ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(IS編) 作:とんこつラーメン
因みに、私はコアガンダムの各アーマーは全種類コンプリートしてます。
発売される度に即座に買って地道に集めました。
ヒカルノに言われ、鞠絵は客室へと向かう事に。
普段ならば応接室へと通す所なのだが、今回は相手が相手なので客室でいいという事なのだろう。
(あ…そういや、行く前に着替えろとかって言ってたっけ…)
だが、今から着替えに行くのは単純に面倒くさいし、相手を待たせるのも社会人としてどうかと思う。
かといって、このまま行くのもそれはそれでアウトな気もするし…。
「…適当でいっか」
鞠絵は、専用機『コア』の拡張領域から一着の白衣を取り出し、それを適当に羽織った。
完全に袖も裾もダボダボになっていて、裾に至っては床を引きずっているのだが、本人は全く気にしていない。
「これでいいだろ。少なくとも、ISスーツのままでいるよりはマシな筈だ」
正直、あんまり変わっていないような気もするが、本人がいいと言っているのだから良いのだろう。
「じゃ、急ぎますか」
ペタペタと足音を立てながら廊下を進んでいくと、機械的なドアばかりが並んでいる倉持技研の中でも異質な洋風な扉がお出迎えしてくれた。
ここが来客が待っているという客室である。
一応のマナーとして、ノックをしてから確認をすることに。
「入るぞー」
背伸びをしてからドアノブを回し室内へと入ると、備え付けのソファに黒いスーツを着た黒い髪の女が座っていた。
向こうもこちらに気が付いたのか、鞠絵の顔を見た途端に安堵したような笑みを浮かべる。
「やっぱりお前か…千冬」
「久し振りだな、鞠絵。こうして会うのは一年振りぐらいになるのか…」
「だな」
この女性こそが、鞠絵の昔馴染みにして元日本代表IS操縦者であり、現在はIS学園にて教師をしている織斑千冬だ。
嘗てはモンドグロッソというISの世界大会にて優勝をした経験もあり、世界的にも名が知られている存在である。
「けど、お前からこっちに来るのは本当に珍しいな」
「そうか?」
「そうだよ。大抵の場合はオレの方からそっちに行くのに」
倉持技研はISというものを扱っているので、当然だが部外者は立ち入り禁止になっている。
外から客が来る際には、必ず何らかの形でアポイントメントを取らなければいけない。
特に、その相手が主任研究員である鞠絵であるならば尚更だ。
そうであるにも拘らず、千冬が普通に顔パス出来てしまうのは、彼女の過去の功績と有名税があるからだ。
本人はその事を余り快く思っていないが。
「それは…ISスーツか?」
「オレ専用に特注で作らせた奴だけどな」
「ということは、さっきまで何かやっていたのか?」
「ヒカルノからは何も聞かされていないのか?」
「いや…ただ『今は仕事中だから』としか」
「まぁ…そうだよな」
現在やっている事は、まだ部外秘扱いとなっている。
将来的にはちゃんと世間に公開する予定ではあるが、それはまだまだ先の話だ。
「…千冬になら別にいいか。口は固いし、ことISに関しては部外者って訳じゃないからな」
「いいのか?」
「構わないよ。多分だけど、遅かれ早かれ千冬には知られる事だと思うし」
そう言うと、鞠絵は徐に髪を掻き上げてから左耳についているイヤリングを見せた。
緑色の石が取り付けられた代物で、見た目だけならばかなり洒落ている。
「さっきまでやっていた事は、このオレの専用機『コア』の稼働テストだったんだ」
「専用機…まだ持ってなかったのか? てっきり、もうとっくにどこかの企業から提供されていたものとばかり……」
「確かに『ウチの作ったISのテストパイロットになってくれ』的な話は山ほど来たさ。けど、誰かに一方的に何かを与えられるってのは主義じゃないし、単純にオレの好みのISじゃなかった」
「だから製作したのか…自分の専用機を」
「そゆこと。最終的には少しスペックを落として量産できればと思ってるんだけど」
「抜かりが無いな……」
自分の欲求を満たしながらも、ちゃんと後々の事も考える。
この抜かりの無さが鞠絵の尊敬されている由縁の一つだったりする。
「って、なんかのっけから話が逸れてるし。まだ千冬がここにオレを訪ねてきた理由を聞いてない」
「そうだったな」
ピョンと千冬と反対側にあるソファに飛び乗ってから彼女と対面する。
白衣にISスーツという姿を真正面から見る事になるので、千冬の方は少しだけ顔を赤くしていたが。
「ま…鞠絵は二人目の男性IS操縦者が出た事は知っているか?」
「一応は。皆でニュース見てたし、政府の方からも色々とお達しが来たしな」
「お達し? それはなんだ?」
「大方の予想はついてるんじゃないのか?」
「…………」
ここで千冬は黙る。彼女にも想像は出来ているのだ。
自国の利益しか考えていない政治家連中が考えている事なんて、すぐに理解出来る。
「その二人目というのがな……私の弟なんだ」
「あ…やっぱそうだったんだ。最初に見た時は珍しい名字だなーとは思ったけど。お前の弟なら納得だわ」
たかが二人目。されど二人目。
本来、ISというのは女性しか起動する事が出来ない。
それなのに、どうしてか鞠絵は例外的にISを動かす事が出来る。
その原因は今現在も解明中だ。
なのに、そこにまさかの二人目が登場してしまった。
これは世界中の科学者たちにある可能性を示唆させてしまう。
『他にも、ISを動かす事が出来る男がいるかもしれない』という可能性を。
同時に、二人もいるのならばどっちかは今後の為の研究材料にしてもいいのではないかという人道に反する事も思い付いてしまうのも人間なのだ。
「で、それがどうかしたのか?」
「…これはあくまで、私個人の要望ではなく、IS学園からの要望になるのだが……」
急に姿勢を正して、千冬は深々と頭を下げてきた。
「鞠絵…いや、望月鞠絵博士。二人目のIS操縦者『織斑一夏』のメンタルケアとサポートの為に、IS学園に教師として赴任して欲しい」
「成る程…そう来たか」
普通ならば一介の研究員にこんな事は決して頼んだりはしないだろうが、鞠絵の場合は科学者としてこれまでに数多くの功績を残しているし、博士号も取得している。
世界的にも名が知られている上に、様々な資格も同時に持っていたりする。
その中には勿論『教員免許』も存在する。
「学園からの要望って事は、言い出したのは上層部の連中か?」
「いや…学園長からの要望だ」
「轡木のじーさんか…」
鞠絵や千冬が言う『轡木』とは、IS学園の真の理事長である『轡木十蔵』の事を指している。
表向きは用務員をしている好々爺なのだが、その正体は千冬ですら敵わない程の化け物なのだ。
「けど、そんな事を言うって事は、お前の弟はIS学園に入る事にしたってことなのか?」
「現状、それがアイツの身を守る唯一の手段だったからな」
「だよな。一応、お前っていう後ろ盾があるって言っても、千冬自身にそこまでの権限は無いしな……」
どれだけ名が知れて、ISの実力があったとしても、今の彼女はどこまで行っても『IS学園の教師』にすぎないのだ。
その肩書きで出来る事なんてのは、本当にたかが知れている。
「けど…そっか。まぁ…オレ自身も轡木のじーさんには色々と借りがあるし、同じ男としては女ばかりの場所にたった一人で放り込まれるのは大変だろうしな…」
「では?」
「行く…しかないんだろうな。多分、政府の方からも似たような事を言ってきそうだし。はぁ……」
またぞろ忙しくなる。
そう思うと、でっかい溜息が出てしまう。
「ただし、少しだけ条件がある」
「条件? なんだそれは?」
「そいつはじーさんに直接話すよ。その方がきっと手っ取り早い」
白衣のポケットからスマホを取り出し、どこかへと掛け始める。
通話自体はすぐに繋がり、スピーカーにしてからテーブルの上に置いた。
「もしもし? 聞こえてるかい? 轡木のじーさま」
『ちゃんと聞こえていますよ。望月博士』
「!!?」
まさか、この場で本人に直接電話をするとは思っていなかった千冬は、驚き余り思わず腰を浮かしそうになった。
「たった今、千冬から聞いたよ。あんたがオレを二人目の為に教員として着て欲しいって言ったらしいな?」
『その通りです。もしかして、ダメでしたか?』
「いや…それ自体は別に構わないよ。仮にあんたが言い出さなくても、お上の連中が言ってきただろうし」
『彼らならば有り得ますね』
「だろ?」
同じ『只者ではない』同士、変な所で共感している。
だからこそ、IS学園理事長に対してため口なんてことが許されているのかもしれない。
「けれど、オレがIS学園に出向する対価として、ある条件を飲んでほしい」
『条件にもよりますが…言ってみてください』
「まず一つ。オレの義妹であるマドカも入学させてやりたい。今までずっと倉持技研で仕事をしてきたけど、もうそろそろ学校って所に通わせてやりたい。これに関してはウチの両親も同じ気持ちだ」
『それぐらいならば全然構いませんよ。学園が賑やかになるのはいい事ですし』
「あんがと。二つ目は、オレの助手であるスコールとオータムも一緒に教員として学園に入れて欲しい」
『あのお二人ですか…』
「ダメか?」
『…理由をお聞きしても?』
そこで一息空けて、脚を組み直してから吐くように答えた。
「ついさっきまで稼働テストを行っていたオレの専用機の細かい調整がまだ済んでいないし、他の装備のテストもまだ終了していない。学園に行ってからもそれは継続したいと思っているんだ。別にオレ一人でもやってやれない事も無いが、少しでもスムーズに作業を進めるためには優秀なスタッフが必要だ。それに、アイツ等もオレと同じように教員免許を持っているし、ああ見えて面倒見もいい。更に言えば、二人ともIS操縦者としても非常に優秀だ。多少の事には目を瞑る結果になったとしても、学園側にもメリットは大きいと思うが?」
『……………』
轡木も、スコールとオータムが嘗てどんな人間達だったかはよく知っている。
鞠絵と出会ってから人が変わったかのように頑張っている事も。
『…いいでしょう。上層部には私の方から言っておきます』
「ありがとな。けど、じーさんから言う必要はないと思うぞ?」
『と言うと?』
「多分、うちのおふくろ達が何か言うだろ?」
『君の父である『望月陸奥守』博士と、母である『望月京子』博士ですか…』
「そ。あの人らのことだから、こうなる事を最初から予見してると思うし。二手三手なんて次元じゃない。未来予知でもしてるんじゃないかってレベルで先を読んでるからな」
『あの夫妻ならば十分に有り得ますね。それに、あの二人ならば頭の固い上層部も黙って頷くしかないでしょうな……』
精神も肉体も頭脳も人知を遥かに超越しているあの夫婦に逆らおうと思う人間はまずいない。特に『裏側』に属している者達は。
「アイツらには後でこっちから言っておくよ。でも、色々と準備する時間はいるぞ?」
『その点はご心配なく。博士たちに来ていただくのは入学式の日で構いませんので』
「そっか。なら大丈夫だな」
『こちらも、博士たちを迎える準備を進めないといけないので、そちらの方が都合がいいのですけどね』
「ふーん……」
一体何をするつもりなのか。
この轡木と言う人物の腹の底は本当に読めないので、鞠絵でも考察のしようがない。
『それと、政府の方から聞かされていると思いますが、二人目である織斑一夏くんのデータを取る為のISを……』
「その点も抜かりはないよ」
「ほ…本当かっ!?」
ここで、今までずっと二人の会話を聞いているだけだった千冬が入ってきた。
「うちで開発中だった試作第三世代機を二人目の為に改良を重ねながら作ってる最中だ。もうそろそろ完成予定だよ」
「そうか……。もしや、それがさっき言っていた『政府からの要望』か…?」
「御名答。うちには他にも開発を受け持ってる機体があってな。二機のISを並行して製造するのは中々に骨が折れたぞ?」
「そんな事が出来るのは、束以外にはお前だけだ……」
普通、ISの開発には莫大な時間と労力と経費が必要とされている。
それなのに、他にもスタッフがいるとはいえ、二機のISの開発を同時進行で進められる人間なんて確実に数が限られる。
「…ちょっと待て。さっきまで自分の専用機の稼働テストをやってたと言ってなかったか?」
「言ったぞ? それがどうかしたのか?」
「…二機じゃなくて三機のISの開発を同時にやってたのか?」
「まさか。コアに関しては、ずっと前から地道にやってたんだよ。だから、同時進行ってのとはちょっと違う」
「そう…だよな。流石に無いよな……」
と言いつつも、千冬は『鞠絵ならばやってしまっても不思議じゃない』と思ってしまっていた。
「けど…そっか。IS学園に行くんなら、ついでに『アレ』を持ち主に届けてやってもいいかもしれないな」
「アレ…とは?」
「二人目の機体と同時に作ってたってISだよ。そっちの方はもう最終調整さえ済めば完成なんだ。あとは本人に届けるだけ。じーさんなら知ってるんじゃないのか?」
『えぇ……『彼女』のことですね。あの子も今年、入学予定です』
「知ってる。向こうの家に行く手間が省けたと思えば、少しはマシかもな…」
肩を落とすようにしてから天井を見つめながらポツリと一言。
見た目は完全な幼女なのに、全身からはまるで残業帰りのサラリーマンのような哀愁を漂わせていた。
『では、よろしくお願いしますね』
「そっちこそな。またな」
通話が切れ、スマホを白衣のポケットに戻す。
大きな溜息と共に、ソファにゆっくりと寝転がる。
「どうした?」
「いやな…まだ今年の有給って一度も使ってないなーって思ってただけ。はぁ……また忙しくなる……」
「…すまない。ウチの弟がISを動かしたばっかりに…」
「気にすんなよ。過ぎた事をグチグチと言っても仕方ないさ。それよりも、これからの事を考えないと…ふわぁ~…」
いい事を言い掛けたのに、途中で欠伸が邪魔をする。
なんとも締まらない鞠絵なのだった。
(…後で絶対に仮眠をしよ)
お昼寝タイム確定。
倉持技研の中でも鞠絵にだけ許された特権である。
その後、少しだけ世間話をしてから千冬は学園へと帰って行った。
次々回ぐらいから原作突入するかも?
基本的に話の進み具合はスローですからね。