エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園   作:M.T.

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(非)日常編⑤

楽園生活4日目。

 

『おはようございます、オマエラ!!朝です!!7時になりました!!今日も元気に殺し合いましょう!!』

 

今日もまた、モノクマの耳障りなモーニングコールで起こされた。

俺は、朝の準備を済ませて8時に間に合うように食堂に向かった。

弦野と神崎は今日も来ておらず、仕方がないので14人で朝食を取る事にした。

朝食を食べている途中、俺は隣の席に座っていた武本に小声で話しかけた。

 

「…花だってさ。札木が欲しいもの。」

 

そう言うと、武本は申し訳なさと呆れ顔が入り混じったような表情で頷いた。

そして当の札木を見ると、朝食のデザートのチーズケーキを食べていた。

 

「………美味しい。」

 

「ホントだ。おいしいねぇ。」

 

「ありがとうございます!それ、自分の自信作なんですよ!」

 

ほう。

仕田原はデザートも作れるのか。

さすがは【超高校級の家政婦】だな。

 

 

 

朝食の後は、全員でちょっとしたミーティングをする事になった。

 

「もう4日経つけど、やっぱり何の進展もないね。」

 

「な?言うたやろ?外部の奴等をアテにしとっても無駄やっちゅうこっちゃ。」

 

「いや、まだ諦めちゃダメだ。きっと、警察が俺達の事を探してくれてるはずだ!!」

 

漕前がそう言った、その時だった。

 

 

 

『ケーサツ?なーにをそんなモノをアテにしてるんですかねぇ。』

 

突然、不愉快なダミ声が食堂に響き渡った。

そしてその直後、イロモノ…もといモノクマが現れた。

 

「うわっ!」

 

「あーあ、またウザいのが現れたよ。」

 

「Fuck off!!」

 

一が虫でも見つけたかのような反応をし、速水が冷めた目を向けジョンが罵声を浴びせた。

 

『キャー、ジョンクンってば口悪いなぁ!お母さんそんなお下品な子に育てた覚えありません!』

 

「…はぁ、で、何の用なの?」

 

『用って、決まってんじゃん!オマエラ、もう4日目だよ!?何で誰一人として死んでないのさ!オマエラ、外に出たいんじゃなかったの!?』

 

「確かに外に出たいのは山々だけど、それで誰かを殺すと本気で思ってるの?」

 

「筆染の言う通りだ!そのうち、警察が俺達の事を見つけてくれる!そうすりゃあお前なんて豚箱行きだ!!」

 

『バカじゃないの?ケーサツが主人公の作品以外でケーサツが役に立たないのはもはやお約束じゃん!外からは誰もこの楽園に入ってこないし、オマエラは誰かを殺さない限り永遠に外に出られないの!』

 

「ふざけるな!!お前が何と言おうと、俺達はコロシアイなんてしない!!16人全員でここを出るんだ!!」

 

 

 

『ふーん。オマエラは、ここにいる16人全員が味方だと思ってるんだ?うぷぷぷ…まあ、そう思うのは勝手だけどね。』

 

「!?」

 

「おい。今のどういう意味や。」

 

『さあね。それくらい自分で考えなよ。ボクから言う事は何もありませーん。』

 

コイツ…

 

「チッ。いちいち腹立つやっちゃのぉ。まぁそれはええわ。お前、ホンマは何しに来たん?」

 

『おっと、そうだった!うっかり本題を忘れちゃうところでした!実は、今日はオマエラにお話があって来たのです!』

 

「話!?何なのよぉ…!」

 

『えーとですね。それは16人全員揃ってから話したいから、さっき空気を読まない約2名を呼び出したよ。ボクの方から5分以内に食堂に来ないとオシオキするよってチャット送ったから、多分もうすぐ来るんじゃない?』

 

モノクマがそう言った直後だった。

 

 

 

「…チッ。今まで何も言ってこなかったくせにいきなり呼び出しやがって。」

 

「フン。またしても貴様ら凡俗の顔を拝む羽目になるとはな。」

 

弦野と神崎が食堂に入ってきた。

 

「で?人を呼び出したからにはそれなりに重要な話があるんだろうな、誘拐犯?」

 

『大有りだよ!実は、オマエラがどうしてもコロシアイをしないせいでここ最近『そろそろ誰か死ねよ』っていう無言の圧力を感じるので、ボクが直々にとあるものをプレゼントしてあげる事にしたんだよ!』

 

「とあるもの?」

 

『ボクは考えたのです。オマエラが何でコロシアイをしなかったのかをね。それをずっと考えてたせいで夜しか眠れなかったよ。』

 

「それ、しっかり快眠してるよねぇ。」

 

「その前にまず君に寝るっていう概念があったんだね。」

 

「お前らいちいちツッコむなや。話進まへんやろが。」

 

黒瀬と筆染が堂々とモノクマにツッコミを入れる図太さを見せたので、流石の枯罰も呆れるしかなかった。

 

『で、何が原因だったかといいますとね。足りないものがあったんだよ!』

 

「足りないもの?」

 

『動機だよ!動機!!というわけで、オマエラが積極的にコロシアイをするように動機をご用意しました!』

 

「動機だと…!?」

 

嫌な予感しかしないな…

 

 

 

『テッテレー!!動機DVD〜!!』

 

モノクマは、段ボール箱を取り出して高々と掲げた。

段ボール箱の中には、ちょうど16枚のDVDが入っていた。

 

『このDVDは、個室のテレビで見られるよ。それぞれ自分の名前シールが貼られたDVDを取って見てね。あ、ちなみに今日中にDVDを見なかったり破棄したりするのはルール違反だから。それじゃ、ボクからの話は以上です。みんな頑張ってね〜!』

 

そう言って、モノクマは去っていった。

 

 

 

「Shit…あの野郎、好き勝手言いやがって…」

 

「うわぁああああああ!!!終わった!やっぱりモノクマはボク達にコロシアイをさせる気だったんだ!!」

 

「おい、落ち着けよ一!みんなで一致団結すりゃあ、コロシアイなんて起こんねぇって!」

 

「そんなの信じられるわけないじゃない!!だって、アンタ達の中に裏切り者がいるかもしれないんでしょ!?ゆめ、殺されるのなんていや!!」

 

「そんなの、こうやって俺達を動揺させるための嘘かもしれねぇだろ!?」

 

「そうだな、まだ裏切り者がいると決まったわけじゃない。」

 

「じゃあテメェらは自分が敵じゃねぇって証明できんのかよ?」

 

「それは…」

 

「な?できねぇよな?ほらみろ、やっぱりテメェらと一緒にいると碌な事にならねぇじゃねぇか。用は済んだみたいだし、俺は部屋に戻る。」

 

そう言って、弦野は箱からDVDをひったくって再び部屋に引きこもってしまった。

 

「あ…」

 

「フン、そういう事だ。俺も失礼させてもらう。せいぜい互いに潰し合ってろ凡愚共。」

 

神崎も、自分のDVDを持って出て行ってしまった。

 

「弦野、神崎…」

 

すると、枯罰がため息をついて立ち上がった。

 

「…場の空気悪うするようで悪いんやけど、ウチも部屋戻ってええか?」

 

「どうして?」

 

「早うDVDの中身確認したいからに決まっとるやろ。」

 

「やめときなよ!中身がわからないからって無闇に見たら、何が起こるかわかんないよ!?」

 

「そうよ!それとも何!?アンタまさか殺人を企ててるんじゃないでしょうね!?」

 

「ちゃうわド阿呆。こないなモン何が映っとるかなんぞ見んでも大体予想できるし、これで人殺す気なんぞ起きんわ。ウチは無駄にグズグズするんが嫌いなだけや。」

 

そう言って、枯罰はDVDを取って食堂を後にした。

その後も、みんなゾロゾロと部屋に戻っていった。

…俺も部屋に戻ってDVDを確認しないと。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

俺は、部屋に戻ってDVDをテレビにセットした。

モノクマの奴、これを俺達に見せてコロシアイをさせようっていうのか。

…でも、たとえここに何が映っていようと俺は殺人なんてしないし、俺はみんなを信じる。

 

そう思った矢先だった。

映像が始まった。

 

 

 

 

 

『【超高校級の講師】赤刎円クンの動機映像!』

 

映像が始まると赤い舞台幕が映り、そこには文字が書かれていた。

そして、幕が両側に開き幕の向こうに隠されていた映像が映る。

 

「…え。」

 

映っていたのは、見慣れた光景だった。

丘の上にぽつんと立った、十字架が立て掛けられた白く綺麗な建物。

その周りでは、小さな子供達が遊んでいる。

そこは俺が生まれ育った孤児院で、子供達は俺の家族だった奴等だ。

 

「みんな…」

 

映像が切り替わり、孤児院の中の映像が映る。

画面には、男の子の顔がアップで映っていた。

 

『ねぇ、これもう映ってるのー!?』

 

『ちゃんと映ってますよ。晃君、そんなに近づいたらみんなのお顔が映らないわ。』

 

『はぁーい!』

 

そう言って、晃は奥にいた女性の隣に行ってちょこんと座った。

映っている女性は孤児院の院長をやっているシスターで、その周りには孤児院の子供達が集まっていた。

 

『お久しぶりですね、円君。元気ですか?希望ヶ峰学園の寮生活にはもう慣れたかしら?』

 

「シスター…」

 

『あの希望ヶ峰学園からスカウトが来た時は本当に驚いたわ。でも、あなたは昔から賢くて優しい子だったから、きっと今頃お勉強を頑張って、お友達とも仲良くできてるのよね?』

 

『円にーちゃん!たまにはこっちに顔出しに来いよ!』

 

『今度は、学校でのお話たくさん聞かせてね!』

 

『円君、困った事があったらいつでも連絡してね。私はいつでもあなたの相談に乗るから。』

 

映像を見ていた俺の目には、涙が溜まっていた。

子供の頃よく遊んだ庭、優しいシスター、やんちゃだけど俺を慕ってくれる可愛い弟妹達、全てが懐かしく思えてくる。

…モノクマの奴、これを俺達に見せて大切な人に会わせたくするっていう魂胆だったのか。

それでも、俺は殺人なんてしない。

ここで人を殺してしまったら、外で待ってくれているシスターや弟妹達に顔向けができない。

絶対に誰も殺さずに脱出する方法を見つけるんだ。

そう心に決めた、次の瞬間だった。

 

ブツッと音がして、突然画面が暗転した。

 

「?」

 

故障かと思いつつも映像を見続けていると、突然   

 

 

 

「………は?」

 

目の前に映ったのは、壁や窓が破壊されて見るも無残な姿になった孤児院。

吐き気を催すほど強烈な赤。

孤児院の中を土足で歩き回るモノクマのマスクを被った者達。

そして、床に転がったいくつもの真っ赤な人形   

 

   否、それは紛れもなく俺の弟妹達だった。

 

「え?え?」

 

映像を見ていた俺は、頭が真っ白になった。

そして、そんな俺の目に映ったのは、床に落ちていた髪飾り。シスターがつけていたものだった。

 

「ッ…シスター…!?」

 

視線の先には、ロザリオを握った右手がダランとぶら下がっていた。

 

「シスター!?シスター!!クソッ…無事なのか!?何があったんだ!!動け!!画面動けよチクショウ!!」

 

俺は、何度も必死にテレビの画面を叩いていた。

するとそこで再び画面が暗転し、文字が現れる。

 

『優しいシスターと弟妹達に愛されて育った赤刎クン!いやぁ、微笑ましい限りですねぇ。ではでは、ここで問題です!孤児院の子供達、そしてシスターは一体この後どうなってしまったのでしょうか!?正解発表はー…失楽園の後でっ!!』

 

モノクマがそう言って画面の中で手を振った直後、映像が終わった。

俺の中で今渦巻いているのは、ただただ深く昏い絶望…それだけだった。

 

 

 

 

 

「う…そ…だよ…な…?」

 

そうだ、こんなのモノクマの捏造に決まってる。

大体、俺はまだ希望ヶ峰学園に入学してすらいないのにみんなが入学後の話をしてる事自体おかしいもんな。

きっと何かのドッキリだ。

実際はみんないつも通り平和に暮らしてるはず。

…でももし、ここに映ってるのが現実だとしたら…?

一刻も早く外に出てみんなの安否を確かめなければ、と一瞬でも思ってしまった事を否定できるのか?

 

…これ以上考え込むのはよそう。

悪い事しか起こらなさそうだしな。

そうだ、みんなもそろそろ映像を見終わってる頃かな。

ちょっと食堂に顔を出してみるか。

 

 

 

「…あ。」

 

俺が食堂に行くと、何人かは暗い面持ちで集まっていた。

弦野と神崎は本人達が別行動を取ると言っていたので来ていないのは自然な事だったが、聞谷、一、筆染、宝条の4人も来ていなかった。

 

「クソッ…なんなんだよアレは!!」

 

「Shit!!あのクマ、オレ達にあんなモノを見せて何がしたいんだ!!」

 

「………下衆がッ…!!」

 

漕前、ジョン、武本の3人は映像を用意したモノクマに対して怒りを露わにしていた。

 

「みんな…」

 

「落ち着きなよ!あんなの、モノクマの捏造だって!」

 

「そうですよ!皆さん、まずは深呼吸しましょう!」

 

安生と速水と仕田原は平然としているように振る舞っていたが、完全に血の気が引いて顔色が悪くなっていた。

 

「う〜ん、荒れてるねぇ。みんな大丈夫〜?」

 

「…まぁ、こうなるやろなとは思っとったわ。」

 

本当に平然としているのは、黒瀬と枯罰だけだった。

 

「……………。」

 

札木は、俯いて席に座ってガタガタと震えていた。

表情は下を向いていてわからなかったが、見るからに顔が真っ青になっていた。

 

「…札木?」

 

俺が声をかけると、札木はビクッと肩を跳ね上がらせる。

俺は、テーブルの上にあったアイスティーを持って再び声をかけた。

 

「大丈夫か?…とりあえず、飲み物でも飲んで…」

 

「来ないで!!!」

 

札木は、突然大声を上げて立ち上がると、俺の手を払いのけてアイスティーをぶちまけた。

予想外の反応に、俺は目を見開いて突っ立っている事しか出来なかった。

 

「さ…つき…?」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがわたしがう゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 

札木は、突然床に座り込んで両手で頭を抱えると今までに出した事がない程の大声量で泣き叫んだ。

 

「札木さん!?どうしたんですか!?」

 

「錯乱してる…多分動機映像が原因だろうね。」

 

安生は、札木に近づくと優しく声をかけた。

 

「札木さん。少しずつでいいから、まずは深呼吸をしようか。」

 

「未来、大丈夫だよ。誰もアンタの事を責めたりなんてしてないから。」

 

泣き叫んでいた札木だったが、速水に背中を摩ってもらってようやく少しずつ落ち着いた。

 

「………うっ、ふぅうっ…ごっ、ごめんなさい…わたし…」

 

「札木さん。つらい事があったら、またいつでも僕に相談してね。力になるから…」

 

「……………うん。」

 

札木は、涙を拭い鼻をずびずびと啜りながら頷いた。

 

「さて、と…これ、片付けないとな。仕田原、何か拭く物ないか?」

 

俺は、床に落ちたガラスの破片を拾った。

 

「あ、いけません赤刎さん!素手で割れたガラスを持ったら危ないですよ!」

 

「大丈夫だってこのくらい゛っ…!」

 

油断していたら、破片で指を切ってしまった。

 

「ほら、言わんこっちゃない!そんな雑用は自分がやりますんで、赤刎さんは指を止血して下さい!」

 

「悪いな。でも俺、止血する物なんて持ってねーんだわ…」

 

「……………あ、あの…」

 

「ったく、しゃーないやっちゃなぁ。ほれ、指見せろや。」

 

枯罰は、俺の左手を引っ張り上げるといきなり手にペットボトルの水をかけた。

 

「い゛っ…!?」

 

「動くなや。洗い流しとかな雑菌繁殖するやろが。」

 

枯罰は、俺の指を洗って止血すると持っていた絆創膏を貼ってくれた。

 

「まぁ、これで大丈夫やろ。」

 

「ああ。助かった。ありがとう。…ってか、よく絆創膏とかガーゼとか持ってたな。」

 

「…万が一があるかもしれへんからのぉ。診療所からくすねといてん。」

 

抜け目がないなホント。

すると、札木が後ろめたい表情でこっちを見ているのに気がつく。

 

「札木。大丈夫か?」

 

「………あ、うん…………」

 

「さっきはごめんな。俺が何か無神経な事言っちまったんだよな?」

 

「…っ!う、ううん…赤刎くんは何も悪くないよ。わたしの方こそ、いきなり叫んでごめんなさい…」

 

「お前が何を見せられたのかは知らねぇけど、俺達はお前の味方だからな。」

 

「…………うん。ありがとう。」

 

札木は、コクリと頷くと微笑んだ。

良かった、気分が落ち着いたみたいだ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

あんな映像を見せられた後だったので、昼食は各自で取る事になった。

その後、俺は何かを縫っている仕田原に声をかけた。

 

「悪いな、仕田原。せっかく準備してくれてたのに…」

 

「いえいえ!赤刎さんが謝る事じゃないです!」

 

「…それはそうと、お前何やってるんだ?」

 

「ああ、黒瀬さんが、服のボタンが外れてしまったと仰っていたので直してるんですよ。見て下さいこの糸!裁縫セットに入ってたんですけどね、蜘蛛の糸の構造を参考に紡がれた糸だそうで、ちょっとやそっとじゃ切れないのが売りなんだそうですよ!」

 

「そ、そうなのか…」

 

そういや女子の部屋には裁縫セットがあるってモノクマが言ってたな。

俺は仕田原と話をした後、ホテルの中を探索する事にした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

しばらくホテルの中を歩いていたが、特にこれといった収穫はなく時刻は3時になった。

食堂に行ってみると、仕田原と枯罰が夕食の準備をしてくれていた。

安生、黒瀬、漕前、ジョン、速水、武本の6人も2人を手伝っていた。

 

「あ、お前ら…」

 

「赤刎!お前もこっち来て手伝え!」

 

「ん?お前ら、何やってんの?」

 

「何って、見てわかんない?パーティーの準備してるんだよ!」

 

「ぱ、パーティー…?よりによってこんな時に、何でまた…」

 

「こんな時だからだよ。このまま憂鬱な気分のまま過ごすのもアレだし、みんなで気分を盛り上げて楽園生活を乗り切ろうって…ウォーカー君が。」

 

「Yes!partyすればみんなhappyだぜ!」

 

「そういうもんか…」

 

「今ここに来てないみんなはチャットで呼んでおいたから。せめて既読になってる人達だけでも来てくれるといいんだけど…」

 

神崎、弦野、宝条あたりが来ないのは仕方ないとして、聞谷、札木、一、筆染の4人はちょっと心配だな…

俺達は食堂にいた9人で準備を進め、ものの2時間ほどで準備が終わった。

 

「とりあえず、こんなもんかな。」

 

「わぁーい、かんせー。」

 

「ましろ、アンタずっと邪魔しかしてなかったよね。」

 

「えー、そうだっけー?」

 

「準備は終わったし、あとはまだ来てない7人だね。」

 

食堂にいない7人の話をしていた、ちょうどその時だった。

 

 

 

「うわぁ、何これ!メッチャ豪華!」

 

「本当ですわね!」

 

「お、思った以上にちゃんとパーティーだね…」

 

「……………。」

 

筆染、聞谷、一、札木の4人が食堂に来た。

 

「お前ら…もう大丈夫なのか?」

 

「うん!動機映像を見せられた時は、ショックでどうしたらいいのかわかんなくて部屋に篭っちゃったけど…でも、いつまでもそんな調子じゃいけないからね。」

 

「筆染さんの言う通りですわ。皆さん、ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。」

 

良かった…この4人は何とか本調子に戻ってくれたみたいだな。

問題はあとの3人だけど…

 

 

 

「騒がしいな…」

 

「チッ…こんな時にパーティーなんて、ふざけてんのか。」

 

「全くよ。コイツら何考えてんのかしら。」

 

「…え!?」

 

俺は、思わず声を上げてしまった。

なんと神崎、弦野、宝条の3人も食堂に来たのだ。

 

「…何よ、赤刎くん。ゆめの顔に何かついてる?」

 

「あ、いや…お前ら、来てくれたんだな…」

 

「あーもう、ウゼェなぁ。万が一殺人が起きた時に犯人だと思われんのが嫌だから来てやっただけだっつーの。」

 

「この4日間で、貴様らに俺を殺す度胸など無い事はよくわかったしな。」

 

「ゆめはアレよ!たまには庶民のお遊びに付き合ってあげようと思っただけ!わざわざ来てあげたんだから感謝しなさいよね!」

 

「何だよお前ら、素直じゃねぇなぁ。本当はパーティーに参加してみたかったんだろ?」

 

「んなわけあるか!」

 

「律くんって、怒るとちょっと可愛いよね。」

 

「わかる!」

 

「うっせぇ!テメェらマジで後で覚えてろよ!」

 

漕前、黒瀬、筆染の3人が揶揄うと、弦野はムキになって怒鳴った。

 

「はいはい、それじゃみんなグラス持って。」

 

安生が笑いながらグラスを手に取ると、全員自分のグラスを手に取った。

 

「それじゃあ、コロシアイだの動機だの色々思うところはあると思うけど…16人の超高校級がここに集えた事を祝って…乾杯!」

 

『カンパーイ!!』

 

全員がグラスを高く挙げ、パーティーが開催された。

パーティーが始まった途端、全員用意された豪華な料理に手をつけ始める。

 

「んー!何これ!メッチャうまっ!」

 

「美味しいねぇ!ありがとう、仕田原ちゃん!枯罰ちゃん!」

 

「フン、これだから凡愚は…」

 

「Hey、帝!」

 

「?」

 

神崎がジョンの方を振り向くと、突然ジョンは神崎の顔にクリームパイを押し当てた。

 

「「ギャハハハハハハハハ!!!」」

 

「ちょっと神崎くん!アンタどうしたのよそれ!フフッ…キャハハハハハ!!」

 

「ちょっ…帝!?その顔どうしたの…?」

 

「やめなってみんな…笑っちゃかわいそ…ブフゥッ!!」

 

漕前とジョンと宝条が爆笑し、速水と一も笑いを堪えていた。

 

「貴様ら…」

 

「まあまあ、皆さん…あまり笑っては失礼ですわよ。神崎さん、このおしぼりでお顔を…フフッ…」

 

「着物、貴様…」

 

聞谷が笑いを堪えながらおしぼりを神崎に渡すと、神崎は顳顬に青筋を浮かび上がらせた。

 

「いやぁ、完璧なイメージしかない神崎が顔パイまみれにしてんのってウケるな。ジョン、でかした!」

 

「Yeah!」

 

漕前とジョンがハイタッチをした直後、二人の頭に枯罰の拳骨が飛んでくる。

 

「いったぁ!!?」

 

「お前ら食いモン粗末にすんなや。どつくぞコラ。」

 

「「はい、すみませんでした…」」

 

「もう殴ってんじゃん。」

 

「ははは…」

 

俺が呆れて笑っていると、札木が横に来た。

 

「………赤刎くん。」

 

「おう、札木か。どうした?」

 

「……………さっきはごめんなさい。」

 

「さっき?ああ、お前まだ気にしてたのか。別にいいよ。お前も何かつらい事があったんだろ?」

 

「…………あの。」

 

「何だ?」

 

「……赤刎くんは、全員でここから出たいって思ってる?」

 

「当たり前だろ。全員でここから脱出する方法を見つけてここから出るんだよ。誰一人だって欠けたらダメなんだ。」

 

「…………そうだよね、やっぱり生きなきゃダメだよね。」

 

「?どうした?いきなりそんな事聞いてきてよ。」

 

「…ううん。何でもないの。」

 

「そうか。ならいいんだけどよ。」

 

「………。」

 

「そんなに暗い顔すんなよ。お前は笑ってるのが一番可愛いんだからよ。」

 

「………うん。ありがとう。」

 

札木は、俯いていた顔を上げると少し微笑んだ。

さっきは取り乱した様子だったけどパーティーにも馴染んでたし、やっといつもの調子に戻ったのかな?

モノクマに動機映像なんかを見せられて一時的にみんな暗い感じだったけど、札木は元に戻ったし神崎と弦野も参加してくれてるし、やっぱり苦難を乗り越えると団結力って高まるものなんだなって実感した。

たとえ何があっても、俺達なら乗り越えられる。

 

絶対に全員で協力してここから出るんだ!!

 

 

 

パーティーの後は全員で後片付けをして、夜時間までには食堂は綺麗に片付いた。

率先して片付けをしてくれた仕田原と枯罰だったが、目を疑うほどの猛スピードで皿洗いと掃除をこなしていた。

仕田原は【超高校級の家政婦】だからまだわかる。

だが枯罰、何故お前までそんな猛スピードでこなせるんだ?

衣食住全部ハイレベルだし、頭も切れるし武道の心得もあるし、神崎と被るが【超高校級の優等生】とかなんじゃないか?

片付けを済ませた俺は、漕前やジョンと一緒に話をした後部屋に戻っていった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

5日目。

 

『おはようございます、オマエラ!!朝です!!7時になりました!!今日も元気に殺し合いましょう!!』

 

今日もまた、モノクマの耳障りなモーニングコールで起こされた。

…モノクマもしつこいな。

俺達は絶対にコロシアイなんてしない。

昨日だって、やっとバラバラだったみんなの気持ちが一つになったんだ。

俺は、身支度を整えて食堂に向かおうとした。

すると、丁度その時だった。

 

 

 

 

 

ピーンポーンパーンポーン

 

『死体が発見されました!住民の皆さんは、至急厨房にお集まり下さい!』

 

…死体?

そんな、嘘だ。

俺達の心は一つになったんだ。

殺人なんて起こるわけがない。

きっとモノクマの質の悪いイタズラだ。

そう思いつつ、俺は厨房に向かった。

 

 

 

「どうしたんだ?何かあったのか?」

 

「あ、ああああああ…」

 

厨房に行くと、顔を真っ青にした仕田原が床に尻餅をついて半開きになった冷凍倉庫を指差していた。

その隣には、いつになく落ち着きのない表情をした枯罰が立っていた。

 

「…おい赤刎。中見るんやったら覚悟しいや。」

 

そう言って枯罰が倉庫の扉を開けたので、俺は中を覗いた。

すると…

 

 

 

 

 

「うわぁあああぁああああああああぁああああああっ!!!!」

 

 

 

ーーー嘘だ。

ソイツがここにいるわけがない。

何でお前が…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【超高校級のタロット占術師】札木未来は真っ赤な紐で腕を繋がれ、血塗れの姿で二度と醒める事のない眠りについていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

ー生存者ー

 

【超高校級の講師】赤刎円

 

【超高校級のカウンセラー】安生心

 

【超高校級の天才】神崎帝

 

【超高校級の香道家】聞谷香織

 

【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ

 

【超高校級の幸運】漕前湊

 

【超高校級の???】枯罰環

 

【超高校級の家政婦】仕田原奉子

 

【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー

 

【超高校級の武闘家】武本闘十郎

 

【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律

 

【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳

 

【超高校級のランナー】速水蘭華

 

【超高校級の画家】筆染絵麻

 

【超高校級の収集家】宝条夢乃

 

ー以上15名ー

 

 

 

 

 




とうとう死人が出たぞー!!
あとどうでもいい事なんだけどちょっとだけ編集したぽ
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