東方庭球録   作:東方好きのSEN

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次回でメンバーは揃うと思います。


genius5 チームメイトを探そう

紅魔館からしばらく歩いて、現在地は魔法の森。暗く鬱蒼とした森はジメジメとしていて気持ち悪い。木々の根元にはどうにも食べる気にはなれない色のキノコが無数に生えていて、それらを魔理沙はひょいひょいと袋の中に入れている。

 

「……それ食べるの?」

「半分はな。残りは魔法の研究用だ」

 

こういったシーンを見るたびにこの子は本当に大丈夫なんだろうかと心配になる。いくら強いとはいっても彼女が人間であることには変わりはないのだから。

 

「おっ、見えた見えた。あそこだ」

 

そんな事を考えていたら、魔理沙が顔を上げて道の先を指さした。そこには気味の悪い森の中ではかなり目立つ、手入れの行き届いた一軒家。そして、私もよく知っている人物が住んでいる家だった。

 

「アリスー!いるかー?」

 

魔理沙が外から大声で呼びかけると、しばらくしてから眠たげな目を擦りながら扉を開けてアリスが顔を出した。寝起きなのだろうか、几帳面な彼女の髪が少し乱れている。

 

「魔理沙……?徹夜明けだから用事なら明日に」

「アリス!私のチームに入ってくれ!」

 

あからさまに機嫌の悪そうなアリスに一切物怖じせず話を切り出した。親しき仲にも礼儀あり。おそらく魔理沙はこの言葉を知らない。案の定さらに機嫌を悪くしたアリスがものすごい形相で睨みつけてきて怖い。普段優しい分余計に。

 

「……お断りよ」

「えー、なんでdムグッ!」

「ごめんなさいねアリス。いきなり押しかけてこいつが失礼しちゃって。でも、私たちも困ってるの。もう少しだけ話を聞いてくれないかしら?」

「……はぁ、しょうがないわね」

 

アリスはやれやれと溜息をついて、しばらく待っているように私たちに言うと中に戻っていった。アリスは困っている人を見過ごせない優しい人物だ。誠意を見せればちゃんと取り合ってくれる。彼女を一瞬怒らせた魔理沙を小突いていたら、扉が開いてアリスが中に入るよう促してきた。

 

「少し散らかってるけど……」

「別にいいわよ。絶対にこいつの家より綺麗だから」

「なっ、なにおう!私だってちゃんと掃除してるぞ!」

「はいはい、すごいねー」

 

抗議する魔理沙の言葉を受け流して家の中に入る。アリスは散らかっていると言っていたが、十分に綺麗だった。普段からちゃんと掃除をしているのがよくわかる。テーブルの席に着いた私たちにアリスは紅茶を出し、私たちの向かいに座って話を聞く体勢になってくれた。

 

「で、チームに入ってくれってどういうこと?」

「三ヶ月後に開催されるテニスの大会に最低でも四人必要なんだ。それで、アリスに白羽の矢がたったのさ」

「あぁそうだったの。別にいいけど、二人はどれくらいテニスやってるの?」

「今日から始めた初心者」

「私は昨日からだ」

「あっ、うん……」

 

予想通りアリスに苦笑いされた。当事者の私が言うのも何だけど、初心者二人を押し付けられたのは同情する。とりあえずメンバーが三人になったので、残りのメンバーをどう集めるか作戦会議をはじめた。

 

「魔理沙、他にアテは?」

「確実にいけると思ってたのがココ。それ以外は適当に総当たりしていくつもりだ」

「アリスは誰か心当たりある?」

「うーん……あっ、前大会にいなかった子をあたってみたら?」

「おっ、いいなそれ。前大会に出てた奴らは大方同じメンバーでチームを組むだろうしな」

「じゃあリストアップしてみるから、気になった子を誘いなさい」

「アリスは誰がいいとかないの?」

「あなた達の自由にしたらいいわ」

 

やはりアリスは頼りになるし優しい。魔理沙と二人きりだったときよりも安心感が数段増した。ティーカップが空になった頃、アリスがチームメイトの候補が書かれた紙を持って戻ってきた。見てみると意外と多かった。

 

「幽香とか……いや、今のなし」

「そうしときなさい」

 

強そうでもなってくれそうにない奴、あまり頼りにならなそうな奴を取り除いていく。その作業の途中、仲間に引き入れるのにちょうど良さそうな人物を見つけた。

 

「妖夢とかいいんじゃない?素直だし、実力も申し分なさそうだし」

「え?妖夢前大会に出てないのか?幽々子が出てたって聞いたからてっきり一緒だと思ってた」

「そうなの?」

「私も不思議に思ってるの。幽々子のいたチーム八雲は四人で、妖夢の入れる枠はあったのにって」

 

うーんと三人とも顔を見合わせて悩んでいる。何やら訳ありそうな雰囲気で、本当に誘って大丈夫なのかと思っているのだろう。

 

「ええい!悩むより行動よ!」

 

テーブルをドンと叩いて立ち上がると、二人の視線が向けられた。私は面倒なことは考えず、私の勘に従う。いつもそうしてきた。

 

「妖夢のところに行くわよ」

「……他の子はどうなの?」

「妖夢以上の適役はいないわ」

「どうしてそう思うの?」

「勘」

 

私が堂々とそう言うと、魔理沙は腹を抱えて笑い、アリスは口を手で押さえてクスリと笑った。

 

「ちょっと、何がおかしいのよ」

「いや、何つーか霊夢らしいなって」

「ふーん。で、あんたらはどう思うの?」

「博麗の巫女の勘だ。十分に信じられるよ」

「私も同感よ」

 

どうやら意見はまとまったようだ。思い立ったが吉日、私たちはすぐに準備をして白玉楼へと向かった。

 




ちょこっとキャラ情報

アリス・マーガトロイド
前大会は人数合わせで人里の人間のチームとして出場。シングルス、ダブルスどちらもできる。今回は出るつもりはなかったが、友人の頼みということで出場を決意した。彼女は前大会では一試合しかしていないが、その試合は6-0で相手を一切寄せ付けずに圧勝した。積極性に欠けるものの、その試合で実力未知数の強者として各陣営に警戒されている。
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