本当にすみません。
身勝手な理由でこちらを先に投稿させていただきます(身勝手の極意)。
こちらはエピソード0のさらに0といったような位置付けになります。短いです。
希望/絶望のシンギュラリティ
西暦2007年。
日本国、東京都の某所にて。
「ついに完成したぞ!!長かった…!だがこれで世界は平和になる…!僕が世界を救うんだ…!!」
日も落ち、他の職員がいなくなった研究所の一室で、白衣の男が歓喜の声を上げる。しばらく寝ていないのか、その目元には濃い隈が浮かんでいる。
男のいる研究室は、決して大きいとは言えないが、それでも物は多いながら小綺麗にされており、それなりの節度を保った研究が行われていることが伺える。
そして一際目を引くのが、研究室に備え付けられた大枠のガラス越しに見える複雑な形状をした装置である。
「通信衛星ゼア…宇宙空間へ打ち上げたこれが機能すれば、世界中のあらゆる場所での天災、人災を予測し未然に防ぐことができる…!」
研究室と隣接した制作スペースに置かれたそれは、複数のケーブルが繋がれている。
男はそれを簡易的に表した図が表示されているデスクトップを眺めながら独り言つ。
衛星ゼアと呼ばれるそれは、男が博士号をとってから10年以上にわたり制作を手掛けてきた、いわば彼の夢の集大成。
その機能は彼が言うとおり、普通の人工衛星同様に宇宙から世界中の情報を一身にキャッチし、その未来を予測するというものだった。しかし特筆すべきはその正確性、正常に機能すればその予測の確度は99.9%を超えるというのだ。
それはもはや予測というより未来予知、未来が見えていると言っても過言ではないだろう。
そんな人智を超えた発明をしたこの男は、日本の都内に生まれ、幼少より天才と囃されてきた。学業においては常にトップでなんの苦労もなく海外の有名大学に入学した。
そんな在学中、退屈をもて余した彼は、ほんの興味本位でボランティアとしていくつかの紛争地域を見て回ることになった。
そして、知識においては他人に負けないと思っていた自分の、知らなかった世界を見た。
そこは地上の地獄。建物は崩れ、子供は泣き喚き、辺りには死体が転がる。画面や紙面を通して知っていたものとは別物であった。
そして気づいた。自分の知識はそういった争いを無くすために使うべきであると。
彼は天才故に高飛車であったが、その根は紛れもなく善人であった。
その後、大学院で博士号をとった彼は日本に帰国し、すぐさま自身のコネとを使って研究所を立ち上げ、研究に没頭した。
その目標は明らかにオーバーテクノロジー。同系統の研究をする他の学者からは絵空事だ夢物語だと嗤われたが、彼は諦めなかった。
そしてその研究は実を結び、今に至るのだ。
「こうはしてられん、早速打ち上げの日程と概要を計画しなければ。」
男は若干覚束ない足取りで研究室を後にする。
他人が見たら、そこまで焦る必要はないと、そう声をかけただろう。
しかし彼は時間に追われるかのように足早に去っていく。
彼が使っていたデスクには彼のものとおぼしきネームタグが無造作に置かれていた。
そこには、
『飛電研究所責任者
と。
後に世界の命運を握る、更なる発明を遺すことになる男の名前があった。
そして、彼はまだ知らない。
自身の発明は、本当に人智を超えたモノであり、
神の領域に踏み込んでしまったことを。
お読みいただきありがとうございます。レ主水です。
今回はこの作品の時系列における本当に最初の最初の部分になります。
ちなみにゼロワンを観ていた方には馴染みのある名前が出たと思いますが、同じなのは名前だけで、中身は完全にオリキャラです。見た目も山本○史さんではありません。