拝啓 シロちゃんへ。 結婚してください──。   作:瑠威

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お久しぶりです。生きてました。
久々の執筆だった故に、ネタがちょっと古かったりします。本当はホヤホヤの時に出したかった…。

私から言えるのはただ1つ。
受験なんて無くなればいいのに。


第9話

 池を目指していた。けれど私は気づいたんだ。何度水に沈めても、いつの間にか私の手元に戻ってくるこの斬魄刀。意味ないんだよ。どれだけ沈めようとも結局戻ってくるなら意味が無い。

 ならどうする? 沈めるのがダメなら、どうする? 結論は……。

 

 

「埋めよう」

 

 

 皆も若かりし頃にしたはずだ。小学校や中学校を卒業する時に、学校のどこか敷地内でタイムカプセルなんかをしなかった? 私はした覚えはない。前世含めて人生初のタイムカプセルだ。あの、あれだ。藍染と戦うタイミングで掘り起こせば大丈夫でしょ。掘り起こす前に私が死んでしまっている可能性も無きにしも非ずだけど、その時は仕方ない。朽木家の人にでも頼んで、仏壇の横にでも立てかけといて貰えれば…あれ、そういえば私が死んだら斬魄刀も一緒に消えるんだっけ? それはそれで朽木家の人に迷惑をかけなくて済むので好都合だろう。

 

  先程も言った通り、私はタイムカプセルなんてしたことが無い。何度かひとり悲しく庭でやろうかなって思ってコツをググッたことはあったけれど、結局虚しくなってやめたんだよね。…おい、昔からボッチとか言うなよ! 今の私には心優しき浮竹やナイスバディな弟子が居たりして全然ボッチじゃないんだからな!!

 

 ちなみに、その時調べたコツに地中深く掘って埋めればいい、みたいなことが書いてあったような気がする。後、埋めた場所が分からなくなったら元も子もないので、何かしらの目印がある所とも書いてあった。もう前世の名前すら思い出せないのに、こんな無駄なことは覚えていのだから世の中良く分からない。朽木家には沢山桜の木が植えてあるので、その傍にしようかな。…春先とかに掘り起こしたくないな。毛虫多そう……。

 

  結局、私は、朽木家の庭に植えられている中でも1番デカい桜の木の下に埋めることにした。朽木家ならそう簡単に没落することもないだろうし、手入れも行き届いてるので、桜の木が枯れて引っこ抜かれるなんてこともないだろう。

 

 そう簡単に掘り起こされない為にも、地中深くに封印してやる。いざ必要だって言う時に、中々見つからなくて諦めちゃうぐらい深くに。なんなら桜の木の糧にでもなってくれた方が世のため人のためだ。

 

 ちゃっかり朽木家の倉庫から使われてないであろうスコップを拝借し、黙々と地面を掘っていく。所々、固くて掘れない所もあったが、神さま仏さま双蓮蒼火墜さまである。1発ぶちかませば、地面には効果抜群らしく、鬱陶しい砂煙を舞わせながら抉れてくれる。爆発音が中々デカいのがデメリットではあるが、案外朽木家も警備が薄いらしい。使用人が慌ててやってくるとか、そんなことはなかった。

 

 1時間程たったぐらいの事だった。痛む腰を優しく叩きながら、上を見上げた。流石1時間。無駄にはしなかった1時間。もう脚立を使っても上れない程、深く掘り進めてたらしい。本当に頑張ったなと私は自分で自分を褒めたい。

 

 

「貴様っ、そこで何をしている!!」

「んあ? 誰?」

「それはこっちの台詞だ!!」

 

 

 下を覗き込むようにして、見ている何とも綺麗な子は…私の記憶が間違っていなければ、初対面だろう。あんな綺麗な少年とお近づきになった記憶はない、筈だ。

 

 あのあれかな、使用人の子供とかかな。やべーなこれ。一応不法侵入だし。別にあのあれだよ、六番隊の皆様とは顔見知りだし? あの優しいおじ様達なら寛容に許してくれると思うんだよ。朽木白哉の祖父、朽木銀嶺には何度、後ろ盾してもらったか分からないほど世話になった。あの人のおかげで私は今も生きている。あの人が止めてくれなかったら、今頃クソジジイの手によって灰になっていたに違いない。

 蒼純は会う度に美味しい茶菓子をくれるので好きだ。おい、餌付けされてるなんて言うな。チョロくねーよ、私と仲良くなるには万札持ってこないとダメだかんな。横に柿原徹也が居たらもっと仲良くなってやる。この際、CDでもアニメDVDでも許してやる。

 

 今の声優業界、結構波風たってるけど、私は変わらず柿原徹也を推していくからね! 彼は結婚してないはずだし、不倫の心配ない筈だから、大丈夫だってお姉さん信じてるから!! それに結婚しますって言われても、私はハンカチ噛むだけで、柿原徹也の幸せ望むから!! なんならCD追焚きして、柿原徹也に貢献するから!!私と結婚してください!!!

 

 

「…何を言っているかは知らんが、とりあえず上がってこい。話はそれからだ」

「……ねぇ、なんかさ、ハシゴ的なやつ貸してくれないかな」

「は?」

「結構掘りすぎちゃったんだよね。思った以上に双蓮蒼火墜が活躍しちゃったんだよね。個人的MVPなんだよ。もう、自力じゃ上がれないレベルまで来てるんだよ。未来も何もかもお先に真っ暗なんだよ。…いつになったら私は斬魄刀解放できるんだよ。いい大人がこんなことに時間費やしてていいの?同期に置いてけぼりにされてさ、後輩にまで追い抜かれてさ。ああ、もうダメだやってらんない。ここに住もうかな。日陰のこのジメジメとした穴で、呑気な虫達と共に共同生活送っちゃおうかな……」

「おい、途中からなんて言ってるのか全く聞こえんが、他人の家に勝手に深い穴を掘ったあげくジメジメするな!!」

 

 

 おっと、あまりにもお先真っ暗過ぎてナイーブになってたよ。あれだ、女の子の日だから、情緒不安定なんだよ許して。うそ、女の子の日じゃない嘘つきましたごめんなさい。FRIDAYから思わぬ不倫報道が出て、結構動揺してるんだよ。思わずTwitter毎日、チェックしちゃってるんだよ。許してくれよ。

 

 え? 某人気声優の不倫報道ネタはどうでもいい?いやいや、どうでも良くなんかないでしょ。お茶が気管支に入っちゃってむせた事をツイートしたら、ネットニュースになっちゃったけど、その数時間後に思わぬことをFRIDAYに暴露されちゃった彼の事皆気になるでしょ!? 私はあれだよ。録画してたCDTV見てたら、嫁さん出てきて思わず茶が気管支入っちゃったよね。なんかもうアニソン女王としては見れなくなっちゃったよね。嫁さんもあの人も色んな意味で見る目変わっちゃったよね。しかもまた、恋愛ドラマの主題歌歌ってたのが、凄く痛々しく……んんんっ、なんでもないです。聞かなかったことにしてください。現場からは以上です。

 

 美少年の有難いキレ芸を見せてもらいながら、救出して貰った私は何故かお悩み相談室を開いていた。え? お前が美少年の悩みなんか解決出来るわけないだろうって? 馬鹿じゃねーの?私が美少年に解決してもらうんだよ、アーメン言う方なの、祈りを捧げるの!!

 

 

「…私ね、思うんです。好きな人が居ましてね、ずっとその人に会うために私は頑張ってきたんです。赤髪の美少女になろうが、OLであろうが、その日その日をガムシャラに生きてたんですよ。そこで気づいたんです。好きな人には会えてないけど、赤髪で、美少女で、ハイスペックな設定ゴリゴリ貰えるならね、私のCVが釘宮理恵でも可笑しくないんじゃないかって。いや!! 釘宮さんでお願いします!! この際、青い猫でも良いんです、ゲロインでも良いんですよ!! 推しに、推しにさえ会えるのであれば、姿形は厭いません!!

…さあ、ファイルアンサー!?」

「済まぬがその…しー、なんちゃらが俺には分からん。後、推しとは何だ?」

「まさかの文明の差が私の恋路を邪魔するのか…!」

 

 

 思わず四つん這いになってしまう程の衝撃…! そうだ、そう言えば尸魂界にはテレビもないし、つかCV釘宮理恵はいるじゃん! 主人公の双子の妹の黒い方じゃん!! 無理なのか、私に釘宮理恵は無理なのかっ!!

 

 

「慈悲を!! 私に慈悲をぉぉぉ!!」

「なっ、張り付くな!暑苦しい!! おい、離せ!!」

 

 

 いいじゃないか、少しぐらいオイシイ思いしたって!! 釘宮さんをちょっと貸してもらうだけでいいんだよ!! 何でだよぉぉぉ、くそぅ、主人公妹補正が強すぎる。中の人までいい人起用しやがって!!

 

 歳の差が1000以上あるであろう歳下に縋りく私は周りから見たらみっともないだろう。でもね、こうしてないともうやってらんないのよ。アルコール度数高めの酒は手放せないし、最近じゃ煙管まで使い始めてさ。それを知った浮竹に身体は大事にするものだと凄く諭された。

 

 

「…チーズ蒸しパンになりたい……」

「ちー…? 意味は相変わらず分からんがどうせロクなものじゃないんだろ…」

 

 

 失敬な。皆も大好きなゴリラ原作者の口癖だぞ。いや、BLEACHの作者じゃないけど。コラボという名のパクリを次々とやってのけていく常習犯だけど。

 兎に角今は人型以外の生物になりたい気分だった。鳥とかになって、高らかに飛んで、書類とか藍染とか原作とか、全てを投げ出したい気持ちでいっぱいだ。

 

 

「…ようやく追いついたぞ、師匠」

「お、夜一。どうしたの?」

「…どうしたもこうしたも、喜助が早く朽木家に向かえと急かしてくるから慌てて来てみれば、一体これはなんの真似じゃ?」

「穴掘ってたんだよ」

「…それは見れば分かる」

 

 

 下で「化け猫の知り合いだったのか!」とか「道理で頭のネジが足りないわけだ!」と小僧がうるさいが、全てスルーという体のいい名の無視を決め込む。大人とは歳をとるにつれて醜くなっていくものよ。総隊長を見てみな? 性格の良さと毛根が全て抜け落ちているでしょう?

 

 呆れたように夜一がため息を吐いていたが、私は見ないふりをした。私だって伊達に歳はとっていない。私も醜い大人の仲間入りを果たしているということだ。記憶も身体も全て初心に戻りたい。…おい、今誰だ容姿は餓鬼つったの。怒るよ?激おこだよ??

 

 

「…というか、化け猫。今、師匠と言ったか?」

「お、なんだ白哉坊。この御方が誰だか知らないで一緒に過ごしておったのか?」

 

 

 「師匠はな──」と夜一からの有難い説明を聞いた白哉坊は…え、白哉坊?白哉坊ってあの白哉坊ですかね?朽木白哉さんでお間違い……無いですねぇぇぇ!! マジか、まさかの知らないうちに原作キャラとエンカウント!? いや、マコちゃんとはよくエンカウントとしてるけど、こう知らないうちにエンカウントしてるとビビるよね。

 

 

「この阿呆が一番隊三席だと…?」

 

 

 何故ありえないとでも言うかよのような表情で私を見つめてくる。やめろ、そこまで見つめられると…て、照れちゃうだろ☆ …ごめんなさい調子に乗りました。怒らないでください。

 

 

「信じられんとでも言うかよのような顔をしておるの、白哉坊」

「当たり前だ! あんな穴を掘ることしか能のなさそうな女が三席!? それも一番隊なんて!!」

 

 

 …子供に言いたい放題されてます。グサグサ刺さってます。分かる、斬魄刀も解放できないし、鬼道だって炎系しかまともに使えないような女ですもの。こんな容姿(ナリ)してますけど、お酒やタバコにどっぷり浸かってる女は嫌いですよねぇ…。

 

 

「確かに、言動行動凡てにおいて総隊長を苛つかせているのは事実。だが、凄い人でもあるのだぞ」

「…本当か?」

「どうしても信じられんと言うのなら、師匠、久々に鬼ごとをすることを私は希望する!」

「鬼ごと…?」

 

 

 少し前まで夜一とやっていた修行メニューの大半を占めていたものだ。結局、夜一は私から白星をとることは出来ずに、最後まで地団駄を踏んでいたのを思い出す。浦原や京楽まで巻き込んだと言うのに、勝ち星を上げられなかったことが相当悔しかったのだろう。二代目瞬神と言われても、あまり嬉しそうじゃないとは浦原談である。

 

 いや、別に鬼ごとをするのはいいんだけど、最近歳のせいか身体がついて来れなく…嘘です。現役バリバリでさせてもらってます。はい。なので、二番隊の書類を私に回すなんて言わないでください。既に社畜だけど、社畜だけにはなりたくないんです。

 

 

「よし。分かった。その代わりアレだ」

「「?」」

「始める前にセメントかコンクリート持っこいや」

 

 

 「斬魄刀埋めたる」そう清々しい顔で告げた私を見て夜一と白哉は大きなため息を隠すことなく吐いたのだった。

 もちろん、セメントもコンクリートも手に入れることは出来ず、鬼ごとの勝敗は夜一と白哉が仲良く地団駄を踏むことになる。そして、何処から聞き入れたのか斬魄刀を埋めようとしていたことがクソジジイにバレ、炎の鉄槌ヲタ食らったのは言うまでもない。珍しくマコの前で泣いた。報われたい。




「…あれ、なんかこの書類いつもよりも丁寧に作られてないか?」
「ああ、それ三席が作った書類だよ」


 書類の確認をした後は提出して──と頭の中でプランを練っていた平隊士はかけられた言葉にふーんと返し、固まった。思わず持っていた書類がヒラヒラと雪のように舞っていく。


「え、今なんて?」
「だーかーらー、それ三席が作ったんだよ」


 慌てて落ちた書類を拾い集め、改めて目を通して見る。
 達筆なとめはねはらいが出来ているまるでお手本のような綺麗な字に、完結に纏められた読みやすく見やすい文章。慌ただしく日々を過ごす死神がこんなに丁寧なことは珍しいなと思った矢先に、更に珍しいことがあったものだ。


「戦闘しか能のないあの人が!?」
「あの人に書類させたら右に出るもんはいないんだよ。でも、それを知ったら皆が三席に書類回すだろ? それが嫌だったみたいで、あまり書類をやりたがってなかったみたいだが──浮竹さんの書類仕事は肩代わりしてるしな。総隊長が試しにつって十三番隊の書類に一番隊の書類を紛れ込ませたらまんまと引っかかった」
「…仕事の鬼だな」


 よく確かめないで書類制作をしているのか、それもと無心でやり続けていたために気づかなかったのかは定かではないが、懇切丁寧に仕上げられている書類を見て、彼岸が一番隊の仕事をさせられていることに気づいている節は見えなかった。それに気づいていたら、もはや恒例とも言える喧嘩が始まるに違いない。最近は少々彼岸がお疲れ気味なこともあって、一番隊隊舎が燃える等と被害にはあっていないし、多分本当に気づいていないのだろう。


「…やれば普通にできるんだよなあの人」
「…頭のネジちょっとイカれてるけど、話してみれば案外いい人なんだよ」


 でもどこか近寄り難い雰囲気を醸し出している彼岸にそう簡単に「今日もいい天気ですね」なんて喋りかけに行けるほどの度胸は持ち合わせていなかった。
 幼女の容姿をしているが、綺麗な赤髪は人目につくし綺麗だと思わせる。顔だって切り長の瞳ではあるが、どこか可愛いと思わせるような面影に、整った鼻筋。決して悪いとは言えない容姿をしている。口を開いてしまうと、総隊長の呪いの言葉だとかすぐに平子にたかろうとしてしまう大人の汚い部分が見えてしまうので、出来ればずっと閉ざして置いて欲しい。後、動かず静かに座っていれば、人形のようで人気間違いなしだろうが──…。


「「それは無理だな」」


 もったいない人だなあ。あれじゃ宝の持ち腐れじゃないか、とまでは言わなかった。ここは一番隊隊舎。どこで誰が聞いているか分からないからだ。
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