やはり葉山の親友が武内Pなのは、間違っているだろか   作:阿保パンマン

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林間学校7

 

 

林間学校でのイベントである肝試し

その脅かし役を担うことになっている高校生組は簡単な準備を終えて脅かしポイントで待機していた

そしてスタート地点では小町が出発するグループを指名している

もう既に殆どのグループが肝試しから帰ってきて騒ぎ合っていた

「気を付けて行ってきてね」

フリフリと手を振って最後のグループを小町は見送った

 

 

 

 

前を歩く少女たちは脅かし役の高校生が出てくると楽しそうに悲鳴を上げる

それを留美は冷めたような目で見ていた

時折、こちらを向いてクスクスと笑う少女たちの行動に傷つかないと言ったら噓になるが昨日よりはマシになった

それは、独りじゃないと思えるからだろう

(早くお風呂に入りたいな)

そんなことを考えながら歩いていると

「あ!」

嬉しそうな声が上がった

「やぁ、こんばんわ」

白いシャツの上に胸元にポケットがついているアウトドア用のグレーのベストを羽織った葉山が切り株の上に腰を下ろしていた

「ちょー、普通の格好してるー!」

「もっとやる気出してー!」

「この肝試し全然恐くないし!ー」

「高校生なのに頭悪ーい!」

これには留美も他のメンバーと同じ意見だった

「はは、ごめんね」

葉山が申し訳なさそうに謝ると少女たちは「隼人君のせいじゃないよー!」と慰めるような言葉を次から次へとかける

「ありがとね」

葉山が微笑みかけると少女たちは歓声を上げる

「ねー、隼人君!暇なら私達の肝試しに付き合ってよー!」

「あ!それいいね!」

「賛成ー!賛成ー!」

「待って」

そう葉山が告げると少女たちは、すぐに黙って葉山の顔を見た

これらの行動から、少女たちの葉山に対する信頼の高さが伺える

「聞いて欲しい話があるんだ」

急に真剣な声音になり、留美は恐い話でも話し始めるのだと思った

それは他の少女たちも同じようでわくわくしながら葉山が話し始めるのを待っている

けれど、葉山の口から放たれたのは予想外のものだった

「君達・・イジメをしてるだろ」

その場にいた全員が固まる

そして、無意識に留美へと視線が集まった

「彼女は、何も話していないよ。君達の様子を見て気付いただけだから」

葉山がフォローのようなことを言うが少女たちの怒りの矛先は変わらない

留美は今すぐこの場から逃げ出しくなった

そんな留美の心境など無視して葉山は話を続ける

「俺が小学校の頃にも・・さ。イジメがあったんだ」

葉山の告白に少女たちは息をのむ

「当時好きだった女の子がイジメの標的になっちゃったんだよね。けど・・俺は、その子のことを助けられなかった・・・いいや、助けなかったんだ」

今にも泣き出しそうな程、悲しい顔をして呟く

「自分が標的になるのが恐くて・・イジメがエスカレートしていくのを俺は指をくわえてみていたんだ。止めることが出来た筈なのにっ!!」

声音を荒げると葉山は思いっ切り自分の股を殴りつけた

少女たちは身体を震わせて葉山を見る

彼は乾いた笑みを浮かべながらズボンのポケットからスマートフォンを取り出して操作し始めた

そして、スマートフォンから流れてくるものを聞いて留美は驚愕した

≪私が変わったら昔みたいに戻れるの!?みんなから・・笑われなくなるのっ!?独りにならなくて・・済むの・・・っ!!?そんなこと・・・出来ない・・でしょ・・・っ≫

最初は自分の耳を疑った

≪わかってる・・わかってるもん・・・っ≫

しかし、どれも話した覚えのある内容

≪私・・も・・・見捨てちゃったから・・・仲良くできない・・仲良くしても・・また、こうなっちゃう≫

誰がこんなことをしたのか真っ先に浮かんだのは武内だった

でも、どうしてこんなこと・・

幾ら考えても留美の中で納得できる答えがでなかった

≪もう嫌だよ・・・こんな・・思いするの≫

そこで葉山は、再生を止めてスマートフォンをポケットの中にしまった

「あの子もこんなに辛い思いをしてたのかな?」

ぽつりと葉山が呟く

呆然としている少女たちに弱々しい笑みを葉山は向けた

そして、空を見上げる

「あそこで俺が助けていたら・・あの女の子は・・・」

言葉は、そこで途切れた

だが、空を見上げる葉山の苦しそうな表情から少女たちは、その先を想像してしまった

身体が震える

もし、そうなったら自分は、どうなる?

次々と最悪の事態が更新されながら頭をよぎっていく

「それをずっと後悔して生きてきた・・・そんな俺の前に当時と同じようなイジメをしている子達を見つけた」

葉山の鋭い眼光が少女たちを射抜く

「・・・ぁ・・ぅう」

好意を寄せていたものから向けられる嫌悪感に耐えきれずに1人の少女が嗚咽を漏らしながら泣き始める

残り3人も同じように追い詰められていた

けれど、止まらない

悪夢のような時間は続く

「今回こそは、助けようと思った・・けど、なにもいい案が浮かばなくて・・・結局、俺・・・あの時からなにも成長してないんだなって・・そう、思えたんだ」

すると葉山はズボンのポケットからカッターを取り出した

少女たちは自分が刺されるのを想像して頭が真っ白になる

恐怖と緊張状態、罪悪感

そしてーー信じていた人から裏切られた絶望

その総てが少女たちの身体をがんじがらめに縛り付ける

チッ、チッ、チッと音を立てながらカッターの刃先が顔を覗かせた

顔を真っ白にさせた少女たちに葉山は笑顔を見せた

優しい笑顔を・・・

「もう・・俺なんか生きてる意味ないよな?」

そう言って葉山は持っていたカッターを自分の心臓の辺りに突き刺した

「ーーーーーーっ」

じわじわと白いTシャツとジャケットを赤く染めてゆく

少女たちは目を見開かせて、その光景を見ていることしかできない

それを現実だと認識した瞬間、頭がどうにかなってしまいそうだから

「う・・・うぅ・・・・っ」

苦しそうに唸りながら葉山は、少女たちを見る

「・・ぃた・・・・い・・・・」

葉山は助けるように手を伸ばす

けれど、かたかたと震える少女たちは、その手を誰も取らない

葉山の手は誰にも届かず、少女たちの目の前で倒れた

頭に浮かぶのはーー死

それを認識した瞬間、少女たちは悲鳴をあげながら逃げだした

 

 

 

 

 

 

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