「悪くはないんだけど……」
緑間君のシュートに対して、カウンターも出来ている。高尾君に黒子君が封じられてしまったが、金崎君のパスの力もあり何とかついて行くことはできている。流石に二人どっちにも対処することはできないようだ。
しかし、点差は若干開いている。流れにもいまいち乗れておらず、このままだとジリ貧だ。
緑間君のシュートを火神君が何とかできたらいいのだけど……
試合を見ると、均衡状態が続いている。金崎君へとパスが行く、火神君がフリーだ。恐らく火神君へとそのまま繋ぐだろう。しかし、その予想は外れることとなる。
バシッ
金崎君がパスを取った。その事実が私の体を駆け巡る。金崎君がパスを取るときは決まっている。流れを変えるために、あのシュートを使う時のみだ。
金崎君の目の前には、なんとキセキの世代緑間真太郎。緑間君は随分と警戒しているようだ。一歩引いた姿勢をとり、集中力を高めている。
(金崎君のシュートがキセキの世代に通用するかどうかね)
流石にキセキの世代といえどもあのシュートを止めることは難しいだろう。
しかし、金崎君は予想外の行動に出る。
(ドリブル……!?)
金崎君がドリブルをし始めたのだ。金崎君はドリブル技術が高い訳ではなく、試合ではほとんど見せたことすらない。ましてや相手は緑間──キセキの世代だ。
(何を考えているの……?)
金崎君が右へと動く、緑間君も対応するがやはりそれはフェイントだ。さらに左へと動く、だが相手にはそんなことは読み切られており、余裕で対応──
(さらに右!?)
かなり上手いフェイントだ。あんなレベルの技術まで持って居たのか。しかし、流石キセキの世代と呼ばれるだけはある。尚も緑間はついてこようとする。
しかし相手が切り返した瞬間に、なんと金崎君はさらに左へと動く。ただでさえ体勢が崩れていた緑間君は転んでしまう。
(アンクルブレイクなんてどこで身につけたのかしら……はぁ)
もはや驚かなくなってきた。金崎君のことだから何かしら策は持っていると思ってたけれど……
そのまま点数も入り、流れに乗ることは出来た。
$ $ $ $ $
「よしっ!」
日向君の3Pラインから遥かに離れた場所からのシュートが見事入り、逆転することができた。
思わず安堵のため息を漏らしてしまう。もう勝ったと確信していた。
しかし、試合はまだ終わっていない。高尾君がすぐさま緑間君にパスをする。
(まずい!)
火神くんはもう飛べない、このままじゃ……!?
だが、火神君は飛んだ。限界を超えて飛んでみせたのだ。その事実に驚きを隠せないが、緑間君はそれすらも読み切ってフェイントをかけていた。
けれど、私が今一番注目しているのはその2つどちらでも無かった。
(あの一瞬で反応したの……!?)
黒子君すらも虚をつかれたパスだ。しかも緑間君がフェイントをかけなければ何の意味もないダッシュ。
一切油断や安心をせずにパスに反応し、彼は疲労困憊の体に鞭打ち、全速力で緑間君の方へと走って行った。少しでも勝とうと足掻くために。
(私は勘違いしてたのかもね……)
彼の一番の武器はシュートでもパスでもドリブルでも吸収能力でも無かったのだろう。
いや、だからこそあそこまでの成長速度、吸収能力を持ち、数々の技術を手に入れたのかもしれない。
「本当に、彼には驚かされてばかりね」
黒子か交代しなかったり、イッチが黒子の役目を奪ったりしてます。
けれど結局火神はぶん殴られます
桐皇戦が終わったら、他の第三者視点を回収してくのでちょっと掲示板形式はお休みになるかな?
第三者視点はちょうど電車に乗ってる時間中に書き切れるんで、時間を有効活用できるんですよねー。どうせ電車乗ってる間は暇なので