本編の後にちょくちょくオマケとしてつける予定です。
体育館の外を見ると、土砂降りの雨が地面に叩きつけられ、雨音が響いている。
雨が降り、ロードワークの時間を削った分練習時間が余ってしまった。
けれど、ちょうどいい機会かもしれない。
「一年生の実力も見たかったし、ちょーどいいかもね。よし! 5対5のミニゲームやろう! 一年対二年で」
そう提案する。火神くんと黒子くんと金崎君の実力を見てみたいところだった、そう考えるとむしろ雨が降ってくれて良かったかもしれない。
1年生は決勝リーグまで行った2年と戦うことに戸惑っている様子だ。逆に火神君は全く萎縮しておらず、逆にワクワクしている様子だ。
「よろしくお願いします!」
1年と2年が整列し、挨拶をする。
開始の合図がなった後、すぐにミニゲームが始まる。
初めの試合展開は一方的だった。
ひたすら火神君が無双するのみ。流石ね……ここまでのものとは思っていなかったわ。
「そろそろ大人しくしてもらおうか!」
しかし2年も負けていない、火神君を抑え他の1年との自力の差で点差を離していく。
(金崎君は……)
金崎君はこれといった見せ場はない。まあ、相手が2年だから仕方ないのかもしれないが。
そんな時、黒子君を審判の私すら見失っていることに気がついた。そしてそのまま、黒子君がパスの途中でボールに触れ軌道を変え、ゴール下へとボールを持っていった。そしてそのまま点が入る。
(影の薄さを利用してパスの中継役に!?)
それだけでも驚くべきことだが、その黒子君から来たパスをさらに金崎君が火神君へと繋いだ。
(え? そんなこと出来たのかしら……?)
正直言ってあのパスの繋ぎ方は黒子君がいてこそだ。黒子君がいないのでは、あんなパスの繋ぎ方は出来ない。だから金崎君がそんな技を覚えているはずがないのだ。
しかも……
(常に黒子君と火神君の位置を把握し、最適な位置に移動している……?)
審判である私が把握しきれないのだ。それを二人、しかも試合中にやるなんて……
金崎君がやっているのはそれのみ、パス以外は何もしていない。ひたすらチームに貢献している。
(黒子君と同じタイプなのかしら?)
しかし、その瞬間──
「おおっ! なんだ今の!?」
金崎君が黒子君からパスを受け取り、そのままメチャクチャなフォームでシュートしたのだ。しかも片手で。
ボールはリングにぶつかることすらなく、シュートが決まる。
(何……? 今の)
偶然か? いやそれは無いだろう。
あそこまでチームに献身していた彼が、適当にボールを投げるわけがない。
だが、練習の時では彼があそこまでの技術を持っているようには見えなかった。
ならあんなシュートを実力で決めたのか?
なら何故今まで使わなかった?
何か条件があるのか?
あらゆる疑問が頭の中に湧いて出てくる。
いつの間にか試合は1年の勝利で終わっていた。
その後すぐに金崎君にシュートのことを聞いても、偶然ですよとはぐらかされるだけだった。
次は誰にしようか……