トレセン学園用務員は休みたい   作:ゴランド

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アオハル杯、何回やってもA以上出来ねぇ…。



4話 (休みが)潰れる(薬品が)流れる(変な力が)溢れ出る

 

「さぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!開運幸運激運、大安吉日すっぴんわっしょい!マチカネフクキタルの新・占いの館が本日より開店致します!」

「……」

 

 気付いたら用務員室がマチカネフクキタルに占拠され、占いの館へと変貌を遂げていた。

鍵を開けっ放しにしていた俺にも非があるのは確かだが、僅か数時間程でこのような有様になるとは思わなかった。

 

「ふむ………」

 

まぁ、とりあえずはだ。

 

 

 

 

 

ギャィィィイイイイイイ!(チェーンソー駆動音)

 

「早速不要物の撤去に取り掛かるとするかー」

「イ゛ャ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!ポケットマネーで買った幸運を呼び寄せる巨大招き猫がぁぁあああああああ!」

 

 

 

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「それでさ、なんで勝手に人の部屋(用務員室)を使ってる訳?」

「うう、これには海より深い訳がありまして……」

 

 フクキタルが言うには占いの館建設の許可を得る為に何度もエアグルーヴの元を訪れては土下座及び五体投地で嘆願していたのだと言う。

そうする事三日間。熱心な説得によりエアグルーヴは(心が)折れ、使われてない部屋を占いの館として使用する事が認められたのだと言う。

 

 成る程、それで用務員室を使ってたと。

 

「でも人に許可を取ってない時点でどうかと思う」

「う、それはその…許可を得ようとは思ったのですが、用務員さんに話し掛ける機会が中々無くて…」

「そうか…そこに関しては俺が悪いな。生徒の話を聞いてやれなくてすまん」

「いえいえ気にしないでください。まぁそれに用務員さん忙しくてほぼ居ないのと同義なので別に部屋を占領しても良いのでは?と思った次第ですっ!」

 

 成る程、そうかそうか。そう言う理由で勝手に占領して良いと思ったのか。そうかそうか。

 

 

ギャィィィイイイイイイ!

 

「無言でチェーンソーを再起動させるのはやめてくださいぃぃぃぃぃぃ!ああああああああ私の金のシャチホコォォォオオオオオオオ!!」

 

 傍に在った約2m程のシャチホコ(フクキタルが言うには美味しいメニューが出て来やすい開運グッズ)を解体(バラ)そうとするとフクキタルが悲哀の声を上げる。

うるせぇ!ただでさえファルコンの自作グッズ+αが置かれてるってのにこれ以上、関係の無い物置かれてたまるか!

 

そんなやり取りをする俺達だったが、突如として部屋の扉が開かれる。

 

「あ、フクキタルさん!今日も占いお願いしmえっ、何この状況」

「あ、ファルコンか。すまん、今ちょっと取り込み中で…ちょっと待った。今なんて言った?」

 

 

今日"も"?小慣れた様子で今日もって言った?

……オイ、フクキタル。どれくらいの期間、ここの部屋を無断使用してた?

 

「……み、3日前から」

「本当は?」

「1週間も前からちょくちょく使わせていただきました゛ァ゛ァ゛ーーーーーーーッ!狸はァーーー!狸の置物解体(バラ)すのだけはァーーーーーーッ!」

 

 チェーンソーを起動させたかと思うと再び泣き付いて来るフクキタル。うるせぇ!日に日にファルコン以外の知らない物品が増えて来たと思ったらそう言う事かよッ!通りで机の中にリップとか化粧品とか入ってた訳だよ!

 

「とにかく今日限りでフクキタルの占術館(用務員室出張版)は閉館!ほら片付けた片付けた!」

「「ええーーーー!?」」

 

 

 

「そんなの横暴です!前々からここは逃げ切りウマドルユニット『逃げ切りシスターズ』の事務室にする予定だったのに!」

「よくもまぁお前俺に堂々臆さず言えるな…てか逃げ切りシスターズ?」

「そうです!逃げ切りシスターズって言うのはファル子達みたいな脚質『逃げ』のウマ娘で構成されたウマドルグループユニットの事を言います!」

 

話に聞くとミホノブルボンとサイレンススズカをメンバーに加えた三人一組のウマドルだそうだ。よくやる気になったなスズカとブルボン。

あの二人ってこう言う物事には積極的に参加するようなイメージは無かったから結構ビックリ。

…あー、でもスズカの場合はチームスピカに所属してるからなぁ。周り(主にゴルシ)の影響を受けたってのも考えられるから不思議な事じゃ無いのかもしれないな。

 

 

「まぁでも正直の所、ファルコンだけじゃ難しいとは思ってた」

「そ、それはどう言うことですか!」

「だってファルコン1人じゃ色々と足りないでしょ」

「な!?こう見えてアイドル活動に加えてレースのトレーニングだってしっかりやって居るんです!そんなファル子に一体何が足りないと言うんですかッ!」

学力

「(無言の卒倒)」

「ファ、ファルコさんしっかりぃぃぃ!?」

 

 その場で崩れ落ちたファルコンを介抱するフクキタル。正論突き付けただけなのに凄いショック受けたなこの娘。

 

「…だ、大丈夫です!ウマドルを目指す私だっていつまでもテスト怯えてなんていられません!そんなもの、きっと逃げ切ってみせます!」

「おいおい、そんな調子で中間テスト大丈夫なのか…?」

「勿論です!それに今回は、この"秘密兵器"がありますから!」

 

 そう言いながらポケットから取り出したのは……ちょっと待てファルコン、これってどこからどう見ても……。

 

「はい!フクキタルさん特製の開運コロコロ鉛筆ですッ!」

「フフン、真心込めてこの私が作り上げました。用務員さんも1つどうですか?」

「……お前等…!」

 

 手渡された開運コロコロ鉛筆。丹精込めて作られたと一眼見て分かるソレを握り締め、思い切り───

 

「オラァ!!!」

「「あ゛ーーっ!折ったァ!?」」

 

「フンぬッ!!!」

「「更に外へ投げたァァーーーーーッ!?」」

 

 破砕された鉛筆だったモノが天高く舞う中、フクキタルが俺に詰め寄って来る。

 

「何て事をするんですか!折角私が苦労して作り上げたのにィーーー!」

「苦労する所が違うわ!鉛筆に手を加えるよりも勉強面で苦労しろ!」

 

 そう言いながら俺がファルコンの方へ視線を向けると、己の鉛筆を守り隠すような姿勢を取った。

 

「だ、駄目ですッ!これは前々から使い古して来た謂わば相棒のような存在!幾多のテストを共に乗り越えて来たこの子に手は出させません!この子だけはーーーーーッ!」

「えぇ…」

 

 いやどう考えてもテストの赤点原因それ(コロコロ鉛筆)だろ。と言いたいが、この様子から聞く耳を持ってくれそうに無い。

……まぁこの子に関しては同室のウマ娘(エイシンフラッシュ)に任せるとして、話を戻すとしよう。

 

「とにかく何度も言ってるように勝手に使わせやしないからな。ほら退いた退いた」

「そんな!それじゃ私は一体何処で占い屋をやればいいと言うんですか!」

「教室」

「ぐぬぬ、なんと言う正論!」

 

 そんな他愛も無い話をしている最中、何者かの制止の声が扉の外より響いて来る。

 

「「その話、ちょっと待ったーーーー!」」

 

なっ、この脳内知的指数がダダ下がりするような声は…ッ!

 

「チョリーっす。占いマジヤバたにえんの危機に馳せ参じの登場!」

「フクキタルさんのコロエン仲間として手を貸さない理由なんて無いから!」

「げえ―――っ!トレセンのパリピウマ娘その1(ダイタクヘリオス)その2ィ(メジロパーマー)⁉」

 

 現れたギャル2人組に俺は思わず声を上げる。コイツ等は問題児ブラックリストに載っている名前の中で半分ノリと勢いで生きるウマ娘。

先週の非公式校内スケボー大会にてワックス掛けしたばかりの廊下をギャリギャリと傷を付けた事を俺は今でも覚えている。

 

「おのれパリピ共、今度は何を企んでる。巨大たこ焼きでも作って大がかりなタコ焼きパーティフェスティバルでも開催するつもりか⁉︎」

「なにそれマジヤバくね⁉︎ガチ目に天才的発想でバイブス上がりみだわー!」

「しまった藪蛇か!」

 

「話は戻しますけど、用務員さん。フクキタルさんの占いにはいつも助けて貰ってるんです。こうやって逃げ友と会えたりコロエン仲間が増えたりしたのも全部フクキタルさんがやってる占い屋があってこそなんです」

「パ、パーマーさぁぁんんん……」

「…話は大体分かった。けどなんで此処なんだ?何故、用務員室を選ぼうとするんだ?」

「近い未来、このトレセン学園に地獄の業火が降り注ぐと占いに現れたのですッ!」

「地獄って、物騒だな。でもこの部屋とどんな関係が?」

 

 

 

「いえ、占いにはまだ続きがありまして…その業火から身を守る術とは外界の熱を遮断せし清浄なる涼気満ちる領域!そして、その領域とはこの用務員室を指すのですッ!」

 

成る程、成る程。フクキタルの言い分は分かった。そう言う理由があったとは知りもしなかったわ…あれ、でもこれ要約するとさ。

 

「もうすぐ暑くなるからこの部屋で涼んでいたいってならない?」

「まぁ掻い摘んで言うとそうなりますね」

「暑いのはお肌に悪いし!」

「いやホントここめちゃくちゃ快適だしね」

「それな!マジ極楽感パナい!」

 

「成る程、そうかそうか」

 

 

 

 

 

 

ギュィィィィイイイイイ!

ガリガリガリガリーーーッ!

 

「はーい不要物は撤去よー」

「キンメデさんの首エラ部分に向かっていい具合にチェーンソーがァァーーーッ!」

「酷いよ用務員さん!フクキタルさんの大切な私物を!」

「うるせぇ、どいつもコイツもただ夏の猛暑が嫌なだけじゃねーか!青春友情的エピソードが来るか?って期待した俺の気持ちを返しやがれ!」

 

 お前等占いは建前で此処使いたいだけだろ!甘えんな!百歩譲って勉学目的で使うのは許すとしよう。

だが、涼みたいだけで此処を占拠させるなんて俺が許すと思うなよ!

 

「ぶーぶー!独り占めはんたーい!」

「用務員室の私物化を許すなー!」

「それマジテンサゲー!」

「独り占めじゃありませんー!当然な対応ですー! もし此処を使いたいんならもっと勉学に時間を割いてから言うんだなテストから逃げウマ娘!」

 

 俺がそう言うとバッとスマートファルコンが立ち上がる。その表情は確固たる決意を胸に秘めたウマ娘の顔だった。

 

「…ってやります」

「ん?」

「そこまで言うならやってやりますよ! 逃げ切りシスターズの一員として、テストで高得点取ってあげますよ!」

「マジ⁉︎ んじゃ私も乗るっきゃないっしょ!アゲポヨうぇーーーい!」

「よーし、それじゃイケイケで行きますか!」

「…へぇ、中々の自信だな。でもそう言って良いのか?後で後悔しても知らないぞ」

 

 俺の挑発に反骨心をバリバリ燃やす逃げウマ娘達。だがこれは良い兆候だと思う。赤点常習者である彼女等がテストに対してこうもやる気になってくれるのは学園関係者として喜ばしい事だ…と思っていると「フッフッフッ」とフクキタルが不敵な笑みを浮かべる。なんだ、どうした-

 

「いやいやお忘れですか用務員さん。私達には心強い味方がいるのをッ!」

「心強い味方だとッ⁉︎ エイシンフラッシュとか?」

「いや合ってますけど違います! お忘れですか?私特製開運コロコロ鉛筆の存在をッ!」

「な、何ィィーーーーーーッ⁉︎」

 

 正気かお前等⁉︎それ頼るって本当に正気かお前等⁉︎(2回目)

 

「勿論正気だよ用務員さん!」

「これまでも私達と一緒に乗り越えてきた謂わば半身みたいな存在」

「頼るならこれしか無いっしょ!」

「と言う訳です!フッフッフッ、占いをしなくとも勝負の行く末は見えましたね用務員さん!」

「……うん(憐憫の籠った目)」

 

 うん、ダメだこれ(確信) ラッキーアイテムに頼る事で勉強すると言う選択肢を見失ってるよコイツ等。どうしてこうなるまで放っておいたんだッ!それに加えてさぁ……。

 

「そもそも次の試験じゃ使えないだろソレ」

「はい?使えないとは一体…」

「あれ、聞いてないのか?…って、そうか。これ最近決まった事だったけか」

「あのー、用務員さん?一体なにを言ってるの?」

 

 顎に手をやる俺にスマートファルコンが疑問を投げかけて来る。んー、まぁ別に今教えちゃっても良いか。どうせ近日公開される予定なんだし。

 

「実は生徒会の仕事手伝ってた時に決まった話なんだけどな。テスト中に私物を持ち込む生徒が多い為、筆記試験では学園側が用意した筆記用具を使うって決まったんだよ」

「えっと…もっと簡単にヨロ」

テストで コロエン 使えないよ

 

 その言葉を紡いだ直後、絶望に打ちひしがれたウマ娘達が叫喚を上げる。

 

「ファル子のウマドル活動、此処で散る」

「ごめんなさいおばあ様。私メジロの面汚しです」

「マジつらたん、もう無理茶漬け、この先の未来お先マジブラック(真っ暗)だわ」

「シラオキ様ァーーー!何故!何故ですホワイッ⁉︎何で私達を見放したのですかァーーーーーーッ!」」

 

「鉛筆程度で動揺し過ぎだろ!情緒不安定かお前等ッ!?」

 

 どれだけコロコロ鉛筆に依存してるんだよ!と言うかよく今までそれでテストを乗り越えて来られたな⁉︎

…ん?どうしたパーマー、こっちににじり寄って来て。

 

「用務員さん…その、これ……」

「え、なに?何で金渡して来たの?え、なに、怖い。怖いんだけど」

「これでどうにか生徒会に…」

「賄賂じゃねーか!普通に勉強しろ!」

 

「ぐぬぬぬ…!こうなれば、最終手段のゴールドシップさんを使うしか…ッ!」

「何する気だ!やめろフクキタルお前!」

「「「…!(無言のサムズアップ)」」」

「賛同すんな!」

 

 本当にマジでゴルシはやめろ!アレを投下したら最後テストどころの話じゃなくなる!つーか、それで有耶無耶にしてもお前等が赤点回避出来る訳でも無いからな!

 

「つーか、ギャル仲間のゴールドシチー辺りに勉強教えて貰えばいいだろ。彼女頭良いんだし」

「だって…モデルの仕事で忙しそうにしてるから…」

「追試の時にジョーダンと一緒に勉強見て貰ってるのエアグルーヴから聞いてんだぞ。結局教えてもらう事になるんだから遠慮すんな」

「いやー、用務員さん私達の事を邪険にしつつもちゃんとお気遣いしてる辺り善性が見て取れますね……はい、なのでシャチホコに対してバックブリーカーの体勢を取るのはやめてくださいお願いします」

 

 シャチホコの置物に対し技を掛けるのを止め、そっと床に下ろす。調子に乗らない事だなフクキタル。用務員室内の開運グッズ全ての生死は俺の掌によって左右されてるからな(脅し)

 

にしても不味い、これは不味いぞ。しっかり勉強すると言う選択肢が出なかった以上、ファルコン達が変な事をやらかす可能性がある。

最悪、俺が関わっていたとして予定されてた休日がシャボン玉の如く容易く破壊されてしまう事だって…ッ!

 

「クソッ、どうにかして手っ取り早く皆の頭良くする方発でも有れば……」

「…あ!それなら私に良い考えがあります!」

「良い考え?」

「はい!その方法なんですけど────」

 

 

 

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「ふゥン?それでこの私の実験を受けに来たと言う訳か」

「はい解散ー。全員お疲れ様でしたー」

「ま、待ってください用務員さん!」

 

 そう言いながら俺の腰に抱き付き、引き留めるスマートファルコン。アホか、アホかお前!

よりにもよって何でアグネスタキオンに頼むんだよ!こいつアレだよ?ゴルシに並ぶトップオブ問題児だぞ?人権をドブに棄てる事を嬉々とやるマッドサイエンティストだぞ?

 

「その人の言う通りです。タキオンさんの実験には関わらない方が身の為です」

「ほら、マンハッタンカフェもこう言ってる。だから早く帰って勉強しよう。な?」

「何この凄くカラフルな飲み物!テンアゲなんだけど!」

「マジ卍でウケる!ねぇねぇこれ写メ撮らね?めっちゃバエるっしょ!」

「あっ、駄目だ。コイツ等話聞いてねぇ」

 

 おのれ薬品の物珍しさに我を忘れたパリピ共。その薬品をお前等飲む事になるの分かってる?

 

「…なぁカフェ、いっその事さこの薬品全部捨てればこれから起こる問題を未然に防げるんじゃないのか?」

「いえ、その…それをやった結果先日水道蛇口からジュースが出る結果となってしまって……」

「黒幕テメェかよタキオンコラァ!!」

「ハッハッハッ、起きてしまったモノは仕方ない。水に流しておくれよ。まぁ文字通りゴールドシップが水に流してしまった結果が先日の件なのだがね」

 

 上手いこと言ったつもりかオメー。とにかく生徒会に追加報告しておくからな。

そんな事を内心呟いているとタキオンはドス黒い薬品を取り出した。

 

「さて、これがお望みのモノだよ。これを飲めば脳内知的指数が飛躍的に向上する…筈さ」

「成る程。で、誰から飲む?」

 

 俺が全員の顔を見渡すと、ウマ娘達はぷいっと視線を逸らした。オイ、何でこっち見ないんだよ。まさか怖気付いたのか⁉︎この期に及んで⁉︎

 

「クソ!オラァ、ファルコンお前!頭良くなりたいんだろ!言い出しっぺの法則だお前が飲めッ!」

「嫌ぁーーー!こんなのウマドルのする事じゃないーーー!」

「良薬は口に苦しって言うだろ。苦しみは一瞬だろうから安心しなよ」

「想像してた30倍は禍々しい薬品なんて飲めないからァーーーーーッ!」

 

 頑固として拒否するスマートファルコン。この様子じゃ口にした瞬間吹き出しそうなので標的を変更する。

 

「ならばフクキタル君に決めた! 安心しろお前にはシラオキ様が付いてる!」

「ビャァァァーーーーーッ!無理ッ、無理ですッ!例えシラオキ様のお告げでもそれだけは勘弁してください私まだ死にたくありません!」

「そこまで言うか」

 

 それならパリピ2人はどうだろうか、とパーマーとヘリオスに視線を移そうとした瞬間アグネスタキオンが言葉を投げかけて来た。

 

「なら、君が飲めば良いじゃないか」

「えっ?」

「タキオンさん、まさか貴女最初からそのつもりで……」

「ハハハ、何を言ってるんだいカフェ。彼のような優れた肉体を持つ被験者を実験台にする機会なんてそう来るモノじゃないんだよ」

 

「いや何言ってんだよ。そもそもコレはパーマー達に飲ませる予定d「あーっ!ファル子もそれ賛成!」「シラオキ様のお告げによるとドス黒い薬品はラッキーアイテムだそうですよ!」「ほら一気!一気!」「用務員さんのテンアゲで飲むトコ見てみたーい!ウェーイ!」

「揃いも揃ってどんだけ飲みたくないんだよ!」

 

 まぁ俺だって飲みたくないけどさ、こんな怪しい液体は。俺が訝しんだ目をドス黒い薬品に向けているとタキオンが言葉を紡いで来る。

 

「オイオイ君はこの学園の用務員なのだろう?なら彼女等の為に人肌脱ぐと言うのが用務員として務めと言うモノじゃないのかい?」

「…用務員ってそんな務めするものだっけ?」

「するに決まってるだろう?ささ、とりあえず一気に飲みたまえ」

「……」

 

………まぁ、良いや。とりあえず飲めば良いんでしょ飲めば。すぐに喉の奥へ押し込めば味も一瞬だろうし。それじゃ用務員行きまーす。

 

「んぐっ、んぐっ、んぐっ……ぷっ、はァーーーーーッ!」

「「「「い、行ったッ!?」」」」

 

「おっ!躊躇無く行くじゃないか!で、どんな感じだい?」

「……後味がクソ雑巾」

「味の感想を聞いてません。と言うか用務員さんも即決して飲まないでくださいよ」

 

 まぁそんな目を向けないでくれカフェ。

 

「次はその薬品。そして次はそこの薬品、そして……」

「えっ、まだ飲むのかよ……」

「ハハハ!私がいつその薬品一本と言ったんだい?…と、紅茶が切れたな。とにかくさっき言った通りに飲んでおくれよ?」

 

ああ、分かったよ飲めば良いんだろ飲めば!

と言うかもしかしてだけど、この辺にあるの順番に飲まなきゃダメなの?……あー、面倒臭ッ!結局胃の中で混ざり合うんだから一気に飲んでも……いや待てよ?それもアリか。

 

「なぁカフェ、バケツある?」

「バケツ?…それなら此処にありますけど」

「ありがと」

 

 そう言いながら俺はタキオンの言ってた薬品を…薬品を……やべ、どれがどれだっけ?

……うん、もう良いや。手当たり次第全部ブチ込んでしまえ。

 

「えーい」(薬品をバケツに全投入)

「は?」

「「「「えっ」」」」

「それじゃ用務員逝きまーす」

 

 

 

Now Loading……

 

 

 

「おや?用務員君。言いつけ通りちゃんと薬を飲んだのかな?」

「う゛ぇ…後味がクソドブ雑巾」

「ふむ、味に関しては改良が必要だと言うのは分かった。それではそろそろ効果の方を……っておや?ここにあった実験中の薬品は何処へ行ったんだ?加えてカフェ達、何をそんな顔を真っ青にしているんだい?」

 

 紅茶を淹れ直し、戻って来たタキオン。だがマンハッタンカフェ達の様子がどうにもおかしい。まるで化け物を見たかのように顔面を蒼白に染めている。

怪訝な表情をタキオンが浮かべていると、用務員が口を開いた。

 

「…あれ?もしかして飲んじゃ駄目な奴だった?」

「えっ」

「え?」

「えっ……ふむ?一応聞いておくが用務員クン、間違って余計な薬を飲んだりしなかったかい?」

「あー、いや…もう面倒だったからここにある薬品全部をテキトーに混ぜて飲んだんだけど」

「えっ」

「え?」

「……えっ」

 

 その瞬間、ゴオッ!と用務員の身体から黄金のオーラが噴き出した。

 

「お、おっ、おおおおおおッッ!な、なんだこの凄いエネルギーはッ!この内側から漲るパワーと漲るパワー。まさに超新星的だッッ!まるで命のガソリンをスピリタスを混ぜ合わせてブチ込まれたような感覚…タキオン!これがお前の研究成果なんだなッッ!」

「え、なにそれ知らん。怖……」

 

 アグネスタキオンですら引いてしまうハイテンション。そもそも手当たり次第薬品を全部飲んでしまうなんて、彼女は想定していなかっただろう。自分や専属トレーナー(実験モルモット)とは違うベクトルの狂気を前にその場の全員は動く事が出来なかった。

 

「ハーハッハッハッハッ‼︎もはやゴルシなど恐るるに足らんッ!この調子で二週間分の業務内容を消化してやるぜェ!FOOOOOOOOOOOO!!!」

 

 直後、奇声を上げながら実験室の窓を破り、外へと解き放たれる用務員。薬品によるブーストが掛かったその姿は正に狂人そのもの。

そんな彼の背中を見るウマ娘達に向かってマンハッタンカフェは告げる。

 

「あの…これでもタキオンさんを頼りますか?」

「皆さん、素直に勉強するとしましょうか」

「「「意義なし」」」

 

 この後スマートファルコン達はエイシンフラッシュやゴールドシチーに頭を下げて勉強を教えてもらう事となった。

 

ちなみに度重なる激務を奇声を上げながら行う用務員は理事長に厳重注意を受けたのは言うまでもない。

 





樫本理事長代理のキャラが予想以上に良かった。厳しいけどウマ娘想いで運動音痴って面白いに決まってるんだよなぁ…。
いつかこの小説にも出れる日が来るのだろうか…?
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