いろはSide
ディスティニーランドに行った翌日。
私を含めた生徒会メンバーは先輩に奉仕部の部室に呼ばれた。
いろは「えっと、これってなんで集められたんですかね?」
八幡「今後の方針の確認だ。海浜総合高校とのクリスマス合同イベントにおいて何が問題か分かるか?」
どうやら先輩は行き詰っている海浜総合高校とのクリスマス合同企画の状況を打開すべく、総武高校側の意思統一を図るために私達を呼んだようでした。
いろは「えっと、お金と時間と人手が足りないんですよね?」
八幡「そうだ、だが、根本的な問題はもっと別のところにある。」
いろは「というと?」
八幡「あの会議だ。あそこには最終決定権も持っている奴がいない上、聞きかじったビジネス用語を使いたがるだけの上っ面だけの会議だ。そして誰も否定しない。」
いろは「は~、まぁ~」
先輩のいう通りです。
あの会議はよく分からない言葉を使って何かをした気になっているだけで実質何も進んでいません。
八幡「だから、反対も対立も否定もするそういう会議をする。」
副会長「対立って、今から反対意見を出すって事か?」
副会長が先輩の提案に驚いています。
まあ、副会長は保守的な人ですからね。ちょっと抵抗があるのでしょう。
八幡「あぁ、がんがん反対するし、否定もしていく。」
副会長「俺は反対だ。波風は立てない方がいいと思う。それにこのタイミングで対案を出すのはちょっと・・・」
副会長のいう事はもっともです。
でもここで引いたら何も進みません。
いろは「ですよね~。」
私は一旦笑顔で副会長に同意しつつ、私は自分の意見をいう事にしました。
いろは「でもやります。たとえ波風が立ったとしてもやる必要があるときもあるんです。それに~、私的にしょぼい企画になるのはちょっと嫌かなって」
私の発言を聞いて副会長たちすごい驚いてますね。
今まで私は一年生だからって周りに気を使ってきました。
言うべき時に言うべきことを言わずやり過ごすのはきっと欺瞞でしかないんでしょうね。
その結果私は自分の役割を果たせていなかったんです。
八幡「きまりだな」
先輩はこっちを見て満足げにほほ笑んだ。
いろは「それでは後ほどコミュニティーセンターで」
コミュニティーセンター。
私は差し入れの為にコンビニで人数分の飲み物を買って先輩たちの待っているコミュニティーセンターに向かった。
先輩、結衣先輩、雪ノ下先輩はもうすでにコミュニティーセンターの前で待っていた。
いろは「おつかれさまです」
私はいつものように先輩に重いものを持ってもらうため手提げ袋を先輩に手渡した。
その光景を見た結衣先輩、雪ノ下先輩は何やら不満げな様子でこちらを眺めてきます。
いつの間にか仲良くなった私達に妬いているんですかね。
八幡「え、え、何?」
先輩は結衣先輩と雪ノ下先輩の視線に動揺しています。
いろは「ははは・・・、さあ行きましょう。」
私は苦笑いでごまかし、会議室に行くように促しました。
結衣先輩、雪ノ下先輩の視線がものすごい痛いです・・・。
会議室に行くと海浜総合高校の生徒会長の玉縄さんをはじめとした海浜総合高校の生徒会のメンバーが待っていました。
あっ、でも向こうのメンバーの内折本さんは生徒会のメンバーじゃないんでしたっけ?
折本さんと先輩は昔何かあったみたいですが教えてくれません。
何があったんでしょうね?
玉縄「おや、ニューフェイスだね。」
結衣・雪乃「はじめまして」
玉縄「じゃあ、さっそくアジェンダにそって始めて行こうか。前回のブレインストーミングの続きからだね。」
玉縄さんが早速会議を始めました。
このままだといつもの繰り返しです。
ここで止めるしかありません。
いろは「あの~、いいですか?」
玉縄「どうぞ」
いろは「もう時間もないので効率的に準備をするために海浜総合高校のコンサートの企画と総武高校の演劇の企画の2部構成にしてはどうかなと。」
玉縄「なるほど、すごくいいアイデアだと思うんだけどね、ここは音楽と演劇のコラボレーションすればお互いのいいところがでてシナジーが出せると思うんだよ。」
予想通りの回答でしたが、やっぱりそこにこだわるんですね。
いろは「そ、そうなんですけど・・・」
副会長「ねえ、2部構成に反対の理由って何?」
私は予想外のところから来た援護射撃に驚きました。
これまで副会長達は私の事をあまりよく思っていなかったはずなので助け舟を出してくれたのは意外でした。
でも今ならその理由も少しわかる気がします。
私は自分が一年生だからって事で遠慮して会長らしい態度で仕事に取り組んでこなかったから不満があったんでしょうね。
この前ようやく私が自分の意思を示したから手伝ってくれる気になったんだと思います。
今まですいませんでした。
玉縄「いや、反対ってわけじゃないんだよ?ただ、最初のコンセプトに立ち返ってやれば合同企画のシナジー効果が期待できると思うんだ。」
副会長「シナジー効果って何?どこにあるの?」
こんなやり取りが30分ほど続いた。
すると先輩が突然立ち上がった。
八幡「シナジー効果なんてどこにもねえだろ?それどころかこのままじゃ大したことできずに終わるぞ。なのになんでまだ形にこだわる。」
えぇ~、先輩、言い方言い方。
玉縄「でもコンセンサスは取れていたし」
八幡「違うな・・・、自分はできると思いあがっていたんだよ。だから間違えても自分の失敗を認められなかった。自分の失敗をごまかすために策を弄して、言葉を弄して、言質をとって安心しようとした。間違えたとき誰かのせいにできるからな」
えぇ~、先輩、それ言っちゃいますか?
海浜総合高校の生徒会の皆さん青ざめてますよ?
海浜生徒会メンバー「ただのコミュニケーション不足じゃないかな?一回クールダウンして」
今度はとなりで雪ノ下先輩が立ち上がった。
雪乃「ごっこ遊びがしたければ他所でやってもらえるかしら、さっきから中身のないことばかり言っているけれど、覚えたての言葉で議論の真似事をするのがそんなに楽しいかしら。曖昧な言葉で話した気になって分かった気になって何一つ行動を起こさない。そんなものはただの偽物よ。これ以上私達の時間を奪わないでもらえるかしら」
あ~、途中からなんとなく分かってましたがやはりこうなりましたか。
空気が完全に凍り付いてますよ~。どうするんですか~。
結衣「あ~、確かに難しいかもしれないけどさ、二部構成にしてお客さんに2回楽しんでもらえた方がお得ってこともあるんじゃないかな?あはは・・・どうかな~?」
結衣先輩が慌ててとりなしました。
結衣先輩ナイスです。流石です。
折本「う、うんそれもあるんじゃないかな?」
重い空気に耐え切れなくなった折本さんが結衣先輩の発言に同意してくれました。
海浜生徒会メンバー「う、うん、個性の尊重も重要なしてんだよね」
折本さんに釣られて海浜総合高校のメンバーも次々と同意してくれたようです。
こうして会議は二部構成で行くことになり、この企画もようやく動き出しました。
会議後の休憩時間。
私はこの一連のやり取りに関して先輩と雪ノ下先輩に対して少し文句を垂れた。
いろは「先輩~、雪ノ下先輩~、この企画がなくなるかと思ったじゃないですか~。正論を言えばいいてものじゃないんですよ。もっと空気を読んで下さいよ~。」
雪乃「そうね、比企谷くんは文字列ばかり読んでるから空気なんて読めないものね。」
八幡「ちげーよ、言われているのはお前だ。」
雪乃「あら、一色さんは正論だと認めたじゃない。」
八幡「お前な・・・」
いろは「もしもし、お二人に言っているんですよ私は」
まあ、仕方ありませんね。この2人に関しては。
それに私もスッキリしましたし。
会議終了後。
私たちは帰り支度をしていた。
先輩はまたあのコーヒーを買いに行ってますね。
なんであれをあんなに飲んでて太らないんでしょうか?
ちょっと注意しに行ってあげましょう。
私が自動販売機に向かうと先輩と折本さんが話しています。
ちょっと待ちましょう。
折本「比企谷って一色さんの事狙ってるの?」
折本さん、なんてこと聞くんですか!
私は唾をのんで先輩の回答を待った。
八幡「ちげーよ、なんでだよ。」
先輩が何の動揺も見せずそっけなく回答したことに私は少しガッカリした。
まぁ分かってましたけどね・・・。
折本「だってさ、比企谷って中学の時生徒会とかやってなかったじゃん。それが急に生徒会の手伝いとかしいてるからさ。」
八幡「あー、それな。そういう部活なんだわ。」
折本「部活って?」
八幡「奉仕部。」
折本「奉仕部ってウケるんだけど(笑)」
八幡「別にウケねーよ。」
折本「比企谷ってなんか変わった?昔とか超つまんなかったよね。・・・けど人がつまんないのって見る側が悪いこともあるのかもね・・・。でもやっぱ比企谷と付き合うってありえないわ~、だってさっきのとか自分の彼氏とかだったら耐えられないでしょ(笑)」
八幡「別に今頼んでねーし。」
折本「でも友達としてはちょっとありかな。ウケるし。次同窓会とかあったら来る?」
八幡「いや、いかねえよ絶対。」
折本「だよね。ウケる。」
八幡「いや、ウケねーから。」
なんとなく、先輩と折本さんの関係が分かった気がします。
昔先輩は折本さんに告白してフラれたということでしょうか?
先輩ってああいうのがタイプなんですかね?
いつかこれは何かのネタにしてあげましょう。
さっきそっけなく否定したお返しです。
クリスマス当日。
海浜総合高校も前回の会議後、私達に触発されたみたいで発奮し、1部・2部ともに大盛況で結果として企画は大成功でした。
企画終了後、後片付けをしていると後ろから先輩が声をかけてきた。
八幡「大分会長らしくなってきたじゃねーか。」
いろは「副会長達が頑張ってくれましたし、それに・・・先輩が色々教えてくれましたから・・・。私・・・、本物を見つけることができたのかもしれません。」
八幡「あ~、葉山の事か?」
いろは「さあ、どうでしょうね?」
私は先輩の問いにいたずらな笑顔で返した。
きっと私の先輩に対する想いは本物だ。
これまでの先輩との関わりを通じて私は確信しました。
スタート地点から中途半端な未消化部分が消化されたので次回以降展開が大きくオリジナル方向に傾いていきます。