ワイがバスケで全国優勝したるわww   作:暇です

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紫原vs金崎

「金崎……」

 

 ゴールへと向かう金崎の前に紫原は立ちはだかった。

 

 ヘルプに行ける選手はおらず、完全に紫原と金崎の1on1の状況。紫原と金崎がこの前まいう棒を賭けて戦った時と同じ状況だった。

 

 金崎のはるか後ろで、黒子がパスを金崎に向けて繰り出そうとしている。必然、ここで金崎にパスすることは明白だろう。

 

 紫原にとっても無意識に、先の1戦で負けたときに感じた悔しさがフラッシュバックする。紫原の中に、負けたくないという思いが生じた。

 

 そこで、紫原は初めての感覚を体験する。何か扉のような物をこじ開けたような感覚。

 

 全ての神経が金崎に集中され、一挙一動を見逃さないように注視する。

 

 紫原のゾーンは通常のゾーンとは異なっている。ただ、金崎の本気を破るためだけに生まれたゾーンだった。

 

 今の紫原ならば、股抜きシュートですら防げたことだろう。しかし、ここで金崎は更なる進化を見せた。

 

 ギギギギゴガギギギ! ギガッゴガッギギギ! ドドドドドドド! ギガッゴゴゴゴゴゴ! ドスン! ドドドドドドド!

 

(はっ……!?)

 

 そんな音が紫原の頭に響く。しかし、すぐに気を取り直して金崎の動きに集中する。とは言え多少集中は削がれ、完全なゾーンとは呼べない。95%と言うところが妥当だろう。

 

 そんな紫原に更なる追い討ちがかかった。

 

「ゴボッ! お前らちょいやめ、ゴボゴボッ、何するん、ゴボッゴボゴフッボゴボゴ、苦しッ……ボゴボゴボゴボゴボゴボゴ、誰か助け、ガフッ」

 

 まるで実際に誰かが喋っているのではないかと思えるリアルさに、紫原はフリーズしてしまう。

 

 金崎はそのまま黒子から放たれた加速するパス(イグナイトパス)・廻をそのまま地面へと叩きつけた。

 

 紫原も反応はできた。しかし、通常の股抜きシュートより遥かに加速された状態で放たれたシュートに触れる事はできず、紫原の手は空を切った。

 

 鼓膜が破れるような轟音とともに、ボールはバウンドしてゴールへと向かった。

 

 紫原は慌てて後ろを見るが、時すでに遅し。ボールはリングを潜り抜けて、地面へと緩やかに落下した後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃……

 

「110番か? それとも、119か? いや、溺れてるって事は海の何かにかけた方がいいのか?」

 

「どしたの大ちゃん……?」

 

$ $ $ $ $

 

「なぁ、金崎お前ゾーンに入る時いつもどうやってる?」

 

 ゾーンにばっか頼ってちゃダメだ。まずは俺なりに出来ることをやらねぇと。

 

 そう思って、金崎にゾーンに入る時のことについて聞いてみる。金崎も必死に勝とうとして、無意識にゾーンに入っているんだろう。初めから頼るなんておかしい話だ。

 

「ゾーンか。いつも無意識だからな」

 

 やっぱりそうか、ゾーンに入ろうとしてちゃ悪循環だよな。まずは出来ることからやっていかない……

 

「でも、扉にテープとか貼ってあったらまずは剥がしたらいいんじゃないか? 後は、黒い奴らの手を借りるとか。でも、あいつら水の中に引き摺り込んだりしてくるから気をつけろよ」

 

 ……?

 

「でもあんまり何度も破ると、扉が可哀想になってくるから困るんだよな。だんだん修理のレベルも上がってくるし」

 

 …………?

 

「まあ、お前もいずれ扉のとこで反復横跳びしてゾーンに入ったり出たり出来るようになると思うぜ。頑張れよ」

 

 そう言って、金崎はゴールの方へと戻っていった。

 

 ……まあ、聞かなかったことにするか。

 

 

 




一応イッチはカッコつけてるつもり。つもりなだけ。

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