今回は僅かにオリジナル設定などがありますので、ご了承ください。
「はぁぁぁぁぁ!」
ハルバードは手にした剣で、亜空軍の歩兵プリムを次々と切り捨てていく。切り口から紫色の粒子のような『影虫』が溢れ、プリムは霧散する。
「っ! ポトロンまで……! 対空砲、一斉射撃!」
プロペラのついた頭と手だけで構成された生命体『ポトロン』が、パタパタと音を立てながら迫っていた。可愛らしい名前とは裏腹に、その手に持つバケツの中身は熱した鉄塊というえげつない物である。
ハルバードはすぐに対空砲を展開、ポトロンを撃ち落としていく。落ちたポトロンがプリムと衝突してお互いに消滅する様子も見られた。
「『二連主砲』、エネルギー充填! 撃てぇ!」
縦に二連となっている主砲、その下部にあるビーム砲が放たれる。横凪ぎに撃たれた青白い光線はプリムを消滅させていき、上部の実弾砲が遠方の敵を爆発で吹き飛ばす。しかし敵の進軍は止まらない。
「多すぎる……!」
武装はまだ残っている。艦首の底部に位置するカノン砲だ。だがあれは艤装としてはかなり大きく、取り回しが悪い。敵がジワジワと距離を詰めてくるこの状況では、かえって隙を生み出してしまう。
「(飛行しようにも、リアクターがまだ完全に熱していない……)」
空中戦艦の名の通り、彼女は空を飛ぶことが出来る。しかし、その為のエネルギー量にまだ達していない。これは、彼女が建造されたばかりだからだ。
「これほどの数、まさか『スポット』があるのか?」
スポットとは、ハルバードが独自に呼んでいる物で、空間に現れる小さな紫色の穴である。攻撃して消失させない限り、プリム等がどんどん湧いてくるのだ。目の前の軍勢の遥か後方に、恐らくスポットはあるのだろう。だが多すぎる。
「どうすれば……」
その時だった。ヒュルルルルという何かが落下するような音が背後から聞こえてきた。
その瞬間、目の前のプリム達が吹き飛んだ。
「な、何だ!?」
爆発の仕方から見て砲弾だと分かった。つまり後方に軍艦が居るということである。ハルバードが振り返ると、海の上に立つ少女達がいた。
「(海上に立っている、だと? いや、私も飛行出来るから、海上に立つ者がいてもおかしくはないか?)」
何やら通信が掛けられているようだ。応じることにする。
「こちらは、空中戦艦ハルバード。援護射撃に感謝する」
『く、空中……? こちらは駆逐艦“吹雪„です! お怪我はありませんか?』
「駆逐艦? ……色々と聞きたいが、私に怪我はない。だが……敵の数に悩まされてるところだ」
『ホントだ。あんなに撃って吹き飛ばしたのに……』
「敵を湧かせる物を知ってる。私はこれから破壊しに向かうため、援護をしてほしい」
『分かりました!』
通信が終わる。ハルバードは改めて正面を見据えた。
「さて、行くぞ!」
周りが砲撃で吹き飛ぶ中を、彼女は一気に駆け出した。
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