東方庭球録   作:東方好きのSEN

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genius2 ギラついた目

「ゲーム華扇1-0!」

 

結局ボールに触れることもできずに1ゲーム目が終了した。実質ずっと立っていただけの私は、全然スポーツをしているという感覚がしなかった。だが、四回も打たれれば流石に慣れる。次は触れるところができそうだ。

 

「コートチェンジ」

 

ゲームが奇数回終わるとコートが変わるらしい。正直言ってどっちのコートでも変わらないと思うのだけど。お互いがコートにつき、私からのサーブで試合が再開した。さっきの華扇のサーバを打つ姿を思い出しながら、見様見真似で打ってみた。しかし、ボールは明後日の方向へぶっ飛んでいった。

 

「フォルト」

 

サーブはサービスボックスという、コートの真ん中に横に引かれたサービスラインと、サービスラインからネットに向かって、コートを半分にするように引かれたセンターラインに囲まれた場所に入れなければならない。

 

さっきのように外れたらフォルト、ネットにかかればネットと言われる。これを二回続けるとダブルフォルトとなり、相手に一点加算される。

 

さっきのはラケットを早く振り過ぎてしまったようだ。再びトスを上げ、ボールをしっかり見て、ラケットの中央で捉えた。すると、今度はバッチリサービスボックスに入った。「やった」と喜んだのも束の間、鋭いリターンが返ってきて再び華扇の得点になった。

 

「ようやくテニスらしい事できたと思ったのに」

(まさか二発目でサーブを入れてくるとは。しっかりキレもあるサーブだった。流石の飲み込みの速さね)

 

その後しっかりとサーブ入れられたものの、リターンを返せず、そのままセットを取られてしまった。

 

「ダブルフォルトをしなかった事は褒めてあげましょう」

「そりゃどーも」

 

華扇がサーブを打ってきた。今度はしっかり見える。打ち返そうとラケットを振った瞬間、想像以上の衝撃に襲われた。そしてラケットを弾かれ、ボールは明後日の方向へ飛んでいった。

 

「あの軽いボールからあんな衝撃がくるなんて」

 

衝撃でまだ腕が痺れている。だが、しっかりボールは捉えられた。次は打ち返せると考え直し、ラケットを拾って構えた。華扇が放ったサーブを思いっきり力を込めて打ち返す。そのボールはしっかりとコートに入った。

 

「こんなにはやく打ち返してくるなんて。でも、コースが甘い!」

 

華扇に逆サイドを突かれて得点された。その後、少しはラリーが続くようになったが、すぐに三セット目をとられた。

 

「ゲーム華扇!3-0!コートチェンジ!」

 

コートを変えて、私がサーブを打つ。さっきラリーをしたおかげか、私も華扇のリターンに反応できるようになっていた。

 

「ハハッ!どうよ華扇!まだ一点も取られない自信ある?」

「無論よ。点をとるためには、ただ打つだけじゃダメなのよ」

 

華扇はそう言うと、ボールをネット際に落とした。コートの後ろ側、ベースライン上に張り付いていた私は、それを取る事ができなかった。

 

「これがドロップショット。他にも、ロブ、スライス、ボレーなどの打ち方があるわ。これらを状況に応じて打ち分け、相手の隙を突く。これがテニスの基本戦術よ」

「あー……ちょっとタイム!魔理沙、来て」

 

私は魔理沙を呼び寄せて、ボールの打ち方を教えてもらった。魔理沙は教えてもすぐにできるものじゃないと言っていたが、やってみなくちゃわからない。再び私のサーブからラリーをはじめた。

 

「隙あり!」

 

華扇が少し緩い球を打ってきたのを見計らって前に出て、ボレーで逆サイドに打った。こんなの私だったら追いつけない。勝負あったと思ったが、華扇はギリギリボールに追いつき、打ち返して点を決めた。

 

「今の追いつけんの……」

 

そのまま次の点も入れられ、四セット目も取られてしまった。しかし、私は華扇とラリーを続けていて、一つ気がついた事があった。

 

「魔理沙、ちょっと聞きたい事があるんだけど」

「ん?どうかしたのか」

「華扇がラリー中にぴょんぴょん飛んでるのはなんなの?」

「あぁ、あれはスプリットステップっていうやつだ」

「スプリットステップ?」

「ああやって飛んでさ、着地した時の反動を活かすことで動き出しを速くする事ができるんだ。これもテニスの基本だな」

「なるほど。だからさっきのボレーもギリギリ取れたわけね。じゃあ、私もやってみよ」

「おいおい、初心者のお前がやったって「しかし、何も起こらなかった」ってなるだけだぞ」

「でも、勝つためにはやるしかないの。それが例え悪あがきだとしてもね」

「ハハッ、今の霊夢、異変を解決する時みたいにギラついてるな」

 

魔理沙に言われて、ハッとした。身体中を駆け巡る血液、高鳴る鼓動、いつの間にか私はテニスに夢中になっていたのだ。ラケットをグッと握りしめる。今の私には、華扇に勝負を吹っかけた時のようなただ相手が気に食わないという下らない気持ちはない。今あるのは、勝利への渇望だ。

 

「行くわよ、華扇!」

 

華扇と再びラリーをはじめる。あと二セット。ここからが正念場だ。

 

 




はやくテニヌが書きたい。
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