皆も1度ぐらい想像したことがあるんじゃなかろうか。このキャラクターと付き合いたいだとか、結婚したいだとか。
もちろん、私にも思っていた時期は多々ある。特に、私の両親は結婚に拘っていたから、この漫画の彼がこの世界に出てきて私と結婚してくれればいいのに、と現実逃避をした回数は少なくない。
そして現在──
──私の想像は打ち破れることになったのだが、現金な私は目の前の光景を見て喜んでいた。
「何度も何度も…逃げるなと言っておろうが!!」
…やっぱり喜んでなんかいない。つか、逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
剣が収まっている鞘をダンッ!!と地面に叩きつける目の前の老人の名は
彼らとの出会いは、腹が減り死にそうになっていた私を京楽が見つけたところから始まる。
「うっ、うぅ…。迂闊だった。パパンが居なくなって早1年。あの森にいるのも退屈だから、村に降りてきたのはいいものの…」
パパンが居なくなって早1年が経った。私とパパンが住んでいた森は基本的に人が寄り付かないため、非常に暇していたのだ。龍が身を隠せるような森だ。当たり前だけど、そんじょそこらとは大きさが格別に違うし、そんなところにずっと1人で居ても悲しく虚しくなってくるだけだったので、早々に近くの村へ下山したのはいいものの。
当たり前だけど、山に住んでいればお金なんてものは要らない。そりゃそうだよ。あそこにさえいれば、食料は探せば見つかるし、人だって私しかいないんだから、物々交換する相手もいないし。
無一文な私は村で食べ物を買うことが出来なかった。何度か心うちひがれてあの森へ帰ろうとしたけれど、結局どうせ寂しくなって下山するのがオチだし、我慢してこれから頑張ってやっていこうと気合いを入れた。
「腹減った、腹減った、腹減った!!」
ぶっちゃけ、気合いを入れたからなんだよ!! 金が降ってくることも無く、山に帰るのは変なプライドが許さないし!! あー、もう嫌だよ!! お願いだから食べ物でも降ってこないかなぁ…。もういい、この際だったらシータでもいい。パズーでもいい!! なんなら私がパズーの元に言ってやろうか!! んでもって、あの名台詞を聞いたあと、めちゃくちゃ美味しそうなご飯にでもありつけてやる!!
「そんなところで寝てるけど大丈夫?」
当たり前だけど空から女の子が降ってくることも、目の前でパズーが美味しそうなパンを焼いてくれることも無く…現実では比較的イケメンに部類されそうな男の子が倒れてる私に声をかけてくれた。
「はら、へり…」
私のいる村、いや結構転々としたけど、みんな古風で着物着てて、目の前の彼も随分と似合ってるなあイケメンだなあとは思うけれど、それよりも腹減りが勝った。情けないとか恥ずかしいとかそんな気持ちはドブに捨ててやったよ。バルスだよバルス。
「京楽、どうした…って大丈夫か!? どこかキツイのか!?」
「だから、はらへり…」
「あらら、大丈夫?」と軽そうに心配してくれている彼の友達なのか、彼の後を追ってきたらしい銀髪が私の心配をしてくれている。幾分か銀髪の子の方が心配してくれてるように感じるけど、今の私の気分としては心配よりも食いもんを分けて欲しい。無ければ取りに行くか帰ってくれ。
「あらら、そんなに腹減ってるの? …後で食べようと思ってたけど仕方ないね。これ食べなよ」
そう言って軽薄そうな男が出したのは高そうな饅頭だった。それも2つ!! 「ありがとう、いいのか!!?」と食いつけば、少し引いたように「う、うん…いいよ」と頷いてくれた。
なんだ君、軽薄そうに見えて実はいい男だったのか!! それは済まんな!! 人は見かけによらないと言うけれど、身をもって体験したよ!! この恩は忘れないぞ!!
「…そんなにがっついて食べなくても饅頭は逃げないよ。あ、まだあるけど食べる?」
「食べる!!」
「…京楽、くすねてきたのか? …元柳斎先生に怒られても知らないからな」
「まあまあ、浮竹さえ黙ってれば山爺の耳には届かないよ」
私の救世主となった彼は京楽と言うらしい。銀髪が浮竹か。2つともどこか聞き覚えのあるような名前だけどよく思い出せん! …それにしても美味しいなこの饅頭。包み紙からして高そうなところのやつだろうから実際に高いやつなのかな…。もう一生食えないかもしれないから味わって食べよ。つか、饅頭っていつぶり?
「…にしても、そんなに腹が減っていたのか?」
「んあ? そりゃ、1週間飲まず食わずだったし」
浮竹の質問に頷けば、京楽がニヤリと笑い浮竹が「まさか…」と思案顔になる。
何かよからぬ点でもあった??
まさかこの饅頭実は高かったから返せとか!? 新手のカツアゲですか!? それとも巷で噂のママ活!?
無理無理!! 私、無一文!! お金持ってないし、持ってるのは美貌だけだから!! か、身体目当てですか!? いや、わ、私手慣れてないから、初めてってほら、す、好きな人と…。
「…急に何言い出してるの?」
「何か誤解を与えてしまったなら済まない。実は、君が霊力を所持しているんじゃなかろうかと思ってだな」
「レイリョク?」
何それ、初耳。
うちのパパン何も言わなかったよ?そんなこと。気の所為じゃなかろうか。あ、でも私、
「それに──」
「それは──」
むしゃむしゃと饅頭をリスのように頬張る私を…いや、正確には私が背負っている日本刀に京楽と浮竹は興味があるのように見えた。
え、何? そんなジロジロ見られてもあげないよ? これパパンの形見みたいなもんだし、唯一の護衛手段だし。…何回か質屋に入れようとしたのは秘密ね。実際に何回か入れて勝手に帰ってきたとか言えない。つか、呪われてるんだよこの刀!! やっぱぶっちゃけ引き取って欲しい!! やだよ、妖刀村雨とか言われても怖いよ!!呪われる!!
「「
重なるふたつの声に反応して、私の眉がピクリと動いた。
あん?今、斬魄刀って言いました…?
斬魄刀、聞いたことがある。私が愛読していた週間少年ジャンプにて連載されていた、死神の物語に登場してくる武器の名称だ。はて、何故ここで斬魄刀が出てくる? だってここはフェアリーテイルの世界で──待てよ、『浮竹』と『京楽』…?
──BLEACHの世界じゃねーか!!
まさかの、ここに来てどんでん返しを食らった。え、ナツに会えないの? マジ?? つか、もうちょっと早くに気づけよ私のバカ…。この如何にも女好きそうな顔と仏のような優しそうな顔はどう見てもこれから先隊長を担う京楽と浮竹じゃねぇか…。
マジかぁ、まさか斜め45度の切込みを…。ずっとマガジンだと思ってたけどまさかのジャンプでしたか…。まあ少女漫画でした☆みたいなオチじゃないだけマシかなあ。くそぅ柿原さんに会いたかった!!
「え、急に四つん這いになっちゃってどうしたの?」
「急に饅頭を食ったから腹を壊したのか!?」
「ううん、現実ってそう上手くいかないなと改めて思い知っただけだよ…」
「そ、そうなのか…??」
…よし、ここはプラスで考えていこうじゃないか!! 私、前世でもBLEACH大好きだったし!! 推しも多かったじゃないか!!
ちなみに、私の最推しは十番隊隊長の日番谷冬獅郎です!! あの子かっこかわいいがあってさ、しかも自分でフラグを作って全てを回収していくという難儀な男!! 最後にはゾンビになっちゃうなんて本当、本誌ではドキドキハラハラさせてもらいましたとも!
他にも、市丸ギンとか平子真子!!
いや〜、関西弁に弱いんだよね、私! 特にギンの場合は中の人が遊佐さんだったことも比例して好きです!! 乱菊を思うあの姿を見てきっと全米は涙したはずだよ! 平子真子はね、私的にはひよりとくっついて欲しいと思っているよ! 小説の方で卍解したらしいけど、生憎と私は小説の方まで追えてないから、深くは知らないけど、個人的には好きです!!
他にも他にも、朽木白哉とか志波海燕とか出したらキリがないほど、結構推しがいたりする!! BLEACHってキャラクターも魅力的だけど、内容も結構好きだったから、定期的に読み返したりもしてたし。…途中から話の内容が一気に難しくなって、イマイチ内容は覚えてないけれども。それでも、好きでした!!
「よし!! じゃあついてきてくれ!!」
「浮竹、それはいきなりすぎて混乱しちゃうからさ、とりあえず名前聞こうよ」
京楽から貰った饅頭を食べながらモグモグ、クネクネとしていれば、いつの間にか京楽と浮竹の中で話が纏まったらしい。浮竹に手を握られ、私が逃げられないようにからか、京楽が私の肩にポンと手を乗っけていた。
え、何この急展開…。
そして気がつけば目の前に…総隊長、山本元柳斎先生がいて、何故か私も師事されることになっていましたとさ、とほほ。
と、ここで回想が終了し、冒頭に戻るわけだ。
死神の学校を作ったとかでやたら滅多らに力の入っているじーさんを私は呆れたような目で見つめる。
ぶっちゃけ、BLEACHが連載を終了して約3年程の時が過ぎ、単行本も集めてはいたものの、今での流行りは鬼滅の刃や呪術廻戦だとかで、最近一切見返していなかった。そのため、全く内容を覚えていないし、覚えていたとしても話が複雑になる前の…破面編ぐらいまでだ。登場人物もそこら辺までしか分からないし…てか、この3人がこんなに若いんだから原作云々の前の話だと思う。やばない?これ。
つーか今って原作開始の何年前? ん、何年じゃなくて何百年の方が方が正しいよね? だってさだってさ、下手すれば極悪人藍染惣右介とか生まれてないよね?? いやつか、マジでなんでこうなったよ!? 私、これまでやりたい放題のフェアリーテイルに入れると思ってたから楽しみにしてたけどさ、死神になるのは結構話変わってくるよ!?
死神って私は社畜のイメージがあるんですけど!! やだよ、今世でも社畜にはなりたくないし、しかもBLEACHって死亡フラグが立ってない時がないほどいつも立ってるじゃない!! やだよ、マジでやだよ!? 死にたくないよ!!
…そうだよ、私は死神になんてなりたくないんだよ…。なのにさ、この
ぶっちゃけ火あぶりとかパパンで慣れてたし、パパンが作ってくれた服さえあれば効かないから結構舐めプしてたら、どうやら感づかれたらしくて、最近じゃ火にあぶられる前に下着にされるんだけど。いや、別にクソジジイと浮竹と京楽に見られるぐらいならどーでもいいんだけどさ、あっちのまだ若人な2人は違うやん。顔真っ赤にしてたべ。若ーなぁ。いや、私も若いんだけれども。
ぶっちゃけ私は死神になるつもりは一切ありません。ほら、やっぱり最終的に自分の身がカワイイじゃない。私ってさ、見るからにってカンジだと思うんだけど、主人公属性じゃないのよ。ヒロアカの緑谷くんのように「君が救けを求める顔をしてた!」とかで自分は無力なのに敵に突っ込んでいく度胸も無ければ、フェアリーテイルのナツのように同じギルドの仲間が傷つけられて1人で敵に突っ込んでいくような馬鹿でもない。まだ、家族を護るために死神になった一護の方が共感は得られるが…朽木白哉にあんなボコボコにされたのに、歯向かうような勇気もないわけだ。
幾らルキアを救けるためだとはいえ、きっと私にそこまでの勇気は無い。最も、力もないし。
いやいや、お前今『斬魄刀』所持してるだろって思ったそこの貴方!! 斬魄刀が何よ? こんな刀さ、始解卍解出来なければただのなまくらと一緒よ?
現に、私と同期の浮竹や京楽は始解がどうのと才能の芽を見せ始めているのに対して、私の斬魄刀はうんともすんとも言わないのだ。あまりにもブチ切れた私は、何度か質屋に行って売ってしまうというもう何度目か分からない重大イベントを行ったわけだけれど、布団の中に入って、日をまたげはいつものように最早定位置となった壁に立て掛けられているのだ。
売るのがダメなら燃やしてやろうと、いつもの如くクソジジイの修行から脱兎のごとく逃げ出し、キレて流刃若火を奮ってくるクソジジイの盾にしてやっても燃えるどころか、逆にピンピンしている始末。
水に沈めても、いつの間にかびちゃびちゃな状態で私の部屋の壁に立て掛けられて居座っているし、凍らせて永久封印も考えたけど、クソジジイは炎熱系の斬魄刀だし、浮竹も京楽も氷雪系の斬魄刀では無いため、それは無理だった。くそぅ…それこそ私の推しであるシロちゃんか、全ての物語の起点と言っていいであろう朽木ルキアがいないと実行できないらしい。それまでは待てないのでいっその事、現世の北極か南極に沈めてやろうかとも思ったけど、それも現実的ではないと、浮竹と京楽に説得されてしまった。
嗚呼、これからの人生一体、私はどうなるんだろう。
もうヨボヨボのクソジジイでいいから頼む。
──今すぐ私をフェアリーテイルの世界に飛ばしてくれ
1話目のあからさまな伏線はいつか回収します。どうか、その時までお待ち頂ければと思います。
折角、感想をくれたのに私の力不足で消させる事態になってしまい申し訳ございません。
読者の皆さんはどこまでみたいですか?(最後は作者のやる気にかかってる)
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全74巻分書き終える
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破面編ぐらいで終了(主人公生存)
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破面編ぐらいで終了(主人公不生存)