11話、12話目に関してはメタ発言があるという指摘を頂きました。これに関しては完全に書き方を忘れていた私の落ち度でありますし、メタ視点が入ってくると、私の作っていたプロット内容と逸れてしまうと思いましたので、そこに関して内容を書き換えています。メタ視点が好きだった人ごめんなさい…。
早期指摘をいただけたおかげで、今回は傷が浅く済みました。本当にありがとうございます。このようなことがないよう、より一層注意しながら書いていきます。
最後になりましたが、ご指摘をくださった名も無き二次創作家様、いつも感想をくれている皆様、誤字脱字を指摘してくれている皆様、本当にありがとうございます。これからも頑張っていく所存でありますので、どうか見捨てないで頂けるとありがたいです。
「お目覚めになられましたか」
私と雀部のおっさんしかいない私の自室はとても静かでカチカチと時計の秒針が動く音しかしない。死覇装姿というバッチリ仕事着でいつの間にか布団の中にいた私は、まだ頭が動いていないせいでボーっとしてしまう。
「…私はどれくらい寝ていた?」
「1日です」
「…そうか」
尸魂界から私の友達の霊圧が感知されない。霊圧感知は私の十八番ともいえるもので、読み違うなんて今では殆どしたことが無い。本当に居なくなってしまったのだろう。
「…どうやら彼岸殿は『塞』で眠らされていたようです。縛道の一とはいえ、巨大な霊圧で放たれたのならそれは──」
「マコ達はいなくなってしまったのか」
「…叛逆者としての罪を問われ、逃亡。尸魂界を去った後の消息は不明。まだ見つかってはおりませぬ」
暖かな陽気が自室に入り込む。変わらず朝は来ると言うのに、私の周りはたった1日でこんなにも変わってしまうものなのか。
別に周りの人間がいなくなることが珍しいことじゃない。私の場合は友というのが浮竹と京楽ぐらいしかいなかったものだし、一番隊では容易く私に近づこうなんて思う者もいなかったので、こう名前を知っていてちゃんと絡んだ者がいなくなるという行為が初めてだったのだ。浮竹も京楽も強い者だから。
「彼岸殿のお気持ち、お察しします。しかし、今は悲しんでおられる暇はございません。──総隊長がお呼びです」
「…今すぐに、か…?」
「はい。火急の事態故に、と」
「……分かった。すぐ向かおう」
いつものことなら「誰が行くかばァか!!」なんて言ってるだろうけど、そんな元気は今の私にはない。それに尸魂界が一大事の今、そんなことを言ったら多分殺される。それぐらいには切羽詰まっているのだ。そりゃそうだろう。隊長格が9人と鬼道衆が2人も抜ければ、流石の狸ジジイでも焦る。
死覇装のまま寝てしまったが故に、死覇装は皺だらけだった。普段であれば「はしたないですぞ!」と雀部のおっさんの雷が落ちるところであるがどうやら見逃して貰えたらしい。
流石にこんな皺だらけじゃ行けないなと、綺麗な死覇装に着替えると、ジジイが居るであろう一番隊隊首室に向かう。道中、隊士達から怪奇な目で見られたり、コソコソと何かを言われたりもしたが気にしていない。言いたいやつは言わせとけばいい。それぐらいでへこたれるほど、私は落ちぶれていない。
初めてクソジジイの部屋に入る前にノックをした。数秒もしないうちに「入れ」と聞きなれた声がする。ドアノブを捻り、中へ入れば隊首室の空気は重苦しく、一瞬にしてクソジジイの霊圧が私を包んだ。
別に怯むことは無い。いつも当てられている霊圧だ。何千年と私はこの霊圧と付き合って来たと思う。これ以上痛い目にあわされて来たと言うのに、今更怖気付いたところでだ。
「一番隊三席 紅山彼岸、参上致しました」
「…今回、九名の隊長格の離叛をお主は知っておるな」
「…はい」
私の唯一の弟子、二番隊隊長 四楓院夜一を初め、十二番隊隊長 浦原喜助。三番隊隊長 鳳橋楼十郎、五番隊隊長 平子真子、七番隊隊長 愛川羅武、八番隊副隊長 矢胴丸リサ、九番隊隊長 六車拳西、九番隊副隊長、久南白、十二番隊副隊長 猿柿ひよ里、そして鬼道衆鬼道長 握菱鉄裁、副鬼道長 有昭田鉢玄の計11名が藍染の手によって叛逆者という形で尸魂界を去ってしまった。
どれもこれも私の知っている者達。少なからず縁があった者達ばかりだ。死んでいないと知ってはいるものの、どうにも不安に思ってしまう。私が何か出来ことはないかと、思ってしまうのだ。
「紅山三席よ。昨夜、主に何があった」
「…分かりません」
昨夜の記憶が酷く曖昧だ。いつの間にか布団に私は眠っており、雀部のおっさんが言うには強力な『塞』で眠らされたらしい。誰がそんなことをしたのかは分からないが、とにかく私は自室の床で眠っていた。誰かと話していたような気もするが全く思い出せない。それと、異様に肌がピリピリするのはクソジジイの霊圧のせいではないだろう。
「憶えて、いないのです。本当に昨夜何があったのか…」
「もう良い。主が昨夜、ずっと自室にいたのは証言が取れている」
「左様ですか。ならば何故、私を呼んだのでしょう」
特にこれといって何かをやらかした訳では無い。やらかしていたとしても、今、その制裁を下すなんて馬鹿な真似は流石にジジイもしないはずだ。
このジジイは一体、私にとっては何をさせようとしている…?
「紅山彼岸三席。主に今日から二番隊隊長共に刑軍総括軍団長に命ずる」
「…は?」
私が二番隊の隊長? 刑軍総括軍団長? 砕蜂ではなく、私が? 一体この爺は何を言っているのだろう。遂に頭が沸いたのだろうか。流刃若火のせいで脳みその中が沸騰したと言うのなら、私が責任もって北極まで連れていこう。
「主は時折ではあるが、書類を手伝っていたようだな。大前田副隊長からの進言を受けた」
「…それは、簡単な書類だけです」
事務作業が苦手な夜一が時折、書類が終わらないと私に泣きついて来ることがあった。その都度美味しい茶菓子を用意してくれるものだから、仕方なく手伝ってはいたが…。
「それに主は前隊長 四楓院夜一の師でもある。始解、卍解は置いといても実力は申し分ない」
「ですが」
「なあに。前隊長も斬魄刀は殆ど未使用に近い。使える使えないにしても、二番隊内で怪訝に思う輩は居ないだろうて」
「…拒否権は」
「あると思うておるのなら、その頭はお目出度いとしか言いようがないの」
詰まるところ、私は二番隊隊長になる道しか残されていないというわけか。随分と昔に僅か1年で隊長職を左遷された私がまさかまたもや隊長になる日が来ようとは。実に気が重い。
尸魂界の一大事とはいえど、流石にこれは予想していなかった。とりあえずカムバック夜一。一先ず夜一だけでいいから。お願い、300円あげるから!!
「尸魂界を立て直すには必要なことなのじゃ。お主にも思うことがあろうが、今は我慢してくれ。…何分、後釜である砕蜂もまだ小さい。故に隊長職に就かせる訳にはいかんのだ」
「…それは承知しております」
「大前田副隊長も引退を考えておられる。今は無理を言って、副隊長職に就いてもらておる。これ以上の我儘は言えぬ」
「……はい」
「主なら四楓院夜一よりも二番隊を扱えよう」
なわけあるかこのクソジジイ。やめろ、四楓院夜一ファンを敵に回すようなことを言わないで欲しい。歩いてる時にうっかり刺されるとか嫌だから。刃物怖い。つか絶対それ砕蜂の前で言うなよ。二撃必殺でポックリ殺される。刃物怖い(2回目)
「話は以上だ。下がれ」
「はい…」
もうヤダ。ブラック辛い。拒否権無しってどれだけの横暴よ。なんで砕蜂大きくないの。本当に困る。内容はともかく、私はこれからも一番隊でスクスク育っていくつもりでいたのに。
はあ、決まったことをグチグチと言っていても、結果は変わらない。…さて、とりあえず私の二番隊隊長の初仕事は…二番隊のメンタルケアか。これは心も荷も重いぞ。
とりあえず、二番隊から少し遠いけれど、部屋は出ていかなくていい。この屋敷はクソジジイがくれた屋敷なのでわざわざわけ渡さなくても大丈夫な筈だ。そうなると…一旦、二番隊に顔を見せて、どんな感じなのか観察する必要があるな。二番隊…隠密機動と刑軍とかもう無理だよ。これから瞬閧の練習もしなくちゃいけないのに、隊長職とか本当にやってられない。出来ればずっと大前田副隊長にはいて欲しい。いや、煎餅の人じゃない方ね。パパの方だから。
「…あ」
「…紅山三席」
「ギン…」
一番隊隊舎を出れば、誰かを出待ちしていたであろうギンと鉢合わせになった。私の名を呼んだということは、どうやら出待ちしていたのは私らしい。
「お忙しゅうとこすんません」と頭を下げるギンは一体何をしようとしているのだろうか。…本当にあまり予想外な展開は続かないで欲しい。私の頭はパンク寸前。どれをまずしなければならないのか分からなくなる。そう、私の知能指数はそこまで高くないのだ。皆さ、私に何を期待してるのか知らないけどさ、そこまで期待してても別に何も起こらないわけよ。私は天才ってわけじゃないんだから、本当に身の丈以上の期待はやめて欲しい。
「ケジメ、つけに来ましたわ」
「…ケジメ?」
「紅山三席。ボクのこと救ける言いましたよね? でももう何もかも遅い。それは紅山三席も知ってはることちゃいますの」
「せやから、ボクに何か会った時、あの子のこと頼んます。あの子…猪突猛進やから、ボクの背追いかけて霊術院まで入ってもうて。もう、ボク一人で背負える範囲超えたんですわ」そう、疲れたような笑みを浮かべ、ギンは言った。ギンの笑顔は疲れたように見えるのに、どことなく嬉しそうにも見える。本当は追ってきてくれて嬉しい、そんな片鱗が見えるけれど、きっと本人は気づかないように自分すら騙しているのだろう。
「ええ子なんですよ。ボクには勿体ないぐらい。だから、あの言葉ここで使わせて下さい。──乱菊を、救けて」
まさか自分の救けではなく、彼が一番護ろうとしている…乱菊に使うとは思われもしなかった。それだけ、ギンは乱菊のことが大切で、きっと、私が駆けつけられなかった昨夜。あの日、ギンは私に救けを求めていたのではないだろうか。罪で溺れてしまう自分を救けて欲しいと。罪に溺れてしまったら、もう二度と乱菊の元には戻れない、そうギンは悟ったのだ。
「…アンタはヒーローなんやろ。平子隊長がそない言っとりましたわ。「紅山彼岸はヒーローみたいな女や」て。ヒーローなら、救けてくれはりますよね…? お願いや。ボクがどうなろうとどうでもええねん。乱菊、乱菊だけ幸せに暮らしとってくれれば、それがボクの幸せやから」
平子
「解った。救けるよ」
「
「ああ、約束だ」
力のない笑みで笑ったギンは何を言うでもなく、一礼すると私の前から全て姿を消した。…なんとも難儀な男だと私は思う。あの小さい背にどれだけのものを抱え込もうとしているのか。…いや、少なくとも私も抱え込ませた一人だ。私だって、加害者の一人。ギンに
「ああ、強くなりたいなあ」
──
──
──
──
──
──
──『駄目だ。この声に惑わされるな』
「…ん、京楽何か言った?」
ふと、何か歌のようなものが聞こえたような気がした。抑揚のない、静かな怖い声。何か開けては行けない扉を開けてしまうようなそんな、声。
「いんや、ボクは何も言ってないよ。慣れない書類仕事ばかりし過ぎてきっと頭が馬鹿になっちゃったんだよ。さっきだって寝被ってたじゃない」
「うわ、マジで? 全然寝てるつもりなかった…」
「それは流石に重症だよ。二番隊に戻れば?」
「二番隊には戻りたくない…」
今、二番隊に戻るとあの…まれ、まれ…煎餅の人の稽古を大前田副隊長から押し付けられたり、砕蜂のキラキラとした純粋無垢な眼差しにやられてしまうのだ。
結論から言うと、二番隊のメンタルケアは大成功に治まった。前世の書類スキルが役に立ったのか、バサバサと書類を捌いていく私を見て大前田副隊長は滝のような涙を流し、一生私について行くと誓った。私は何度も断ったのだが、一向に受け入れて貰えず、最近では息子を婿にどうだと打診してくるほど。…ごめんなさい、それだけは嫌なんです。煎餅男は無理です。
砕蜂にも全てを話た訳では無いけれど「夜一は裏切りたくて裏切ったんじゃないよ〜」「砕蜂を連れていかなかったのは二番隊の未来を案じてだよ〜」とあの手この手で何とか丸め込み今でも夜一信者…なのだが。何故かその矛先は私にまで牙を向き「あのような素晴らしい夜一様に育て上げた彼岸様は更に凄い!!」と最早崇められてる域にまで達している。居ずらいったらありゃしない。
浮竹や京楽の元に逃げては来ているものの、流石刑軍。凄く執拗い。おかげで私の隠密スキルがレベルアップしまくる程だ。ふふん、気配を消すだけならクソジジイの後ろを取ることだって可能なのだ! 攻撃に転じた瞬間バレるんだけどね。
そして、隠密スキルは上がれど一向に斬魄刀は私と向き合ってくれない。悲しい。これ以上、足でまといになるのだけは勘弁なのだが、どうにも上手くいかない。なんで皆そんなホイホイと始解できるの? 主人公補正ですか? 羨ましいなオイ。私も主人公にしてくれや!!
「あの…すみません。砕蜂さんが迎えに……」
「…喜助達が残していった資金で隠し部屋でも作ろうかな」
「今行く」と八番隊の隊士に声をかけると私は八番隊の隊首室を後にした。…とりあえず夜一カムバック!!
オチある方がいい?それともない方?
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有(シロちゃんじゃない可能性もある)
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無