。
ここはきちんと説明しましょう。
いろは「こんばんは、お米ちゃん。私と先輩の関係は先輩と後輩ですけど、まあ色々ありまして~」
私は生徒会選挙、クリスマス合同イベント、バレンタインでの告白、卒業パーティであった事をお米ちゃんに教えました。
小町「ほー、そんな事が。うちの兄はあんな性格ですからね、何があったのかなかなか言わないんですよ。いや~、兄をそこまで高く評価していただけて妹としては光栄です。あっ、今の小町的にポイント高い!」
まあ、先輩の性格からしてあんまりそういう事を妹にペラペラ話さなさそうですよね。
お米ちゃんの話によると私の情報は生徒会選挙で先輩から相談を受けたことで知ったようでした。
それにしてもあざとい、腹黒い後輩って・・・、他に言い方はなかったんですかね?
小町「あ、でもでも小町はいろは先輩だけを応援する訳にもいかないんですよ。雪乃さんや結衣さんの事も同様に応援してるので。最終的には兄が幸せになってくれる相手とくっついてくれたらなと思ってます。あっ、これも小町的にポイント高い!」
おっと、やはりそうでしたか。
まあ、そっか。妹としては一番は兄の味方ですよね。
味方?が一人増えたという事でこれはこれで良しとしましょう。
私はその後お米ちゃんから先輩の好きなもの、嫌いなもの等色々と教えてもらいました。