拝啓 シロちゃんへ。 結婚してください──。   作:瑠威

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約3ヶ月前に書いたプロットを探し出し、どんな内容を想像していたかなと思ったらまさかの「市丸ギンと絡む」という内容しか書かれてなくてびっくりしました。

そうです。今回はギンと絡みます


第11話

 

「んふふ、全くいつまでたってもノロマなんだから」

 

 

 今回の戦利品である「マコのお財布」を片手に私はブラブラと歩いていた。お腹も減ったし、金も手に入れたので、どこかで何かを食べてもいいかもしれない。つい昨日が給料日だったと、自慢するように報告してきたマコ(バカ)がいるので、財布の中にはたんまり金が入っていることだろう。

 

 しかし、こういう時に物欲がないのがもったいないと思う。大金を手に入れた場合、もっと他にすることがあるのだろうけど、これといって欲しいものが浮かばないのだ。

 これだけの大金をもし前世で手に入れたのなら、大きい家を建てたいと思っただろうけど、生憎と今の私は大きな家に興味はない。何故なら、死神になって1年目の誕生日にクソジジイがプレゼントと称して私に大きな屋敷をくれたからだ。一時期はそこで京楽と浮竹と私の3人で寝泊まりしていたこともある。3人なんてお手の物な屋敷は宴会会場にしても余るだろう。服等にも同様、私は興味がなかった。これに関しては頼んでもないのに、雀部のおっさんが用意してくれるので全く困っていない。それにいざという時は、京楽の家から着物をくすねて来ればいい。アイツ男のくせに女の着物持ってるから。

 

 改めて私は面白みのない女だと思う。特に趣味という趣味もなく、京楽をいじめるか、マコをいじめるか、浮竹と談笑することで1日の大半を潰しており、大きな趣味というものがない。後はあれだ。クソジジイとの喧嘩。あれはアレだね。最早ルーティンと化しているから、趣味のうちには入らないと思う。そう信じている。

 

 お金があると出来て、楽しいことと言えば…美味しいものをたらふく食べることだろうか。しかし、それは食べている時は最高に至福だと感じるだろう。けれど、食べ過ぎれば地獄。なんとも言い難い。

 どうせ何かを食べるなら、誰かと一緒に食べたいな〜とは思ったけれど、つい先程隊長格に緊急招集命令が出されたらしく、財布を盗んだ私を追いかけようとしたマコがひよりにど突かれて引き摺られていくのを見た。ついでにサボろうとした京楽がリサに引き摺られているのも見た。

 

 隊長格じゃなくて良かったと安心したと同時に暇だなとも思う。誰か私に構え。……この歳からの構ってちゃんは自分で言っちゃうけど末期だと思うんですよ。もうね、何千年と生きてきてると、まあ壊れちゃう部分はあるよね。極力見ないようにしてはいるものの、実感しざるを得ない時があると言いますか…。別に一人が寂しいとかそういうわけじゃないんだけどね? 前世も今世もボッチだなあと思っちゃったりもするわけで…ダメだ自分で自分のガラスのハートを壊しに行ってる。やめよ。ブロークンハートしちゃってる。泣いちゃってるから!!

 

 

「……」

 

 

 私の数歩先でチラッと店を見て、立ち止まり…そして何もなかったかのように歩き出した市丸ギンをたまたま見てしまった。

 

 う、うおおおおおお!! ギンだ!! CV遊佐浩二だ!!! ぶっちゃけ、推しの1人であるマコとあった時とは格が違うほどの喜びよう。テンションマックスだ。あの、ウラタロスお願いしますって言ったらやってくれるかな。カーテンのシャーってするやつって言ってくださいって言ったら言ってくれるかな。若ァァァ!!って叫んで欲しい。え? BLEACH関係ねーじゃねーかって? それはそうだけどさ、しょーがねーじゃん!!だって聞きたいんだもん!!

 

 えっとえっと、録音機…は無いな。仕方ない。はい、ガン開きで少し水分の足りない目よーし、純粋な心の目よーし、鼓膜の手入れが行き届いた耳よーし、純粋な心の耳よーし!! さあ、ドンと来い!!

 

 

「あのう、「若ァァァ!!」頂けますか?」

「…誰やねん、若って」

「ですよねー」

 

 

 気配を完全に消して、後ろからトントンという肩を叩けば、焦ったように振り向くギン。ふふふ、私が藍染に見えたのかね。残念だったな市丸ギンよ。貴様の後ろにいるのは始解すらまともに出来ない無能な女なのだ! …私ってMなのかな。スライムのように柔らかい心が泣いてしまっている。

 

 …というか本当にやばいな。これで隣に朽木ルキアとか居たらどうしよう。その横に六車拳西とか居たりなんかしちゃったりしたらもう…私感極まって泣いちゃうかも。BLEACHじゃなくて銀魂じゃんって、世界が平和になった、そう藍染様は宇宙最強のエリアンバスターに早変わりしたと、泣いてしまう。……何で銀魂の世界じゃないんだよっ!!

 

 

「ていうか、店に入らないの?」

「…別に財布持ってくんの忘れたからええわ」

「そうかそうか!! じゃあお姉さんが奢ってあげよう!」

「は?」

 

 

 ポカーンとした表情のギンの腕を掴み、遠慮なく店の中に入っていく。財布を忘れるなんて可愛いじゃないか少年! 私は意図的に持ち歩いていないぞ!! 何故なら私には隊長格の財布が3人もいるのだからな!! いざと言う時はクソジジイのへそくり使えばいいし、モーマンタイである!!

 

 ギンが興味を惹かれていた店は、高そうな高級店ではなく、そこそこの趣のある店だった。思わず「おお…いとおかし」と呟きたくなるような店だ。…いや、どういう店だよ。

 

 店に入れば、可愛らしい笑みをした定員さんが2人がけの席に案内してくれる。さり気なく、机の上に立て掛けてあるメニュー表に視線を移せば、干し柿のデザートがおすすめと書いてあった。ああ、これが食べたかったんだなと瞬時に理解出来た私は立派な市丸ファンだと証明出来ただろうか? え?市丸ギンの好物なんてウキペディアにでも載ってるって?知ってるよそんなこと。私もウキペディアで知ったもの。………ごめんなさい。謝ります。お願いだから無言にだけはならないで。イラッともしないで。頑張るから、頑張るからさっきのイラッは見逃して!!

 

 はあ、原作知識というアドバンテージはもう殆ど思い出せないというのに、こういうのだけは思い出せるので、私の頭の仕組みがよく分からない。私自身なのに。

 

 

「好きなもん食べなさい。子供は沢山食べて大きくならないと」

「…いや、アンタも外見変わ──」

「ん?」

「…なんでもあらへん」

 

 

 無言の圧力をかけながらメニュー表を渡せば、大人しくギンは従った。ギンの視線は干し柿のデザートにしか行っておらず、もうそれに決めているんだなと微笑ましく思う。

 いつ見ても思うけれど、やはり子供というのは可愛いものだ。ついこの前、七緒を見て癒されたというのに、今回はギンに癒されている。さすが、人気投票上位陣は癒し力も伊達じゃない。私も集英社にダンボール詰めで市丸ギンの愛を綴ったハガキを送ってあげようか。…作者に迷惑がかかるだけだな、やめとこう。

 

 じーと見つめること数秒。私の視線に気づいたのか、メニュー表から視線を移したギンは「…そない見ても何も出されへんよ」と言った。

 え、別にお金とか要らないからサインだけくれればいいです。ここの欄に名前と印鑑押して貰えればお姉さん十分喜びます。

 ん?何させようとしているのかって?そりゃあ、けっこ──…嘘です。ごめんなさい。お願いですから、犯罪者のレッテルだけはつけないで。犯罪者になるとバイトも厳しくなってきちゃうから!! 手は出してないんです!! ちょっと餌付けして、藍染というむっつりスケベかのら魔の手から逃がして貰えるよう頼もうかなって思ってただけなんですよー!! 情けないとか言わないでっ、グサグサ刺さってますから!! 彼岸ちゃんのライフはゼロですよっ!!

 

 いや、私は思うわけですよ。というかこの説を推すんですけど「藍染むっつりスケベ説」。皆さんどう思います? だってあれですよ? 普通にいち…いち?? あれ、名前なんだっけ? 金髪…じゃなくてオレンジ髪設定は思い出せるんだけど、名前が思い出せんぞ。…んんっ、主人公達の盗撮とかしたりしてましたんで、アイツは変態です。どこかでシコシコしてたりしちゃってた可能性高いです。ハッ、シロちゃんが危ない!!あの子人気高いから、魔の手が──逃げてっ、今すぐ逃げてっシロちゃーん!! …ってまだ生まれてませんね、はい。

 

 

「ギン、手を出されそうになったら大声で叫ぶんだよ。お姉さん飛んで行くからね」

「いや、だからさっきから何言うとりますの」

「気にしなくて…いや、やっぱり気にして」

「せめて言葉だけでも通じるようにしてくれんですか? 会話出来ひんのは困るわ」

 

 

 嗚呼、マコとは違って立派な男の子じゃないか。お姉さんは感動で涙が止まらないよ。…ん?早く注文してくれって? ああ、はいはい。今すぐしますね。

 

 

「すみません、注文いいですか?」

「はい。お聞きします」

「焼き鯖定食とだし巻き玉子定食をお願いします。あ、デザートにこの干し柿のやつもお願いします」

「ご注文を確認させて頂きます」

 

 

 スラスラと確認していく定員さんに間違いないと頷けば、定員さんは一礼して私たちの元を後にした。

 

 静かな空間がこの場を包む。別に気まずいとかそういう感情はない。ぶっちゃけ、ギンとは今回が初対面ではあるのだけれど、ギンも私を警戒しているようではなさそうだし、マコから話は聞いていたし推しだしで、もう本当に内心、私のテンションは高いのだ。店内じゃなかったら、おもいっきりギンに抱きついていたかもしれない。

 

 

「…にしても、なんで誘ってくれはりましたん?」

「1人で詰まらなかったし、釘を刺しておこうと思って」

 

 

 ニコリ、私は微笑みながらそう言ったはずなのに、私の明るい雰囲気とは対照的に、ギンは私に鋭い殺気を向けてくる。おいおい、やめてくれよ。そんなことしたら、藍染が飛んでやってきちゃうだろ。何気に私は藍染の始解から逃れられているし、接触もしないように気をつけているんだ。こんなところで目をつけられるのは本当にいただけない。

 

 

「君が何かを護ろうとするのは自由だよ。何なら男らしくてかっこいいとも思う。けれどね、1人で出来るなんて甘い考えは捨てることだ」

 

 

 人間も死神も1人では生きていけない。現に、こうして皆は集まって暮らしているわけだし、力を貸しあって困難を乗り越えて来ている。大きな困難に1人で立ち向かっても、大きな波に流されるだけ。皆と手を繋いで、流されないよう踏ん張って反撃の機を伺うのが私は正解だと思っている。

 

 

「…銀髪に悪いやつはいない。まあこれは持論なんだけどね。私が貸せる力なら幾らでも貸してあげるよ。だから…そんな小さな背中で抱え込まないで」

 

 

 浮竹やシロちゃん、そしてグリムジョーやギン。BLEACHの銀髪キャラに悪いやつはいないと私は思っている。いや、グリムジョーとギンは限りなくグレーに近い所まで行ってはしまったものの、最終的にはグリムジョーも仲間になったし、ギンの場合は全て乱菊に幸せになってもらいたが故にの行動だった。好きな女のために命をかけるなんて、男の中の男だと私は思う。

 

 ギンは子供にしては抱え込みすぎている。藍染に反逆の機をひたすら待ち続けている彼は本当にすごい。私ならきっと待ちきれなくてボロが出るかやらかすかの二択だ。…どっちとも似たような意味だけれど。

 

 

「アンタは何を知っとるん」

「全部って言ったらどうする?」

「…そんな、そないなことが──」

「有り得ちゃったりしてね」

 

 

 「秘密ね」と私はギンに言った。ギンは綺麗な青の瞳を私に見せてくれる。空のような綺麗な瞳だなと少し子供っぽい顔を私は見つめた。

 

 

「大切だと思う人を護るのは結構。でも、自分の身体も大切にしなさい。貴方が相手を大切だと思っているように、相手も貴方の事を大切だと思っているのだから」

「……」

「キツい時はキツいと言いなさい。助けてと一言、そう言えば私は貴方を助けに行きましょう」

「…なんでそないボクに構うん。あったのだって今日が初めてやん」

「そりゃあ貴方が私の推しだから。推しを助けたいと思うのは当然のことでしょう?」

「推して何なん?」

 

 

 いい雰囲気だったけれど、最後の最後でなんとも言えない微妙な雰囲気になった。まあ、私はしんみりした雰囲気苦手だしぃ? 必殺技は双蓮蒼火墜だからしょうがない(関係ない)

 

 

「食べ終わったのなら、帰ろうか。あまり長居しすぎると眼鏡の副隊長が勘ぐってしまうから」

 

 

 綺麗に食べ終わった皿を見て私は言った。ギンも頷いたことだし、勘定を終わらせて店の外に出る。

 

 

「美味しゅうおした」

「それは良かった」

 

 

 最後にギンの頭を撫でて、別れようと思ったけど…そういえば。先程、勘定に使った財布を懐から取り出すと、それをギンに渡す。急に財布を渡されたギンは戸惑っているようで、頭の上に沢山クエスチョンマークがついているように見えた。それが少し面白くて、クスクスと笑ってしまう。

 

 

「この財布、君の隊長の財布なんだよ。ゴチでしたって言っといて」

「え、それ俺が怒られるんと…」

「はっはっは! 懐の大きい隊長(笑)だ。大丈夫なんじゃない?」

 

 

 「え、え」と戸惑っているギンに全投げした私は瞬歩を使ってその場を後にする。一瞬、私を追おうとしたギンの気配を察知したが、一気に遠くまで行った私を追う気を無くしたのか、店の前で留まったらしい。

 

 頑張れギン。マコは優しい…と思う多分!!




 
「隊長」
「…なんや、ギンやんけ」


 「藍染はどうしたん?」と聞いてくる隊長は特にイラついた様子はなく、財布を盗られた感じには全く見えない。


「美味しゅうおした」


 そう隊長に礼を述べ、財布を渡す。一瞬、ポカンとした隊長は、ボクの顔を見たあと財布に視線を落とし…恐る恐る財布を受け取った。

 「美味しゅうおしたってなんやねん!! お前何食べた!!」と鬼気迫る顔でボクに聞いてくる。その顔はあからさまに勘違いしている顔で、高いもんでも食ったと思っているんだろう。こないことならもうちょっと高い店でも良かったとちゃうんかなとは思うけれど、それも今更だし美味しかったのは本当なので後悔はしていない。


「焼き鯖定食と干し柿のデザートを食わして貰いましたわ。流石にワンコインではいかんかったけど、安い定食屋やし、隊長の収入なら痛くも痒くもないとちゃいますの?」
「…ほんまや。全然使われとらん…」


 「いやまあ、財布を盗まれんのも、勝手に使われるんもいつものことやけど。大した額使われんのもいつものことやけど…アイツほんまにやる時はやりおるから怖いんよなあ」と酷く安心したように言った。…いや、盗まれんのも使われるんもいつものことなんかい。

 紅山三席とは会うんは初めてやったけど、隊長からは何気に話ぎょうさん聞いとったし、気になっとらんかったと言えば嘘になる。けど特に藍染隊長が気にしとる素振りも見せとらんかったし、敵対した時はした時やなと思っとったけど…。

 何か知らんうちに全部知られとるんは怖いなあ。こりゃ、隊長がズブズブとハマっていくんもわかる気するわ。


「隊長、三席のこと好きやろ?」
「はあ!? 何言うてんねん! 変な勘ぐりやめぇや!! そう言うんは浮竹で懲り懲りや」
「せやかて、三席の話しとる時めっちゃ幸せそうやで隊長」
「…うっさいわ! 子供ははよ帰ってはよ寝え!!」
「あ、逃げよったわ」


 プンプンと怒りながら、去っていく隊長を見て何となくこういう毎日が続けばいいのにと思ってしまう。

 助けて欲しい時は助けと言え、か。あの人ならほんまに助けに──。あかん、完全に丸め込まれとる。

 いややなあ。一瞬でも気ぃ迷ってしもたら怖くなるやん。甘えたいって思ってしまうやん。頼むから変な飴投げ込まんといてや…。

オチある方がいい?それともない方?

  • 有(シロちゃんじゃない可能性もある)
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