エルフに出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:ねるれすと
何を書いていいかわからず終わり方が思いつかなかったので次は長くエイナさんとの話を書きたいです。
「エイナさーん」
今日もダンジョン探索から帰って真っ先にすることはエイナさんへの生存報告だ。
僕が冒険者になった時からお世話になっているハーフエルフの探索アドバイザー。
美人で、性格もいいから冒険者からの人気も高い。
そんなエイナさんのことを美人だなとは思うけどアドバイザーさんだし、周りの目も怖いしで特になにか行動を起こしているわけではない。
エイナさん可愛いなぁ。
そんなことを考えながらカウンターの前で待っているとエイナさんがやってきた。
「大丈夫だった?」
いつも開口一番それを言う。
確かに自分はまだ頼りなく見えるから仕方ないと思いつつも、なんだか悔しい。
「そういえば今日、10万バリスも稼いじゃったんですよ!いつものお礼に、ご飯食べに行きませんか?」
周りから鋭い殺気を感じ冷汗が止まらない。。。。
時折、遠いところから見られている気がするから視線には少し敏感だ。
「もう!無茶してないでしょうね!ベル君はいつも冒険しようとするから。
いつも言ってるでしょ!冒険はしちゃダメだって。」
エイナさん怒ってる。断られた、、としょんぼりしたウサギみたいに縮こまっていると
「でも明日お仕事おやすみだから行ってもいいよ。」
「ほんとですか。」
一瞬で縮こまったウサギから、顔がぱぁと明るくなる。飛び跳ねて喜びを表す。
豊穣の女主人に17時でと言い残して僕は足早に立ち去った。
探索でかいた汗が染みこんだ体を流すためお風呂に入って、髪の毛を整えてとエイナさんと待ち合わせの前にやることは山済みだ。
ホームに帰ると先に帰っていたみんなは疲れ果てて寝てしまっていた。
まだ15時なのに、、
確かに今日は朝早くから探索だったし疲れたのかな。
唯一ヴェルフだけは起きていたけど酒場へは来ないそうだ。
「すまん、今日はやめとく、受付の子と二人で行っといてくれ。
絶対にリリスケと主神様には言うんじゃねえぞ。」
疲れ切っちゃう前に武器の整備がしたいみたいだ。ついでに僕のナイフも頼んでおく。
「ヴェルフいつもありがとう。」
ふだんは恥ずかしくてこんなこと言えないな、この後の楽しみのせいかな、なんて思いつつ
お風呂場へ向かう。
なんでヴェルフがあんなことを言ったのかわからないけれど。
念入りに体を洗って長めのお風呂から出ると
神様が帰ってきていた。
「ベぇルぅ君、今日はじゃが丸くんのバイトのメンバーで親睦会があるから僕は出かけるよ。一緒にご飯食べられなくてごめんよー」
僕を見つけた瞬間に抱き着いて離れて、抱き着いては離れてを繰り返しながら早口で要件を伝えてすぐに出ていった。
神様はいつもにぎやかだなと苦笑いしつつ、時計を見たらもう時間がない。
この前服屋のお姉さんにセットで揃えてもらったものに着替えてさっそく向かう。
道中は足取り軽やかにスキップして目的地を目指す。
「エイナさん~、エイナっさん。」
楽しみのせいか、ただでさえ素早い白い兎はいつもよりもさらに軽やかな足取りで進む。
道をすれ違う人々は突然の巻き起こった突風に目を塞ぐ。
約束の時間よりもかなり早く着いたみたいだ。
待ち合わせに使った豊穣の女主人の前に人影はない。
お店の前でお目当ての人が来るまで待つことにする。
ダンジョンの探索で敵が来るのを待ちぶせすることはよくあるし待つことに関しては全然苦ではない、ましては美人ハーフエルフとの約束付きの今ならなおさら。
エイナさんと何を話そうかと考えていると少し時間がたったのだろうか、人通りが先ほどよりも増えていた。
すると突然背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「クラネルさん、待ち合わせですか?」
この芯の通った美しい声はリューさん。
リューさんもエルフで光沢のある金髪に少し冷たさを感じさせるが整った顔立ち。
酒場の制服では隠れていているが手足はすらりと長く白く美しいことを僕は知っている。
リューさんに今日エイナさんとご飯を食べることを説明すると
「シルがこの場にいなくてよかった。」
と言い残し、ため息をついてお店のなかへ戻ってしまった。
疑問を感じつつも思考を切り替えてエイナさんを待つことにする。
今日のために会話が途切れない方法もヘルメス様に聞いたし、困ったら出す話題のストックも考えてきたしばっちりだ。
どんな服装で来るのかな?
ウキウキして待っているとすでに日はだいぶ傾いてきている。
向こうから細身の影のシルエットが近づいてくる。
「おまたせー!ベル君」
フリルのついた可愛らしい白いTシャツに
赤のミニスカートと黒のハイソックスをはいているエイナさんが目に入った。
思わず顔が赤くなったけど、夕日のせいにしておく。
「じゃあ大通りの酒場いきましょう!」
豊穣の女主人は知り合いが多すぎるから場所を変えることにする。
エイナさんと二人で並んで歩いているだけでかすかにいい匂いがする。
隣を見ると思ったよりも小さく感じるエイナさんの綺麗な髪にどうしても目が引き寄せられる。
エイナさんに今日の探索であった出来事を話ながら歩いているとなんだか恋人みたいに感じて少し恥ずかしい。
目的地には歩いてすぐについた。
入口は少しわかりづらいが中は個室になっていて雰囲気がいいお店らしい。
らしいっていうのは、モルドさんに教えてもらっただけで僕は来たことがないからだ。
「っしゃせー、何名様でお越しですかー?」
少しやんちゃそうだけど、人懐っこそうなお兄さんが案内してくれる。
おしゃれな雰囲気の内装のためか少し狭めの入口を抜ける、そこには広い空間が広がっていた。
お店の手前側にはたくさんの丸テーブルが並べられ解放的な雰囲気を演出しているエリアがある。お客さんは女性が多い。オラリオでは比較的珍しい屈強な冒険者風の男たちは少ない。楽しげな様相の女子会を開く女の子たち、いい雰囲気を醸し出した男女二人組。
そしてお店の奥には個室が完備されている。
「こちらのお席にどうぞー」
四人掛けの個室に案内される。
隣の個室を通り過ぎた瞬間、少し開いたすき間から中にいる人と目が合った。
「!!」
「ベルぅくんこれはどういうことだい。」
幼顔の神様は怒った顔でも怖くはないが、声が明らかに不機嫌だ。
一瞬ひるんだすきに冒険者の僕も目にもとまらぬ速さで扉を開け、僕に飛びついてくる。
ステータスの恩恵を受けない神様にしてはありえない速さだ。
組みつかれた右腕は神様の全体重がかかってもはや得意の敏捷を発揮することができない。
隣のハーフエルフはあまりの速さにあっけに取られて言葉が出ない。
「僕を差し置いて、アドバイザー君と仲良くしてなんてそんなわけあるかぁーー。
最近全然君は僕を誘ってくれないじゃないか。許さないぞー、今日はもう離さないぞ。」
仕事の仲間と日ごろのうっ憤を晴らしながら相当飲んでいたのだろうか。
神様の顔をよく見ると真っ赤だ。
一通り言いたいことを言って疲れたのだろうか。
「すぴー、すぴー」
僕にしがみついたまま神様は寝息を立てていた。
さっきまであんなに感情をむき出しにしていたのに。
この変わり身の早さは童顔に小さな身長も相まって本当に子供みたいだ。
しかしこのまま神様を放置するわけにもいかず、今日はもう食事どころではない。
「エイナさん、ごめんなさい。」
エイナさんに直角に頭を下げてまたの機会にしてほしいとお願いした。
こっちからいつものお礼に誘っている以上、すごく申し訳ない。
エイナさんは気にしなくていいんだよといってくれたけど今日のエイナさんとのデートはここで終わりだ。
楽しみにしていた分悲しいけど、楽しみが伸びただけと考えたらそんなに悪くないんじゃないかとも思う。
「神様をちゃんと送るんだよ。」
まじめなエイナさんらしくお店に入ってそのまま出るのは心苦しいと一人で飲んでいくそうだ。
僕はエイナさんにさよならを言ってから右手に引っ付いているロリ神様と帰路についた。