我が名、嘴平伊之助が子分・嘴平一子!   作:悪魔さん

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問:一子が那田蜘蛛山に入山するとどうなる?
答:生存者が増えます。

といった感じです。(笑)


第四話 那田(なた)蜘蛛(ぐも)(やま)征圧・前編

 月の光に照らされた田舎道を、四つの影が行く。

 藤の家で傷を癒した一子達は、鬼殺隊本部からの指令を受け、次の任務先である()()()()(やま)へと向かっていた。

「親分、あれが敵の縄張りです」

「ああ、見りゃあわかる」

 四人の視線の先には、目的地の山がそびえていた。それほど標高は高くなさそうだが、鬱蒼とした森に覆われており、人を近づけさせない気配を漂わせている。

「親分、兵力はこちらは四名。敵の情報が一切掴めてない以上、分散して各個撃破は愚策かと……」

「え? 一人いなくない? まさか俺?」

「臆病者は戦力外が定石だろう」

 バッサリ切り捨てた一子に、善逸は膝を抱えてしゃがみこんでしまった。

 臆病者であることに否定はしないが、善逸は大事な仲間だ。本当は強いのだが、それを自覚していないようで、こういう時に限って及び腰になってしまうだけだ。

 どう励まそうかと考え込んだ炭治郎だったが……。

「っ!」

 振り向くと、若い男が倒れている。山から下りてきたのだろうか。

「たす……助けて……」

「隊服を着てる! 鬼殺隊員だ!」

 炭治郎と伊之助は、その隊員に駆け寄った。

「大丈夫か!? どうした!!」

 だが、その瞬間。

 男が不自然に跳ね起きたかと思えば、ぐんっと一気に宙に浮いた。

「ああああ!! ()()()()()()……俺にも!! 助けてくれえ!!」

「ふんっ!」

 

 バチィッ!

 

 男が助けを求めた直後、一子は鬼特有の身体能力で飛び上がり、棍棒で何かを断ち切った。

 そのまま地面に落ちた男は、今度こそ助かった事実を察し、安堵の涙を流した。

「す、すまない……でも、なぜ鬼が……」

「俺は嘴平一子。そこにおられる嘴平伊之助親分の子分だ。あの山でなにがあったか、詳しく教えろ。俺達はあの山を征圧しに来た」

 男は一子に怯えつつも、事の経緯を語った。

 鎹鴉から指令が入り、十人の部隊で入山し、鬼を狩ろうとしたところ、突然隊員同士の斬り合いとなったらしい。そして自分は鬼の出す〝糸〟に操られてしまったが、かろうじで生き延びて脱出したという。

 しかし敵は甘くなく、すでに糸をつなげており、再び山へ引きずり込まれるところだった。

「……その傷では役に立たないな。とっとと逃げて援軍を呼べ。もっとも、親分がいる限り必要ないのかもしれないけどな」

 一子は助けた隊士を冷たくあしらうと、伊之助に向き合い、片膝を突いた。

「親分、森での戦いとなれば奴らに分があります。連中がこっちを侮っている間に()っておきましょう」

「一子、それ今俺が言おうとしていたことだぜ!」

「じゃあ一子さん、俺は……」

「敵が一人とは限らないからな……だがお前は妹がいるんだろ? 自分と妹を大事にしろ」

 その言葉にハッとなり、炭治郎はありがとうと笑いかけた。

「ようし! そうと決まりゃあ行くぞ一子!! 腹が減るぜ!!」

「はい、親分!」

 伊之助と一子は山へ駈け込んでいき、炭治郎はそれに続くように付いて行った。

「それを言うなら「腕が鳴る」だろ……って、ハァ!? 何で置いてくの!? 嫌だ!! 俺を一人にしないで俺をーーっ!! ちょっと待ってよーーーっ!!!」

 その後を、ハッとなって善逸が慌てて追跡する。

 そして彼は、そのままはぐれてしまうことになる……。

 

 

           *

 

 

 山の中へ入った伊之助と一子は、そこら中に張り巡らされている蜘蛛の巣を得物で払いのけた。

「チッ! 蜘蛛の巣だらけじゃねーか! 邪魔くせぇ!!」

「この際、俺の雷で焼き払いますか?」

「ダメだ、鬼どころか生き残ってるかもしれない隊員たちも巻き添えになる! もっと別の方法を考えて下さい一子さん!」

「調子に乗るな。俺に指図していいのは親分だけ……っ!」

 一子は止まり、前方を指差した。

 視線の先には、一人の隊員が辺りを警戒しながら身を隠すように屈んでいるのが見えた。

 炭治郎はそっと近づくと、隊員は気配を感じて振り返り、刀に手を掛けた。しかし同じ鬼殺隊員と知り、すぐさま刀の柄から手を放した。

「応援に来ました。階級・癸、竈門炭治郎です」

「癸………み、癸!?」

 冷や汗をかいていた隊員は、炭治郎の階級を聞くと、なぜか更に青褪めた。

「何で〝柱〟じゃないんだ……!!  癸なんて何人来ても同じだ! 意味がない!!」

 隠れていた男――村田が八つ当たりめいたことを喚いた直後。

 ゴッ! と伊之助の拳が彼の顔面にめり込んだ。

「うるせぇ。意味のあるなしで言ったら、お前の存在自体意味がねぇんだよ。さっさと今の状況言いやがれ!!」

「何なんだコイツ!? 俺の方が先輩なのに!!」

 その直後。

 ドズンッ! という轟音を立てて棍棒が地面に突き立てられた。かなり力が入ったのか、棍棒の先端が地面に減り込み、周囲にヒビが生じている。

()()()? 弱味噌風情が誰に向かって口利いてんだ」

「ひっ……!!」

 顔を覗き込み、青筋を浮かべドスの効いた声で威圧する一子。傍から見ればヤクザだ。

 伊之助は全くだとでも言うかのように首を縦に振り、炭治郎はあまりの迫力に気圧された。

「な、何で鬼が……!」

「あんな連中と一緒にするな。俺には嘴平一子という親分から授かった名前があるんだ。価値のある方を言うのが筋だろうが」

 名乗り出る鬼女に、ますます困惑する村田。

 しかし鬼殺隊として行動し、自分を襲う機会はいくらでもあったのにしなかった事実から、今のところは悪い奴ではないと判断したようで、状況を説明しだした。

「かっ、鴉から……指令が入って、10人の隊員がここに来た…! けど、山に入ってしばらくしたら、隊員が……! 隊員同士で………斬り合いになって……!!」

「それはさっき聞いた。お前の仲間を名乗る奴からな」

「同じこと聞いても進まねぇんだよ馬鹿が!!」

「お、お前ら……せっかく先輩の俺が……!」

 容赦なく吐き捨てる嘴平一家に、キレそうになる村田。

 その時、どこからかキリキリと軋むような不気味な音が聞こえた。

「この音は……」

「親分っ!」

 不意に、一子が横を向いて棍棒を構えた。

 視線の先に目を向けると、藪の向こうから血塗れの隊員が四人歩いて来ているのが見えた。

 だが、動きがぎこちない。口から血を流している者、腕があらぬ方向へ曲がっている者、明らかに首が折れている者……虚ろな表情をしており、生きてるのか死んでるのか全くわからない。

 一子は目を凝らして隊員たちを見る。よく見ると、彼らの背中から非常に細い糸が月明かりに照らされていた。

「親分、糸です! 背中の糸で全員繋がってる!」

「ハッ! お前より俺が先に気づいてたね!!」

 一子の見切りに反応し、伊之助は両手の日輪刀を操り、あっという間に糸を断ち切る。

 その間に、炭治郎は隊員たちを操っている鬼を特定しようと辺りを探る。

(うっ!! 何だ!? すごい刺激臭だ、一瞬だけど……)

 風に乗ってやってきた刺激臭に、炭治郎は思わず鼻を片手で覆う。すると、カサカサという音と共に視界の隅……手の袖に白く小さな蜘蛛が二匹蠢いていた。

(蜘蛛が糸をつけて回っているのか!?)

 そう思った途端、蜘蛛に這われた腕がぐんっと引っ張られた。

 慌てて炭治郎は日輪刀で糸を斬り払う。

 そしてハッと顔を向けたら、やはりと言うべきか、糸を斬ったはずの隊員たちが再び起き上がっていた。

「糸を切るだけじゃダメだ!! また蜘蛛が操り糸を繋ぐ!! だから……」

 最後まで言えず、炭治郎は口元を押さえた。

 あの刺激臭が、また漂ってきたのだ。

「じゃあ、その蜘蛛を皆殺しにすれば良いってことだな!」

「無理だ! 蜘蛛はかなり小さいし、多分かなり数がいる! 操っている鬼を見つけなきゃいけないんだよ!」

「そうとなれば……親分、俺が片づけます!」

「おう! 権八郎と弱味噌は雷が(こえ)ェなら引っ込んでな!」

 一子は血鬼術を発動し、棍棒に雷撃を纏わせ地面に突き刺した。

 

「〝(らい)(こん)(ぼう)(でん)(かい)〟!!」

 

 バリバリィッ!! ゴロゴロゴロ!!

 

 雷が地面を這うように迸った。

 無数の細い稲妻が、次々と蜘蛛を撃ち抜き、一網打尽にしていく。

 炭治郎と村田は雷に撃たれないよう急いで離れるが、伊之助はその場で舞うように回避している。

「い、伊之助! 無事なのか!?」

「グワハハハハ!! 俺様は親分だぞ、アイツの雷なんか目を瞑っても見切れるぜ!!」

 荒れ山育ちの伊之助は、触覚が優れている。

 我流の呼吸法により研ぎ澄まされた触覚は、集中することにより空気の微かな揺らぎすら感知し、直接触れていないものでも捉えられる。

 一子が放った雷撃は、常人どころか並大抵の鬼殺隊士や鬼でも回避不能だ。しかし伊之助は、持ち前の触覚でいつどこに放たれるかを先読みできるため、彼女の血鬼術の射程圏内にいても無傷でいられるのだ。

(すごい……何て息の合った連携なんだ)

 お互いを信頼していなければ成せない芸当。

 伊之助と一子の鉄壁と言える絆に、炭治郎は感動すら覚えた。

「蜘蛛が、全滅……」

「グワハハハハ!! よくやった!!」

「あなたには及びませんよ、親分」

 身の丈ほどある棍棒を手に、一子は微笑む。

 しかし、一子ばかりに任せるのは面子が立たないのか、今度は伊之助が動いた。

「よっしゃあ、このままやってやるぜ!!」

 二本の日輪刀を地面に突き刺し、両腕を左右に伸ばして片膝をつく。

「〝獣の呼吸 漆ノ型 空間識覚〟!!」

 〝漆ノ型 空間識覚〟は、優れた触覚をさらに研ぎ澄まし、空気の揺らぎすら捉えて広範囲の索敵を行える。この技は周囲の直接触れていない存在の姿を捉えることも可能で、まさにこの状況下には最適なのだ。

 森の奥深くまで感覚を伸ばす伊之助は、僅かな揺らぎを感じ取った。木々がまばらで少し開けた場所に、一子とは別の女の鬼を見事探し当てた。

「見つけたァ! そこか!!」

 伊之助は地面に刺した刀を抜き、そのうちの片方で気配の方向を指し示した。

「あっちだ一子ォ!!」

「はいっ!」

 一子は棍棒に雷撃を纏わせ、豪快に振るった。

「〝(なる)(かみ)〟!!」 

 

 バリィッ!

 

 棍棒から一筋の雷撃が射出。

 放たれた閃雷は、凄まじい速さで標的へ向かい――

 

 ドォン!

 

「キャアアアアアアアアアッ!!」

 女の鬼の悲鳴が木霊した。

「よし、当たった!」

「すごい! すごいよ一子さん!」

「つ、強い……敵じゃなくてよかった……」

「ウハハハ! ざまァねェな! 止めは俺様が――」

 

 フッ……

 

 ふと、自分たちに影が差したことに気づき、一同はバッと顔を上げる。

 視界に映ったのは、大きな満月を背に空中に佇む、真っ白な鬼の少年だった。宙に浮いてるように見えるが、木々の間にわたされた糸の上に立っているらしい。

「僕たち家族の静かな暮らしを邪魔するな」

「知ったことか。この山は伊之助親分の支配下に置く。お前の居場所などどこにもない!」

 叩き落としてその頸を伊之助に献上しようと、一子はすぐさま〝(なる)(かみ)〟を放った。

 しかしその時には、鬼の少年は森の奥へと去っており、雷撃は夜空を昇っていった。

「っ……! 親分、申し訳ありません……」

「くっそォ、どこ行きやがる……! 何のために出てきたんだ!」

 一子を責めることはせず、伊之助は一言だけ告げて去った新たな標的に憤慨する。

 しかし、今は〝空間識覚〟で見つけた鬼が優先順位だ。

「まあいい、これで心置きなくぶち殺せるわけだァ!」

 

 

 時同じくして。

 とある屋敷の縁側にて、一人の男が慌てた様子で飛んで来た一羽の鎹鴉を膝に乗せた。

「よく頑張って戻ったね」

 疲れ切った様子の鎹鴉を労うように撫で、男は優しく言う。

「私の剣士(こども)達は、ほとんどやられてしまったのか――そこには〝十二鬼月〟が居るかもしれない」

 そう呟くと、男は後ろの座敷に向かって声を掛けた。

「〝柱〟を行かせなくてはならないようだ――義勇、しのぶ」

「「御意」」

 座敷で正座をしていた男女が、声を揃えて返事をする。

 一人は、〝水柱(みずばしら)〟の称号を持つ(とみ)(おか)()(ゆう)。炭治郎に鬼殺隊士として生きる道を示した、冷静沈着な「水の呼吸」の達人。

 もう一人は、〝蟲柱(むしばしら)〟の称号を持つ胡蝶(こちょう)しのぶ。鬼に有効な藤の花から精製した特殊な毒を操る、鬼殺隊を支える女傑だ。

「人も鬼もみんな仲良くすればいいのに……冨岡さんもそう思いません?」

「無理な話だ。鬼が人を喰らう限りは」

 二人は刀を手に立ち上がった、その時――

「二人とも。那田蜘蛛山に着いたら、嘴平一子という袴姿の鬼の女性がいるはずだ」

「――煉獄さんの言っていた鬼ですね」

 男の言葉に、しのぶは思い出す。

 嘴平一子は、鬼殺隊の上層部の間でもかなり話題になっているらしい。

「彼女を必ず連れて来てほしい。彼女は鬼殺隊に必要だ」

 

 

           *

 

 

 場所は戻り、那田蜘蛛山。

 伊之助の触角と一子の雷撃で、鬼は形勢を逆転された。

「そ、そんな……あんなのに勝てっこないじゃない……!」

 隊士達を糸で操っていた女の鬼は、絶望してした。

 一子の雷に撃ち抜かれた彼女は、全身が痺れて指一本動かすことができなくなっていた。どうにか口は利けるようにまでなったが、彼女自身の再生力・回復力が、全身に行き渡っていない。鬼としての格も実力も、一子の方が桁違いだった証拠だ。

 まさか鬼狩りと行動を共にする鬼がいて、しかも雷を操る強力な血鬼術の使い手だったなんて!!

 その圧倒的な力の差に、戦って勝てるはずもなく。かといって必死に逃げても、あの雷に撃ち抜かれてしまうのが想像できてしまい。

(どうすれば、どうすればいいの……!?)

「見つけた」

 その声に、ハッと息を呑む。

 棍棒を背負った鬼女と、鬼狩り二人が自分の前に立っていた。

(殺される……!! 頸を斬られる!! ――ああ……でも……)

 

 ――死ねば、解放される……?

 

 うっとりと目を瞑り、痺れ続ける身体をどうにか動かし、頸を逸らす。

 頸を斬りやすいように。

 しかし待ったをかけるように、一子は声を掛けた。

「己の御首級(みしるし)を親分に捧げるのは大した度胸だが……いくつか聞きたいことがある。その後に勝鬨は上げさせてもらう」

「……ええ、従うわ……」

 女の鬼は、この山に巣食う鬼について教えた。

 那田蜘蛛山に潜む鬼は、計五体。

 その内の一人である鬼の少年――(るい)は〝十二鬼月〟の一人。彼は家族のような集団にこだわり、自分は母親役をしていた。それと共に彼の機嫌を損なえば折檻され、他の鬼達に嘲笑われ、身も心も甚振られる地獄のような日々を過ごしていた。

 彼女の身の上話を聞いた炭治郎は。ひどく驚いた。

「この山には〝十二鬼月〟がいるのか!?」

「何だ? そのジュウニキヅキってのは?」

「鬼舞辻無惨直属の配下だよ……他の鬼よりも鬼舞辻に近い存在だから、その分血も濃いはず! その血を奪えれば……」

 炭治郎は伊之助と一子に会う前に、浅草で(たま)()という美しい女性の鬼と出会っている。彼女は医者でもあり、禰豆子を人間に戻すための治療薬を作るために十二鬼月の血を採取するよう炭治郎に依頼している。

 炭治郎にとって、十二鬼月討伐は欠かせないのだ。

(成程、その累という鬼を討ち取れば、この山の征圧は完了するのか)

 一方の一子も、大将首がこれでわかり、それを討ち取れば残りは烏合の衆と悟る。

 全て討ち取れば、人喰い鬼どもは山の王が誰かを思い知り、王たる者に頭を垂れ平伏していくだろう。

 一子はそう考え、伊之助に声を掛けた。

「親分、どうやらコイツはまだ足軽のようです」

「だな」

 二人は目の前の鬼への興味は失っていた。

 伊之助にとって、自分以外の他者は「相手にするまでもない弱者」か「より強くなるための踏み台とするに値する強者」のどちらかしかない。その価値観・思想は一子にも深く根付いており、殺し合った相手でも心が折れたら一切の関心を捨ててしまう程だ。

 もう、目の前の敵はどうでもいい――そう言わんばかりの態度だ。

「……親分に有益な情報を教えてくれたことには感謝する。せめてもの情けだ、一思いに――」

「待ってください、一子さん」

「「?」」

 炭治郎はゆっくりと前に出ると、日輪刀を構えた。

 ()()()()()()()()……女の鬼・母蜘蛛は、炭治郎が頸を斬りやすいように顔を上げる。

「〝水の呼吸 伍ノ型 (かん)(てん)()()〟」

 斬られた者にほとんど苦痛を与えない「慈悲の剣撃」で、頸を落とす。

 痛みを感じず、優しい雨にうたれているような感覚が包み込む。

(少しも痛くない……苦しくもない……ただ、あたたかい――)

 静かに刀を鞘に納める炭治郎。

 母蜘蛛は溶けるように消滅していく。

 その様子を、一子は右手を胸の前に出し、目を閉じて片合掌した。まるで成仏を願うように。

「……十二鬼月に、気をつけて……!!」

 涙を溜めた目で感謝するように三人を見つめ、その言葉を最後に母蜘蛛は消滅した。

「まずは一匹……親分、今度こそ大将首を!」

「そうだな! あのチビ逃がしちまったからな、今度こそ俺様が斬ってやるぜ!」

 嘴平一家は気持ちを切り替え、誰よりも早く累を討ち取るべく奮起する。

 一方の炭治郎は、山の異様さに疑問に思っていた。

(あの人からは恐怖と苦痛の匂いがした。死を切望するほどの――)

 十二鬼月がいて、鬼の一族が棲む山。

 しかし鬼は、互いに同族嫌悪している。複数の鬼が一緒に襲い掛かることはあるが、無惨からの命令だったり、同じ食料(にんげん)を狙っている場合に限る。禰豆子と一子はその中でも稀有の中の稀有である。

 那田蜘蛛山を覆う違和感に、嫌な予感を覚える炭治郎だった。




なお、一子達が構ってる間に村田さんは尾崎達の救出をしています。
尾崎ちゃん、よかったね!
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