ワイがバスケで全国優勝したるわww   作:暇です

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54話(vs洛山やww(前編))に修正入ってます……(小声)
この話は23話の続きです


赤司と金崎

 夕焼けが街を真っ赤に染め終わった頃。夏とは言えども、その頃になれば、暑さがだいぶやわらぎ過ごしやすい気温となる。そんな中、赤司たち、洛山の選手は練習に励んでいた。

 

 洛山は確かに王者であり、それにふさわしいほどの実力も持っている。しかし、同時に勝利への期待も多々付きまとう。

 

 それ故に、勝利への努力に余念はない。手を抜くなど言語道断であった。

 

 そんなある日、体育館で練習している赤司に対して来客が訪れた。

 

「それで、いったい誰だい?」

 

「確か、金崎……とか言ってたけど」

 

「っ!」

 

 実渕の口から出た名前を聞いて、赤司は驚きのあまり声を上げる。金崎--それは赤司にとって思い出したくない名前だったからだ。

 

 金崎とは小学校の時に通っていたバスケスクールで知り合った。その時に仲が悪かったのかと言うと、そんなことはない。

 

 むしろ、赤司と金崎は親友と呼べるほどに仲が良かった。ではなぜ、そんな親友の名前が思い出したくないようなものとなったのか。

 

「よう、久しぶりだな赤司」

 

「……久しぶりだね」

 

 後悔、戸惑い、罪悪感、喜び、ありとあらゆる感情が渦巻ながらも、赤司は小さく返事をした。

 

 

$$$$$

 

 その後、金崎に言われ近くのバスケコートまで移動した二人。ベンチに腰を下ろし、一息ついた後金崎に対して赤司が質問を投げかけた。

 

「それで、どうしたんだい?」

 

「いや、今日はお前と出会った記念日だろ? どうせだし会いに行こうと思ってな」

 

「……それだけかい?」

 

「そうだけど?」

 

「……」

 

「正午に出て、新幹線で5、6時間ぐらいだな」

 

 意味が分からない、赤司は心の中でそう思った。どう考えても、京都までわざわざ足を運ぶ理由ではないのだ。しかも、今までそんな素振りも一切なかったのにもかかわらず、いきなりそんなことを言い出しては赤司が戸惑うのは当然だろう。

 

 

 

「それで、何がしたいんだい? 話して終わりというわけではないんだろう?」

 

 

「……ならさ、久しぶりにバスケしようぜ。1on1な。」

 

 

 

 

 

$$$$$

 

 町を染めていた太陽の赤が消え、代わりに闇があたりを包み始めた夜。赤司はバスケコートで一人たたずんでいた。

 何をするでもなく、バスケットボールを持ち一人で立っている。

 

 もはや金崎はとっくに帰り、門限の時刻が過ぎているのにもかかわらずだ。

 

 

(負けた…ぼくが?)

 

 

 赤司を今日一番、いや、人生の中でも一番といえる程の感情の波が襲い、半ば放心状態となっていた。

 

 原因は金崎との1on1による敗北だ。

 

 赤司にとって金崎は類いまれなる親友だった。いつも何となく距離を置かれている自分に対して1on1を挑んできて、気兼ねなく接してくれる。そして何よりもバスケを楽しそうにプレイしていた。

 

 それだけに、転校してしまったという事実を知らされたときに赤司は大きなショックを受けた。

 

 しかし、バスケをやっていればまたどこが出会えるだろうという確信じみた勘があったので、すぐ切り替えることが出来た。

 

 いつか会えるだろうという期待を持ち続けながら、新しい仲間たちと楽しい日々を送る。

 

 そんな心境に変化が起きたのは、中学三年生の時のことだ。家の教育によって植え付けられた価値観によって構成された、勝利のみを過剰に求める人格。赤司はそんな人格と入れ替わってしまったのだ。

 

 もう一人の赤司にとって、引き分けとはいえ勝利を得られなかった経験など不要なもの。

 

 忘れようと、排除しようとしていたのだが、なぜか忘れることができなかった。そんな赤司にとってこの1on1は絶好の機会だったのだ。

 

 完封することによって過去を否定し、無敗という自分の信念を貫くことができる。

 

 

 しかし、結果は赤司が全く予想だにしないものだった。金崎の実力については、噂には聞いていた。それでも、自分が負けるようなものだとは到底思えなかった。

 

(エンペラーアイが通用しない……)

 

 エンペラーアイを持っている赤司が1on1で負けることなど、本来はありえない。けれども、それはあくまでエンペラーアイを持っている、通用するという前提条件の上でだ。

 

 ──そう、金崎にはエンペラーアイが通用しなかったのだ。ことごとく視えた未来と違った動きを取り、軽々と自分を抜いていく。

 

 その姿が、赤司の脳裏に張り付いて離れない。

 

(ふっ……負けたのか、ぼくは)

 

 しかし、赤司の心中は自分でも意外なほどに穏やかだった。

 

 その理由は金崎だったからなのか、それとも心のどこかで自分が負けることを望んでいたのか。それはわからない。

 

 ただ、一つ言えることは、金崎によって赤司は勝利という呪縛から解放されたのだ。

 

 だからと言って、負けたことをそのまま良しとするわけではない。赤司の中にひっそりと眠っていた闘争心が呼び覚まされる。

 

「次は……負けないよ、金崎」

 

 決意のこもった一言が、夜の闇に溶け込んでいく。

 

 

 

$$$$$$

 

 

「ん? どこだここ? えっと……京都? は? ちょっと待て、財布の中に30円しかないんだけど。え? スマホ……電源切れてる? いやいや嘘だろ?」

 

 

 




補足
金崎は一応身体はそこそこ高レベルで、練習も真面目に取り組んでるけど頭があれなんで宝の持ち腐れ状態です
なので無意識にプレイした方が強くなります
エンペラーアイは金崎×無意識で何とかなってます
帰りに関しては記憶を代償に気合いで何とかしました
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