拝啓 シロちゃんへ。 結婚してください──。   作:瑠威

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BLEACHってなあなあでやっていけるものじゃないんだなと実感中。受験勉強よりもBLEACHの勉強の方が作者の中で優先度が高いのは本当に末期。受験落ちたらBLEACHのせい(違う)

作者は熊本出身で、いつかゴリゴリ熊本弁のキャラを出したいなと思う反面、オリキャラは三人までしか出さないと決めているため、それは願望で終わります。次回作とか短編で出てくるかもしれないけど、それもまだ遠いお話。
尚、作者は「熊本弁」も理解していなければ「関西弁」「標準語」も理解出来ていない模様。ぴえん


第16話

 

 ()(あぐ)ねていた。そして、後悔もしていた。()()()()ために、外に出てみれば思わぬ人物に捕まってしまった。引きこもっていた方が良かったか…とも思うが、それも後の祭り。今更後悔しても遅いと彼は全てを諦めた。

 

 

「顔が真っ青だぞ!! どうした、体調でも悪いのか!?」

 

 

 お前のせいだ、とは彼は言えなかった。アセアセと彼の体調を心配する男──浮竹──は生粋のお人好しだと彼は()()()()()。何故知っているのか、と問われると答えられはしないが、それを口に出すことは無いので、問われることもないだろう。

 

 

「体調が悪いのなら一緒に雨乾堂に行こう。あそこに行けば、休めるぞ」

 

 

 「四番隊は卯ノ花隊長が少し威圧的に感じてしまうかもしれないからな。…隊士以外が使うというのもあまりいい印象を持たないかもしれない」と浮竹は言った。彼は断ろうと口を開けるが、それに気づかない浮竹は彼の手を掴むと、瞬歩を使い瞬く間に雨乾堂の前まで来てしまった。

 

 

「おい、人の話を…」

「さささ、遠慮せず入ってくれ!! ついこの前、新作のお菓子を入荷してな。気に入ってくれると嬉しいんだが」

「だから、話を」

「この金平糖は美味しいぞ。実を言うといいところの金平糖でな、一粒食べると甘くてとろけそうになるんだ」

「おい話を」

「この饅頭はな、甘さ控えめでついつい手が伸びてしまうんだ。女性の前で出すとやめられない止まらないで太ってしまうと怒られてしまう程、美味しいんだぞ」

 

 

 ダメだ…話を聞いてくれない。

 彼はいつの間にか雨乾堂の中に入っており、ふかふかな座布団の上に座らせられていた。綿菓子や金平糖、饅頭などとあれやこれやと棚から出てき、今では玉露の話に移っている。

 

 

「これは少し甘すぎると不評だったんだが…いや、済まない。少し感傷に浸ってしまった。君は甘い玉露と──お、そう言えば名を聞いていなかったな。今更ではあるが聞いてもいいだろうか」

 

 

 確かに今更な気もする。色々と手順を飛ばして、雨乾堂にいる彼はもう深く考えることを止めた。

 

 

「…ヒイロ、とでも呼んでくれ」

「ヒイロか。良い名だな。…名前から安易だとは思うが、ヒイロは赤が好きなのか?」

「赤?」

 

 

 話の脈絡が分かりにくかったのか、一瞬ポカーンとする彼だったが、すぐに理解したらしい。ヒイロと聞いて浮竹は緋色を思い出したのだろう。彼も赤は好きなので「ああ」とひとつ頷いた。

 

 

「嗚呼。赤全般好きだ。それこそ、この彼岸花も好きだし、真っ赤に燃える焔も好きだ」

 

 

 浮竹に自慢するかのように広げられた彼の裾には赤い糸で刺繍された彼岸と、よく目を凝らさないと見えない真っ赤な焔が入っていた。興奮したように喋る彼は、年相応の子供に見えて、そんな彼が見れたことを嬉しく思った浮竹は、子を見守る親のような目で彼を見ていた。ハッとそれに気づいた彼は、すぐに表情を無へと変える。

 

「ははは、嬉しいぞ俺は! ここに来て漸くヒイロは表情を変えてくれた」

「…調子に乗るな。ボクは貴様よりも歳上だ」

「そうかそうか! …あまり、子供が眉間に皺を寄せるものじゃないぞ。折角の綺麗な顔が台無しだ」

 

 

 浮竹は彼の言ったことを子供の戯言だと本気にしていないのかもしれない。尸魂界において、外見とは年齢を測るものに適していないと知っているのに、浮竹は彼を子供だと信じて疑っていなかった。

 キリッと整っている彼の顔の眉間には皺が寄っている。それが何処と無く、斬魄刀に奮闘する彼岸の顔と重なったように見えた浮竹は、苦笑いをしながら彼の眉間をトンと優しく押した。

 

 

「それにしても、子供にしては…こう、キツい言い方をするな。それだと友達が出来ないんじゃないのか?」

「友達? そんなの私には必要ない」

「嘘をつけ。そんなことを言ってる子ほど友を欲していると俺の経験上、知ってるんだからな」

 

 

 まだ山本元柳斎重國に師事を受けていたあの頃も、彼岸は同じようなことを言っていたような気がするな、と浮竹はふと思った。元々の人柄故か、浮竹や京楽の周りには沢山の人が集まったが、どうにも人と接するのが苦手なのか、勘違いされ易いタチなのか、彼岸は友と断言出来る者が浮竹と京楽を抜いていなかった。漸く最近、友が増えたとも思ったら居なくなってしまったので少し心配しているのだ。もっと彼岸に心をゆるせる友が増えればいいなと浮竹は願う。

 

 

「…紅山彼岸か」

「お、知ってるのか? …まあ、彼女はいい意味でも悪い意味でも尸魂界では有名だからなあ」

 

 

 『紅山彼岸』。彼は彼女のことをよく()()()()()。深い関係か、と聞かれれば「そう」としか答えられない彼は少し身構えもしたが、生憎と浮竹は彼と彼岸の関係性に興味がなかったのか、問うことはしなかった。特に深い意味はないのだろうが、浮竹の周りに人が集まってくる理由が彼は分かったような気がした。

 

 

「それにしても、気になっていたんだが…一人称が安定しないな。どうしてだ?」

「久々に外に出たら、尸魂界も大分変わっていて吃驚(びっくり)した。人が変われば「流行り」も変わる。間抜けな奴にはなりたくないからな。それを調べていたんだが…どうやら「我」や「(それがし)」「(やつがれ)」の時代は終わったらしい。随分と行きずらい世の中になったものよ」

「…確かに自分をそのような形で呼ぶものは少なくはなったが、決していないわけじゃない。慣れない一人称を使うよりも、使い慣れた一人称を使った方がいいと思うけどなあ」

「…どうせ次に外に出るのも大分先になる。別に今、改めることでもない」

 

 

 彼の言葉を聞いて次に顔が歪んだのは浮竹の方だった。温厚な浮竹がこのような顔をするのは珍しく、そして何か勘違いしていることが伺える。

 

 

「このようなことをあまり聞きたくはないが…ヒイロ、君は家族に軟禁でもされているのか?」

 

 

 暫く外には出ていなかった、次に外に出るのも大分先、という発言を聞いて浮竹が浮かべた最悪な想像だ。瀞霊廷内を彷徨(うろつ)いていた、という時点を考慮し、彼は貴族の息子若しくは、死神の親族だということが伺える。彼自身が死覇装を着ていないことや霊圧が感じられないことで、浮竹は彼を()()()()()()と結論付けていた。

 もし、彼が上級貴族出身だとしたら、軟禁されていても可笑しくない。貴族の中では霊圧があって当たり前、死神になるのが当たり前、という考えがある。そのため、貴族の恥知らずとなるであろう彼をそう易々と外には出したくないのではないか、というのが浮竹の考えだった。

 

 

「軟禁…確かに、軟禁されているな」

 

 

 ここで彼と浮竹の間に誤解が生じた。彼はそれを分かっていながら、訂正しなかったのだ。

 彼は死神でもなければ、貴族でもない。身内に死神がいるのか、と聞かれると難しいところではあるが、とりあえず今の時点では置いておこう。

 彼は敢えて訂正しなかった。何故なら、死神でも貴族でもなければどうやって瀞霊廷に住んでいるのか、と指摘を受けるからだ。そこを聞かれると彼は非常に困る。なので、訂正はしない。

 

 

「でもこれで良い。これは自分で決めた道だ。後悔はしておらぬ」

「暴力とかは」

「はっ、誰がそんなものされるか。案ずるな、確かに軟禁はされておるが、浮竹が想像しているものでは無い」

「今、名を」

 

 

 ここに来て初めて彼は浮竹の名を呼んだ。それに気づいた浮竹は少し間抜けな顔をしている。それを見てふっと笑った彼は「もう帰る」と立ち上がる。「ちょっ、待ってくれ!」と浮竹が止めようとしたが、彼は足を止めない。浮竹は彼を追いかけるような形で、雨乾堂から出た。

 

 

「久しぶりに楽しい時間であった。彼奴を頼む」

 

 

 浮竹が雨乾堂から出た時、その時にはもう彼は姿を消していた。見送りすらさせてくれない彼は、なんというか…嵐のような子だったと浮竹は思った。

 今日は彼岸が私用で来れないと聞いていたので、どうしようかと思っていたが、なんというか、面白そうな子を見つけてしまったので、思わず連れてきてしまった。最初は嫌そうな顔をしていたが、途中からは彼も楽しそうに笑ってくれていた。本当は家まで送るつもりだったが、もう居ないのなら仕方がない。浮竹は雨乾堂の中へと入っていく。

 

 

「…次、ヒイロにあったら彼岸にも会わせたいな」

 

 

 何処か似たような雰囲気がする彼らを会わせたらどのようになるのだろうかと、未来を想像して浮竹は微笑むのであった。




彼岸「螺旋丸っっ…瞬閧は出来るのに螺旋丸が出来ないのは何故!?」

オチある方がいい?それともない方?

  • 有(シロちゃんじゃない可能性もある)
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