Brand new!コミュ内で、つかささんがたべるんごのうたらしき動画に言及していたので、どんなことが起こっていたのか妄想しました。
-2020年 1月-
「山形りんごを食べるんご〜♪」
台所でりんごを剥きながら、思いつきの鼻歌に適当に歌詞をつけて歌ってみる。
新年も明け、そろそろ会話の第一声が「あけましておめでとう」にならなくなってきたある日。私はあきらちゃんと一緒に、りあむさんのお部屋に遊びに来ていた。
年末に実家に帰省した時にお土産に持たされたりんごを、せっかくなのでみんなで食べようということで持ってきたのだ。一箱持たされたので、在庫はまだまだ十分ある。
「いっぱい食べるんご〜♪…よし、でーきたっ!」
りんごのうさぎカットが量産できたので、お皿に盛り付けてリビングに向かう。色々と便利そうな道具は揃っているけれど、フライパン以外はあまり使われた形跡のないキッチンは少々もったいないと思う。でも、私自身も野菜炒めくらいしか作れないので、人のことはあまり言えない。
リビングでは、ソファに寝っ転がったりあむさんとそのソファを背もたれにしてるあきらちゃんの二人ともがスマホを触っていた。私のいない所で二人だと、ちょくちょくこんなシチュエーションになるけど、別に仲が悪いわけじゃなくてこれが自然体って分かったのは、実は結構最近だったりする。面白い動画なんかを見つけたあきらちゃんがりあむさんに見せてみたり、SNSで悪口を言われて怒ってるりあむさんにあきらちゃんがツッコミを入れたり。
りあむさんちのリビングは、初めて来た時はうちわや服がぐちゃぐちゃに散らかっていたのであきらちゃんと一緒に片付けた。ちょくちょく通ってる甲斐もあって、今ではある程度片付いている。
「りんご切れたんご!あきらちゃんもりあむさんも、よかったらどーぞ!」
「あ、ありがとうあかりチャン。わ、うさぎカットだ。可愛いね。写真上げていい?」
「こんなのでいいならいくらでもいいよ!おいしそうに撮ってね!」
「現役美少女アイドルが切ってくれたうさぎさんが食べれるとか、これもうぼく一生分の運使い果たしたんじゃ?明日死にそう」
「大袈裟ですよー!それだったら、一ヶ月に1回くらい死んじゃいますよ」
「マ?月一あかりんごの手剥きりんご食べられるなら死んでも惜しくないよ」
「手剥きって… #言い方」
私が声をかけると、二人ともスマホをいじる手を止めてお皿を置いた机を囲んでくれた。りあむさんが大袈裟なのはいつものことだけど、なんだかんだで嬉しそうにしてくれるとこちらも嬉しくなる。
「あ、ほういえばはっきひょっほふふへはひふひーほほひふへはんはへほ」
「口に物を入れたまま喋らないでくださいよ。行儀悪いデス」
「う、ほへん」
りあむさんがりんごを食べながら何か言ったみたいだけど、何を言ってるのか全然分からなかった。
「ん、っく。それでさ、聞いてよ!さっきちょっと許せないツイート見つけちゃってさ」
「どうしたんですか?また頭ピンクって言われちゃったんご?」
「頭ピンクは別にいいんだよ!いやよくないけど!そうじゃなくて、これ!」
りあむさんがスマホの画面をこちらに見せてくる。私は、あきらちゃんと一緒にその画面を覗き込んだ。ツイッターの画面みたいだけど…。
今あかりんごとあきらちゃんが部屋に遊びに来てくれてる!
アイドル二人侍らせてるぼくって実質勝ち組では????
返信先:@meccyayamu
アイドル部屋に連れ込むとか犯罪でしょ 自首しよ??
返信先:@meccyayamu
まさかとは思いますが、そのアイドルとはあなたの想像上の存在に過ぎないのではないでしょうか?
返信先:@meccyayamu
砂塚が部屋に遊びに???????は??????くそうらやま!!!!!!!!
返信先:@meccyayamu
てかあかりんごって誰よ
「うわぁ…#クソリプの嵐」
「えっ、と…き、気にすることないですよりあむさん!私たちはちゃんとここにいますから!妄想じゃないんご!」
りあむさんの呟きに対しての辛辣な反応が多く、見ていて少し気分が悪くなってしまう。りあむさん自身のツイートも煽るような物ではあるけど、ここまでひどく返すことはないと思う。
「あかりんご優しい…天使か?って、いやそこじゃなくて!僕が一番許せないのはこいつだよこいつ!」
そう言ってりあむさんが指さしたのは、あかりんごって誰よのツイートだった。
「え?どうしてですか?」
「何その反応!?おかしくない?だってあかりんごはこんなに美少女で尊くて頑張ってるのに、知らないなんてあり得なくない??」
「いやぁ、そんな…照れるんご」
「褒めてない!いや褒めてるけど!」
「でも、しょうがないですよ。だって、私はりあむさんやあきらちゃんみたいに有名なわけじゃないですもん」
そう。そうなのだ。
りあむさんは事務所に所属してすぐの総選挙?でよく分からないうちに3位になって、すぐにテレビとかにも出るようになった。それに、発言やツイートなんかも危ないものが多いけど、よく話題になっている。
あきらちゃんも、元々ゲームの配信やファッションの投稿をしているから、そこからのファンも多いはず。
でも、私にはそういったアピールができる場所が、とても少ない。
「あきらちゃんやりあむさんみたいに、SNSとかが得意なわけじゃないし、これだって言えるアピールポイントもないし…私、相当普通だなぁって」
「あかりチャン…」
わかっていることとはいえ、自分で言っていて悲しくなる。
落ち込む私を見てワタワタしていたりあむさんが、突然何かに気づいたように、あっ、と声をあげた。
「…あかりちゃん!あかりちゃんにはクソデカ大きいアピールポイントがあるじゃん!」
「頭痛が痛い状態になってますよ、りあむサン。でも、そうだよね。あかりチャンにもアピールポイント、ちゃんとあるよ」
「え、そうかな?」
「そうだよ!というかあかりちゃんがアイドルとして頑張ってるってだけでぼくは推せる!!
あと何より顔がいい!てかこの事務所顔がいいアイドルが多すぎる!!訴訟!!」
「なにバカなこと言ってるんデスか…まぁ確かにあかりチャンは可愛いデスけど、そこじゃないでしょ」
「…そ、そんなに褒められると、照れるんご…」
顔が熱くなっていくのがわかる。お世辞みたいなものだとは分かってるけど(特にりあむさんの言う褒め言葉は話半分くらいに聞いている)、あんまり可愛いって言われた経験がないので、言われるとどうしても恥ずかしくなってしまう。
「そこも大事なんだけど、あかりチャンにはちゃんと山形りんごって武器があるでしょ」
「そうそう!なんなら、りんごろうっていうマスコットキャラクターもいるし!りんごろうグッズもっと作ったらオタクチョロいし、めっちゃ買ってくれんじゃね?」
「そ、そうなのかなぁ?りんごろうさん、とうちゃんに作ってもらったのはいいけど結構アレだし、作ってもらったの失敗かなぁって思ってたんですけど」
「#アレ扱い #りんごろうさん #可哀想」
可哀想…なのかな?私からすればりんごろうさんはアレだし、別に愛着も何もないのだけど。
「そうだ!あかりちゃん、りんごろうと一緒に歌ったり踊ったりなんてどう?可愛い女の子がマスコットと踊ってたら、小さい子から大きいオタクまでウケること間違いない!よ!」
「え、そんなのいいんでしょうか?事務所からは勝手にライブとかしちゃダメって言われてますけど」
「多分お金とってライブとかするのが駄目なんじゃない?知らないけど」
「またそんな適当なこと言って…。あかりチャンが炎上したら、りあむサンに責任取ってもらいますからね」
「うわーん辛辣!もっと優しさをおくれよぅ!」
「…でも、アイディア自体は悪くないかもデスね。Pサンに1回聞いてみましょうか。歌うにしても踊るにしても、多分許可は貰っといた方がスムーズにいけるでしょうし」
「お、やる?やっちゃう?りあむちゃんの天才的発想を実現させちゃう?もしかしてぼく、プロデューサーの才能あるんじゃない??」
「#調子に乗らない #たまたま」
りあむさんの出した案に、またとんでもないこと言ってる…、と思ったのは私だけだったみたいで、あきらちゃんは意外と乗り気っぽかった。
「ほ、ほんとにやっちゃうんだ…。あ、でも歌はどうしよう?他の人の歌って、歌うのに使用料を払ったりしなきゃいけないんだよね?」
「それなら、さっきあかりちゃんが歌ってた歌でいいんじゃない?」
「え…あれ!?」
いやいやいや、と首を振る。あんなのはただの鼻唄の延長みたいなものだし…というか聞かれてたんご!?は、恥ずかしい…。
真っ赤になる私を置いてけぼりに、二人の間で話が進んでいく。
「実際にあかりちゃんがこの企画…企画?をやるとして、どうする?ぶ○り途中下車の旅みたいに、電車で全国めぐって降りた駅でライブする?」
「あかりチャン一人がデスか?レッスンとかもあるのに、そんなスケジュールの余裕ないでしょ。交通費出るわけでもないし、あかりチャンの負担も大きいし。動画撮って、投稿サイトに投稿するくらいがいいんじゃないデスかね?」
「動画かぁ。ウサミンとはぁとさんのBEMYB○BYみたいな?たしかアレの元のヤツの時間って4分ちょいだったはずだし、それに対抗して10分くらいあかりんごのダイマしちゃう?組曲みたいな感じで!」
「#却下 #長すぎ あかりチャンに興味持ってない層が見るにはハードル高いし、飽きちゃうでしょ。もっと短く、コンパクトに、シンプルじゃないと。TikTokとかみたいに、10秒くらいで」
「10秒ぽっちじゃ、あかりんごのあの字も紹介しきれない!よ!」
「まぁ、そうだよね…あかりチャンのアピールのための物なんだし、やっぱりちゃんと紹介できてないのはマズいかな…あかりチャンはどう思う?」
「…え?私?」
急に話を振られてしまった。ネットのことはあきらちゃんとりあむさんの方が詳しいし、どんどん話が進んでいくしで正直あんまり着いていけてない。
ただ、一つ言えるのは…
「とりあえず、山形りんごを宣伝できればいいかな?」
「ブレないな!まぁ、あかりちゃんに聞いた時点でこう返ってくるのは10割くらい分かってたよね」
「ふふっ、まぁ、あかりチャンらしくていいんじゃない?」
ふ、二人から温かい目で見られてる気がする…なしてや!
「あかりチャンがそうしたいなら、あかりチャンよりも山形りんごをプッシュしていこっか」
「あ、むしろ私の紹介無くてもいいから、その分山形りんごに分けてあげたいんご」
「無くてもいいの!?自分のPR動画で自分の紹介ないの斬新過ぎない??」
「あー…じゃあせめて動画の最後に、りんごろうサンの紹介くらい入れとこうか。『じゃあお前は誰なんだよ』ってツッコミを期待する感じで。…これで大枠は決まったかな?」
「ぃよし、そうと決まれば早速Pサマに突撃だー!許可もらえるまで背中に引っ付いて泣き喚いてやるー!!」
「こなきジジイじゃないんデスから…」
「あ、あはは…無理って言われたら、別に無理でもいいんで」
「あかりちゃんの言葉でもそれは聞けない相談だ!よ!今のぼくは絶対許可貰うマンだから!」
私の弱気な言葉に、そう言ってくれるりあむさんが頼もしくて。
私は、りあむさんは女性だからマンじゃなくてウーマンじゃないのかなぁって疑問を胸に仕舞い込んで、部屋を出るりあむさんの後をあきらちゃんと一緒に着いていくのだった。
続きます。