咲夜「(絶望)(かっこぜつぼうかっことじる)」
「う··············」
意識が戻り、ゆっくりと瞼を開ける。
そこには暗い、何時も通りの紅い廊下の天井が広がっていて、
夜だけ開かれる窓から射し込む月の光が私を照らしていた。
それ程長い時間は気絶していなかったようで、簡単に体は起こせた。
そのまま立ち上がり、窓の外に目をやる。
誰もいない。
外には何もない静寂だけが広がっていて、戦いが終わったことを知らせてくれる。
あぁ、終わったのか。
どっちが勝ったかは知らないが、恐らくはお嬢様の敗北で終わったのだろう。
-だが、今は、今はそれはどうでもいい。
それより先に解明しなければならない謎がある。
あのお嬢様はなんだったのか?
明らかに普段とは違う、まるで別人のようなお嬢様を私は見た。
何故あのようになったか私は知らない。
足の向きを90度、お嬢様の部屋の方へ変えて、ゆっくりと歩きだす。
問い質さなければ。
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お嬢様の部屋の前に私は立つ。
耳を澄ませば話し声が聞こえ、誰かがいることが確認できる。
コンコンと扉をノックする。
「誰~?」
いつものような気が抜けるような、子供の声。
もうさっきのような大人びた、妖艶な声ではなかった。
「咲夜でございます」
そう言って、扉を開け、中に入る。
そこにはお嬢様と美鈴がいた。
一瞬美鈴がいることが気になったが、取り敢えずは置いておいて問う。
「お嬢様、さっきのはなんですか?」
それを聞いたお嬢様は、不思議そうな表情をする。
「さっきのって?」
「惚けないでください。さっきあなたが巫女と戦ったとき、
あなたは今のような雰囲気ではなかった。まるで別人のようだった」
「巫······女··············?」
巫女のことを知らない?
どういうことだ。
さっき、戦っていたのに知らないとは。
それを問おうとすると、美鈴が口を開く。
「お嬢様は、先代に魂を乗っ取られていたんですよ」
「は············?」
乗っ取られていた?先代に?
訳がわからない。
そんな私を見て、美鈴が言葉を続ける。
「私もさっきのお嬢様の姿は見ました。当然おかしいと思いました。
いや、おかしいどころか偽物だと思って、
私はさっき館に入ってきたお嬢様を不意討ちしたんです。
疲れきったお嬢様、いや先代は反応できずに気絶してしまいました。
すると、魂が出てきたんです。
魂も一種の気ですから、私の能力で視認できて、魂がどこかに行ったのも確認できました。
で、今起こして看病していたというわけです。ちょっと本気で殴ってしまいましたから」
訳がわからず、呆然とする。
美鈴はアハハハと苦笑いしていて、お嬢様はニッコリ笑っている。
「なんじゃそりゃああああああああああああ!?」
私の叫び声が静かな館の中に響き渡る。
いやぁ、私の中のストーリーと皆様の中のストーリーがズレてる気がしてならない。
まぁ、いいんですけどね。それも利用していきますし。
紅霧異変は終わりです。
一瞬でしたね。
GW短すぎんよ~(指摘)