童磨転生にしちゃったよ、誰かタスケテ(泣)   作:サルスベリ

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 FGOの映画を見て、家に帰って眠った日の夜、サイタマにボコボコにされるゲーティアの夢を見た。

 『俺じゃなくて、マシュだろ、そこは』なんて、肩を握り締めるサイタマと一緒に夢を見た、そんな摩訶不思議な夢を見ました。

 いっそのこと、玄関開けたらゲーティアが『お帰りなさい! なんだ、ソロモンじゃないのか、はぁ』とか落胆する彼を見てみたい気がする!

 ロマニと一緒に爆笑する珍道中とか面白そうである。

 バスの旅いん『ゲーティアとロマニとマシュ』なんて、感動する物語になるに違いない!

 フォウにカメラつけて、徹底尾行とか楽しそうである!

 すみません、夏なんで熱気で頭が馬鹿になったので、頑張って更新しました。








願いを重ね未来を見据えるのは、命が限りあるものだからである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人は、愚かな生き物なのかもしれない。

 

 自らの望みを知り、自らの小ささを知っているのに、何処までも遠くを見つめて、何処までも高い場所を目指して、世界の果てさえも辿りつこうとするのは、人間くらいなものかもしれない。

 

 人の足なんて小さいもので。一歩の距離なんて、地球から見たらとても小さくて、ちっぽけで。歩いても歩いても目的地にたどり着けなくても、努力が無駄になったとしても、歩くのをやめないのは愚かなことでしかない。

 

 無駄だから、止めなさい、そう言われても立ち止まらずに歩いていくのは、人間の本質かもしれない。

 

 止められても、終わりがあると知っていても、立ち止まって無駄なことだと諦めることなんてできない。

 

 その内に心があるなら、止まることなく、自分が持った願いを支えに、ただ前を見据えて歩いていく。

 

 世界は広い、何処までも広い世界の中で、小さな存在でしかない人間は、それでもと前を向いて歩いてきた。多くの人が諦めることなく、歩き続けて道を作って人を集めて、街を作って、都市となって、国家となって。

 

 やがてこの大きな地球を覆うほどの集団となった人間は、それでも一人一人はちっぽけな存在でしかない。

 

 小さな命、単体では決して生きていけない、脆弱な存在。けれど、集まった人たちの命の火は、焔となって燃え上がり誰にも負けない輝きを見せつけて、世界に『人間』の可能性を示した。

 

 霊長類最強。

 

 そんな人間の集団は、鬼の出現によってその立場を奪われようとしていた。

 

 夜の闇に潜み、朝日のない場所で人を襲い、命を奪っていく鬼達。

 

 地上を支配していたような人間達は、その闇に潜んでいる鬼達に怯えるような毎日を過ごすことになった。

 

 大勢は知らない、けれど一部の人達は知っている鬼達。鬼の脅威を知った人たちが、負けるな立ち止まるなと集まってできた集団がいた。

 

 鬼殺隊。彼らは呼吸を持って鬼に対抗しているが、それでも鬼のほうが強さを上だ。まだまだ数が少ない鬼に対して、集団で立ち向かっている彼らは必死に抗っているが、鬼達はそれを笑うように襲う。

 

 人の世にあって、影に潜む鬼達。太陽のない世界は自分達の世界だと、夜を自由に飛び交う鬼達は、人間を下に見て、自分たちこそがこの世界の頂点だと叫んでいた。

 

 人を食らい、闇に潜む鬼達は、その日に知ることになった。

 

 自分達が闇を『間借り』していただけにすぎないことを。

 

 本当の闇を、本当の夜を支配した存在が、ここにいることを。

 

「あらあら」

 

 クスクスと笑う声がした。人間を食らうために夜を飛び交っていた鬼達を、夜の月だけが見下ろしていた彼らを、闇の中から誰かが見下ろしていた。

 

鬼がこんな場所に何の用だ?

 

 少年は真っ直ぐに鬼を見下ろしていた。困惑も怒りもない、ただ疑問をぶつけるだけで、他には何の感情もないのに。

 

自分より弱い者をいじめて楽しいの?

 

 少女は少し呆れたように、鬼が手を伸ばした先、折れた刀を持っている集団を見ていた。

 

「そうね、とりあえず」

 

 楽しそうに笑っていた女性が、ゆっくりと片手に剣を引き抜く。血のように赤く染まった瞳で鬼達を見下ろして、彼女は嬉しそうに笑っている。

 

死になさい

 

 その日、鬼達は改めて思い知った。自分達は絶対ではない、自分達は人間の上に立ったとしても、支配者ではないと。

 

 この世界にはもっと上の存在が、確かにいる、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チンっと済んだ音と共に収められた刀から手を話、カナエは一歩一歩と歩き出しかけて、足を止めた。

 

「しのぶ、どうしたの?」

 

 ゆっくりと振り返る。

 

 夜の木々の間から、蒼白になった妹が姿を見せて、ゆっくりとこちらを見つめてくる。全身が震えているように、音が聞こえそうなほどに揺れているのに、気丈にもその顔は真っ直ぐに向けられた。

 

 自分(第二真祖)に対して。

 

「ね、姉さん、お願い、力を貸して」

 

「どうして?」

 

「姉さんたちなら、鬼を倒せるから、どうか、鬼殺隊に」

 

 震えながらも必死に言葉を紡ぐ彼女を横目に見ながら、カナエはどうしようかと考え込む。

 

 はっきり言って、カナエにとってもう鬼なんて『どうでもいい』。今も鬼を殺しているのは、最初の想いがまだ心の中にあるから。鬼を滅ぼして、鬼を抹消して、その先に何を願っていたか解らないが、それが『人間としてのカナエ』の残滓のように、心の何処かにあるからだ。

 

 最初の頃、吸血鬼になった時のような、鬼をすべて滅ぼそうなんてことは、もう完全に頭の何処にもない。

 

 人間を襲わないのは、これも人間としての残滓がそう思わせているからだろうか。吸血鬼なのだから、血を吸わなければ生きていけない、そう言ったことはない。真祖だからではなく、最初の真祖の童磨が人間と同じ食事で栄養を取れるから、ということでもない。

 

 単純に、自分達の存在が吸血鬼としては破格だから、だろう。周囲の力を取り込み、自己完結できる生命体。生命と呼べるのかどうか解らないが、とにかくそういった存在になっているらしい。

 

 吸血鬼と名乗っているのは、第四真祖の転生特典から。魔族と名乗ってもいいのかもしれないが、魔族っぽいことはしたくないのが童磨の想いだから、魔族とは名乗らないことにした。

 

「姉さん」

 

「あら、ごめんなさいね」

 

 少し思考に陥っていたようだ。これも人間の時とは違う。妹が何か言っている時に、他のことを考えるなんてなかったのに。

 

 真祖になった弊害。限りある命を持っていた人間だったら、行わなかったことが今の自分は行ってしまう。

 

「ごめんなさい、しのぶ。私達は鬼を滅ぼしているけど、人間の味方をしているわけじゃないのよ」

 

「なら、どうして?」

 

「昔の想いがまだ、ここにあるから」

 

 そっと自分の胸を指差すカナエは、微笑んでいた。けれど、その笑顔はしのぶには恐怖でしかない。

 

 自分が捕食される側だと思い知らされる。目の前にいるのは姉なのに、一緒に育った姉だというのに、鬼に両親を殺されてから復讐を誓った同士なのに、今の姉を見ていると怖くて体の震えが止まらない。

 

 鼠が猫を前にした時のように、草食動物が肉食獣を前にした時のように。

 

 食べられる恐怖が、ずっと心の底で叫び続けている。

 

「なら、私も、私も!」

 

「・・・・・・・それも面白そうね」

 

 楽しそうに同意を示した姉の姿が、一瞬後には自分の前にあった。

 

「あ・・・・」

 

 そっと触れられた指先は、確かに温もりがあった。死体のように冷たさなどなく、かつての姉の同じ手の温もりにしのぶは返って怖さが増したように感じた。

 

 体の温もりは姉のものなのに、見つめてくる血のように赤い瞳が姉ではない何かだと刻んでくる。

 

「でも、それは駄目よ。貴方は、人間として生きてね」

 

 スッと抜け落ちるように、触れていた温もりが消えて行った。

 

「姉さん!」

 

 思わず叫ぶ。恐怖とか体のふるえとか、全部が一気に消えていき、後に残ったのは胡蝶・しのぶの中の別の恐怖感。

 

「ごめんなさいね、しのぶ」

 

 ゆっくりとカナエは歩いていき、夜の闇へと帰って行った。

 

 後に残されたしのぶは、ゆっくりと自分の中に溢れた別の恐怖を噛みしめた。これは生命危機に対しての怖さではない。これは人間としての悲しみだ。

 

 また姉を失った、そういった喪失感だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鬼達を滅ぼした帰り道、炭治郎はカナエと穪豆子とは別の場所へと、足を進めていた。

 

 見なれた森の中、進みなれたはずの山道を歩いた先。

 

「ただいま」

 

 半分ほど朽ち果てた家屋に声をかけて、誰もいない室内に入っていき、獣か何かに食い破られた布団の上に座る。

 

 かつて、ここに自分達は住んでいた。

 

 今も鮮明に思い出せる、父のことも、母のことも、妹や弟たちのことも。はっきりと思い出せるというのに、そこに哀愁はなかった。ただ、自分のことを記録映像のように見ているだけで、悲しみも怒りも湧いてこない。

 

 ギュッと布団の切れ端を握り締める。

 

 母の顔が脳裏に浮かぶ。食事の用意をしてくれる母の笑顔を忘れていない。

 

 妹の声も、弟たちの騒がしい光景も、小さい頃に父に言われたことも。まだまだ鮮明に思い出せるのに。

 

 感情だけが動かない。思い出しても、思い返しても、心は漣さえ立つことない湖面のように澄んだまま。

 

 鬼に殺された時の激怒は何処へいった。吸血鬼にされた時の悲しみは何処に消えた。家族の復讐を考えた自分は何処へ消えた。

 

 『天照』の能力を使いこなせれば、死んだ人間を蘇らせると知ったとき、心の底から喜んで必死になった自分は、どうしてここにいて過去を必死に繋ぎとめているのか。

 

 まだ一年だ。たったの一年しか経っていないのに。もう一年とか思えない自分がいるのが、とても許せなくて、とても憤りを感じるはずなのに。

 

「俺は、俺は」

 

 握り締めた拳が床に穴を開けた。身体能力が上がったから、鬼を相手にしても負けることはない。

 

 様々な能力を得たから、どんな状況であっても鬼から攻撃を受けることはない。

 

 天照の能力を使えるから、家族を何時でも蘇らせることができるのに。

 

「なんで俺は、使ってないんだ」

 

 食いしばった口からこぼれた言葉に、自分自身が無意味だと思っていることに、炭治郎は悲しいほど泣きたくなった。

 

 過ぎ去った時を戻しても無意味で、死んだ家族は死んだままにしたほうが自然なものだ。蘇らせても、自分より先に死んでいく家族を見送るのは、今の状況とまったく同じではないか。未来で死ぬか、過去で死んだかの違いでしかない。死者は死者だ。無意味だ、同じ事実を重ねても、同じ答えしか出てこない。そんなことに力を使って、どんな意味がある。

 

 怒りも悲しみも感じる、けれどそれが長く自分の心を揺さぶることはなく、すぐに波が引くように消えていく。

 

 だから、炭治郎はここに来る。かつての自分を失わないように、かつての自分の人間だった頃の『竈門・炭治郎』を決して忘れないように、自分の隅々まで刻むように。

 

「戻ろう」

 

 ゆっくりと立ち上がり、入口のところで振り返る。

 

「いってきます」

 

 小さく、祈るように呟く。まだ自分が、『炭治郎』でいられるように。願うように告げた炭治郎は、真っ直ぐに前を向いて歩きだす。

 

 耳飾りのないことに気づかないまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 穪豆子はマクロス・エリュシオンの一番高いところで、夜空を見上げていた。

 

 兄はまた家の戻っているのだろうか。責任感が強いから、人間だった頃を忘れたら家族を捨てたように感じているようだが。

 

「私は冷たいのかな」

 

 誰も答えない質問は、ゆっくりと闇に溶け込んでしまう。

 

 あの時、鬼舞辻・無惨に殺されかけた時のことを思い出すと、何の感情も湧いてこない。

 

 弱肉強食は世の常、そんな言葉で片づけられないほどの怒りがあったはずなのに、目の前で家族が死んでいくのを見たときに、全身から沸き上がるような激怒があったはずなのに。

 

 もう何も感じない。自然の摂理に反しているのだろうが、事実は事実として変えようがない。過去に戻ってやり直すのか、それとも死者を蘇生して元通りにしたいのか。

 

 無意味だと、自分が結論を出してしまう。

 

 一年しかたっていないのに、家族のことを鮮明に思い出せるのに、そこには感情がつくことはない。

 

 兄と違って、穪豆子はあの日から家に戻ったことは一度もない。

 

 ずっと怒りと悲しみを引きずることが無意味に思えたから、永遠に生きる時間の中で、僅かな一瞬のことを心の中に刻んだとしても、いずれは風化して消えてしまうから。

 

「言い訳が上手くなったよね」

 

 落ちたら死ぬような高さの中、片膝を抱きよせて額をつけた穪豆子は、小さく苦笑した。

 

 自分の中の何かが変質して、吸血鬼となって、そして能力を磨いた結果として『真祖』の肩書が増えた。

 

 童磨が第一真祖で、カナエが第二真祖、炭治郎が第三真祖、穪豆子が第四真祖。能力の名前と偶然に一致した自分の肩書のためか、穪豆子はカナエや炭治郎よりも眷獣を自由に操れる。

 

 名を呼ばなくても、声に出さなくても、まるで自分の神経と同調したように動かした獣たちは、彼女が感情を動かさないのに反比例するように、力を増した攻撃をするようになった。

 

 容赦なく、敵対した者を欠片も許さずに消すように。

 

「私はまだ許してない」

 

 小さく呟いた言葉に、穪豆子自身がハッとした。

 

 無意味でも忘れない。無関心でも気に止めている。兄が行っていることを知りながら、自分もしないのはそんなことが。

 

「そんなことが、関係ないから。私は、私の中にはまだ、怒りがあるから」

 

 小さく吐き捨てるように言葉を発した穪豆子は、自分が忘れたようにふるまっていたことを知った。

 

 知ってしまったから。感じているから。自分が第四真祖であり、童磨と同じ能力を持っているから、この力を感情のままに振るったら何が起きるかを、痛いほど直感で解ったから。

 

 だから忘れたふりをする。そういうことか、と穪豆子は内心で納得してゆっくりと身を空中に躍らせた。

 

 兄は責任感が強いから、忘れないようにしていても、家族が今の自分を見たら悲しまないように、必死になっている。

 

 でも、自分は自分に素直だ。穪豆子は苦笑しながら、空中を踊る。

 

「鬼を皆殺しにしてやる」

 

 笑いながら、血のように赤い瞳で月を見つめた後、彼女は夜の闇に潜む鬼達を見据えるように、宣告した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 童磨は思う。自分がこの世界に転生したから、あるいは憑依したから物語が随分と歪んでしまった。

 

「考え事かしら?」

 

「色々とね。俺達は真祖で吸血鬼で、魔王で、ワンパンマンで。もう無茶苦茶だ」

 

「いいじゃない。私達は私達でしょう?」

 

 嬉しそうに笑うカナエの赤い瞳は、何処までも綺麗に見えた。血のように赤い、まるで真祖の宿命を見せられているような瞳。

 

「俺達は俺達、か。なら、俺達はこの後、どうするべきなんだろうな」

 

「そうね、鬼を滅ぼしてもいいし、それか人間以外の世界を見つけるのも面白そうね」

 

「鬼舞辻・無惨を放っておいたら、人間が全滅しないか?」

 

「それも自然の摂理じゃないかしら?」

 

「鬼は自然に生まれたもんじゃないけどな」

 

「ええ、そうね。それは私達も同じでしょう?」

 

 クスクスと笑うカナエに、童磨は言葉に詰まって片手を振るだけにした。

 

「掃除してもいいってことね?」

 

「違う。俺はあんまり危ないことしたくないだけだ」

 

「私達にとって、『危ないこと』ってあるの?」

 

 悪戯っ子のような顔で問いかけるカナエ。

 

 童磨はないかなぁと内心で思いつつ、彼女には答えることなく月を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奴らを殺せ、絶対に殺せ! あいつらを殺せぇぇぇ!!!

 

 同じ頃、とある場所で反狂乱になって叫んでいる無惨がいたとか、いなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 









 のんびりやろうと思って、気がついたら二か月とか馬鹿なんじゃないの、とか考えつつも、何度も書き直していると、なんでかこんな話になりました。

 永遠を生きるって精神が摩耗する、そんなことはないのだろうけど、感情が死んでいくような気がする。

 時に元人間だと。


 苦悩するのは人間の特権、なんて話を聞いたことがあるけど、人間から真祖になったから穪豆子と炭治郎は今日も苦悩しています。

 カナエさんは、快楽殺人者じゃなくて、ゴミが落ちているから掃除って気持ちで鬼を駆除しているだけ、だといいなぁ。


 ではでは、このあたりで失礼いたします。






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