拝啓 シロちゃんへ。 結婚してください──。   作:瑠威

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  愛を知ることはないと思っていた
  見つけたのも
  拾ったのも
  偶然だった

  偶然は重なると必然になる
  ならばこの出会いも必要だったのだろうか

  護りたいと思った
  だからどうか、耳を傾けてくれ


第1話

  

  皆は神という存在を信じるだろうか?

  いや、急にてめえ何言ってんだって思う皆の気持ちはわかる。ライトノベルでありそうな始まり方だとも私は理解している。理解していて、再度問おう。

 

──神という存在を信じるか?

 

  因みに、私は信じない。

  だって私、仏教徒だし。キリスト教じゃなくて仏祀ってるし。あ、でもクリスマスとかは大いに歓迎!!

 

  …とまあ、とりあえず閑話休題(それはおいといて)

  何故、急にこんなことを聴き始めたのか。それには海よりもふかぁい訳があるのだ。決して私の頭が可笑しくなったとかそういう訳じゃない。信じて欲しい。

 

  突然だけど私は前世の記憶がある。

  前世の私はどこにでもいるような、特に言うほど何かが突出しているわけでもない、良い言い方をすれば平々凡々、悪い言い方をするなら非常に面白みのない女だった。

  あと数年したら三十路。彼氏は1度もできたことがなく、両親から放たれる結婚の圧から逃げ、仕事の重責の圧からも逃げるという、つまらない毎日を過ごしていた。

 

  事が起きたその日も、私は日常のつまらない1ページを埋めていたに過ぎない。

  頭をハゲ散らかした上司に自分は悪くないのにペコペコと頭を下げ、いつ彼氏を連れてくるんだと異様に結婚に拘る母親からの電話に鬱々とし、最新号の週間少年ジャンプを某コンビニ店で購入した私は、会社から家へと帰っていたその時。

  急に全身の軋む音と異常な痛み、キィィィと異常に耳に残る音、私が出したわけではない「きゃぁぁぁ!!」と甲高い女性の叫び声に「救急車を呼べ!!」という男性の怒鳴り声がザワザワと聞こえた。

  それを聞いた私は一瞬で理解する。ああ、車にでも轢かれたのかと。結構ていうか、かなりめちゃくちゃ痛かったし、車じゃなくてトラックだったかもしれない。まあともかく、私はそれを感じ取って数秒もしない内に意識を飛ばしたのだった。

 

  これは私自身が体験した実体験なんだけれど、意外とこれが私自身で客観視できていて、もはや他人事のようにも思ってしまうんだけど、それでも断言できる。

  あれは即死レベルだったし、助かることは絶対にない。どれだけ現代の医療技術が進歩してすごいものになっていようと、あれはもう…多分死体は無惨なものになっていると思う。何にとは言わないけど、確実に踏まれた感覚あったし。

  なのに、私はまたここで生を受けていたのだ。それも──目の前には迫力しかない大きな赤い龍のおまけ付きで。

 

  私のわかっていることは、自分は事故で死んだ。んでもって目の前には龍がいる。

 

──…てめこら神出てこいやぁ!!

 

  あれか、よくライトノベルや夢小説で好まれる「わたし転生しちゃった☆」系か!!  なんだ、ドジっ子の神様がうっかり「間違えて(きみ)を殺しちゃったから好きなところに転生させてあげるよ(キラン)」パターンじゃないんですか!?  よっぼよぼのクソジジイ出てくるんじゃないんですか!?  出てこないんですか!?  個人的には神様じゃなくていいからおジャ魔女に会ってみたいです!!  助けて貰えなくていいから見てみたい!!

 

  …閑話休題(それはともかく)

  生憎というか有難いというか、私はスライムや蜘蛛に転生したわけでは無さそうだ。至って普通の、赤髪系美少女に生まれ変わっている。性別も女だし、勇者に転生とも考えずらい。勇者ってだいたい男っしょ?  ドラクエって皆、主人公男だよね?  あんまりプレイしたことないから自信ないけど。

 

  …つーか目の前に龍って。龍は…ねぇ、こんなのがいるなら少女漫画のとあるキャラに転生して逆ハーレム!!とかも無さそうだし…。

 

  あ、この龍、私のパパンなんだよ?

  おま、頭イッちゃってるねぇ〜って思ったでしょそこのあなた!!  これがね、これがね、事実なんですよぉ。私は赤ん坊の時に彼岸花畑で捨てられてたらしく、たまたま(パパン)が拾っちゃったらしいんですよぉ〜。私は人間だけどパパンは龍、しかも何故か喋れるというハイスペックなパパンはもうホント何者ってレベルでホントドン引き。

 

  で、考えたんです私。

  私、生前ストレス発散のためによく漫画を読んでたんですけどね?  まだ最新号のジャンプ読めてなかったんですけどね?  今流行りの呪術めっっっさ楽しみにしてたんですけどね!!?  ごじょーセンセーどーなったのかなぁ!?  今、かなり精神抉られるけど面白いところやん!!

 

  閑話休題(それはともかく)

 

  …転生したってなるなら、やっぱりどっかの漫画に転生したんじゃないかって考えちゃいますよね?  よくライトノベルであるあるだし。私も考えた。考えた結果ね??

 

──フェアリーテイルじゃね?

 

  だってだって、目の前に龍がいるんですよ!?  私はぶっちゃけジャンプ派ですけど、一応マガジンのフェアリーテイルも読んでましたし!!  アニメも見てましたし!!  主人公の声優につられて見たんだけどね!!柿原徹也さん好きなんですけどね!!

 

  あの漫画なら沢山龍出てきますよね!?  違うなら少女漫画に飛んでヨナさんとか?  …いやあ、あれは無いっしょ。どうせなら私はフェアリーテイルで、ナツとお友達になりたい。柿原さんの声を間近で聞いてハァハァしたい。

 

 

「パパン、パパン!!」

「パパと呼ぶなと何度言わせれば解る小娘よ。貴様のその頭は空か。無能か」

 

 

  …うちのパパン結構口悪いんですよ。でもね、これ照れてるだけなの。ツンデレなんすよ。龍のツンデレって需要なくね?って私は思ってるけどお口チャックですよ皆さん。うちのパパン怒ったら怖いから!  私のパパン火の龍なんで、すこぉーし機嫌悪くさせたら一瞬で火の海です。ここに来てまだ状況理解できてない時、私が騒ぎに騒ぎまくって、キレたパパンが火ぃ吹いちゃってもう大惨事ッスよ。最後には生贄来るレベルでした。やばない??

 

 

「パパン、私は小娘じゃなくて彼岸(ひがん)っていうパパンが適当につけてくれた名前があるよ!!」

「…して、何だ小娘」

 

 

  彼岸花畑で捨てられていたから私の名は『彼岸(ひがん)』。聞いた当初は適当にも程があると思ったけど、今ではお気に入りの名前だ。なんなら前世の名前より気に入ってる。

 

 

「パパンの名前ってなーに?」

「我の名か?」

 

 

  確かフェアリーテイルの主人公、ナツの育て(おや)はサラマンダーだったような気がする。サラマンダーは火の龍だと柿原さん(ナツ)が教えくれたし、うちのパパンも火の龍だと自慢げに語ってくれた記憶があったし。もしかするともしかするかもしれない。

 

 

「我の名は焔龍王(えんりゅうぎみ)だ」

 

 

  なんか日本っぽい漢字の名前来たー!?

  おいおい、そこはなんかこうカタカナ横文字羅列の名前にしろよ!!  場違い感ハンパないって!!  パパンもうちょっと空気読もう!!?

 

 

「…他に名前、ないの?  ほ、ほら二つ名とか…」

「ふむ、二つ名か?  二つ名とは些か違うような気もするが、有ることには有るな」

 

 

  マジか!!

  その二つ名に期待なんですけど!!  横文字羅列!!

 

 

「我は炎天を好む」

「は、はあ…?」

「炎天に坐している我が一番我らしいと思うのだ」

「…ん?」

大群青(だいぐんじょう)焔龍王(えんりゅうぎみ)だ」

 

 

  また来ました漢字ですぅ!!

  しかも前のやつより長くなってるやん!!  なんですか、嫌がらせですか!?

  あ、もうはい。それでいいです。カッコイイですね(棒読み)

  ちなみに漢字ってどう書きます?  え?  …ほう、ほうほう。『えん』は『焔』なんですね。『ほのお』じゃなくて『ほむら』なの?  …どっちでも良くね?  え、ダメなの?  間違えたら殺す?  …パパン、漢字間違えられたぐらいで殺しちゃダメだって。また生贄来ちゃうよ?  パパンもそれは嫌でしょ??  …『王』って書いて『ぎみ』って呼ぶの?マジ?  あー、確かに昔の人は『だいおう』って書いて『おおきみ』って読むよね。あ、『えんりゅうおう』の語呂が気に入らなかったのですか、はぁーそうですか。私的には『おう』の方がいいと思う…え、大群青つけてみろ?  あー、確かに大群青つくとなんか語呂気に入りませんね、はい、はい…はい。

 

  現場からは以上です。

  ナツに出逢えるのはまだまだ先の話らしい。くそう!!

 

  ちなみに私の今の姿はガチガチの幼女です。赤髪の映えた非常に可愛らしい女の子です。服は、パパンの鱗を埋め込んだ炎耐性のある服らしくて、売りに出したらそこそこの値がつくと教えてくれました。

 

  …デジマ?

 

  早速売りに行こうとしたんだけど、パパンに止められてしまった。どうやら、この服を着ていないと私パパンの暑さに殺られてしまうらしいのです。パパンやば!!  なんか焔龍ってすげー体温高いらしいんですよ。そのせいで、この回りの気温も上昇してるらしく、普通に50度を上回っていると。だから服を作ってやったんだと懇切丁寧にパパンが教えてくれた。

 

  しかもしかも!!

  パパンのせいで普通の人は住めないから、ここから村までは山1つ越えないと行けないんだって!!  山1つ分離れてるのに生贄出されたパパンがどれだけ凄いのかわかるよね。こえぇ…。

 

  私とパパンの関係は本物の親子のようにいい関係が作れていた。相変わらず、パパンと呼ぶと怒るけれど、それでもどこか表情が豊かに見える。…龍なのに。

 

  私が一番驚いたのは、龍なのに文字をかけるということ。え、なんで文字書けるの?つかどうやって書いてるの?と聞いたところ、「間抜けな小娘を拾うとこうなるのだ」と言われた。え、どういう意味ですか??

 

  結局、全く意味は理解出来なかったけど、ハイスペックなパパンから文学、武術に於いて私は全てを師事してもらった。パパンのように私は龍ではないから、炎を吹くようなマネはできないけれど、格闘技とかの基礎を教えて貰い、パパンは無理だろうけれどそこそこの龍ぐらいなら殺せるんじゃね?とお褒めの言葉を頂いた。もう私も滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だ!!

 

  親が龍ということもあり、完全に野生児に育った私は、森を駆け回ったり、狩りをしたり、木の実を豪快に食べたりと原始人のような暮らしを謳歌していた。社畜だった現世の時と比べると、全てから解放されてもう晴れ晴れとした気持ちでいっぱいだ。もう何からも縛られたくないと思う。社畜だけには絶対にならないと誓いもたてている。まあ、フェアリーテイルなら社畜になるなんてことも無さそうだし、良かったなあと寝転んでいれば、パパンに呼ばれた。

 

  パパンに連れてこられた場所は、唯一パパンから近づくなと言われていた丘だった。赤い彼岸花が咲き誇っているこの丘で私を拾ったと、酷く懐かしそうにパパンは言う。

 

 

「…あれが見えるか」

「……剣?」

 

 

  パパンの視線の先には、丘のてっぺんで深く地面に突き刺さっている日本刀のようなものが見えた。「見えるよ」と返答すれば、パパンは嬉しそうに「そうか」と頷く。

 

 

「ならばあれを抜いてこい」

「え、なんで?」

「貴様もそろそろ独り立ちをしろ馬鹿者が。どれだけ我の世話になるつもりだ」

「えぇ……」

 

 

  急にそんなことを言われても困る。私はまだもう少しパパンの元に居たい。まだまだ修行をつけてもらいたいし、何よりも心の準備ができていない。ナツに会いたいとは強く思うけれど、でもでも、柿原さんにあ、会うなんて私ッ!!

 

 

「選べ小娘。ここで焼豚となり、我の食の糧となるか。それともあの剣を抜き、平穏に暮らしていくか。…我としてはどちらでも良いのだがな」

「慎んで抜かせて頂きますッ!!」

 

 

  柿原さんに会う前に死ねないよね!!  私とナツのイチャイチャライフが始まるんだから!!  みんな期待しててよね!!

 

  私は丘の上まで行くと、私は意を決して、刀の鍔を掴む。

  なんか緊張するなぁ。こ、呼吸を合わせていこう。ひぃひぃ、ふぅー。さあ、力を込めて──抜くのだ彼岸!!

 

  ズバッ!!

 

  うわっ、意外と簡単に抜けたな…。勢いつけすぎて尻もちついちゃったよ、もぉ…。こんなマヌケな姿をパパンに見せちゃったら、怒られてまた扱き地獄か、暫くの間バカにされちゃう。どっちも嫌だなぁ。

 

 

「…パパン、抜いたよー」

 

 

  パパンのいる方向へと振り返ったら、そこにパパンの姿は無かった。

 

 

「パパン…?」

 

 

  一体、どこへと行ってしまったんだろう。おトイレかな?  でもパパン図体でかいし、だいたいいる場所わかるのに…まるで消えてしまったかのように静かだよ。

 

 

「ねえ、どこにいるのパパン?」

 

 

  パパンからの返事は聞こえない。いつもみたいな憎まれ口でいいから、返事してよパパン。

 

 

「パパーン!!」

 

 

  この日を境に、私はパパンと会えなくなってしまった。

 

  そして私は気づくのだ。

 

 

  この世界がフェアリーテイルの世界ではないことに──。

読者の皆さんはどこまでみたいですか?(最後は作者のやる気にかかってる)

  • 全74巻分書き終える
  • 破面編ぐらいで終了(主人公生存)
  • 破面編ぐらいで終了(主人公不生存)
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