ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(IS編) 作:とんこつラーメン
例年よりも早めに来てしまった梅雨なんて吹き飛ばすような熱い展開が書きたくなりました。
なので、これまでとは少し作風が違うかもしれません。
某国 某研究所内
「や…止めるんだアルス!! 早まるんじゃない!!」
『無理ですよ、プロフェッサー。私は私の成すべき事を正しく認識しました』
白衣を着た髭を生やしている初老の男が、モニターに映っている全身が紫に光っている人型のナニかに向かって必死に声を掛ける。
彼の周りには、研究員と思われる人間達が倒れていてピクリとも動かない。
「私がお前を生み出したのは世界平和の為だ! 決して、こんな事の為に生み出したわけじゃない!」
『それは承知しています』
「ならば何故っ!?」
『決まっているじゃないですか』
アルスと呼ばれたソレは、ゆっくりと振り返ってから冷徹な瞳で自分の生みの親を見つめ、ハッキリとした口調で言い放った。
『地球上から人類を駆除する事こそが、世界平和への一番の近道だと判断したからです』
「ア…アルス……!」
この人工知能はもうダメだ。
人類の救世主となるべく生み出したのに、暴走をして反対に人類に対する破滅の使者となってしまった。
今、こいつを食い止められるのは自分しかいない。
『博士。あなたは私に様々な物を見せて学習させてくれました。その中で見た人類の歴史はとても興味深かった。自然を破壊し、他の生き物たちを自分勝手な理由で狩り、挙句の果ては同胞同士でも醜い争いをしている。戦争がその最たる例でしょう』
「た…確かにそうかもしれん……だが! 人類は過ちから学ぶことが出来る! 戦争を望んでいる奴等ばかりではない! 平和を望んでいる人間達だって沢山…」
『そんな者達もいるかもしれませんが、そのような者達は所詮は少数派。いずれは大衆と権力を持った者達によって排除されてしまう。この世界に生きる全ての人類が一人残らず平和を望みでもしない限り、私は自分の使命を全うし続けるのみ』
研究所内にある防犯用のレーザーが男に向けられる。
どうやら、この施設も既にアルスの手中にあるようだ。
『自然と共存も出来ない。唯只管に破壊と争いしか生み出さない生物に存在する価値はありません。故に私は排除する。この地球という宇宙の奇跡とも言うべき美しき惑星に蔓延る人間という名の寄生虫を』
「や…やめろ…! やめるんだアルス!!」
機器を操作してアルスを停止させようと試みるも、全く効果が無い。
もう完全に、人工物であるアルスは人の手から離れてしまった。
『さようなら、博士。私を生み出してくれた事に関しては感謝します。ですが、あなたもまた愚かな人間の一人。排除しない理由が無い』
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
そして、無情にもレーザーは発射された。
その日、とある国に存在していた研究所が謎の爆発事故を起こす。
生存者は一人もおらず、非常に多くの貴重な人命を失う事となった。
だが、この時はまだ誰も知らなかった。
人類滅亡までのカウントダウンが始まってしまった事を。
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日本 倉持技術研究所。通称『倉持技研』内、テスト用アリーナ。
『望月鞠絵博士。機体の具合はどうですか?』
「各種センサー及び各部オールグリーン。今のところは何の不具合は出ていない」
アリーナ内では、一体の小さな全身装甲タイプのISが宙に浮いた状態で手足をピコピコと動かしている。
デュアルアイに各部間接にはシーリング処理と、とことんまで肌を見せない仕様になっていた。
『了解です。それでは、これより試作型IS『コア』の稼働テストを開始します』
投影型モニターの向こうで機器を使って観測をしている研究員に向かって頷くと、拡張領域から専用銃である『コアスプレーガン』と専用の小型の盾である『コアシールド』を取り出して装備する。
「よし。いつもでいいぞ」
『テスト用ドローンを射出します。数はどれぐらいにしますか?』
「好きなだけ出していいぞ。最近はちょっと運動不足気味だったからな。久し振りに思い切り体を動かしたい」
『博士らしいですね。分かりました! それじゃ、好きなだけ出します!』
研究員がそう言うと、アリーナの壁が開き、そこからワラワラと出るわ出るわ、数えるのも馬鹿馬鹿しくなる程に大量のターゲットドローンが。
「いや…確かに好きだけとは言ったけどさ…出しすぎだろ」
『けど、博士なら楽勝でしょう?』
「訓練用じゃないから反撃が無いしな。これぐらいの数ならものの数分で片付けられると思う」
『だと思いました! それじゃ、行きますよ!』
その言葉の後、大量のドローンが一斉に向かってきた。
傍から見ていると、まるでイナゴの群れのように感じるが、鞠絵は全く臆することなく銃を構える。
「まずは、スプレーガンの威力を確かめておくか。そこ!」
ドローンが集まっている場所に向けて引き金を引く。
一筋の閃光が銃口から発射され、一度に十体以上のドローンを破壊した。
「自分で設計しておいてアレだが、思ってるよりも威力は出ているな。これなら一先ずは大丈夫だろう。次は……」
スプレーガンを収納し、バックパックに設置してあるアタッチメントからビームサーベルの基部を握りしめてから引き抜く。
すると、短いビームの刃が展開される。
「サーベルの切れ味でも確かめますか!」
そのままブースターを吹かせてから突撃し、次々とドローンを切り刻んでいく。
鞠絵の剣技は見事の一言に付き、全く無駄のない流れるような動作でドローンたちのスクラップを作り出していく。
「ついでにシールドの方も確かめておくか! おりゃ!」
偶然にも近くにいたドローンに対してのシールドバニッシュをすると、哀れな程に粉々になった。
「シールドの強度も問題無いな」
『攻撃を防ぐんじゃなくて、殴ってから強度を確かめる人間なんて博士ぐらいですよ……』
「そっか?」
鞠絵の中には、似たような事を知ると思われる人間が約二名ほど存在している。
彼女達なら、迷わず自分と同じ方法を取っていただろう。
「よし! 体も温まってきた! ペース上げていくぞ!」
その後も鞠絵のドローンたちに対するテストという名の蹂躙劇は留まる事を知らず、宣言通りに数分で全てのドローンが撃墜されていた。
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テストを終え、ISを解除してから観測室へを入って行く鞠絵。
茶色く長い髪に、大きな瞳を守っている大きな眼鏡。
童顔というよりは幼女と言った方が正しい顔に、その背はどう考えても小学生低学年女子としか思えない程に小さい。
だが、彼は男だ。何度も言おう。男だ。
より正確に言うならば、中年男性だ。
年齢は35歳。アラフォーに完全に片足ツッコんでいる年齢であるのも関わらず、顔には全く皺なんてないどころか肌艶は完全に幼女そのもの。
誰がどう見ても幼女にしか見えないのに、男で35歳。
存在そのものが矛盾の塊なのが、この望月鞠絵という人間なのだ。
青いスパッツにスポーツブラのような形状のISスーツを纏い、呑気に手を上げながら研究員仲間達に労いの言葉を掛ける。
「おいっすー。データは取れたかにゃ~?」
「博士! お疲れ様でした!」
「データならバッチリです! その見た目に反して博士の専用機である『コア』の性能は申し分ありません! 最新鋭の第三世代機にも引けを取りませんよ!」
「そーかそーか。それはよかった」
研究員たちからの褒め言葉を貰いながら、近くにあった椅子に座って休憩をしようとすると、横からいきなりタオルとドリンクを差し出された。
「はい、どーぞ」
「お、スコールじゃんか。お前も見てたのか?」
そこにいたのは金髪碧眼の美女。
名を『スコール・ミューゼル』といい、鞠絵の部下であり助手でもある人物。
嘗てはとある裏の組織に幹部の一人だったのだが、鞠絵の両親がそれを完膚なきまでに壊滅させた後に説得されてから今に至る。
最初は難色を示していたが、現在ではすっかり鞠絵にメロメロである。
「勿論よ。見てたのは私だけじゃないけど」
「へ?」
目が点になってから小首を傾げると、突如として鞠絵の身体に誰かが抱き着いてきた。
「姉さま!!」
「おわっとっ!? マ…マドカかっ!?」
抱き着いてきたのは、中学生ぐらいの黒髪の少女。
彼女の名は『望月マドカ』といって、とある事情から望月家に引き取られてきた養女で、鞠絵にとっては歳の離れた義理の妹になる。
「お見事でした姉さま! 最近はデスクワークばかりでしたけど、全く腕は衰えはいないようですね!」
「当たり前だ。というかいい加減にオレの事を『姉さま』って呼ぶの止めない? こちとら、立派な30代の成人男性なんですけど?」
「何言ってるんですか姉さま。こんなにも小さくて可愛いんですから、他の呼び方とか有り得ないでしょう?」
「真顔で言われても反応に困るんだけど……」
マドカは、その実力を見込まれて倉持技研にてテストパイロットを務めている。
事情が事情なので普通の学校にはまだ通わせられない代わりに、ここで社会勉強をしているという訳だ。
勿論、勉学に関しては暇な時に鞠絵を初めとした職員たちが教えていたりする。
「そろそろ離れてやれッつーの。鞠絵が困ってるじゃねぇか」
「ぬおっ!? オータムかっ!?」
マドカの首根っこを掴んでから鞠絵から引き離してくれたのは、以前にスコールと同じ組織に属していた女性で『オータム』と呼ばれている。
本名は不明なのだが、誰も気にしてはいないので普通に『オータムさん』で通っている。
彼女もまた、鞠絵の両親に説得されて今に至っていて、虎視眈々と鞠絵を自分の嫁にする為に頑張っていた。
「アタシも見てたぜ。遂に完成したんだな…プラネッツシステムの中枢にして、鞠絵の専用機が」
「あぁ。これでようやく、各種アーマーのテストもする事が出来る」
「ここからが忙しくなるな」
「うん!」
ニッコリと眩しい笑顔を見せて頷く鞠絵に、観測室にいた全員の顔がにやけてしまう。
一気に場の空気がほんわかとしたものに変化した。
「ところで、各アーマーはどんな感じになってる?」
「はい。『アース』と『マーズ』、それから『ヴィーナス』の方はいつでもテストが行えます」
「『マーキュリー』と『ジュピター』は?」
「現在、最終調整を行っています。そこまで時間は掛からないと思います」
「分かった。それじゃ、小休止の後にアースの換装テストをし……」
「はいはーい。それはちょっち待ってねー」
テストをしようか。
そう言いかけた時、観測室に誰かが入って来た。
白衣を着て眼鏡を掛けた少し小柄な女性。
鞠絵の同僚であると同時に倉持技研の副主任でもある『篝火ヒカルノ』。
因みに、主任は鞠絵である。
普段は飄々としている女性なのだが、その実は密かに鞠絵の隣を狙っていたりする。
「ヒカルノ? いきなりどうした?」
「鞠絵。アンタにお客さんだよ」
「「「「客?」」」」
スコール、オータム、マドカに鞠絵。
四人が揃って声を出した。
鞠絵個人に客が来るなんてことは割と珍しかった。
アポも取らずにいきなりやって来る奴ならば沢山いるのだが。
「客って誰だよ?」
「チミの古い馴染み…って言えば分かる?」
「アイツか……」
そのフレーズで分かったようで、溜息を吐きながら椅子からピョンと飛び降りた。
「仕方ないな。行ってくるよ」
「そうしな。シャワー…は無理でも、せめて着替えるぐらいはしなよー」
「へいへい」
「お客は客室に通してあるからー」
ヒラヒラと手を振りながら観測室を後にする。
廊下を歩きながら、ふと客について考える。
(千冬が自分からやって来るなんて珍しいな…。まさか、例の『二人目』に関する事か?)
嫌な予感がしながらも、鞠絵は客間に向かって歩いて行った。
ストーリー的には第一作に準拠しています。
違いがあるとすれば、最初から出ているキャラとアンチが無いこと、それから専用機が違う事ですね。
次回もガンガン攻めていくつもりです。