ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(IS編) 作:とんこつラーメン
今の私はまさしく、そんな状態になってますね。
理事長室を後にした鞠絵たちは、千冬の案内で入学式が執り行われる公会堂へと向かっていた。
「なーんか、俺一人だけすっごい貧乏くじを引かされたような気がする」
「それだけ鞠絵が優秀だという証拠だろう」
「だとしてもなぁ~…」
千冬に褒められても、素直には納得できない。
一年生だけならばまだしも、二年や三年の教室にも行って授業をしなければならないと思うと、やる気よりも面倒くささの方が先に来てしまう。
「公会堂に到着したら、私がマドカを新入生達の座る場所まで案内しよう」
「私達はどうしたらいいのかしら?」
「生徒会の者達がいる筈だから、彼女達の指示に従ってくれ」
「了解だ。にしても、生徒会…ねぇ…」
『生徒会』と聞いて、オータムは余り良い印象が無い。
彼女中にある生徒会という組織は、かなり堅苦しいイメージしかないからだ。
「因みに、生徒会の役員ってどんな子達なの?」
「それに関しては、私よりも鞠絵の方が詳しいんじゃないか?」
「え? オレ?」
なんでここで自分の名前が出てくるのだろうか?
不思議に思いながら己の顔を指差して首を傾げた。
「実際に会えば分るさ。ほら、もうすぐだぞ」
千冬の視線の先には、理事長室と同様の仰々しい感じの前時代的な扉があった。
至る所に金を掛けて最先端技術を使いまくっているにも拘らず、こんな所には何故かクラシックな物を求める。
何とも言えないアンバランスさを感じずにはいられない。
「ほぇ~…」
「中から大勢の人の気配がするわね。もう新入生達は集まっているのかしら?」
「あぁ。今は入学式が始まるのを待っている状態だな」
さて、ここからどうするべきか。
そんな事を考えていると、鞠絵たちが歩いてきた方とは別の方の廊下の向こうから二人の生徒達が歩いてきた。
リボンの色から、一人は二年生で、もう一人は三年生であることが伺える。
「お前達は……」
彼女達を見て、鞠絵は思わず目を見開いた。
何故なら、その子達は彼もよく知っている者達だったから。
「ようこそいらっしゃいました、皆さん。理事長からお話は伺っています。そして……」
眼鏡を掛けた少女が鞠絵の方を見て、静かに微笑んだ。
「お久し振りです、望月博士。いえ…今はもう『望月先生』でしたね」
「虚…お前、布仏虚…か?」
「はい。IS学園の三年生にして、今は生徒会の役員を務めています」
布仏虚にとって、鞠絵は様々な意味で大切な人物である。
ある人物からの依頼で、鞠絵は彼女に整備技術のイロハの全てを鞠絵から徹底的に叩き込んでいて、二人の関係は謂わば『師匠と弟子』のような事になっている。
虚の方からすればそれだけに留まらず、彼女が初めて意識をした異性…俗に言う『初恋の相手』でもあるのだ。
「つーことは、お前の隣にいるのはやっぱり……」
「も…望月博士が目の前にいる…あぁ…いつ見てもやっぱり可愛い…♡」
「かた…いや、楯無か…。なんつー顔をしてるんだ…」
顔を完全にニヤつかせている欲望丸出しの少女『更識楯無』も、鞠絵にとっては弟子のような存在で、虚が整備関係の弟子ならば、楯無はISの操縦技術方面の弟子である。
現在は訳あって日本人であるにも拘らずロシア代表なんて地位に立っているが、彼女がそんな場所に辿り着けたのは間違いなく鞠絵からの教えが大きい。
「虚が役員って事は、楯無は……」
「生徒会長をやっています」
「…マジか」
「マジです! 頑張りました!」
普段はあまり自分で『頑張った』なんて言うキャラではないが、鞠絵の前では素に戻ってしまうようだ。
これも惚れた弱みという奴なのかもしれない。
「あらあら…これはまた別の意味で凄い子達が出てきたわね~」
「面白れぇ…!」
静かに闘志を燃やすスコール&オータム。
その理由は単純明快。二人もまた鞠絵に惚れているからだ。
今はまだ助手と言う立場だが、いつの日か必ず恋人を経由して夫婦になってみせると心に誓っている。
「お二人の事は聞いてますよ。これから、よろしくお願いします」
「いえいえ。こちらこそ、よろしくお願いするわね?」
ニッコリと微笑みながら握手を交わすスコールと虚だが、二人の間には明らかに火花が散っていた。
そしてそれは、隣の二人も同様で……。
「機会があれば、お手合わせを願いたいですね~」
「望むところだっつーの」
楯無とオータムもまた、握手をしながら激しく火花を散らす。
二人揃って顔が笑顔なのが普通に怖い。
「おい貴様等」
ここでずっと黙っていた千冬の乱入。
だが、彼女がこの状況で真面な事なんて言う訳がない。
「鞠絵は私の嫁だぞ」
「人の事を嫁言うな」
どれだけ訴えても『嫁』呼びは覆りそうにない。
これもまた男の娘の宿命なのか。
「この中の誰が私の義姉になっても普通にイヤだな……」
マドカ、心の叫び。
別に、千冬もスコールもオータムも人間としては決して嫌いと言う訳ではないが、鞠絵の前ではそれらの長所が全て消し飛んでしまうのだ。
それに関してはマドカも余り人の事は言えないのだが。
「あら。貴女が博士の妹さんかしら?」
「望月マドカだ」
「マドカちゃんね。将来の義妹の名前はちゃんと覚えておかないとね」
「誰が義妹だ。誰が」
楯無からいきなりの義妹宣言にマドカはジト目になる。
因みに、普通にしていたら千冬とそっくりの髪型や顔などで色々とバレそうになるのだが、今のマドカは後ろ髪を後頭部で一纏めにしているので意外と気付かれない。
「まぁ…なんだ。悪い奴等ではないから、仲良くしてやってくれ」
「姉さまがそう言うなら……」
「「姉さま?」」
「何か変か? 姉さまは姉さまだろう?」
(この子もこの子で…)
(相当ですね…)
鞠絵の容姿を見て『姉』と呼びたがる気持ちはよーく理解は出来るので、楯無も虚もここは敢えて黙ってやることにした。
「で、入学式の方はどうなっている?」
「もうすぐ開始です。私達は望月博士…じゃなくて、望月先生たちの事を待っていたんです」
「成る程」
つまり、自分達が来ない事には始められないと。
新任教師の紹介をするのだから、当たり前と言えば当たり前だった。
「では、望月先生たちは私達に着いて来て下さい」
「マドカはこっちだ。今ならば、まだ間に合う筈だ。空いた席にでも座っていてくれ」
こうして、鞠絵たちは楯無と虚に、マドカは千冬に連れられる形で入学式会場へと入って行くのだった。
・・・・・
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・・・
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入学式会場、公会堂の壇上裏。
そこで鞠絵たちは少し前に始まった入学式を静かに見ていた。
(まさか、自分が本当に教師になる日が来るだなんてな……)
誰かにものを教えること自体は嫌いじゃない。
自分の教え子の成長を見られるのは純粋に嬉しいし楽しい。
そこからしか得られないものもあるという事も鞠絵は良く理解している。
(意外と司会をしている姿が様になってるじゃないか…虚。それに…)
壇上の傍では虚が入学式の司会を務め、今は生徒会長である楯無が生徒会長として入学生たちに挨拶をしている。
いつもの飄々とした感じは完全に消え、真面目な顔で己の務めを果たしている。
鞠絵は知っている。あれこそが楯無の本当の姿であり、普段の明るい顔は彼女なりのカモフラージュなのだと。
「これにて生徒会長の挨拶を終わります。次は、今年度から新しく学園にやってこられた先生方をご紹介します」
自分達の出番か。
鞠絵はスコールとオータムに目配せをすると、二人も笑みを浮かべながら頷いた。
「じゃ、行きますか」
鞠絵が先頭に立ち、その後ろにスコールとオータムが続く形で壇上に登場する。
チラッと新入生達を見てみると、自分達を見て固まっているようだった。
(気のせいか…オレに視線が集まってないか?)
気のせいじゃありません。
どう見ても小学生低学年女子にか見えない幼女が黒いセーラー服に白衣という奇抜すぎる格好で現れたのだから、そこに注目しない方がおかしい。
「どうぞ」
「ん」
虚がそそくさとやって来て、先程まで楯無が使っていたマイクを鞠絵に渡す。
なんだか選挙演説でもしているような気分だな。
そんな場違いな事を考えつつ、一歩だけ前に出る事に。
「まずは望月先生からお願いします」
「はい」
改めて会場を見渡すと、なんだか見た事のあるような顔がちらほら。
気の強そうな誰かさんの妹に、どこかで見た事のあるような金髪少女。
眼鏡を掛けた気の弱そうな顔をしている少女もいる。
(んでもって…)
その中でも一際目立つのが、たった一人だけ男子の制服を着ている少年。
成る程、アイツが二人目か。
一瞬だけ視線をやってから、すぐに全体を見渡すように前を向いた。
「えー…皆さん、初めまして。お…私が、今年から新任の教師としてIS学園で働く望月鞠絵です。ここに来る前は倉持技研で主任研究員をやっていました。なので、どこかのクラスの担任をする訳ではなく、基本的には各クラスを回りながらISに関する授業をやっていく予定です。何か分からない事とかがあれば、いつでも相談に来て下さい。これから、どうぞよろしくお願いします」
社会人として無難な自己紹介で済ませた鞠絵。
変に個性を強調する必要なんかない。
プライベートならばともかく、公の場では自分を殺してでも真面目にするのが最適解である、と鞠絵は信じている。
最後にペコリと頭を下げてから、鞠絵は元の位置に戻る。
その途中でふと千冬と楯無の姿が視界に映ったのだが、二人は揃って鼻を押さえながら体を震わせていた。
その近くでは、これまたどこかで見た事のあるような気がする緑の髪の眼鏡を掛けた教師が両手を重ねながらホンワカとした表情を見せている。
(…? なんなんだ一体……うをっ!?)
疑問に感じながらも、次に挨拶をするスコールにマイクを渡そうとすると、彼女もまた鼻を押さえながら体を震わせていた。
「博士…ちょっとさっきの挨拶は可愛過ぎよ…。予め我慢をしてなかったら、この場で派手に赤い花を散らしていたところだったわ……」
「何が?」
意見を求めてオータムの方を見ると、彼女もまた同じように鼻を押さえている。
どうして、皆揃って同じリアクションばかりをしているのか。
「とにかく、次。お前だぞ」
「わ…分かったわ…」
鞠絵からマイクを受け取りつつ、咄嗟にポケットの中に忍ばせていたポケットティッシュで鼻を拭いてから、いつもの表情に戻ってから一歩前に出た。
「初めまして。私はスコール・ミューゼル。望月先生と同じく倉持技研から出向してきた身で、出身地はアメリカよ。技研では先生の助手として……」
スコールの挨拶によって場の空気がなんとか持ち堪え、そのままオータムまで繋ぐことが出来た。
今にして思えば、鞠絵の挨拶は最後にするべきだったと思った虚だった。
その後も滞りなく入学式は続いていき、何事も無く終了をした。
新入生達の間ですぐに鞠絵の事が話題になったのは言うまでもない。
次回はやっと一夏と出会う…かも?
その前にまず確実に山田先生とは出会うでしょうが。