皆も1度は願ったことが有るんじゃなかろうか。この世にドラゴンボールがあればいいのにな、と。
かくいう私も何度も願ったことがある。前世ではそれはイジメではないのかと思える程、私は一切関わっていなし悪くないのに、全ての責任を私に転嫁してきた、あの頭をハゲ散らかした上司の脂肪のたまり場となっているブヨブヨの腹を、それはもう無惨に四散してくれないかといつも心の中で願っていた。
他にも、多額な借金を残した父親に捨てられ、後に結婚する筈だった元恋人にまで捨てられた母は未だ結婚に夢を持っているようで、私に結婚を押し付けてくる。そんな母に何度現実を見させてあげて欲しいと願ったことか。
とにかく、私はドラゴンボールが欲しい。現在進行形で。
結局、あれからどう頑張っても私は斬魄刀と対話をすることすらかなわなく、同期である浮竹や京楽は原作通り着々と力をつけていき、今では始解どころか卍解まで操り隊長格まで昇りつめてしまった。
くそぅ、と思う。
別に歯噛みするとか、焦りとかは一切ない。だってほら、なりたくて死神になった訳じゃないし。半ば強引にクソジジイにさせられ、逃げようとしたらいつの間にかクソジジイに周りを囲まれて逃げられないようにされた。さすが総隊長と言われるだけの力はあるようで、実に小賢しい。伊達に歳食ってないわけだ。
でもでも、やっぱり思うでしょう?
よくあるライトノベルとかでの転生者は、その世界で無双したりしていることが多い。転生者特典と言えばわかりやすいだろう。主人公の幼なじみになっていたり、好きなキャラクターの近しい人物になっていたり、裏最強キャラみたいな、兎に角特典があったりするのだ。
だがしかし、私にその特典というものは全く見受けられない。いや、龍に育てられたとか浮竹や京楽と同期などを踏まえると、ファンから見たらお前も充分に受けているだろ、と思う人もいるだろうが、違うのだ。私の推しは浮竹や京楽ではなく…いや、かっこいいけれど、充分に目の保養にはなるけれど、最推しはシロちゃん。その次は市丸ギンか平子真子を連れてきて欲しいところである。
つか、龍に育てられたからなんだ。
火竜の咆哮や火竜の鉄拳が使えるわけでもなければ、
逆に、龍に育てられたなんて変な特典がついてきてしまったが為に、一向に対話をすることはできないし、なんならそのせいかどうかは定かではないけれど、私は絶望的に鬼道が苦手なのだ。
いや、これはもう本当に絶望的で、あの総隊長ですら首を横に振って「諦めろ」と肩ポンしてきたぐらいだ。ひとつ言い訳をさせてくれるのなら、それは私が馬鹿故だろう。だってあれ、詠唱長くね? 無理無理、そんなの前世では平和にブラック会社に勤めていた私の頭じゃ覚えきれないよ。言葉だって変に難しいし、その詠唱能力を強めるには言霊を乗せてとかもうわけがわからない。
これに関しては私も諦めている事案であるのだが、また意味不明なことにうんともすんとも言わなかった鬼道が炎熱系の鬼道になると立派に発動される、というものである。
縛道であるはずの六杖光牢とかはもうホント、姿形すら現せず、時に暴発と縛道を詠唱したはずなのに自分の身しか傷つけないという元も子もないのに対し、赤火砲や蒼火墜になると威力、スピード増し増しで発動されるのだ。
詠唱の暗記に関してもそれは同じで、六杖光牢1つを覚えるのに約1週間かかったのに対し、赤火砲、蒼火墜共に2つの詠唱を僅か1日で覚えてしまった。最早これは呪いだとクソジジイには言われ、私自身もそう思った。
自分の体ではあるけれど、何があったと思う。いや、そう思うでしょ!? なんで炎熱系だけなの!? どうせなら、回道がバッチリであって欲しかった!! そっちの方がまだ多様性があったというのに…。現実とは上手くいかないものである。
「にしても隊長を僅か1年で左遷って…侮れないよねぇ彼岸もさ」
「…まあ、彼岸はどちらかと言うと下の方が適している様にも見えるが、あれは明らかだったなあ」
「左遷じゃねーって。そもそも私は言ったよ。隊長なんてガラじゃねーって。それなのに「今隊長に適している力を有しているのは貴様しかいない」とか吐かして無理やり隊長に仕上げたのはあのクソジジイだろ?」
十三番隊の
浮竹が出してくれた煎餅をボリボリと齧りながら、私は愚痴るように唇を尖らせて言った。
1年ほど前に隊長へと昇格した浮竹や京楽は今となっては様になっており、先程の会話を聞いていたのなら分かると思うのだけれど、浮竹と京楽と共に私も僅か1年という月日ではあったのものの十番隊の隊長を勤めていた。
卍解どころか始解も使えない私だが、いや鬼道も本当にそこらの隊士よりも劣ってしまうのだけれど、その分瞬歩や白打に大きくパラメータは偏っており、仙人レベルでプロと言ってもいい。初代夜一様とぜひ呼んで欲しい。
それを見込まれてしまったがために、私は長年欠番だった十番隊隊長を押し付けられたのだ。だが、そう私が「はい」と頷くはずも無く、浮竹や京楽を巻き込んでクソジジイと結構派手な大喧嘩をしたことをここに明記しておこう。そして十番隊隊長をたった1年だがやらされた、ということはそういうことである。
…奴も伊達に歳食ってないってことよ(2回目)
でも、たった3話でも皆も見ていて思うでしょう? 私は隊長なんて器ではないのだ。原作で常日頃から書類仕事で追われていた三、五番隊や日番谷冬獅郎を見ていてわかるように、死神という職種はかなりのブラックと言える。転生してまで書類なんてものは見たくないので、それを拒否し、自慢の瞬歩で逃げ回っていたら、まだ1年しか経っていないのにクソジジイに呼ばれ、一番隊参席に左遷された。実にありがたい。…雀部のおっさんの仕事をしろという視線が痛いけど。
どうして一番隊か気になっている人もいるだろう。分かりやすく言うのなら、監視のためだ。
「彼岸、女の子がクソジジイなんて言うんじゃない」
「そうそう。顔はいいんだから、もう少し言葉使いをどうにかしたきっと爆発的にモテるよ」
「彼岸に足りないのは身長と言葉使いとボクに対する優しさかな」と京楽は言った。
…どうやら京楽は私に喧嘩を売っているらしい。なんだ? 買ってやろうかその喧嘩。ボコボコにしてやるよ。なんならサンドバックにしてやろーか?ああん!?
「ごめんごめん。謝るから怒らないでよ」
「…にしても、言われてみればだが、彼岸は一向に身長が伸びないな。出会った当初とそう変わらないだろ?」
「ま、女の子は小さい方がいいし、可愛らしく見えるからいいんじゃない?」
「…てめぇどっちだよ」
「ボクの好みとしてはもう少し高い方が好きかな」
マジで1回コイツ殺してやろうかとワナワナと震える私だが、すんでのところで拳を止める。時と場を弁えているのだ、私は。
そして、浮竹と京楽が言っていることも、頷きたくはないが事実である。私の身長は142cm。キャラクターブックとか買っていなかったので定かではないが、多少朽木ルキアよりも小さいぐらいであろう。推しのシロちゃんよりかは大きいと思う。
朝昼晩と毎日睡眠を貪っているにも関わらず、身長は伸びない。対して、それを嘲笑うかの如く浮竹と京楽は身長を伸ばしていくのだから、昔はよく枕を濡らしながら呪いの藁人形を作ったものだ。勿論、恨みは全て京楽に向けている。浮竹にそんな恨みなんて向けられない。彼は菩薩と評しても大差ない男なのだから。
「それにしても、こう考えると彼岸はいい意味で変わってないなあ」
「彼岸の性格を考えるに髪の手入れとか絶対してなさそうなのに、綺麗だよねぇ」
「それに関しては雀部のおっさんが何やら手を回してくれてる」
「…キミ、女の子だろう?」
ジト目で京楽に見られるが興味が無いことに一々手出しするような女じゃないことは京楽も知っているだろうに。
ちなみに、シャンプー、リンスその他身だしなみに関わることは全て雀部のおっさんに一任している。というか勝手に手を焼いてくれるのだ。朝も起こしに来てくれるし、ご飯まで作ってくれるし、ハンカチとか持たせてくれるし、お母さんのようなデキる執事を持ったような感覚である。
「はっはっは!! もう彼岸は雀部副隊長無しじゃ生きていけないな!」
「うん。京楽無しでも生きていけるけど、雀部のおっさん無しじゃなあ…」
「…ねぇ、最近ボクにアタリ強くないかい?」
「気の所為じゃね」
京楽は嘘っぽい涙を流しながら「あれだ、ちゃっかり書類を彼岸の方に回したのがいけなかったのかい? それともあれだ、ツケを彼岸の名前で登録しちゃったのがバレちゃったのかい? ごめんよぉ」と心のこもってない謝罪をツラツラと私に述べてくる。
つかおい、全部初耳だぞ。どういうことだコラ。そこんとこちょっと話そうや兄ちゃん。
「まあまあ。…それにしても、彼岸聞いたぞ。四楓院家の娘さんの稽古を始めたそうじゃないか」
「あー。クソジジイに仕事サボるぐらいならこれぐらいしろって押し付けられたんだよね」
「確か長女の子だったよね? 結構才能有るって聞いたよ。そこんとこどうなの?」
「どうってそりゃ──」
──才能ありありに決まってるじゃないか。
四楓院家長女、皆がよく知る四楓院夜一様である。中の人は某アニメで有名なダークマターを作り出す天才でゴリラにストーカーをされている強い女性と一緒だ。BLEACHの中では瞬神だったり痴女だったり猫だったりと忙しい人でもある。…あれ、猫の時は声変わるんだっけか。どうでもいいけど。
「にしても彼岸が人に教鞭を持つ日が来ようとは。歳をとったねぇボク達も」
「ああ。あの頃なら考えもつかなかっただろうな」
「…悪い意味で変わり映えのしない毎日だったからねぇ」
「いつも流刃若火で焼かれるか煮るかの2択だったからな」
「…おい、生暖かい目でこっち見んな」
まだクソジジイに教えを乞うていたあの若かりし頃を思い出しているのだろう。急にオッサン2人が生暖かい目で私を見始めてきた。そんな生暖かい目で見てきても無駄だぞ。ふはははは!!貴様らは知らんかもしれんが、私はまだ現在進行形で流刃若火で煮て焼かれているのだ!! ちくしょうあのクソジジイいつか殺す!!
「彼岸が教鞭を取っている夜一という子も結構元気だと聞いたけど、ちゃんとやっていけているかい? キミはすぐに手を出すし、言葉使いもお世辞でもいいとは言えないからねぇ」
「はっはっは! 彼岸程じゃじゃ馬でわからず屋な子供もそういるまいよ!!」
「…お前ら2人が私のことをどう思っていたのかはよーく分かった。とりあえず大人しくそこになおれ。私直々に貴様らを斬首してやる」
すぐにごめんごめんと謝ってくる馬鹿な男らには1回痛い目に合わせなくちゃならんような気がする。浮竹の体調がいい時にマジで1回シバくぞ。…いや、やっぱり京楽だけにしとこう。浮竹はやめとこう。そうしよう。
「夜一は…まあ、元気な子だよ。小さいうちに力をつけすぎるのもアレだから、今は鬼ごとで我慢してもらってるさ」
「彼岸相手に鬼ごととは…また大人気ないな」
「今や山爺が重い腰をあげないと捕まえられない彼岸を夜一ちゃんじゃまだ荷が重いでしょ…」
「「大人気ないなぁ」」と男2人の声が重なる。ええい、うるさいな! 生憎と私は鬼道系に関しては炎熱系を除いて一切使えないし、唯一使える炎熱系も割と感覚で使っているため、教えようがないんだ!! 斬魄刀に関しては、まだ夜一が手にしていないこともあるし、それこそ自分で磨いていく武器だ。つか、私こそ扱い方を教えて欲しい。まだ始解卍解共に出来ない私にどうしろというのだ!! …そうなると私に残されるのは歩法と白打である。白打に関しては、まだ幼女である夜一を甚振るのも趣味ではないし、それこそPTAとかに怒られそうだ。普通に世間体に悪いし、夜一のご両親から丁重に扱えと大人の圧をかけられている。これを破ったらもう私は太陽が出ている時間帯は呑気に歩けなくなるだろう。…となるともう歩法を伸ばしていくしかない。
原作ではよく夜一と白夜がやっていたし、結構伸ばす手段としてはいい方法だと思う。現に、飲み込みの早い夜一はまだ捕まえることは到底無理ではあるが、私を視界の端で捉えることはできるようになってきたっぽい。すぐに見失ってるけど。よく癇癪起こして地団駄踏んでるけど。
「あの子は負けず嫌いだから、ギリギリクリア出来ないような課題の方が燃えるんだよ」
「…それは本当にギリギリなのか?」
「…後、数百年はクリア出来そうにない課題だとボクは思うけどね」
「……」
キィーと奇声をあげながら「もう1回じゃ、もう1回!!」と大きな目に涙を溜めながら叫ぶ夜一を思い出してまだまだ先は遠いと思う私であった。
主人公は夜一の師となります。
多分もう少ししたら「斬魄刀を解放出来ない」じゃなくて「斬魄刀を解放するよりも瞬閧で戦闘した方が強い」とか言い出すと思う。解放は出来ません。
鬼道に関しては炎熱系の鬼道以外は暴発又は発動が出来ません。回道に至っては回復しようとしているのに、霊圧を無駄に消費するだけ消費して傷は全く治らないという悪循環に至ります。総隊長も匙を投げました。瀞霊廷七不思議の1つかも。
容姿に関しては、赤髪で前髪はポンバドールをしていますが、これはわざわざ朝の忙しい時間を縫って雀部副隊長がやってくれています。後ろ髪はストレートロングで綺麗に編み込まれた後、丁寧にポニーテールにされています。これも雀部副隊長による技です。
斬魄刀は無駄に刀身が長いため、日番谷冬獅郎のように背負う形で持ち歩いていますが、卍解どころか始解も出来ないので、1度も鞘から抜いたことはありません。これからも特に抜く予定は無い。
十番隊隊長の歴史(捏造)
初代→空席→彼岸→誰か→誰か→誰か→誰か→一心→冬獅郎 みたいな?
読者の皆さんはどこまでみたいですか?(最後は作者のやる気にかかってる)
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全74巻分書き終える
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破面編ぐらいで終了(主人公生存)
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破面編ぐらいで終了(主人公不生存)