少年は『正義』を背負い、何を思うか…   作:兜丼

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ぬるりと投稿します。


01.

少年グランツがジャングルから帰還してから2年経ち……場所は変わりココは"偉大なる航路(グランドライン)"前半に存在する島――『海軍本部』

 

世界政府海軍の中心組織であり七武海、四皇と並び世界の均衡を守る三大勢力の一角とされており、それ故にこの島には世界中の海から選りすぐったエリートともいえる海兵たちが在籍、鍛錬などを日夜行われている。

 

よく晴れた昼下がり…本部の鍛錬場には千人以上の未来の幹部候補の海兵たちが厳しい鍛錬を行っていた。と、そんな中……彼等が汗を流している場所の隅のほうでグランツは竹刀で素振りを行っていた。

 

「フンッ! フンッ! フンッ!」

 

大量の汗が噴き出しているにもかかわらず、両手に持った竹刀を一心不乱に振り下ろすグランツ…竹刀を振り始めてから3時間ほど経過しようとしていた。

 

大人達の中に幼い子供が混じって目立つためか、3時間もの間素振りをし続けて驚愕しているのか、はたまた両方か…兎に角、そう少なくない海兵たちがグランツを遠巻きながらも流し見ていた。

 

しかし、そんな視線など気付いていないのか黙々と素振りを続けるグランツ……と、そんなグランツに声を掛ける人物がいた。

 

「――随分と精が出るじゃないの。少年、あ~確か…グランツだったか?」

 

「フンッ!……誰ですか?」

 

手を止めて声のした方に顔を向ける…そこには3m近い長身の大男が此方を見下していた。

 

「おれはクザン、本部中将をしている。ガープさん……お前さんの祖父に頼まれてな」

 

「……御爺様の部下?」

 

「昔はな、まー今もそんなに変わらないが」

 

大男…クザン中将は頭を掻き、笑いながら言う。

 

「ガープさんには今でもお世話になっていてな、その孫……お前さんの特訓に暇だったら付き合ってやってくれと頼まれたんだ」

 

「それは…どうも、ありがとうございます」

 

「ってことで、今日は顔見せのために会いに来たんだが…お前さん、今いくつだ?」

 

「今年で7つです」

 

少し驚いたように目を開くクザン…と同時に、少し納得したような顔をした。

 

(…声を掛けるだいぶ前から、素振りを見せてもらっていたが……一度も休憩を挟んでいなかったな。にも拘らず、まだまだ体力が残っているようだし……さすがはガープさんの孫ってところか)

 

「?」

 

「ん、あ~気にするな……まーアレだ、折角顔合わせたわけだし、ちょびっとだけ付き合ってやる」

 

そう言い、近くにあった竹刀を掴み取るとグランツの前に立つクザン。構えを取らず、その場で待ち構える姿勢であった。

 

「………」

 

「何時でも打ち込んできなさい。あーこちらからは攻める事はないから」

 

軽い挑発、しかし気づいていないのか反応せず、ゆっくり構えを取り 目の前の中将を見据えるグランツ。

 

「……お願いします」

 

「まぁ気ィ張らずに来なさい――」

 

言葉が終わった瞬間、飛び出すグランツ。中将に近づく動きはその年相応以上ではあったが、まだまだ未熟と言った感じであった。

 

特に注視する箇所もなく、こちらに来るまで待ちの姿勢を取るクザン…最短距離で真っ直ぐに傍まで来ると、そのままの勢いで手に持った竹刀を振りかぶる。

 

「フンッ!!!」

 

「!お~中々、その年の割には力があるじゃない」

 

グランツの攻撃を片手で持った竹刀を使い軽く止めるクザン。想像道理ではあるが大人と子供、それも海軍中将との実力さは天地がひっくり返っても覆るものではなかった。

 

それでもなお、グランツは何度も竹刀を打ち込んでいく……その姿は同じ動作をただ繰り返し、竹刀同士の打ち合う音がその場に響き渡った。

 

「フンッ!!フンッ!!フンッ!!」

 

「あーもう止め止め、ストップストップ。もう終わりだ」

 

……打ち合ってから5分ほど経過し、クザン側から終わりを告げられ両者は構えを解く。当然であるがグランツ側は一本も取れず、軽くあしらわれるだけで終了した。

 

「……ありがとうございましたっ」

 

「お疲れさん。ン~まぁ評価としては力と体力以外は年相応、まぁ焦らずに基礎を身に着けることだな」

 

「……はい」

 

「で、だ………気になっていたことがあったんだが、いいか?」

 

「はい?」

 

「なんで能力を使わなかったんだ?」

 

言葉に耳を傾けていたグランツは、特に表情を変えずに目の前のクザンに目を向けていたが、構わづ話を続ける。

 

「ガープさんから聞いていてな……お前さん二年前にジャングルで『悪魔の実』を食し、それにより何らかの『能力者』になったはずだ。自分より格上…で無くても、お前さんぐらいの年頃なら訓練でも考えなしに使ってきそうなもンだが……なんか理由でもあるのか?」

 

「別に……特に深い理由なんてないですけど」

 

「お前さんが能力者の場合、例えまだ未熟であっても相手を重症…最悪、死に至らしめる可能性は十分にある。その辺を考慮してお前のじいさんは格上の能力者(中将)を訓練相手によこした。悪魔の力は使わなければ鍛えることはできないからなぁ」

 

そう言い、クザンはグランツに近寄ると、ぽんっと手を頭にのせる。

 

「今度訓練するときは能力を使用しながらで構わんよ。といっても、時間が空いた時ってことにはなるが」

 

「ありがとうございます」

 

「ああ……ところで、お前さんはどんな能力者なんだ?差し支えなければ教えてくれ」

 

「……秘密です」

 

「え~~いーじゃないの~、減るもんじゃぁないんだし」

 

「減ります」

 

何故か能力の説明を拒否するグランツに絡むクザン……それでも、頑なに喋ろうとしない様子に諦めてため息をつく。

 

「ン~~まぁお前さんとはそれなりに付き合うことになりそうだし、今は諦めよう…いつか気ぃ向いたら教えてくれればいいから」

 

「ないです。教えません」

 

「なんでそこだけそんなに決意が固いの?」

 

 

 

そんなやり取りがあったのち、クザンは修練場から離れていく――かくして、コレが少年グランツと未来の大将2人の、初めてのコンタクトであった。

 

 

「モンキー・Ⅾ・グランツねぇ……正直、ガープ中将の血を引いているのかってほど大人しかったが……はてさて、どうなるもんだか」

 

そう呟きながら先程の少年の未来を思い、移動するクザン……ふと、先程の試合で竹刀を持っていた手を見ながら思い出す。

 

(そういえば……あのグランツの攻撃、年齢の割には異様なほど威力が高かったが……じいさんの血の影響からか?それとも……)

 

「――まぁ、これからが楽しみじゃないの」

 

 

 

 

 




登場人物の口調がおかしくても生暖かい目で見て頂けたら幸いです。
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