ロリでショタで30代の男の娘は好きですか?(IS編)   作:とんこつラーメン

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沢山寝ている筈なのに、なんでか疲れが取れる気配がありません。

私も歳を取ったってことなんでしょうか…。







社会人です

 千冬と真耶と鞠絵の三人が教室へと入ると、つい先程までずっと一夏に集中していた視線が教師三人へと向けられる。

 教壇へと向かう千冬に生徒達の視線が釘付けになる…とはいかず、彼女と同じぐらいに鞠絵にも注目が行っていた。

 入学式にて堂々と自己紹介をしていた人物が直後に自分達の教室へと入って来れば、否が応でも注目される。

 因みに、真耶には殆ど誰も注目していなかった。

 

 その中でも一際、視線を動かしまくっていたのは話題の人物である織斑一夏だった。

 自分の姉が自分のクラスの担任である事だけでも十分に驚きなのに、更には先程まで自分が考えていた相手が目の前にいるのだから無理も無い。

 千冬の方を向き、次に鞠絵の方を向く。

 さっきから視線が泳ぎまくりでかなり挙動不審に見える。

 

「まずは入学おめでとうと言わせて貰おう。私が、この一年一組の担任である織斑千冬だ。そして、隣にいるのが……」

「副担任の山田真耶です。皆さん、これから一年間よろしくお願いしますね」

 

 真耶が丁寧な挨拶をしても誰も反応しない。

 別に今に始まった事ではないので驚きはしないが、それでも地味に落ち込んでしまう。

 大抵の場合、千冬が入って来た瞬間、もしくは挨拶をした瞬間には教室中が大騒ぎになってとんでもない事になるのだが、なんでか今はまるで嵐の前の静けさのようになっていた。

 

「あー…これってオレも挨拶をする流れ?」

「だな。頼むぞ」

「へーい」

 

 ついさっき入学式で自己紹介したばかりなのに、また同じことをしないといけないと思うとなんだかげんなりする。

 けれど、これもまた仕事の内かと割り切って、改めて挨拶をすることに。

 

「さっき入学式でも言ったと思うが、倉持技研から来た望月鞠絵だ。基本的にオレは何処かのクラスの担任をするって訳じゃなくて、普通の高校みたいにISの教科を担当するって感じになってる。授業の内容とかで分かんない事とかがあれば、いつでも聞きに来ていいからな~。んじゃ、今後ともよろしく」

 

 鞠絵の体が非常に小さいので、頑張って背伸びをした状態で挨拶をするが、それでも後ろの生徒には見えずらい。

 一番前にいた一夏は近くで見る鞠絵を呆然と見つめ、マドカは鼻血が出そうになるのを必死に押さえていた。

 

「「「「「…………」」」」」

 

 教師三人が挨拶をしてもまだ何も反応が無い。

 いや、静かな事はとても良い事なのだが、静かすぎるのが却って不安を掻き立てる。

 そして、去年も担任をしていた千冬はこのパターンが何を示すかを良く知っていた。

 

「これは…ヤバいな。鞠絵、急いで耳を……」

 

 塞いでくれ。

 そう注意を促そうとした瞬間、強烈な音の衝撃波が教室中に響き渡る。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 千冬さまよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

「まさか、一年から早々に千冬様にお会い出来るだなんて!!」

「望月博士って言ったらISの最高権威の一人よねっ!? 小っちゃくて可愛い~!!」

「こ…これが生の望月博士ッ!? 美幼女で天才で最強でオレっ子とか…まるで属性のデパートやー!!」

「我が人生に一片の悔いなし!!」

「頑張ってIS学園に入学してよかったー!!」

 

 現役女子高生の元気が大爆発し、それが物理的な衝撃となって襲い掛かる。

 パターンが読めていた千冬と真耶は咄嗟に耳を塞いで被害を最小限に押さえ込めたが、それを知らない者達はそうはいかない。

 

「ふにゃぁぁぁぁぁぁっ!?」

「いいぃぃぃぃぃぃぃっ!?」

 

 鞠絵はワンテンポ遅れて耳を塞いだので鼓膜にダメージが入ってしまい、一夏に至っては耳を塞ぐ事すら出来なかったのでダイレクトに受けてしまった。

 因みに、マドカは速攻で気を失い、白目を向いて泡を吹いていた。

 

「静かにせんか!!」

 

 千冬の鶴の一声で生徒達の叫びは一瞬で鎮静化し、教室にまた静寂が訪れた。

 未だに鞠絵は目をグルグルさせた状態でフラフラしていて、一夏は机に突っ伏して口から魂が抜けかけている。

 

「全く…貴様等の声で鞠絵の鼓膜が破れたら、どう責任を取るつもりだ?」

「はにゃ~…頭がズキズキするぅ~…」

 

 頭を抱えながら目尻に涙を貯める鞠絵。

 彼の場合、そんな仕草すらも可愛らしく見えるのが質が悪い。

 

「って、おぉぉぉぉぉっ!? マドカァァァッ!? しっかしろぉぉぉっ!?」

「うぅぅ……ウェディングドレスを着た姉さまと一緒にバージンロードを歩く夢を見ていたような気がする……」

「なんか現実になりそうだから止めて」

 

 隙あらば色んな格好をさせようと企む連中が周りに大勢いるので、マドカが言った事が現実になる可能性は否定できない。

 

「あのー…織斑先生? 彼も気絶してるんですけど……」

「心配はいらん。こんな時は、この出席簿で……」

 

 徐に取り出した一枚の出席簿。

 実は鞠絵のお手製で、非常に優秀な防弾処理が施されている。

 固定式ガトリングガン程度の銃撃ならば余裕で耐えられるだけの強度を誇っているのだ。

 

「ふん!」

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

 ばちこーん!!

 そんな擬音が見えそうな一撃が一夏の頭に叩き込まれ、一発で正気へと戻させた。

 

「目が覚めたか?」

「あ…あれ? 千冬姉…?」

 

 ここでもう一発ばちこーんとお見舞い。

 

「いったぁっ!?」

「学園内では織斑先生と呼べ。いいな? 分かったら返事をしろ」

「は…はい…織斑先生……」

「よろしい」

 

 ようやく落ち着いた教室を見てから教壇へと戻る。

 この数秒にて生徒達は理解した。

 下手に怒らせたら、確実にあの出席簿が飛んでくると。

 

「それと、彼の事も『博士』ではなく、ちゃんと『望月先生』と呼べ。いいな?」

「「「「は…はい!」」」」

 

 などと言ってはいるが、本人は普通に『鞠絵』と呼んでいるのはいかがなものか。

 そんな事を言えば千冬は『私は良いんだ』なんて言い出しそうだが。

 

「あ…あの……」

「なんだ?」

「今…望月先生の事を『彼』って言いましたけど、もしかして……」

「そうか。初見では気が付かないのも仕方がないか。そうだ。望月先生は正真正銘の男だ。無論、ちゃんと成人している」

「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」」」」」

 

 ここで二度目の衝撃。

 天才美幼女教師かと思っていたら、天才ショタ男の娘教師だった。

 目の前にラノベのような存在がいるのだから、ある意味で千冬が登場した時よりも衝撃は強かった。

 

「ま…まさかの男の娘ッ!? 嘘でしょっ!?」

「男の娘って実在したんだ……」

「フィクションだけの存在かと思ってた……」

「薄い本が厚くなる…! 新ジャンル開拓のチャンス!」

 

 殆どはまさかの展開に驚いているが、約数名だけは今年の夏に向けてのネタが生まれた事に歓喜していた。

 

「オレ…そんなに男に見えない…?」

「うぐ…鞠絵には悪いと思うが…全く見えない。どこからどう見ても、可愛らしい美幼女にしか見えん。それは今更ではないのか?」

「まぁ…そうなんだけどさ。こうもハッキリと言われると流石にキツいと言いますか……」

 

 鞠絵自身、自分が女顔である自覚はあったが、こんなにも大勢から一気に言われたのは初めてなので衝撃が大きかった。

 

「ま…待ってくれよ!」

「どうした織斑?」

「この人が男って事は、もしかして世界で初めてISを動かした男って…」

「勿論、望月先生だ」

「「「「「…………」」」」」

 

 もう驚く気力すらないのか、遂には黙り込んでしまった。

 当時、鞠絵が初めてISを動かした際には超絶チートな両親の手によって情報規制が成され、ごく一部の関係者以外にはその正体などは一切伏せられていた。

 世間一般に教えられたのは、彼のイニシャルと年齢だけだ。

 それ以外は全て機密情報扱いとなっていた。

 鞠絵が科学者として大成をした今となっては普通に全ての情報が公開されているが、それでも顔などを知っているのは本当に限定されている。

 科学者としては世界的に有名となっている鞠絵ではあるが、彼が史上初の男性IS操縦者であることはそこまで知られていないので、生徒達がここで驚くのもある意味では当然の反応なのだ。

 

「織斑。お前にとって望月先生はあらゆる意味で先達だ。特に敬意を持って接するように。いいな?」

「は…はい…」

 

 もうどこからツッコんでいいのか分らない。

 少なくとも、同じ男としてこれから鞠絵と接する機会は多くなりそうだと思った一夏なのだった。

 

「では、少し話が逸れたが、まずは自己紹介からするとしよう。これからに関する詳し話はそれからだ」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 あ行から順に自己紹介をしていき、あっという間に『お』の順番が回ってくる。

 このクラスで『お』から名前が始まるのは一夏だけ。

 ということは、必然的に次が一夏の番となる。

 

「では、次お願いしますね」

「は…はい」

 

 真耶に促されて席から立つ一夏。

 だが、自己紹介の内容なんて全く思いついていない。

 緊張から、さっきまで頭が真っ白だったので、何を言えばいいのか分からなくなっていた。

 

「どした少年? 自己紹介しないのか?」

「そ…その…何を言っていいのか分らなくて……」

「んなの、テキトーでいいんだよ。テキトーで。名前と趣味、もしくは特技とか」

「名前に趣味・特技か……よし」

 

 鞠絵に早くもアドバイスを貰い、決意を固める。

 グッと拳を握りしめてから、意を決して自己紹介を始めた。

 

「お…織斑一夏です! 趣味…って言っていいのかは分からないけど、料理とかが得意です! ISの事はマジで何にも分りません! なので、色々と教えてくれると助かります! これからよろしくお願いします!」

 

 なんか余計なことまで言ってしまったが、最初の自己紹介にしては上出来な方と言える。

 鞠絵も、萌え袖をパタパタとさせて拍手しているし。

 

「よく出来ました。なんだよ。やればできるじゃんか」

「先生のお蔭です。ありがとうございました」

「これぐらい、お安い御用だよ」

 

 ニヒヒ…と笑う鞠絵に釣られ、思わず一夏も笑みを浮かべる。

 それを見て必死にネタ帳にペンを走らせる生徒がいたとかいないとか。

 

 それからも自己紹介は続いていき、どこかで聞いたことのあるような名字の少女や、明らかに外国から来たと思われる金髪の少女の自己紹介があった。

 

(篠ノ之箒…か。最後に会ったのはいつだったっけ。なんか懐かしいねぇ~。それに、セシリア・オルコットね。これまた懐かしい顔じゃないの。前にイギリスに出張に行った時以来になるのか)

 

 鞠絵の交友関係はかなり広い。

 国内だけに留まらず、世界各地に色んな知り合いがいたりする。

 イギリスに中国、フランスにドイツ。イタリアやオランダ、ギリシャやタイなど多岐に渡る。

 

 そして、次はマドカの番となった。

 

「望月マドカだ。この名字から察すると思うが、私はそこにいる姉さまの(義理の)妹だ。倉持技研ではISのテストパイロットをしていた。ISに関しては候補生レベルには詳しいつもりだ。よろしく頼む」

 

 姉さまとはなんぞや?

 そんなツッコミをしたくて仕方がない生徒達だったが、もうこれ以上は下手な詮索はしない方が良いと思い、全員が大人しく言葉を飲み込んだという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回もスローでのんびり行きます。

展開速度は期待しないでください。
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