ようこそ異世界帰還者がいる教室へ   作:END

6 / 20
後書きに村上光太のデータベースを書いときました。見てみてください。


Sシステムと実力行使

5月1日。

 

ついにSシステムが公開されるであろう運命の日がやってきた。生徒達はポイントが支給されていないと朝から騒いでいて状況を分かっていない。そんな奴らが今から絶望に落とされると思うと俺は楽しみで仕方なかった。

 

 

そして朝のホームルームの時間となり、茶柱が教室へと入ってくる。

 

 

「センセー、生理でも止まりましたか?」

 

 

池がそんなデリカシーのない発言をしたが、それを茶柱は睨みつけると席に座るよう促した。

 

 

「これより、朝のホームルームを始める。その前に何か気になる事があるようだが、質問はあるか?」

 

「先生、おかしいですよ。朝ポイントを確認しても全く振り込まれてませんでしたよ。何か不備でもあったんですか?」

 

 

本堂がそう発言し、他のクラスメイトも便乗する。しかし茶柱はそんな生徒達に冷たい目線を送った。

 

 

「前にも説明した通りだ。ポイントは毎月1日に振り込まれる。今月のポイントは既に振り込まれた」

 

「え……でも、ポイント増えてませんよ?」

 

「……はあ。お前たちは、本当に愚かな生徒だな」

 

 

いきなり茶柱は生徒を罵倒すると雰囲気を変え、生徒達を一瞥した。いつもとは違う茶柱の態度に生徒達は困惑しているようだった。

 

 

「ポイントは振り込まれた。これは間違いない。このクラスだけ忘れられていた、と言うこともない」

 

「いやでも、実際に振り込まれてませんし……」

 

 

本堂はまだ食い下がるように同じことを言うが、ここで高円寺が高笑いをする。

 

 

「ハハハ、理解したよティーチャー。この謎解きがね」

 

「は? どういう事だよ高円寺」

 

「簡単な話だ。私達Dクラスは0ポイントを支給された訳さ」

 

「それはないだろ。だって、毎月1日に10万ポイント振り込まれるって……」

 

「そんな言葉を私は一度も耳にしたことは無いね。そうだろう?」

 

「態度に問題はあるが、高円寺のいう通りだ。全く、これだけヒントを与えて、気づいたのは数人とは……」

 

 

茶柱はため息を吐くと、生徒達に真実を伝える。

 

 

「遅刻欠席、合計98回。授業中の私語や携帯を使用した回数、297回。極め付けは学校の備品への損傷。一月でよくもまあここまでやらかしたものだな。この学校は、クラスの成績がそのままポイントに反映される。この一ヶ月間のお前達Dクラスの実力を調査した結果、お前たちの評価は……0だ」

 

 

その言葉にクラスはざわめきだし、混乱が生じていた。俺はそれを楽しむように眺める。実に愉快だ。こうして自らの行いによって評価が下がったのだから自業自得としか言えない。だが学校の備品の損傷に関しては納得がいかなかった。おそらく俺が机を殴りまくった事だと思うが加減をしていたので少々欠けた程度だ。わざわざいう事でもないだろう。まさか……わざと大事のように言ってるのか?

 

 

そんな事を考えていると、茶柱は持ってきていた模造紙を黒板に貼る。そこには全クラスと数字が刻まれていた。

 

 

Aクラス 940

Bクラス 650

Cクラス 490

Dクラス 0

 

 

「これは各クラスの評価表だ。これを見て気づく事はないか?」

 

「……妙に綺麗に並んでいますね」

 

「その通りだ、堀北。この学校では優秀な生徒からAクラスへ、ダメな生徒ほどDクラスへ配属される。つまりお前達は、最悪の不良品という訳だ」

 

 

この言葉にクラスは混乱さらに強め、受け止めきれない現実に嘆いていた。高円寺や綾小路は微動だにしないが堀北は有り得ないといった表情をしていて俺もつい嬉しく感じてしまう。

 

 

「しかし逆に感心もした。一ヶ月で全てのポイントを吐き出したのは歴代のDクラスでも始めてだ」

 

「……これから俺たちは他の連中に馬鹿にされるのかよ」

 

「何だ須藤。お前にも気にする体面はあったんだな。だったら頑張って上のクラスに上がれるようにするんだな」

 

「あ?」

 

「クラスポイントは毎月の支給額と連動してクラスのランクにも反映される。つまりはお前達が他クラスよりポイントを得れば昇格できるという訳だ」

 

 

その事を言い終えると茶柱はもう一枚の紙を取り出し黒板に貼り付ける。今度はDクラス全員の名前と点数が表記されていた。

 

 

「さて、ここでお前達に知らせなければならない残念な知らせがもう一つある。この数字は先日行った小テストの結果だ。揃いも揃ってクズのような点数だ。良かったな、これが本番なら赤点を取った7人の生徒が退学になっていたぞ?」

 

「「「「「「「はあっ!?」」」」」」」

 

 

7人に該当された生徒達は驚愕の声を上げる。まあ入ってすぐにそんな状況に見舞われたら誰でもそうなるだろう。そんな生徒を見ていると高円寺は高らかに笑い出した。

 

 

「アハハ。ティーチャーがいうように、このクラスには愚か者が多いみたいだね」

 

「何だと高円寺! どうせお前だって赤点組だろ!」

 

「フッ。どこに目がついているのかね。よく見たまえ」

 

「あ、あれ? 90点!?」

 

「絶対須藤とおんなじバカキャラかと思ってたのに……」

 

「て、おい見ろ! 村上の奴95点も取ってやがる!」

 

「はあ!? なんであんな奴が頭いいのよ!」

 

 

……あ? 今言ったやつは誰だ? テメェが言えた口じゃねえだろうが…その喉潰してやろうか?

 

そう思い俺は立ち上がろうとすると茶柱はそれを察したかのように話を切り出した。

 

 

「それからもう一つ。この学校が誇る就職率・進学率100%の恩恵を得られるのはAクラスのみだ。それ以外の生徒には、何一つ保証する事はない」

 

「そ、そんな……聞いてないですよそんなの! 滅茶苦茶だ!」

 

「みっともないねぇ幸村ボーイ。男が慌てふためく姿ほど惨めなものはない」

 

「……お前はDクラスであることに不服はないのかよ、高円寺」

 

「フッ、実にナンセンスだ。学校側はただ単に私のポテンシャルを計れなかっただけのこと。私はだれよりも自分のことを評価し、尊敬し、尊重し、偉大なる人間だと自負している。それに私は将来高円寺コンツェルンの跡を継ぐことは決まっている。DでもAでも些細なことだよ」

 

 

それは何とも羨ましい限りだ。だがそうなるとこいつが本気を出す機会は気分次第ということになるんじゃないか? 別にクラスの為に何かしろとは思わないが手を抜いたら俺がこいつに制裁を加えてやろうか……。

 

俺は既に点数の罵倒ではなく、高円寺に対する対応を考えることにした。しかしそれを中断させる事が聞こえる。

 

 

「……これで浮かれた気分は払拭されたな。ではこれでホームルームは終了する。各人生活態度を改めより良い学校生活を送ってくれ。中間テストではきっと生き残れると信じているぞ」

 

 

茶柱は最後にそう告げると、教室を後にするのだった。

 

◇◇◇

 

 

「ちょっとあんた!」

 

 

茶柱が去り、クラスメイトが混乱している中、平田の彼女である軽井沢が俺の机の前に立ち思い切り机を叩いた。

 

 

「……何だ軽井沢。俺になんか用か?」

 

「惚けないでよ! あんた、先生が言った学校のシステム知ってたでしょ!」

 

「嘘っ!? それ本当なの軽井沢さん!」

 

「うん。前に平田君と一緒に話す機会があったんだけど、その時に真の実力主義だとか言ってたの。今までは何を言っているか分からなかったけど、絶対に今説明された事を言ってる!!」

 

 

その言葉にクラスの敵意は全て俺の方に向き罵詈雑言を浴びせる生徒まで出てくる。俺はゆっくりと立ち上がると教室全体を見渡すかのように顔を動かすと小馬鹿にする様に笑った。

 

 

「ああ、その通り。俺はこの学校のポイント査定ーーSシステムについて認知していた。だから黙っていたと言われれば、それは正しいと言える……だが、それがどうした?」

 

「何だと! ふざけるな!! ならば何故それを言わなかった!」

 

 

Dクラスの配属に納得のいっていない幸村がそう叫ぶが俺は馬鹿にするように見つめながら応えた。

 

 

「何をアホな事を抜かしてやがる。俺はこの一ヶ月間授業中に黙れと言い続けたぞ。それなのにお前らは直さないどころか俺に悪口を言ったり無視した。そんな奴らを何故助ける必要がある。意味がわからないな」

 

「村上くん、そこまでにして欲しいな。それ以上は言い過ぎだよ」

 

「言い過ぎ? 先に突っかかってきたのはこいつらだ。俺はただ反論したに過ぎない。それよりも平田。お前こそ何をしていた。俺はお前に可能性を助言しただろ。お前が中途半端な対応をしたせいでこうした結果になったんじゃないのか?」

 

「そ、それは……」

 

「……まあそんな事はどうでもいい。俺はすでにこのクラスを見放している。よって労力を割く事はない。不良品共のお前らが群がるなら勝手にしろ」

 

「はあっ!? ふざけんな! お前だってDクラスの不良品じゃないか」

 

「一緒にするなゴミが。俺は成績、運動共にトップの成績を残している。おまけにこの学校のシステムを把握して既に動いていた。それの何処が不良品なんだ? というか、ホームルームで阿鼻叫喚してたお前らは本当に笑えたよ。最高の喜劇だった」

 

「なっ…言わせておけばズケズケとッ!!」

 

「事実だからな。特に須藤、お前は中間テスト14点。ゴミ以外の何者でもないな。体面を気にする必要なんかないと思うぞ?」

 

 

俺が告げた言葉に、教室は凍りつく。言われた本人である須藤はゆっくりと俺の方を向くと眉間に青筋を浮かべていた。

 

 

「……んだとテメェ。今なんつった?」

 

「あ? もしかして耳も悪いのか? いや〜こりゃ救いようのない奴だな。本当同じ人間かどうかも疑わしい」

 

「っざけんな! 喧嘩売ってんのか!」

 

「しねえよ馬鹿が。俺は不良品の癖にそんな横暴な態度を取ってる事がおかしいと思っただけだ。もしかしてイキってんのか?」

 

「上等だ。陰キャだからって容赦しねえぞ!」

 

 

陰キャとは失礼な。確かに俺はオタクで前髪が長く顔が隠れているが、それはあまり俺の目を見せないためだ。決して陰キャというわけでない……と、そんな事を考えていたら須藤は俺の胸ぐらを掴みあげる。

 

 

「おいおいムカついたら暴力か? これで評価に影響が出るかもしれないぞ?」

 

「うるせぇっ! 今更減るポイントもねえだろうが! さっさとその口黙らせてやるよ!!」

 

「須藤君っ、駄目だ!!」

 

 

平田が須藤の暴挙を止めようとしたがもう遅い。須藤は拳を振り上げると俺の顔面へ力一杯振りかぶった。

 

 

 

パシッ!!

 

 

見てて退屈になるような須藤の拳を俺は片手で止めた。こんな柔な拳じゃ俺に一撃を与える事すらできない。

 

 

「……あ?」

 

「残念。腕力が足りないな。拳ってのはこうするんだ…よっ!!」

 

 

俺は胸ぐらを掴む須藤の腕を引き剥がすと右ストレートを須藤の鳩尾に叩き込んだ。

 

 

「……あがっ!?」

 

「どうした? 陰キャと思ってたやつが実は強くて驚いたのか? これが実力者と不良品の差だ。よく覚えておけ」

 

 

俺が先程須藤に挑発したのはこうして暴力沙汰に発展させて、他の奴を黙らせる事にあった。クラスでも武闘派と知られている須藤を鎧袖一触にすれば反論を言わず黙り込むだろうからな。事実その効果は的面でクラスメイトは怯えながら俺を見ていた。

 

 

「じゃあな不良品共。今日の所は俺は帰るから後は好きにしろよ。これからお前らの学校生活を楽しみに見させてもらうぜ。アハハハハッ!!!」

 

 

そう言って愉快に笑いながら、俺は教室を去るのだった。




『高度育成高等学校データベース』

村上光太
【評価】
学力   B+
知性   C+
判断力  B
身体能力 A
協調性  E一

【面接官からのコメント】
中学1年の終わりまでは普通の成績を持った生徒だったが、一年間不登校になってから能力が桁違いに向上した。しかし短気さに不安が見られる事、別途資料における事件との関連性が疑われている事からDクラスで監査すべきと判断する。
【先生からのコメント】
クラスメイトと折り合いがついていないので、交流を深めてほしい。



※全部Aみたいなつまらない事をせず、印象に残りやすい構成にしました。

《学力》一年のブランクとテスト欠席で成績評価はまあまあ。スキルや魔法で学力を底上げし現在成長中。
《知性》力づくで色々と解決させるのでそこまで高くない。
《判断力》異世界の戦いで培ったのでそこそこ。
《身体能力》有無を言わせず最強。だって魔王を倒した肉体だよ?
《協調性》一人で全て行うロンリーウルフ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。