やはり葉山の親友が武内Pなのは、間違っているだろか 作:阿保パンマン
林間学校の最終日
1日目のように小学生達が集められ教師から帰りの際の注意事項が告げられていく
「では、最後に手伝いをしてくれた高校生達に感謝の言葉を言いましょう」
けれど、感謝の言葉を口に出す前に小学生たちは、葉山が何処にいるのかと仲良くなった他のメンバーに聞く
すると彼女達は、誤魔化すように笑って答えた
肝試しの後に体調を崩しただけだと・・
みんな、その話を聞いて残念そうに声を上げる
その中で、昨日の出来事を知っている少女たちは、青ざめた顔をして俯いていた
誰にも話せる訳がない
自分たちの軽率な行動のせいで死んだ人間がいることなど・・
話せるとしたら、あの場にいた5人の間だけ
こうして彼女達の中に絶対に破ることの出来ない秘密が生まれた
無事に林間学校から帰ってきた比企谷は自分のベットの上で寝っ転がりながら考えごとをしていた
あれでよかったのだろうか?
同じような問いが浮かんでは消えて浮かんでくる
最悪の秘密を共有することになった彼女たちは留美との関係を修復するだろう
現状に不満を持っている彼女が他の人ーー教師や警察に話してしまうことを恐れて・・・
比企谷の言った悪意のある孤立は、なくなった
なくなったが・・
「まさか・・葉山が、あそこまでやるとはな・・・」
服を真っ赤に染めた葉山の姿が目に浮かぶ
あんなの俺でもトラウマになっちまうっつの・・
そう・・呟いて比企谷は目を閉じた
「・・・あ?」
着信音
比企谷は起き上がって机の上に置いてあるスマートフォンを取った
留美からだった
友達になった記念として半ば強制的に連絡先を交換させられたのを比企谷は思い出しながら電話に出る
「はい、もしもし・・・」
『・・・八幡、出るの遅い』
電話に出ると早々に愚痴を言われた
比企谷は頭を掻く
「で?こんな時間に何の用だよ・・」
『・・・・・・・・』
無言
何について聞きたいのか、察しのついている比企谷は溜息を吐いた
「・・・・葉山のことか?」
『!』
反応があった
この後のことを考えるだけで頭が痛くなる
今後の少女の人生を左右させかけない重要な役回りに自分を回した武内を比企谷は本気で恨めしく思う
しかし、彼女の今後のことを考えれば、選択肢は1つしかないようなものだ
ゆっくりと息を吸って吐く
比企谷は覚悟を決めた顔をして留美に告げる
「葉山は、生きてる」
比企谷の言っている言葉の意味が留美には、わからなかった
服を血に染めながら倒れて行く葉山の姿を留美は目の前で見ていたのだから
間違いなく葉山は死んだ
「ーーーうっ」
あの光景がフラッシュバックして吐き気が込み上げてくる
それを必死に抑えて比企谷に聞き返す
「どう・・いうこと?」
沈黙
留美は黙って比企谷が話すのを待つ
しばらくして
『留美、予定の空いてる日とかってあるか?出来るだけ多く教えてくれ』
「え?別にいいけど・・どうして?」
『葉山に会わせる』
短く
けれど、確かな口調で比企谷は言った
それを聞いた瞬間、留美は、その場にへたり込んだ
安堵の溜息と共に涙がポロポロと零れ落ちる
『詳しい話は、その時に話す・・・留美?』
留美の様子がおかしいことに気付いた比企谷は留美の名前を呼ぶ
比企谷に名前を呼ばれて我に戻った留美は、慌てて部屋にあるカレンダーを確認し始めた
「ちょ、ちょっと待って!今、確認するから」
『お、おう』
こうして、まっさらだった夏休みの予定が一つ埋まった