ようこそ異世界帰還者がいる教室へ   作:END

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まだ数話しか投稿してないのにお気に入りがもう一つ投稿しているハイスクールddの二次創作を超えた。びっくりです。


注意と忠告

堀北の『OBB事件』より数週間後。

 

その後の学校生活でも、Dクラスの連中はSシステムについて知る事なく、10万ポイントを使い悠々自適な生活をしていた。

 

 

女子生徒は服やアクセサリーを購入し友人同士で見せびらかし、ある男子生徒は8万もするパソコンを購入したとの事だ。あまりの滑稽さに呆れてしまう。

 

 

さらには教師が注意しないのをいい事に、授業中の態度すら悪化していった。私語や携帯をいじるのは当たり前、遅刻欠席も常習する連中が現れている。まさにDクラスに相応しい生徒とも言えた。

 

このままだと学校側に不評ばかりつけられ、クラスポイントは0になってしまうだろう。

 

だが俺はSシステムについて語る事なく生活していた。

 

 

こいつらには一度痛い目を合わせるのがベストだろうし、何より悲惨な状況を楽しみにしている俺もいた。それに俺個人としては稼ぐ方法も見つけているし何ら問題はない。

 

 

「ぎゃははっ! お前それ面白すぎるだろ!」

 

 

そんな事を考えていたら池の笑い声が教室に響き渡り、思考が中断する。現在は授業中にも関わらず大声で笑うとはいい度胸をしている。だが他の生徒達も私語や居眠りをしていた。

 

 

「ねえ、この後カラオケ行かない?」

 

「うんっ、行く行く〜。他のみんなも誘おうよ〜」

 

 

近くの席にいる女子生徒達もそんな会話を堂々としていて教科書すらロクに開いてない。

 

 

 

それを見て俺は苛立ちを覚えた。真面目に受けろと言うような優等生ぶる気はない。俺だって格好は授業を受けているように見せているが教師の話は全然聞かず考え事ばかりしている。だが耳障りな声がずっと聞こえてくるのは我慢ならなかった。

 

 

なので俺はそれを解決させるために大声を上げた。

 

 

「黙れッ!!!」

 

 

突然の俺の叫びに生徒達の私語だけでなく教師も黙り俺へと目線が集まる。俺はそれを確認すると誰のとも目を合わせず、ただ黒板を見ながら言った。

 

 

「……耳障りなんだよ。お前らは幼稚園児か何かなのか? くだらねえ事で盛り上がってねえでその口を閉じろ。俺は馬鹿にする奴が嫌いだが、俺を不快にさせる奴も大嫌いだ……分かったか?」

 

 

それだけ言うと俺は黙り教室全体が静かになる。しばらくそんな沈黙が続いたが、ハッとした教師が授業を再開させた。

 

 

「…え、ええじゃあ、次のページを開いてくれーー」

 

 

そう言って再開され、先程とは比べ物にならない程大人しくなったが、コソコソと話しているのを【聴覚拡大】で聞き取った。

 

 

「なんだよアイツ、優等生気取りかよ……」

 

「マジで最悪なんですけど……」

 

 

ドカンッ!!

 

 

俺は机に拳を叩き込み再び教室を黙らせる。

 

 

「……聞こえてんだよ池、篠原。黙れってのが理解できなかったのか?」

 

 

名指しされた二人はバツの悪そうな顔をして今度そこ黙り込む。その後教室はお通夜状態となり、生徒全員が大人しくなったのだった。

 

 

 

 

 

 

そんな事があった後、社会の授業となり担当である茶柱が教室にやってきた。

 

 

「ん? 今日は随分と大人しいな……まあいい。今回はまじめに受けてもらう。月末により小テストを行うからな」

 

「え〜聞いてないですよ〜」

 

「そう言うな。今回のテストは成績に反映されない。安心して受けろ。ただしカンニングは厳禁だ」

 

 

そう言うと前からプリントが回され俺はそれを受け取る。テスト内容は全教科を複合した数問のテストであり範囲は中学生レベルだと分かった。最後の3問だけは高校一年じゃ解けない範囲だが俺にはそこまでの難易度でもなかった。

 

 

「(俺は既に【知能拡大】と【記憶演算】のスキルで大体のことは覚えてんだよ。あ、でもこの中学数学よく分からんな…)」

 

 

俺は入学前に高校の範囲をスキルで覚えていた。試験勉強をせずに済むためにやった事だが一年間異世界にいなかった分の範囲は高校で使う必要はないと判断して飛ばした所があった。恐らくそこで見落としたのだろう。

 

 

「(まあいいか。90点以上は取れるし適当にやっちまおう)」

 

 

そんな事を考えながら、俺は問題に回答を書き込んでいった。

 

 

 

◇◇◇

 

その小テストからさらに数日。

 

今日は学校のない休日であり、俺はケヤキモールに足を運んでいた。だが買い物目的でここに来たわけではない。クラスポイントが0になっても問題ないように資金源を確保するために来ていた。

 

 

俺はケヤキモールにあるファミレスに入る。店員に何名か聞かれ待ち合わせと伝えると、テーブルに案内してくれた。

 

そこには一人の男子生徒が顔を隠すかのようにマスクをしていて何処か挙動不審だった。俺はついでに店員にクリームソーダを頼むとその席に腰を下ろした。

 

 

「こんにちは先輩。そんな怪しそうにしてたら余計目立ちますよ」

 

「…な、なんでこんな場所を指定したんだよ…! 注文するような店を指定させるんじゃねえ!」

 

「知りませんよそんな事。俺はアンタとの取引でここにいるがバレるようなヘマをするつもりもないですし。というか主導権は俺が持ってるんだから文句言うな」

 

 

そう言って落ち込むのは三年Cクラスの先輩。

 

 

この先輩は裏で交際している女子生徒の写真を秘密で売りポイントをゲットしているクズ野郎だ。

 

この高度育成高等学校に通う生徒はSシステムで査定されポイントを支給される。そこでポイントが少ないCクラスやDクラスは生活をより良いものにしようと画策し、賭博や盗撮をする生徒が意外に存在するのだ。

 

 

そんな奴らを俺は【気配感知】【気配遮断】などで追跡して裏取りを実行。その売り渡している最中の現場を使い捨てカメラで見せつけるように撮影して、先輩に見せつけているのだ。

 

 

「これをばらされたくなかったら、俺と契約してポイントを渡せ」

 

 

という訳で、似たような事をしている奴からもポイントを奪い取り、俺は生計を立てているのだった。

 

 

因みにAクラスやBクラスじゃないのは勘付かれるのを防ぐ為。上位クラスにはキレ者がいるのが多いからな。CクラスやDクラスにもいない訳ではないが既にクラスに上がる気力は失われているのでバレる事はない。

 

 

「ほら、早く口止め料払ってくださいよ。早くしないと俺の気分が変わって学校に報告するかもしれませんよ?」

 

「ク、クソ……なんで俺はあんな馬鹿な事…」

 

 

そう言って先輩はポイントを振り込み、俺がそれを確認すると契約書を回収して取引を終わらせる。

 

 

「じゃあ初回の件は終わりなんで、毎月のポイントも忘れないでくださいね。学校側にも不審な様子は見せないように。契約者に書かれた内容を暴露されればアンタの人生は終わり。実質俺が握っているようなものですから」

 

「う、うるせぇ……分かってるよ…」

 

 

覇気のない声を発しながら、先輩はファミレスを後にした。それを確認すると携帯の表示に目をやる。現在俺のポイントは70万と記されていた。

 

 

「随分と溜まったな〜。CやDの連中はロクな奴がいないから嵌めれば絶好のカモだ。これで生活に差し支えはないだろう」

 

 

俺はポイントを見て満足すると、注文したクリームソーダを優雅に飲んでいた。

 

 

 

 

「あれ、村上君?」

 

 

俺を呼ぶ声が聞こえ、そちらに顔を振り向く。そこにはDクラスのイケメン平田とギャルの風貌をした軽井沢がいた。

 

 

「どうしたんだいこんな所で。もしかして誰かと待ち合わせ?」

 

「誰かと会っていたのは事実だがもう用件は済んだ。今は一息ついている。というか、二人きりって事はデートか?」

 

「まあね。付き合い初めてからお互いを知るために結構してるんだ……良かったら相席しても構わないかい?」

 

 

平田の提案に、腕を組んでいた軽井沢に緊張の表情が出た。

 

 

「ね、ねえ平田君。村上君も困るだろうし相席はやめた方がいいんじゃないかな?」

 

「それもそうだけど、少し彼と話したい事があるからさ。村上君、いいかな?」

 

「……俺は別に構わないが」

 

「ありがとう。軽井沢さんもいいかな?」

 

「……まあ、平田君がそういうなら」

 

 

軽井沢は最後まで顔を曇らせていたが妥協して渋々と相席に同意した。席につき注文表を見ると平田はミートドリア、軽井沢はオムライスを注文した。

 

ウェイトレスが注文を聞きはけていくのを確認すると、俺は改めて平田と向き合う。

 

 

「で、話っていうのは?」

 

「うん、話は授業のことだよ。村上君、クラスの人ともっと仲良くなる為にも怒鳴るような事はやめてほしい。できればその事についてちゃんと謝罪してほしいんだ」

 

「断る。というか、俺が謝るような事は一切ない」

 

「確かに授業中の私語や携帯をいじる行為は良くない。君が注意して止める事は正しいよ。でもあのやり方は僕は好きじゃない。篠原さん達だって反省はしてるだろうし、ちゃんと話せば仲良くできると思うんだ」

 

「無理だな。確かに初めはあれで大人しくなったが、既にあいつは俺の話をロクに聞かず私語を続けてる。他の連中も同じだからこれ以上はやっても無意味だ」

 

「そこは僕も協力するよ。だから一度話し合わないかな?」

 

 

何度言っても食い下がる平田に、俺は面倒くさいと感じた。

 

 

「はあ……始まってすぐだが、この話はやめにしよう。俺は譲歩する気はないしアイツらと仲良くする気もない。俺が馬鹿にしてくる奴を嫌いなのは知ってるだろう? 内心でやってるに違いないし、俺は奴等を見放す事にした」

 

「見放すって……そんな言い方ないじゃない」

 

 

軽井沢はそう言ってくるが俺はそれを無視して飲みかけのクリームソーダを啜る。授業中の話を聞いた時はSシステムに関連づけてくるのかと身構えもしたがそれも見受けられない。

 

気になった俺は平田に少し聞いてみる事にした。

 

 

「なあ平田、お前は10万プライベートポイントをもらってどう思う」

 

「え?……そうだね。僕はちょっと怖いかな。高校生に持たせるような大金じゃないし、このまま生活を続けて、無駄遣いの癖がついたら困るだろうしね」

 

「あたしはもっと欲しいと思うけどね〜。まだ買いたいものがあるし」

 

 

軽井沢も便乗して言ってくるが返ってきた解答は俺の求めるものではなかった。平田の知能なら少しは分かると思ったんだがどうやら見込みが甘かったようだ。

 

 

「はあ……その程度の認識か。平田、俺はお前を少し買い被ってたらしい」

 

「え? それはどう言う事だい?」

 

「どうもこうもあるか。案外お前には期待してたんだがな…」

 

「……ねえあんた。さっきからその態度はなんなの? 平田君はクラス全体のためにーー」

 

「黙れよ。お前に言われる筋合いはない。それに、もう注意する事ないからそんな心配はいらねえよ。池や篠原……いや、Dクラスはもうすぐ痛い目を見る事になるからな。嫌でも真面目になるさ」

 

「……それは一体どういう事なんだい?」

 

「じきに分かるさ。この学校が定めている、真の実力主義が何なのかを」

 

 

ヒントは与えた。平田には助け舟も出した。これ以上俺が言える事はないと判断すると、二人を置いて席を立ち、会計へと向かうのだった。




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