その街はごった煮の様相を呈している   作:オラクルMk-II

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お待たせしました。新キャラぶち込みです。


事後処理と異邦人

 

 

 

 

 マユミへの事情聴取や、体への影響などを踏まえた検査入院と、更には監禁されていた行方不明者の救助など。様々な手続きを終えて、空木は大きなあくびをする。

 

 現在、彼女は窓をくぐってきた犯罪者の収容所に来ている。ここには今回の事件を引き起こしたフェレスはもちろん、以前彼女が締め上げたアグラーヤ((吸血鬼))も収監されていた。

 

「………………ッ」

 

「……フゥ。わかりましたかバザロフさん、世の中って広いんですよ」

 

「だから「ヴァ」ザロフだってば」

 

「いや言いにくいんですよ貴女の名前」

 

「名前って魂やどるんだぞ。大事なんだぞ」

 

「変な教養はあるんですね」

 

「変なってなんだ変なって」

 

 白い作業着姿の彼女は、ストローを挿した輸血パックの中身を吸いながら、すっかり牙を抜かれた様子でウツギと話す。以前のように、人を見下して襲い掛かるような威勢の良さは、この女からは綺麗サッパリ消えてしまっていた。

 

「いったいどうなっているんだここは……なんで真祖の方がこんな場所に……」

 

「あぁ、伯爵(はくしゃく)様に会ったんですか」

 

「ま、まさかお前が捕まえたのか!?」

 

「いーえ? あの人は自分からここに入っただけですが」

 

「そうなの!?」

 

 1ヶ月に、多いときは両手で数えられない異世界人なんかが来るだけに、トラブルの絶えない合田町だが。ここには犯罪者の他にも、自主的に保護されることを選んだ亜人やらなんやらも住んでいたりする。アグラーヤの言う「真祖の方」なる別の吸血鬼もその一人だ。

 

 アグラーヤとはまた更に別世界では、吸血鬼と人間が共存している世界があるらしい。その世界で吸血鬼社会の財務大臣をしていたというダンディなオジサンが居る。こちらの世界の事情を知って、周囲の人へ恐怖感などを与えないよう、元の世界へ帰れるまではここに隠居することを選んだ男性。それを空木は勝手に伯爵とアダ名を付けて呼んでいた。

 

「たぶん貴女なんてデコピンで砕け散るぐらい強いですから、間違っても喧嘩なんて売らないでくださいね。温厚な方ですけど」

 

「す、するもんか!! 真祖の方だぞ!? 勝てるわけないもん!」

 

「…………もしかしてバザロフさんてあんな偉そうにしてたのに、他の吸血鬼の下っ端だったりします?」

 

「……したっぱじゃないもん。えらいもん」

 

 あぁ……どうりでへっぽこなわけだ…………。隣の女から哀れみの目で見られているとも知らず、死んだ目でアグラーヤは両手に持った血を啜っている。

 

 「そういえば。」 彼女に会いに来た理由をウツギは話す。

 

「隣の部屋に「フェレス」って女が来てますよね。最近どんな感じです?」

 

「あぁ、あの悪魔とかいう……別に。静かだ……いつもニマニマして気持ち悪いな」

 

「へぇ、暴れたりとかは無いんですか」

 

「そうだ。更に隣の真祖の方が怖いのだろう」

 

 それは貴女のことでしょーが。アグラーヤの持論はさておき、手帳につらつらと筆記しながら質問を続ける。

 

「ここについて何か文句言ってたりするの聞こえたりします? だいたいこっちに移ってくる人らは模範囚なんですが」

 

「さぁな。別に聞き耳立てているわけでもないし」

 

「(特にナシ、ね。)なるほど。じゃあ刑務作業とかってキチンとやってるわけだ」

 

「あぁ……そうだな。なんだか妙に慣れた手付きで、その時間に奴は家具を組み立てる」

 

「至って模範的と」

 

 あまり有意義な情報は引き出せなさそうだな。事前に職員から聞いていた事とあまり変わらなかった答えに、空木はソファから立ち上がった。

 

 その場を後にしようと足を動かしたとき。彼女はアグラーヤに呼び止められる。

 

「もし……空木。その、私はいったいどれぐらいの間、ここに居るのだろうか」

 

「刑期が知りたいと?」

 

「そうだ。看守に聞いても、何故か誰も教えてくれん」

 

 そりゃあんた、マユミちゃんにやろうとしたこと知ったら、そんな事言ったら暴れそうだとか思われてそうだしね。万一、目の前で襲われても対処できる自信があった空木は、臆することなく事実を告げる。

 

「2年だそうですよ。伯爵様が、同族のよしみだから、とか、何かあったら貴女を吹き飛ばしに来る事を条件に、減刑するよう言ってくれたんですって。貴女は彼に足向けて寝れませんね」

 

「なんと……………よ、良かったぁ……たった2年か」

 

「……失礼ですがバザロフさんて何歳です?」

 

「? 今年で54だが」

 

「………………へぇ〜」

 

 また中途半端なトシだな……。

 

 高齢な者も珍しくない吸血鬼にあって、外見年齢と実年齢が一致しないのは普通である。てっきり100歳を超えているのかと思えば、微妙な返答が帰ってきて。空木は内心ズッコケた。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「私を連れ出すなんてね。釈放かしら?」

 

「いいえ。でも貴女への吉報はあります」

 

「あら。期待しないで待っておくわ」

 

 色々と本人と話すのが手っ取り早いか。フェレスの今後を検討するにあたり、早速空木は彼女と対面し、とある場所まで誘導していた。

 

 この女の金色の瞳には、催眠術などをかける魔法を行使できる能力が備わっていることを早々に見抜いて、空木は職員に助言していた。今のフェレスには色の濃いサングラスがかけられている。手錠もかけられ、自由のない彼女にそれを自力で取り除く手段は無い。

 

 おまけに今の彼女は頭から角が、尾てい骨のあたりから尻尾が生え、至って悪魔らしい姿になっている。どうやら変身術か何かで容姿を変えていたらしく、そういう物が無効化されるここでは正体を晒していた。

 

 空木の居た魔界では、このような姿の悪魔は非常に高位に位置する。いわば貴族とか王族みたいなもので、膨大な魔力を持っていたりする。が、彼女からはそれらを感じられず、やはり違う世界線の悪魔だな、と察していた。

 

「どこまで歩かせるつもりかしら。レディを疲れさせるものではないわ」

 

「そういうのって普通男性に言いませんか」

 

「ふふふ、余裕なオトナの女性がニクいのね?」

 

「いや別に」

 

「…………………無粋なヒトね。こう、もう少し洋画みたいなウィットなやり取」

 

「つきました」

 

「ちょっと」

 

 何か言おうとしたのを遮って、空木は扉を開く。後ろについていた職員に礼をして分かれると、彼女はフェレスの手を取って部屋に入った。

 

 はて、なんだこの大きな部屋は。フェレスの頭に?が浮かぶ。大きな、それこそ車のショールームのような規模の殺風景な部屋だった。中央には布の被せてある何か大きなものが置いてあり、その近くに3人ほど男の職員が立っている。

 

「お願いします。この人は私が抑えてますから」

 

「了解です。ほら、そっち持って」「うっす」

 

 空木が指示を出すと。男たちはカバーの端を持って、静かにそれを取り外した。

 

「………………なっ!?」

 

 フェレスの呼吸がほんの少しの間、止まる。

 

 爆薬が直撃して、見るも無残に壊れたはずの、真紅のロールス·ロイス·ドーンがそこにあった。

 

「丸3日ほどかけて、修復魔法と、板金の専門の方との合わせ技でキッチリ直しましたよ。貴女をロケットランチャーで撃ったのが居たでしょう? あれは私も予想外でして、あそこまでやるつもりは無かったんです。コレは私なりの貴女への誠意です」

 

「………………ぁ、ぁ」

 

「預かっていたキーもこちらでしっかりと保管してあります。安心してください」

 

 持っていた鍵で、フェレスの手錠を外す。大丈夫だろうかと顔を怪しくした職員へ、空木は目配せして安心するよう促した。

 

 大切にしていた車なのだろう。元気な姿を見せてくれたのに対して、フェレスは感極まって両目を潤ませていた。大事な物があんな壊れ方をしたら、悔やんでも悔やみきれないだろうしな、と空木は、しゃがみこんでボディを撫でている彼女の思いを汲み取る。

 

「さて。私は私なりのやり方で、貴女に誠意を見せました。今度はフェレスさん、あなたの番です」

 

「………………?」

 

「色々と調べさせて貰いました。魔力について多少なりとも知識があること。魔法もそれなりに使えるようだし……どうでしょうか。私からちょっとした、お願いがあるんです」

 

「何よ。勿体ぶっちゃって」

 

「端的に言います。私達の仕事を手伝って頂けませんか? 配当はありますし、それさえやって頂ければ、刑期を縮める算段もあります」

 

 合田町には現在5人の悪魔が居たが。様々な現象に対応するには、全く人員が足りていない。実は空木の目的は、この場所の模範囚を仕事仲間としてスカウトする事だった。

 

 当初の予定では、身体能力に優れ、伯爵というストッパーもいるアグラーヤを引き入れるつもりだったが、僥倖(ぎょうこう)というべきか、彼女よりも魔力に詳しいフェレスが現れたわけで。空木としては利用しない手は無かった。

 

「何よ。そんな事なの……全くもう」

 

「引き受けて頂けますか。」

 

 

 

「嫌よ」

 

 

 

「…………は?」

 

「早くここから出して頂戴。私はね、1つの場所に留まってちゃいけないの。」

 

 空木の脳内に、数え切れない?が発生する。車も直した、刑期を軽くするというカードも見せた。何が彼女が気に食わなかったんだ??? そう思っていた空木へ、フェレスはべらべらと喋り始めた。

 

「私の心は渡り鳥なの……! 風にのって、気の(おもむ)くままに、町をさすらう……そう生きるようにって言う母の遺言が……」

 

「……ああーはいはい、寝言は独居房で言いましょうねー」

 

「あ、ちょっと。人の話は最後まで」

 

「アナタ悪魔でしょーが」

 

 コイツ、天然か……? イライラしてきた空木は真っ向から対立する姿勢で言う。

 

「どーせ元の世界でも悪さしてたんでしょーが。普通、知らない場所に来たらそのへんの人に聞くなりなんなりすればいーのに、すーぐ誘拐なんてしちゃって」

 

「余計なお世話よ。自由気ままに過ごして何が悪いのかしら」

 

「突然開いた窓を通っちゃってこっちに来たのは災難でしたね。でも来たからには、こっちのルールに従ってもらいますよ」

 

 ぶーぶー文句を言うフェレスへ淡々と空木は言う。やはり職員やアグラーヤなどに見せていた態度はカモフラージュであって、内心ではストレスを溜めていたようだ。様子を眺めていた職員らは、頭が痛そうなジェスチャーをして首を振っている。

 

 「昔、私は天使だったわ」 唐突にフェレスは話題を変えた。

 

「生まれつき、私には行使できる魔力なんてほとんど無かった。だからイジメられたし、仕事もできなかったし、(つまづ)いてばかりの人生だった」

 

「………………。」

 

「いつしか私の存在そのものが(うと)ましく思えたんでしょうね。天界から追放されて、堕落した私はいつの間にか悪魔になっていた……許せなかった。こんな仕打ちをしたあいつらにも、泥を啜る立場に甘んじた私自身にも……!!」

 

「…………だから、誘拐事件なんて起こしたと?」

 

「これは世直しよ……恵まれなかった私が人間を虐げて、搾取(さくしゅ)して、君臨する…………救いの神なんて物は存在しない。信仰を捨てた人間たちによって、やがて力の弱まった天使たちを逆に私が踏み(にじ)る。」

 

 周囲はしんと静まり返る。重い空気の中で、空木はフェレスの瞳をじっと見つめ、告げた。

 

「いや、なんか壮大ですけどただの逆恨みじゃないですか」

 

「え、いや……ちょっと、こういうのって普通は私の話を聞いて減刑して釈放されるって流れ」

 

「あのですね、貴女には「略取·誘拐罪」及び「器物損壊罪」で逮捕状が出てたんですよ。こっちはめちゃくちゃ面倒な手続きで貴女の罪をもう減らせるだけ減らしてます。形式上の簡単な裁判も受けて頂きましたが、あの弁護士費用だってこっちが出したんですよ……ったくもう、なんだって貴女はあんな車乗ってて財布の中スッカラカンなんですか」

 

「ん゛ん゛ん゛…………!」

 

「…………お金のない理由を言いたくないなら結構ですがね。」

 

 愛車の近くで(うずくま)って唸り始めた彼女に。尚も空木は口撃を続ける。

 

「ここまでしてあげてるのに何が気に食わないんですか。私にはわかりませんよ」

 

「お菓子」

 

「は?」

 

「バウムクーヘンよ、高級な、しっとり中にチョコの染み込んだやつ! わざわざ予約してたのに、ここには届けられないからって店の人から連絡が来たのよ。刑務官から又聞きで!」

 

「……………………………。」

 

 それはひょっとしてギャグで言っているのか?? 呆れて物も言えず、空木は黙って相手の主張を最後まで聞くことにする。

 

「確かにココのご飯は美味しいわ。認めましょう。卵焼きは出汁が効いているし、お味噌汁の濃さも及第点、お魚も小骨が抜いてあってシェフの仕事は丁寧だわ」

 

「…………」

 

「でもね、気に食わないの……気に食わないのよ。ティータイムの時間には決まってお茶請けにクッキーと煎餅(せんべい)が出てくるわ。抹茶味も醤油味の塩加減もお茶の香りを引き立てるから好みではあるけれど……」

 

「………………」

 

「コーヒーブレイクの時間というのはね、わかる? なんていうか―――そう、救いの時間なのよ。どの階級の労働者においても与えられる至福の時。これを追求せずして何がブルジョワジーか」

 

「……………………」

 

「贈答品の定番であり、その断面が年輪にも見えることから、縁起物としても良いとされるバウムクーヘンは高貴な食べ物だわ。生地に香る卵やバターの風味、特殊な製法ゆえの道具まで妥協が許されない調理過程、場合によってはナッツやラム酒を混ぜる配合の比率……すべてが重なり合い、ハーモニーを奏でる。あのお店のバウムクーヘンは絶品なの。舌に乗せればわかる幸せの音……忘れられない」

 

「…………………………」

 

「安っぽい茶菓子を食べれば食べるほど、あの感動が思い出されて悔しさが蘇るのよ。私はあのバウムクーヘンを食べそこねたんだ、って。ティータイムの時間に、あのお店の、限定チョコレートバウムクーヘンが出てくるまで。貴女の言う事なんて聞きたくな」

 

「うるさいですね」

 

「え?」

 

「頭の中身をバウムクーヘンにされたく無いなら今すぐ従ってください」

 

 「ちょっと引き離して貰えますか?」 空木の声を聞いた職員が、てきぱきとフェレスに手錠をかけ直し、彼女を車からひっぺがす。いつの間にかに自分を取り囲んでいた男たちに驚いたが、それよりも何をする気だとフェレスは不安になった。

 

「危ないから離れててくださいね」

 

「うぃっす」

 

「ちょっと貴女何をする気なの」

 

「聞き分けのない子への(しつけ)です」

 

「しつけ?」

 

「魔砲の十五番·飛礫(ひれき)

 

 空木は、ばん、と指で銃の形を作って撃つような動作をした。

 

 ゴン! と鉄板に何かぶつけたような音が響く。直したての車のドアには、こぶし大の傷が出来上がった。

 

「え°」

 

「まだ、強情張りますか?」

 

「な、なにが」

 

「魔砲の三十二式·必然制裁(ひつぜんせいさい)

 

 次に彼女は、左手を大きく上げる。青白い光を放つ片腕に反対の手を添えて、一思いに振り下ろすような動作を取った。すると、溜まった魔力はロールスロイスに向かって炸裂した。言うまでもなく、小規模の爆発に伴って車に大小様々な凹みや焦げ付きが生じる。

 

「いやああぁぁぁぁ!!」

 

「呑まないとどんどん威力上げますよ?」

 

「へ!?」

 

「魔砲の五十三式「改」·深緑光弾(しんりょくこうだん)

 

 今度は右手の掌を対象に向けて、逆の手で手首を抑える。数秒後に離すと、緑色を帯びた光線が放たれ、それは先程の青い魔力よりも激しい爆発を引き起こした。

 

「ちょ、ちょっと待っ」

 

「魔砲の八十六式·五芒星(ごぼうせい)

 

「わかった! わかった! わかったからぁ!!」

 

 白一色の広い部屋に、フェレスの泣き叫ぶ声が反響した。

 

 さっさと言う事を聞けば良かったものを。空木は特大のため息を吐いた。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 同日の深夜。シフトが入っていた日だったので、空木はコンビニの制服に見を包んでいた。

 

 あのあとも書類整理に文句を言うフェレスとやり取りをしていたりして無駄に3〜4時間も食ってしまい。他の仕事を大急ぎで片付けた彼女は、勤務時間の前から疲労を溜め込んでしまっていた。

 

 繰り返すが合田町は怪奇現象が多い。そのため夜に出歩くような人間はほとんど居ないので、こういった接客業の深夜番なんて仕事は、黙っていてもお金が入る状況になっている。客が少ない時間帯で本当に良かった……。空木はカウンター裏に置いた椅子の上でぐったりとしながら、ただひたすらラジオを聞いて暇を潰す。

 

 好きなパーソナリティが上機嫌で最近話題のアーティストなんかについて語っている。どうせ客なんて来ないし、少し寝ていようかな。そう、彼女が気を緩めたときだった。

 

ドグァッシャアアァァン!!

 

「わぁっ!?」

 

 コンビニの外から、壁越しにも響くとんでもない轟音がした。重かったまぶたが全開になり、眠気が吹き飛ぶ。軽い地震みたいな物も起きて、一瞬だが店内の明かりが落ちた。

 

 地震……じゃないよな。なんか上から降ってきて壊れたみたいな音だったけど?? 警戒しながら。空木は銃と御札を服に詰め、薙刀を持って外に出る。

 

「一体何が―――」

 

 店の駐車場に、何か乗り物が刺さっていた。

 

 言葉を失ったまま、彼女は機械的にソレを眺めて観察する。

 

 形状からして航空機なのだろうか? 鋭角的なデザインをしたSF映画の架空機か何かのようなその乗り物の、おそらくはキャノピーに当たる部分が開く。

 

「!!」

 

 中から出てきたのは……どう表現したものか。宇宙服みたいな物を着た、酸素ボンベか何かを背負ったタコさんウインナーみたいな生き物だった。

 

 よろよろとおぼつかない足(?)どりで出てきたこの生き物は、案の定、足場を踏み外して地面に落ちて来る。道に叩き付けられ、何故かベビーシューズのような変な音が出たこの生物に、一体、どういう体の造りなのかと疑問が絶えない。

 

〔み、水……〕

 

「!?」

 

〔水分が……水分が足りないのである……〕

 

 呆けていた空木の脳内に、低い男性の声が響いた。放っておくわけにもいかず、彼女は急いで店内に戻ると、適当なミネラルウォーターのボトルを持ってきて彼(?)に渡す。

 

「み、水を持ってきました」

 

〔おぉ……ぉお! このような施し、誠に申し訳ない。き、貴殿は我が星に伝わる(あま)が使い、所謂(いわゆる)天使であるか?〕

 

「あぁ……いや、そのぅ…………」

 

〔残念ながら、今の私には返す物が何もない。しかし、この恩は忘れない。いつか必ず恩に報いるのである〕

 

 宇宙人、か何かか?? ここまで人類からかけ離れた来訪者はいつぶりだろうか。空木はぎこち無い笑顔を彼に向けた。

 

〔当方は、AST-007星雲系出身·ピコリコ星人のポチョムスと申す。以後、ヨロシク……あと、大変申し訳無いのだが、貴殿の性別と人種、この惑星について知っていることを、お聞かせ願いたい〕

 

 

 

 




ポチョムスさんのCVが銀河万丈さんで再生されるのは私だけでしょうか()

見たいお話の大まかなジャンルをお選びください。1番多いやつがフワッと増えます。

  • ほのぼの日常
  • ドタバタコメディ
  • ギャグバトル
  • 真面目な戦闘シーン
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