ワイがバスケで全国優勝したるわww   作:暇です

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黄瀬のコピー

 

「黒子っちと……イッチじゃないすか」

 

 手すりにもたれかかっている黄瀬が黒子と金崎のことを見つけ、その名前を呼ぶ。たまたま黄瀬がいる場所に、はぐれてしまった黒子達が来たのだ。

 

「ちょっと……話さねえっすか」

 

 そう言って黄瀬と黒子がシリアスな雰囲気で話し始めた。金崎はそれを黙って見つめていた。何となくだが、ここで割って入るのがNGのような気がしたからだ。

 しばらくすると、黄瀬は黒子と話し終わって今度は金崎に向かって話しかける。

 

「そういや、また新技開発したんすよね? 緑間っちだけじゃなく俺にも見せてくださいよ〜」

 

 黄瀬が金崎にそんなことを言う。しかし、あの場にいたのは黒子、火神、高尾、緑間しか居なかった。それなのに、一体どこから漏れたのだろう……そんなことを金崎は考える。だが、そこまで重要な事ではないので今は無視することにした。

 

「お前じゃ無理だ」

 

「……やってみせるっす」

 

「まあ、そこまで言うなら良いけど……ってそこにバスケゴールあるじゃん。ちょうど良いな」

 

 金崎が了承の意を伝えながらあたりを見渡すと、ちょうど近くにバスケゴールがあるのが見えた。もちろんボールは持っているのでこの場で見せることができるだろう。正直言って……あれが技と呼べるかは知らないが。

 

「時間は大丈夫なんですか? 黄瀬君」

 

「大丈夫っす!」

 

 黒子の心配に対して黄瀬が多少適当な返事をした後、ボールを持ってバスケットゴールの方へと歩いて行った。

 

「じゃあ、時間もないしさっさとやるか。黄瀬はそこに立っとけ」

 

 そう言って金崎がボールを持って、黄瀬がその目の前に立つ。黄瀬は緊張している様子はないが、金崎の一挙一動に全神経を集中させている。

 

 そして、金崎が手を振りかぶって股下へとボールを投げた。バン! という鈍い音とともにボールは地面から跳ねて、リングのちょうど真上に飛んで行く。そしてそのままボールがリングを通過した。

 

「……どうやってやってるんすか、今の。手品すか?」

 

 黄瀬はあわよくば金崎の技をコピー出来ればと思っていたのだが、金崎の技はキセキの世代の技と同じく、コピーできる気がしない。ましてや青峰とは違い金崎と一緒にプレイした事も数少ないのだ、そんな状況でコピーは不可能であろう。

 

「というか、本当に俺より筋力弱いんすよね? 実は服脱いだらゴリゴリのマッチョとかじゃないっすよね」

 

「違うわ」

 

(その筋力で入るのがおかしいんすよね……)

 

 金崎が嘘をついているように見えないし、ボールを投げる時の動作で大体の筋力は分かったので実際にそうなのだろう。

 けれど、金崎はどう見てもボールを自分の全力で投げている。本来バスケのシュートでボールを投げることに全力を使うことはありえない、飛びすぎてしまうし、何よりボールをコントロールする余力がなくなってしまうからだ。

 なのにも関わらず、前から金崎はコントロールする余力を残さずにシュートをする事が散見される。青峰だろうとそんな事はしない。

 

「実戦じゃ使えなさそうっすね……」

 

「当たり前だろ」

 

 

$ $ $ $ $

 

 第4Qの終盤、黄瀬が青峰に破られジリジリと点差が開いていく。残された時間の中で逆転するのはもはや絶望的だ。

 そんな時黄瀬にボールが渡る……しかし目の前には青峰。単純な実力、残り体力や士気から黄瀬が勝つのは厳しいことが見て取れる。

 

 正直言ってモチベーションや集中力を保つのも難しい状況だ。だが、黄瀬の集中力はここ一番とも言えるほどのものだった。ゾーンとまでは言えないものの、限界の80%を超えて90%近くになっていた。

 

(イッチは……このまま俺が終わらないと信じてくれている)

 

 集中力が上がっている理由は、数分前に強い視線を感じて観客席の方を見ると、金崎が自分のことを真剣な目で強く見つめていたのだ。少なくともその目には諦めや失望は見られない。黄瀬はその視線を金崎からのエールだと感じ取ったのである。……少し考えすぎな気もするが。

 

 そこで黄瀬は一か八かの賭けに出た。ドライブのフェイクを入れて、そのままボールを地面に向けて叩きつけたのだ。

 

「なっ……!」

 

 流石の青峰もこれを止める事はできない。そのままボールはリングの方へと向かい……リングにぶつかって2回ほどリングの上で跳ねた後、見事リングに入った。

 

「入った……」

 

 一瞬の感慨に浸った後、すぐさま振り向いて観客席の方を見るとちょうど金崎と目があった。さっきと同じようにこちらを強く見つめている。顔の表情は、はっきりとは分からないがなんとなく笑みを浮かべているように見えた。

 

(まあぶっちゃけ……たまたまっすけど)

 

 いくら擬似ゾーンに入ったとは言え、あのシュートを入れる実力はまだ黄瀬にはない。実際に戦っている本人にしか分からない勘を根拠に打ったのだが、もう一回打ったとしても入らないだろう。

 

 たかが点数としては2点、シュート一本だ。けれど、青峰を黄瀬が破ったと言う事実は海常の士気を上げるには十分だった。

 

(まだだ……まだ諦めない)

 

 海常に勝利を諦めている選手は一人もいなかった。

 

 




流石に気が早いけど、このssが完結させたらH×Hの掲示板形式でも書こうかな……今の所見たことないし

誰が見たい?

  • 火神
  • 黒子
  • カントク
  • 日向
  • 伊月
  • 黄瀬
  • 笠松
  • 緑間
  • 青峰

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