八幡Side
始業式翌日。
オレは葉山が部活を終えるのを見計らって葉山を人気のないところに呼び出した。
葉山「なんだい、話って。」
八幡「一色の事なんだが、お前今流れている噂を知ってるか?」
葉山「一応ね。で、どうなんだい本当のところは」
八幡「付き合っている訳ねーだろ。あいつはお前の事が好きなんだぞ。」
葉山「気付いてないのか?いろはの奴も大変だな。」
八幡「何がだ?」
葉山「ご想像に任せるよ。」
八幡「でだ、単刀直入に言う。お前が一色と付き合っているフリをしてくれないか?お前が一色と付き合っているフリをすれば今の噂を上書きできる。」
オレが作戦を説明すると葉山はこっちを睨んできた。
葉山「その案はいろはも知っているのか?」
八幡「?ああ、昨日オレが説明した。」
そういうと葉山は呆れた顔でこっちを見てきた。
一体何なんだよ。何が問題なんだよ。
葉山「悪いけど、オレはその案には協力できないな。きっと雪ノ下さん達も反対なんじゃないかな?」
八幡「まあ、そうだな。あまり賛成じゃなかったみたいだな」
葉山は一色と付き合っているフリをする提案を断った。
フリとは言え、誰かと付き合っている望まれない葉山隼人を演じるのが嫌なのだろうか。
それとも一度振った女の子の彼氏のフリをするのが嫌なのだろうか。
それは葉山にしか分からない。
翌日。奉仕部部室。
部室に行くといつものように雪ノ下と由比ヶ浜が雑談している。
オレはいつものように彼女たちから少し離れた席に座った。
八幡「あー、葉山の件な。あれ断られたわ。」
雪ノ下「でしょうね。そんな事だろうと思ったわ。」
雪ノ下と由比ヶ浜が呆れた顔でこちらを見てくる。
こうなったらいよいよオレが公衆の面前で一色に告白してフラれるしかないか?
結衣「あのさ、ヒッキー、今変な事考えてないよね?」
八幡「さあな。」
結衣「私イヤだよ。ヒッキーがまた人のために傷つくなんて・・・」
雪ノ下「そうね。あなたが考えていることくらい私も分かるけど私も反対よ。」
ったく、分かったよ。
こいつ等にこんな事言われたらやる訳にはいかねーだろ。
八幡「分かったよ。でも実際どうする?」
結衣「ねえ、私がヒッキーと付き合っちゃうっていうのは?」
由比ヶ浜が顔を真っ赤にして興奮しながら提案してきた。
八幡「バカ!それじゃ本末転倒だろ!今度はお前が・・・」
結衣「私気にしないもん!」
雪ノ下「いえ、それは悪くないアイデアかもしれないわ。」
えっ、ちょっと雪ノ下さん?何言っちゃってるんですか?
雪ノ下「特定の女子だけと二人きりの現場を見られるからいけないのよ。常にいろんな女子と二人きりの現場が多く目撃されれば一色さんの噂は消滅するわ。まあ、比企谷くんが色んな女の子と仲がいいって言う風になるだけで。」
いや、それめっちゃハードル高いんですけど。
えーと、オレと二人きりで行動してくれる女子なんて誰がいるんですか?
もしもーし?
結衣「そっかー、ヒッキーが色んな女の子と仲良くしちゃえばいいんだ。協力してくれそうなのは、私とゆきのんと川崎さんと城廻先輩とか?あと小町ちゃんとかどう?」
雪ノ下「そうね、小町さんがあなたの妹だなんて誰も知らないし、妹だなんて思わないでしょうね。」
失礼な、小町と俺には同じ遺伝子が流れているんだぞ?
結衣「あと優美子と姫菜にも聞いてみるよ。」
えっ、あの縦ロールさんですか?
いや、絶対協力してくれないと思うぞオレは。
八幡「待て、お前らやそいつらに迷惑がかかるんじゃ。」
雪ノ下「そんな事ないと思うわ。せいぜいあなたが女の子と仲がいいっていうイメージがつくだけよ。それにみんなあなたに感謝している人達だし、協力してくれると思うわ。それともあなた他に案があるの?」
八幡「ないです・・・。」
せめてその中に戸塚を入れてくれ・・・。
コンコン。扉からノックする音が聞こえた。
雪ノ下「どうぞ」
扉が開くと一色が入ってきた。
いろは「失礼しまーす。」
八幡「一色すまん!葉山には断られちまった。」
いろは「ふーん、そうですか。」
一色はどこか元気がなく、不機嫌そうだ。
やべー、期待させるだけ期待させちまったからな。
八幡「代わりといっちゃなんだが一つ策がある。」
オレはさっきまで雪ノ下達と話してたことを話した。
気のせいか一色の不機嫌度が増した気がする。
いろは「で、そのメンバーの中に私は入ってるんですか?」
八幡「いや、ほら、お前は当事者だからな・・・」
いろは「なら私は反対です。」
八幡「いや、でもな・・・」
一色は何か思いついたような顔をすると、急に小悪魔モードの表情になった。
いろは「大体その作戦をするのにいきなり私が抜けたら不自然じゃないですか?私がメンバーに入っていいならその作戦乗せられてあげます♪」
八幡「たくっ、分かったよ。どうなっても知らんぞ?」
いろは「はい♪」
一色の提案を了承すると一色の機嫌が少し戻ったようだった。
いろはSide
私の好意に気付いてくれず、その上葉山先輩と恋人のフリを薦めてきた先輩には大分イラっときていたんですが、そこはグッと飲み込むしかありません。
まあ、元はといえば先輩の前では葉山先輩を狙っているフリをしている私が悪い訳ですし。
でも私この事は忘れませんからね?
いつか絶対埋め合わせをしてもらいますよ?
先輩から提案された案はそんな私の葛藤が吹き飛ぶくらいとんでもアイデアでした。
これ、絶対先輩の案じゃないですよね?
一体これは誰の案なんでしょうか?結衣先輩?雪ノ下先輩?先輩をプレイボーイにしてどうするんですかね?
まあ、これならお二人も多数の中の一人になるわけですし、私も先輩と普通に二人きりになれます。
悪くないですね。
翌日。奉仕部部室。
私達は結衣先輩に呼ばれて奉仕部の部室に集まっていた。
奉仕部のお二人と先輩が川なんとか先輩って言っている人?あと城廻先輩と三浦先輩と海老名先輩までいます。
正直三浦先輩が協力してくれるのにはかなり驚きました。
今雪ノ下先輩が具体的なプランを説明しています。
どうやら私達がローテーションで先輩と下校し、土日は小町さん、奉仕部のお二人と私のいずれかと千葉駅周辺で行動するプランのようです。
先輩は土日両方出勤とかどんなブラックだよとかぼやいてますがこの際無視です。
三浦「で、ヒキオが一色さんと付き合っているっていう噂をうやむやにしちゃえばいい訳?まあ、隼人も手伝ってやったらって言ってるし、ヒキオには修学旅行で世話になったみたいだし?普通に手伝うし。」
姫菜「同じく~。」
城廻「私も後任の後輩が困ってるのを見過ごせないかなー?って」
いや、別に困ってないですけどね。
もうここまできたら言い出せません。
川崎「比企谷と帰ればいいんでしょ?別に普通だし。」
こうして見るとなんか先輩の関係者の女性ってすごいかわいい人ばっかりですね。
まあ、私も負けてないですけど。
やっぱりこのままじゃダメですよね。
先輩には私の好意なんて少しも届いていなかった。
まずは先輩に私の気持ちを伝えないと・・・。