ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(IS編) 作:とんこつラーメン
歳をとればとるほど、時間の経過って早く感じるもんですね。
若かった頃が本当に懐かしい…。
倉持技研前。
大型のトレーラーの荷台にISや各アーマー等々を収納する為に、鞠絵がフォークリフトを使って器用に荷物運びをしていた。
「オーライ…オーライ…オーライ…ストップ! 博士、OKでーす!」
「おーう! わかったー!」
無事に全ての荷物つを運び終える事が出来た鞠絵は、肩をグルグルと回しながらフォークリフトから降りてきた。
「ふぅ……フォークリフトに乗るのなんて久し振りだったよ」
「お疲れ様です望月博士! いや~…まさか、博士がフォークリフトを動かせたなんて知りませんでしたよ!」
「必要だと判断した資格は取り敢えず全部習得するようにしてるんだよ。その為に、コレも用意したんだしな」
「その厚底ブーツッすか……」
部下である若手研究員に拍手されながら褒められ、照れくさそうにしながら足に付けている厚底ブーツを見せつけるように軽く右足を上げる。
「ちょ…博士! スカートの中が見えちゃいますって!」
「なんでお前が狼狽えてるんだよ……」
施設内では鞠絵は基本的に、黒いセーラー服に白衣という奇抜な服装で歩き廻っている。
初めて見た者の大半は、謎の幼女(に見える成人男性)が明らかに目立つ格好で技研内にいる事に驚きを隠せない。
一年近く一緒に仕事をすれば、嫌でもその環境にも慣れていくのだが。
「準備は終わったかしら?」
「今さっきな」
厚底ブーツを脱ぎ、自分の靴に履き替えながらリモコンのスイッチをポチっと押す。
すると、よく聞く機械音と共にトレーラーのコンテナの扉がゆっくりと閉まっていく。
「他の荷物は後で届くように手配してあるから……」
「アタシらは必要最低限の荷物だけで大丈夫ってことだな」
ボーイッシュな私服に着替えているオータムが、肩に掛けているバッグを見せながらポンポンと叩く。
スコールも私服に着替えた状態でバックを持っていて、マドカはIS学園の制服を着て学園指定の鞄を持っている。
ちゃんと鞠絵も荷物を入れたバックを用意していて、もう既にトレーラーの運転席に乗せてある。
「ところで姉さま。その厚底ブーツはどうするのですか?」
「うーん…持っていくか。今となってはかなりの骨董品だけど、あったらあったで何気に便利だしな」
それは鞠絵だけなのでは?
そこの場にいる全員が同じことを思ったが、それは人として言ってはいけないことだったので黙っていたという。
「にしても、もう入学式の時期になるとはな。あっという間だった」
「その間に各アーマーの運び出し準備や、注文されたISの最終調整もちゃんと終わらせてるから凄いわよね」
「これぐらい、なんてことは無いよ」
鞠絵は自分の事をよく『天才』と自称するが、かといって己の才能をひけらかすような事はしない。
彼の目指している場所は、生半可な事では絶対に辿り着けないと知っているから。
どんな偉業、どんな発明をしても決して満足なんてしない。
そんな事をしている暇があるなら、少しでも研鑽を重ねた方が良いと思っている。
「望月博士」
「ん? 所長か…」
研究員の殆どを引き連れて所長がやって来た。
どうやら、鞠絵たちの見送りに来てくれたようだ。
「学園側には君達がトレーラーでやって来ることはこちらで伝えてある。大型車専用の駐車場を使っても構わないらしい」
「それは助かる。こいつは大きさが大きさだから、駐車できる場所がどうしても限定されちまうからな。ちゃんと用意をしてくれているのは有り難い」
「…頑張って来てくれたまえ。君ならば必ずや立派な教師になれるさ」
「別に教師志望って訳じゃないんだけどな……」
教員免許は、あくまで両親も持っていたから自分もほしいと思っただけで、教師という職業自体にはそこまでの興味は無い。
それでもちゃんと免許が取れてしまうのだから、この男の娘のスペックは侮れない。
「んじゃ、そろそろ出発しますか。行ってくるよ皆」
「夏季休暇などには戻ってきてくれよ? 君にやって欲しい仕事はまだまだ沢山あるんだからな」
「わーってるよ。さて…運転は……」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「ぶ~…」
後部座席にて、鞠絵が頬を膨らませながら不貞腐れている。
トレーラーの運転をさせて貰えなかった事が気に入らないようだ。
「そう怒るなって。仕方ねぇだろ? 鞠絵が運転席に座ってたら、警察に職質とかされるかもしれねぇンだからさ」
「その時は、ちゃんと運転免許を提示すればいいだけだもん」
「それを信じてくれるかは微妙だけどね…」
「ほっぺを膨らませている姉さまが可愛くて辛い」
現在、トレーラーは都会の街中を走っている最中だ。
運転しているのはオータムで、助手席にはスコールが座っている。
マドカは、後部座席にて機嫌の悪い鞠絵を膝の上に乗せてから愛でていた。
「こう見えても、昔はよく『峠の首なしドライバー』って呼ばれてたんだぞ~…」
「それって……」
「単純に、他の連中から鞠絵の姿が見えてなかっただけなんじゃ…」
実際、鞠絵が運転席に座ると、外からは全く彼の姿は見えない。
そんな状態で車を走らせるのだから、傍から見たら無人の車が動いているようにしか感じないのだ。
「この先で高速道路に入るんだよな?」
「その方が早く到着するものね。時間的にはギリギリで入学式に間に合う筈よ?」
「オレたちはともかく、マドカを入学初日から遅刻させるわけにはいかないからな」
「姉さま…そんなにも私の事を想って……」
「いや…兄として当然の事を言っただけだからね? そこにそれ以上の感情は無いからね?」
普段はクールでぶっきらぼうな性格をしているマドカではあるが、こと鞠絵の事となると感情が爆発する。主に変な方向へと。
「こりゃ、途中サービスエリアとかで休憩とかする暇はないかね?」
「トイレ休憩ぐらいは大丈夫なんじゃない? 朝早くに出たから朝食もまだだし」
「そう言えば、少しお腹も空いたな…」
「準備で忙しかったからな…」
これから先の予定が決定した。
鞠絵たちが悠々自適な早朝ドライブを楽しんでいる頃、IS学園では…?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
IS学園 生徒会室。
生徒会役員である三年生の布仏虚は、とある書類を見て一瞬だけ完全硬直した。
「…………へ?」
普段の彼女ならば絶対に出さないような声を上げ、何度も何度も繰り返し書類を確かめる。
目を近づけ、眼鏡まで外してまで確かめる。
だけど、それだけ見ても書いてある内容は変わらない。
「お…おおおおおおおおおおおお嬢様!!! 大変です!!!」
「もう…虚ちゃん。学校ではお嬢様って呼ばないでってあれ程……」
驚きの余り、虚は急いで自身の主であり幼馴染でもあると同時に、IS学園生徒会長にして現ロシア代表でもあり、ついでに言うと暗部の家系である『更識家』の若き当主でもある、ある意味で属性満載の水色の髪を外に跳ねさせている少女『更識楯無』に書類を持っていった。
「なんか…物凄く長々と私の事を説明されたような気がする…」
「何を言ってるんですか? それよりも、これを見てください!!」
「ん? これって…今年入ってくる新任の先生達のリストじゃない。これがどうかしたの?」
「ここ! この一番上の名前をよく見てください!」
「一番上……って……これは…嘘でしょ……!?」
書類を持つ手が徐々に震えだし、壊れたおもちゃのようにギギギ…と虚の方を向く。
「望月博士が先生としてIS学園に来るってどういうことなのッ!?」
「知りませんよ! 私だって、今初めて知らされたんですから!!」
因みに、鞠絵のすぐ下にはオータムとスコールの名前も書いてあったのだが、今の二人には全く目に入っていなかったようだ。哀れ。
その時、混乱しまくっている二人に明確な回答をくれる存在から楯無の携帯に着信が入った。
「だ…誰っ!? って…学園長ッ!?」
まさかの相手からの電話に驚き、急いで出る事に。
「もしもしっ!?」
『更識くん、今は大丈夫ですか?』
「は…はい! 問題はありません! 入学式の準備は終わっていますし…」
『それは結構。では、今年来る新任教師のリストはもう見ましたか?』
「そうだ、それ! 望月博士が来るってどういう事なんですかッ!? 私は全く聞かされてませんよッ!?」
『それを今から説明する為に電話をしたんですよ』
そして、やっと明かされる鞠絵が新任教師としてくる理由。
今年入学する『二人目』のメンタルケアの為。
それ以外にも、鞠絵の授業を通じて生徒達の全体的なスキルアップを狙う事。
勿論、無理を言って来て貰う以上、学園側もかなりの待遇を用意する予定であること。
その他にも色々と聞かされ、楯無の頭はすぐにパンク寸前となった。
『…という訳ですから、彼がやってきたら是非とも生徒会長として学内の案内をお願いしたいのですよ。博士と少なからず交流がある君ならば適任でしょう?』
「そ…それはまぁ…私としても嬉しいですけど……」
鞠絵と二人っきりで校舎の中を歩く妄想をする楯無。
だが悲しいかな。実際には鞠絵の他にも案内すべき相手がいる事を彼女はまだ知らない。
『それと、君にとって嬉しい情報もありますよ』
「嬉しい情報?」
楯無的には、鞠絵が来てくれること自体が嬉しい情報なのだが、それ以上に何があるというのだろうか?
『どうやら、君の妹さんの専用機が完成したらしく、博士が新任と同時にそれを持って来てくれるそうです』
「か…簪ちゃんの専用機がっ!? ま…まさか、博士がやってくれたんですか…?」
『らしいですよ? 彼は昔から中途半端な仕事を嫌いますからね。恐らく、これ以上ない程に完璧に仕上がっている事でしょう』
「よ…よかった…本当に……」
半ば見捨てられる寸前まで追い詰められていた状況だったのに、それをどうにかしてくれたばかりか、自分の手で学園まで持って来てくれる。
どれだけ感謝してもしきれない。
また鞠絵には非常に大きな借りが出来てしまった。
『博士の妹さんも彼の要望で入学する事になったので、仲良くしてあげてくださいね』
「任せてください! 私の将来の義妹になるかもしれない子ですから!」
『君は何を言ってるんですか?』
もう鞠絵と婚約した気でいる楯無。
だが、彼女はまだ何も知らない。
自分の恋のライバルとなる存在は想像以上に多いという事を。
今年の新入生達の中にもそれはいるし、千冬というダークホースもいる。
ついでに言えば、在校生の中にも数人いたりする。
その一人が、楯無の目の前にいる虚だったりもするのだ。
「博士にも入学式に出て貰うんですか?」
『到着が間に合えば、そうして欲しいとは思っています。こればかりは本人次第ですね』
「では、一応念の為に博士も紹介する流れでプログラムを軽く組み直しますよ。もしも間に合わなければ、当初の予定通りにすればいいだけですし」
『そうですね。その方向でお願いします。では、そろそろ失礼しましょうか』
「お疲れ様でした」
通話が切れ、楯無は静かに携帯を机の上に置いた。
肘を突き、手を組んでから真剣な表情で虚に尋ねる。
「ねぇ…虚ちゃん」
「なんでしょうか?」
「高校生で結婚するって…ありだと思う?」
「なしに決まってます。というか、いきなり何を言いだすんですか」
「私と望月博士との将来の話に決まってるじゃない」
「お嬢様」
唐突に微笑を浮かべる虚だったが、その目は全く笑ってはいない。
それどころか、楯無に向かって火花を飛ばす始末。
「幾ら、お嬢様でも譲れるものと譲れないものがあるって事を覚えておいてくださいね…?」
「それはこっちの台詞よ…虚ちゃん…」
「「うふふふふふ……」」
生徒会室で女同士の戦いが密かに繰り広げられている中、鞠絵達一行は着実に学園へと向かってきているのだった。
ずっと言い忘れていましたが、今回のもっちーは今までとは違って義手&義足はつけていません。
手も足もちゃんと生身で、幼女特有のプニプニボディで構成されています。