第三話【Are you happy?】
「あなたが主犯、レミリア·スカーレットね?」
「よく来たじゃない·······誉めてあげる」
「はいはいありがとーございます」
質問に対して答えを返さないことに苛立ちを覚えながらも、
彼女、博麗霊夢は落ち着いていた。
「じゃ、あんた、退治するから覚悟しなさい」
「あら、覚悟するのはどちらかしら?」
容姿に似つかわしくない妖艶な笑みを浮かべる。
その笑顔は何処か作られたようで、喜びの感情が微塵も感じられなかった。
寧ろ感情が感じられない。
しなければならないからやっているかのような表情。
それに対して私は少なからず安心を覚えた。
この異変、所謂出来レース、もしくは三文芝居だからだ。
説明し出すと長いので簡潔にまとめると、
賢者、八雲紫は弾幕ルールを普及させようとしている。
しかし、従わない妖怪もある。
異変で使用することによって、様々な効果を実証する。
弾幕ルール普及。
といった感じだ。
そしてその始まりの異変を紫に頼まれたのがレミリア·スカーレットだ。
芝居の悪役。負ける運命にあるもの。
もし、もしなにか本当の理由があるなら紫に始末を頼まれるところだ。
それは厄介なので、遠慮したいところだ。
正直こいつの実力は計り知れない。
「あなたが············覚悟しておいたら?」
「なんだか覚悟を強調してるようね」
「当然、覚悟は偉大よ?
もし明日死ぬとわかっていても、覚悟があるから幸福なの」
「···ッ!つくづくあんたイカれてるわね···········」
イカれてる。
この台詞は霊夢の本心だ。
笑顔はそのままだが、今、一瞬殺気が垣間見えた。
満月だからか、はたまたしなければならないからやっている表情すらも嘘か。
どちらにしろ厄介なことこの上ない。
「じゃあ、行きましょうか··········」
「私は一度先代に退治されている。その因縁は絶ちきらせて貰うわ!」
こうして弾幕勝負は始まる。
赤い弾幕と紅い弾幕が撃ち出される。
その光景は、紅い空を赤く、紅く照らした。
そして二人を見つめるものが一人。
一体どういうことだ。
訳がわからない。あれはなんだ?あいつは誰だ?あの人は······誰だ?
底知れぬ恐怖に足が、手が、震える。
私が最後に会ったときはいつも通りだったのに·········。
私はなにも知らなかったのか?
10年以上もの時間、身の回りのことをしておいて、
私は何も知らないのか?
息が荒くなる。喉が乾く。頭が痛い。
目の前が暗くなっていく。景色が回る。
レミリア·······お嬢·····様。
十六夜咲夜の意識は途切れる。
次目覚めた時、どうなっているかも知らずに。
あ。