イッチが色々とヤバくなります。
「……思わぬ弱点があったわね」
IH予選準決勝の正邦との試合で、私はあることに気がついた。
彼の影の薄さ、存在感は日によって異なることが判明している。単純に前日の試合に目立ってしまったとか、不可抗力でボールを持たなければいけない場面があったりしたとか、相手がどれだけ金崎君に注目しているか……等。
今回はあまり相手にミスディレクションの効果が効いてないようだ。
(というかそもそも……彼はどこでミスディレクションの技術を学んだのかしら? まあ、彼の吸収能力なら本で読んだとか、黒子君のプレイを見たとかの理由で納得できなくはないけど)
その状況で徹底的にマンツーマン、しかもレベルの高いDFをされると、金崎君が動くことができない。
相手チームのマンツーマン形式だと金崎君のパスコースが存在しない時がある、そうなった時、金崎君自身がDFを突破しないといけなくなるのだ。
現状でも2回、金崎君の手にボールが渡りDFによりボールが奪われている。この状況で金崎君が使えないとなると……一旦引っ込めるのもありかしら。
そんな時、またもや津川君との1on1の形になった。
「やっぱり、ドリブル技術でいうと分が悪いわね」
こればっかりは仕方ない、相手のチームとの相性が悪かった。これが終わったら、一旦交代をしよう。
その時──
「ん? なんか様子がおかしいわね」
何か話してるようだけど、金崎君の雰囲気が……
金崎君が一瞬で相手から距離を取り、片手でシュートを放った。当たり前のように、シュートはリングへと吸い込まれる。
「速い……!」
あんな速度で動けたのか? というか、あんなシュートの仕方も出来たのね……
(まさか……?)
改めて、金崎君のことをよく見る。
ゾーン。
その言葉が頭に浮かんだ。すぐに戻ってしまったが、今の集中力、急な身体能力上昇、ゾーンに入ったと考えれば納得できる。
ゾーンに入る条件は主に才能とバスケが好きであるかの2つだ。才能に関しては未知数だが、金崎くんならあり得るだろう。
後はキッカケの問題になるのだが……
自分の弱点を克服するために発動したのか? 詳しくは分からないがその辺りが妥当であろう。
とにかく一矢報いること自体は出来た。秀徳戦のためにここからは温存しておいた方がいいだろう。仮にまたゾーンに入ったとしても体力を必要以上に消費するだけだ。
けれど……もし彼が本当にゾーンに入っていたなら、ここぞという時の更なる切り札となるだろう。
(とりあえず、今は目の前の相手に集中ね)
補足説明 細かい所は気にしない人は読み飛ばしてください
イッチの影の薄さ、存在感が安価時(ランダム)と平常時、無駄に薄い時でめちゃくちゃ変化するのがミスディレクションによるものだと思われている。
試合中はボールにあまり触れていないので影が薄くなりやすく、存在感が希薄になっている。
イッチの影の薄さはそこそこで黒子のような芸当は一切できない、DFが外れやすくなる程度。
黒子にはミスディレクションなんて使ってないのがバレており、他の技術を使っていると思われている