戦艦ハルバード、転生ス   作:G大佐

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ガルパン小説が少し行き詰まったので、息抜きも兼ねて、ずっと考えていた小説を投下します。


空中戦艦、転生ス

 艦内は激しく揺れ、警報があちこちで鳴り響く。主砲は大破し、対空砲も使えない。

 

「(エンジン出力低下、全区画に火災発生、消火装置は破損。だが……!)」

 

 討つべき“敵„を睨み付け、文字通り自身の命をかけて彼女は弾幕の中を()()()()

 

 その瞬間、敵艦から放たれた一発が、彼女を艦首から貫いた。

 

「ぐ、が……!」

 

 明らかな致命傷。一瞬だけ苦しげな声を出すも、彼女はすぐに不敵な笑みを浮かべた。

 

「(頼んだぞ、ヒーロー達……!)」

 

 爆炎をくぐり抜け発艦していく、戦士を乗せた戦闘機たち。全機が発艦したことを確認した彼女は、燃え盛る炎の中で、ゆっくりと目を閉じた。

 

「(メタナイト様(マスター)……御武運を)」

 

 そして、空中戦艦ハルバードは爆発。彼女は炎に包まれた。

 

 

 

 

 

 ここは何処だろう。身を包んでいた焼け焦げる感覚が無くなっていく。代わりに頭がボンヤリする。

 

 プシュー、ガコンッ!

 

 聞こえてくるのは、蒸気と機械の音。前から風のようなものが流れ込んでくるのを感じた。

 

「(出口か……?)」

 

 ゆっくりと歩き出し、今いる空間から出ると……

 

「何処だ、ここは……」

 

 目の前に広がるのは見慣れたブリッジではなく、荒れ果てた建物。窓は割れ、壁は薄汚れている。所々に見える機械は錆びてるものが多い。女性は自身の背後の機械を見やる。

 

「私はこの機械から出てきたようだが……何だこれは?」

 

 それは、()()()() において『建造装置』と呼ばれる物だった。

 

「しかし、何故こんな所に私は存在している? 私はあの時、爆発した筈だが……」

 

 あの時、彼女は強大な敵へと突撃し、その命を散らした筈だった。こうして自分が存在していることに、彼女は戸惑っていた。

 

「……むっ!」

 

 気配を感じ振り返ると、驚くべき光景を目にした。

 

「亜空軍だと!? ここにも奴らの手が……!」

 

 紫色の粒子が辺り一面を覆い、そこから『プリム』が次々と生まれてくる。グチョグチョと音を立てながらゆっくりと立ち上がる姿は、まるでゾンビだ。

 

 亜空軍。世界で猛威をふるい、自分を鹵獲して望まぬ行為を強制させた存在である。目の前にいる『プリム』はいわゆる雑魚だが、その派生と数が脅威となっている。

 

「上等! 戦艦ハルバード、いざ参る!」

 

 なぜ爆発した筈の自分が存在しているのか。ここは同じ世界なのか。疑問は多いが、目の前に敵が居るならば切り捨てるまで。彼女は自身の腰にあるサーベルを抜き、プリム達の中へ突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 その頃、海上を滑るように航行する者たちがいた。彼女達は艦娘。()()()()の住人である。

 

「十時の上空で『赤雲(せきうん)』を確認しました! 私たちはこれから、偵察を行います」

 

「了解!」

 

「了解っぽい!」

 

 旗艦『吹雪』の指示に、『睦月』『夕立』が返事をし、そこへ『北上』『大井』『川内』も了解の返事をする。

 

 彼女達は元々、『深海棲艦』と呼ばれる存在と戦っていた。だがある日突然、異変が起きた。青空に突如赤い雲が発生し、そこから見たことのない存在が現れたのだ。

 雲のような生き物や、空を飛ぶ金魚のような生き物など、最初は深海棲艦の新兵器かと思われた。しかし、その存在は深海棲艦すら攻撃していた。大本営はこの存在を『赤雲』と仮称し、第三の脅威と認めたのである。

 

「まもなく到着します! 各艦、戦闘準備!」

 

 吹雪たちが艤装を構えながら島へと向かう。

 その島は、かつて鎮守府が置かれていた場所だった。しかし、位置の関係上敵に狙われやすく次々と攻めてきた為に、配属されていた提督と艦娘は鎮守府を放棄して脱出したという経歴がある。

 

 敵がどれほどの速度で侵略を進めているか。その不安を胸に島へと向かうと……

 

「……え?」

 

「艦、娘……?」

 

 そこには、仮面を着けた騎士のような艦娘が、正体不明の敵を次々と斬っていく姿があった。




読んでいただき、ありがとうございました。
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