エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園 作:M.T.
今回、わかりやすすぎたのではないかと猛省中。
嘘だ。
なんで札木が…
昨日まで楽しそうに笑っていたのに。
一緒にここを出て姉さんに会いに行くんだって言ってたのに。
まるで昨日までの札木を否定するかのように、俺達の希望を打ち砕き嘲笑うかのように、深い深い絶望が俺達を襲った。
「嘘だ…そんな…札木…うっ、うわぁああああぁあああああああああああああああああああっ!!!」
俺は、耳を劈く大声で叫んでいた。
すると、他の奴等も厨房に駆けつけてくる。
そして全員、札木の死を目の当たりにした。
「キャアァアアアアアァアアアッ!!!」
「ぎゃああああぁああああああっ!!!やだやだ無理無理ボクもう帰る!!」
「いやっ!!もういやぁあっ!!」
聞谷が叫び声を上げ、一と宝条がパニックを起こす。
「あ、あああああああ…」
「ひっ…!!嘘、札木…ちゃん…?」
「嘘でしょ…!?何で未来が…!?」
「そんな…札木さん…うぅっ…」
仕田原と筆染と速水は顔を真っ青にし、安生に至っては狼狽えて吐き気を催していた。
「…………っ、すまない…!!札木…!!」
「…。」
「クソが…」
武本は札木を守れなかった自分を責め拳を握りしめ、枯罰と弦野も歯を食いしばり怒りに満ちた表情を浮かべていた。
「うっ…うぅっ…ボクの大好きな未来ちゃんが…」
「…フン、友情ごっこの結果がこれか。随分と笑わせてくれるな。」
黒瀬はその場に座り込んで啜り泣き、神崎は呆れて冷たい目を向けていた。
だが、そんな中ジョンと漕前だけは笑っていた。
「おい、札木ちゃん。昨日のパーティーの出し物の延長だか何だか知らねぇけどな、さすがにこれはやりすぎだぞ!」
「Hahahahaha!!ミライ!bad jokeはやめろよ、unscrupulousだろうが!」
「お前ら…」
二人は笑い飛ばして現実を受け入れようとしなかった。
どうやら、これはただのドッキリで札木はまだ生きてると本気で思っているらしい。
俺だってそう思いたいよ。
…だけど。
『うぷぷぷ、bad joke?ジョンクン、それってキミの髪型の事?』
突然、モノクマの声が聞こえてきた。
「モノクマ…!」
『あーあ、とうとう起きちゃったね。コロシアイなんてしないって言ったのはどこの誰かな?』
「コロシアイだと…!?」
『そーだよ!いい加減認めなよ。札木サンは死んだんだよ!』
「そんな…うっ、うわぁああああああああっ!!」
「ミライ…ミライ!!」
モノクマに現実を突きつけられた二人は狼狽えた。
二人も、本当はわかってたんだ。
目の前の光景は、夢でもドッキリでもない。
紛れもない現実なんだ。
「テメェ…とうとうやりやがったな!?札木はテメェが殺ったんだろ!?」
「そ、そうだよ!モノクマの仕業に違いないよ!」
『やだなぁ、弦野クン、一クン!ボクのような心の綺麗なクマが人殺しなんてするわけないじゃん!札木サンはね、この中の誰かに殺されたんだよ!』
「何でお前にそないな事わかるん?まさか、監視カメラで犯行の一部始終を見とったんか?」
『イグザクトリー!犯行の様子はバッチリ映像に残ってるからね。ボクは誰が犯人かちゃんとわかってるんだ。』
「ちょっと待って、殺人が起きたって事は…」
『はい!ルール通り、犯人は失楽園となります!…と、言いたいところですが、実はここで一つ問題があるのです!』
「問題?」
『オマエラ、ルールの5つ目を覚えてる?』
「…『仲間の誰かを殺したクロは失楽園となりますが、自分がクロだと他の人に知られてはいけません。』だったか?」
『そうです!なので、クロがちゃんとそのルールを守って殺せたかどうかの確認を今からするんだよ!』
「確認だと…!?」
『今から一定時間、オマエラには殺人事件の捜査をしてもらうよ。捜査時間中は開放中のエリアは自由に探索できるから捜査し放題だよ!そして捜査時間の後、誰が札木サンを殺したかについての議論をする学級裁判を行います!』
「なるほどねー。ところで裁判の形式は刑事裁判でいいんだよね?実際の刑事裁判では少なくとも被告人、弁護士、検察官、裁判官がいるんだけどそこら辺の役職とかはどうなるの?」
『うぷぷ、黒瀬サンはノリがいいね!オマエラにやってもらう学級裁判は、全員が被告人で、全員が弁護士で、全員が検察官で、全員が裁判官なんだよ!つまり、誰にでも発言して誰かを吊るす権利があるって事!そして、見事真犯人を当てられたら…その犯人は、その場でオシオキするよ!』
「オシオキ!?何なのよオシオキって!」
『ざっくり言うと死刑です。シケイ。エクセキューション!』
「………ふざけるなっ。」
「そうだよ!そんなの聞いてないよ!」
「完全に後付けルールじゃないですか。」
『うるさいなぁ、ちゃんとルールを守れなかったクロが悪いんだよ!』
「ちょい待ちい。今、『見事真犯人を当てられたら』言うたよな?外したらどないなるんや?」
『うぷぷぷ…もしもクロを当てられなかったり間違った人を指名したりした場合は、クロはルール通り失楽園、それ以外の全員にはエクストリームなオシオキをプレゼントするよ!』
「は!?嘘でしょ!?やだやだボク死にたくない!!」
「いや!いやぁ!!ゆめを家に帰しなさいよ!!」
『そんなに死にたくないなら犯人を見つければいいんだよ!オマエラがクロじゃないなら、それで生き残れるんだよ?』
「相変わらず下衆い事考えとるのぉ。ほんで、ずっと気になっとったんやけどさっきの放送は何なん?アレも捜査や学級裁判と関係あるんか?」
『おっと、説明を忘れるところでした!殺人が起きた場合、シロとクロの公平性を保つために3人以上が死体を発見すると『死体発見アナウンス』が放送されるんだよ。ちなみに犯行に及んだその時に限りクロはその3人にカウントされないので注意して下さい!』
「まぁその場で殺したんだったらその時死体を見てるのは当たり前だし、それは『発見』って言わないもんねぇ。」
『そういう事。今からルール追加するから、ちゃんと目を通しといてね!』
ーーー
八、殺人が起き、死体を三人以上が発見した場合は死体発見アナウンスが放送されます。事件が発生した時点に限り、クロはその三人の中に含まれません。
九、殺人が起きた場合は、一定時間後に全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。
十、学級裁判で正しいクロが指摘された場合には、クロだけがオシオキされます。
十一、学級裁判で正しいクロが指摘されなかった場合には、クロだけが失楽園、クロ以外の全員がオシオキされます。
十二、モノクマが殺人に関与する事はありません。
ーーー
「ふーん…」
黒瀬は、新たに追加されたルールにざっと目を通していた。
ふーんってお前…さっきまで泣いてたくせに立ち直り早いな。
『捜査時間中だから、冷凍倉庫の設定はオフにしておくね。それと、捜査中に役立つモノクマファイルを全員のパスポートにプレゼントするよ。それじゃあボクはこれで。捜査頑張ってねー。』
そう言い残して、モノクマは去っていった。
「クソッ、あの野郎…!!」
「追うな弦野。あんな奴放っとけ。」
「せやなぁ。相手にするだけ時間の無駄や。ほな、捜査進めてくか。」
「そうだねぇ。便利なファイル貰ったしねー。」
「…フン。」
枯罰、黒瀬、神崎の3人は早速捜査をしようとしたが、それ以外の全員は動き出そうとしなかった。
「そんな、あたし達は高校生なんだよ?殺人事件の裁判なんて無理だよぉ…」
「そうよ!やってられないわ!」
筆染と宝条が言った直後だった。
枯罰が壁をバンッと叩くと、二人はビクッと肩を跳ね上がらせる。
「…先に言わせてもらうけどな、ウチは捜査に協力せえへん奴はどないな理由があろうと敵と見做すで。」
「枯罰…?」
「ソイツが今後何か言うても無視するし、疑われても擁護せえへん。敵なんぞを庇う義理あらへんやろ?その場で切り捨てて終わりや。」
「…。」
それを聞いて、全員が押し黙った。
当然だが、これは連帯責任なのだ。
一人でも協力しない奴がいれば全員死ぬかもしれない。
だからこそ、俺達は命懸けで犯人を見つけなきゃいけないんだ。
「ほな始めるか。検視はウチがやるわ。どうせ誰もやりたないやろ?」
「面目ない…僕は一応医務室を調べるよ。」
「ちょっと待て、枯罰が犯人だったらどうすんだよ?証拠を隠滅されちまうかもしれねぇだろうが。」
「確かにね…見張りをつけようか。」
「ならオレが見張りをやる。コイツの事は全く信用してねぇからな。」
「同感だ。俺も見張らせてもらうぞ。関西弁、俺の前で不正などできると思うなよ。」
「勝手にせぇ。」
こうして検視は枯罰が、見張りは神崎と弦野がやる事になった。
「赤刎君は、全員の捜査結果をまとめておいてくれるかい?」
「わかった。」
班分けは、ホテル内の探索を聞谷、黒瀬、漕前、仕田原、ジョン、武本、速水。
ホテル外を安生、一、筆染、宝条が担当する事になった。
ーーー
《捜査開始!》
まずはモノクマファイルを確認しておこう。
モノクマファイル①
被害者は【超高校級のタロット占術師】札木未来。
死亡時刻は午前0時頃。
死体発見場所は厨房の冷凍倉庫。
死因は凍死。
内臓が内部から破壊されており口からの出血がある。
また、両脚を複雑骨折しており打撲痕が見られる。
コトダマゲット!
【モノクマファイル①】
それと、死体発見アナウンスの事も頭の隅に置いとくか。
確か3人が死体を発見するとアナウンスが流れ、犯人はカウントされないんだっけか。
コトダマゲット!
【死体発見アナウンス】
俺は、検視をしていた枯罰に声をかけた。
「何か分かった事はあったか?」
「まずわかったんは、このファイルに嘘はないっちゅうこっちゃ。このファイルに書かれてる事は信用してええ。」
「そうか。」
「それとなぁ、ちぃと気になる事があんねん。」
「何だ?」
「札木の身体の周りに広がっとる血見てみぃ。まだ凍ってへんやろ?」
「おう。」
「けどなぁ、口元の血は凍っとんねん。これ、おかしないか?」
「確かに…」
コトダマゲット!
【札木の血】
「そういや枯罰、お前は死体発見アナウンスが流れる前に死体を見てるんだよな?」
「…ウチの事疑うとるんか?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど…」
「ド阿呆。そこは疑うとる言わんかい。ウチら全員が容疑者やねんぞ。」
だったら何でわざわざ聞いてきたんだ。
「まあええわ。ウチは、仕田原に呼ばれて冷凍倉庫を見に行ったんやけど、そこで札木の死体を発見した直後にアナウンスが流れたんや。」
「って事はお前は第三発見者って事か?」
「そうなるなぁ。」
コトダマゲット!
【枯罰の証言】
「神崎、お前は何かわかった事とかあるか?」
「フン、俺を愚弄する気か。これを見ろ。」
神崎は、札木の腕に繋がれた血が染み込んだ細い紐を指差した。
見たところ10mはありそうだな。
よく見ると、依り方が雑だし少しほつれている。
それに、先端には水色の粘土のようなものがくっついているな。
コトダマゲット!
【腕の紐】
「それと、この無口のポケットに入っていたものだ。」
そう言って、神崎は俺の手に何かを落としてきた。
これは…鍵?
「おい、二人とも。神崎がポケットからこれを取り出すところを見たか?」
「ああ。」
「確かにスカートのポケット漁っとったで。中から鍵取り出すとこも見てたしな。」
なるほど、鍵は本当に札木のスカートのポケットに入ってたのか。
コトダマゲット!
【ポケットの鍵】
「弦野、お前は何かわかった事はないか?」
「チッ…これ見ろよ。」
弦野は、嫌そうに床を指差した。
床には、血で『74+18+ムム+8+(36ー19)=96』と書かれていた。
『ムム』の部分を無視したとしても計算が合わないし、きっと何かの暗号なんだろうけど…
コトダマゲット!
【謎の文字列】
コトダマゲット!
【文字列の位置】
「…何だこれは?」
「俺が聞きてぇよ。それと、事件と関係あるかどうかはわかんねぇけど札木の服にこんなモンが挟まってたぜ。」
そう言って、弦野は血が染み込んだ紙切れを渡してきた。
真っ赤でよく見えないが…これは…何かの表かな?
「うーん、ここまで汚れてると内容がわからないな。」
「そうかよ。」
弦野は不機嫌になってしまった。
…言葉を間違えたかな。
コトダマゲット!
【血塗れの紙切れ】
コイツらから聞き出せる情報はこのくらいかな。
俺は、冷凍倉庫内を調べていた黒瀬と武本に話しかけてみる事にした。
「お前らは何かわかった事とかあるか?」
「………一応冷蔵庫の開閉履歴を調べた。」
そう言って、武本は手書きのメモを渡してきた。
ーーー
21:32 開
21:55 閉
07:30 開
ーーー
「これはモノクマから聞いたものを書き取ったものだ。」
「ボクも見てたよー。」
なるほどな…つまり、21時55分から7時半の間は冷凍庫の鍵が閉まってたって事か。
コトダマゲット!
【手書きの履歴メモ】
「…そうか。よくわかったよ。ありがとう。黒瀬は何かわかった事あるか?」
「んーっとねぇ。何か、ここら辺から甘くてちょっとスースーした香りがするんだー。しかもちょっとベタベタしてない?」
黒瀬は、そう言って扉のターンロックを指差した。
「…本当だな。」
「事件にはあんまり関係ないと思うけどねー。」
「いや、そう決めつけるのは良くない。何か重要な手がかりかもしれないぞ。」
コトダマゲット!
【ターンロックの香り】
ここで得られる情報はこれくらいかな。
ジョンに声をかけてみよう。
「ジョン、お前は何かわかった事はあるか?」
「Well,this incidentとrelationshipがあるかはわかんねーけど、shelfの上にこんなものが置いてあったぜ。」
棚の上には、荷物を噛ませて斜めにした板とその周りに積まれた荷物があった。
「何だこれは…?」
「No clue.」
コトダマゲット!
【荷物と板】
冷凍倉庫内で手に入る情報はこれくらいかな。
俺は、厨房を調べていた聞谷、漕前、仕田原の3人に声をかけた。
「何かわかった事とかあるか?あったら教えて欲しいんだが。」
「ええっとですね…こんなものが落ちていましたの。ご覧下さいまし。」
そう言って、聞谷は糸を見せた。
「…あれっ?この糸って…」
「おそらく女子の裁縫セットに入っていたものだと思われますわ。」
「ああ、仕田原が言ってた超強化糸か。」
コトダマゲット!
【裁縫セットの糸】
「あと、こんなものも落ちていましたわ。」
そう言って、聞谷はガラス片を指差した。
「これは…?」
「あ、あまり触らない方が良いかと…赤刎さん、それで昨日怪我をなさったんですから。」
「あ、確かにな。」
コトダマゲット!
【ガラス片】
「漕前は何か見つけたか?」
「えーっとな。見つけたっていうか…逆になくなってたものならあるんだよな。」
「なくなってたもの?」
「これだよ。」
そう言って、漕前は空のケースを見せてきた。
「昨日片付けをしてた時はここにガムがいくつか入ってたはずなんだけど、今見たらごっそりなくなってたんだよな。あ、事件と関係あるかどうかは知らねぇけどな。」
「…いや、有益な情報かもしれない。ありがとう。」
コトダマゲット!
【厨房から消えたガム】
「仕田原、ちょっといいか?」
「はい、何ですかね?」
「あのさ、冷凍倉庫の鍵って何本あんの?」
「2本ですね。事件当時は自分と札木さんが持ってたはずです。」
コトダマゲット!
【冷凍倉庫の鍵】
「…あの。赤刎さん。」
「どうした?仕田原。」
「ええっとですね…さっきは混乱してて言い出せなかったんですけど、その…実は、自分が最初に札木さんのご遺体を見た時とは状態が変わってるんです。」
「何?」
「自分が見た時はあんなに血が出てなかったですし、札木さんはうつ伏せで倒れてたんです。」
「な…それ、本当か!?おい仕田原、死体を発見したのと冷凍倉庫を最後に開けたのはいつだ!?」
「ええっと…ご遺体を発見したのが午前7時半で…それから枯罰さんを呼びに個室のフロアに向かって、最後に冷凍倉庫を開けたのがその5分後ですね。」
7時半か…ちょうど履歴の時間と一致してるから嘘はついていなさそうだ。
…あれ?
「7時35分に鍵を開けた履歴が残ってないんだが…どうしてだ?」
「…あ、すみません。自分、ご遺体を見て動揺していたせいか冷凍倉庫に鍵をかけるのを忘れてしまってたみたいなんです。」
「なるほどな。」
コトダマゲット!
【仕田原の証言】
厨房で聞き出せる情報はこのくらいか。
あとは…速水がトラッシュルームの捜査をしてくれてたはずだ。
何か見つけたか聞いてみるか。
「速水、お前は何か見つけたか?」
「あ、うん。」
そう言って速水が見せてきたのは、割れた小瓶と血塗れになったポリ塩化ビニルの袋だった。
「なんかよくわかんないけど捨てられてたから拾っといたよ!」
コトダマゲット!
【割れた小瓶】
コトダマゲット!
【血塗れの袋】
ホテル内で手に入れられる情報はこのくらいかな。
診療所にいる安生に話を聞いてみよう。
「安生は何か見つけたか?」
「えっと、逆になくなったものなら。」
「何だ?」
「輸血パックと毒薬の瓶だよ。」
「な…!?毒薬って、確か俺達で隠して封じといたよな!?なのにどうして…!」
「…残念な事に、対策は失敗したみたいだね。」
コトダマゲット!
【輸血パック】
コトダマゲット!
【毒薬の瓶】
「…なぁ、毒の場所を知ってるのって…」
「僕と君、あとはここの探索を担当してた神崎君、黒瀬さん、枯罰さん、武本君だけだね。…一応聞くけど、毒薬の場所は誰にも話してないよね?」
「当たり前だ。」
「…そっか。あとは、黒瀬さんが誰かに毒の場所を話してなければいいんだけど…」
コトダマゲット!
【安生の証言】
あとは、一、筆染、宝条の3人に聞いてみるか。
「お前らは何かわかった事とかあるか?」
「んー…あたし、探し物とか得意じゃないんだよね。だからゆめちゃんと一緒にみんなに事件当時何をしてたのか聞いてみたんだ。」
「おう、詳しく教えてくれ。」
「まず、君は漕前君とジョン君と一緒に夜の8時半から9時50分までの間ジョン君の部屋で話してたんだよね?」
「ああ、間違いない。」
俺はパーティーの片付けが終わった後、二人と話をしてから夜時間の直前に部屋に戻った。
「あたしはその時食堂にいたんだけど、聞谷ちゃん、黒瀬ちゃん、武本君、弦野君、一君は8時40分から10時までの間一緒にプレイルームにいたよ。その間安生君と枯罰ちゃんと速水ちゃんは一緒に倉庫の片付けをしてたんだってさ。あと、神崎君は部屋で寝てたらしいよ。」
「ゆめは、仕田原と一緒にランドリールームにいたわよ。」
「珍しい組み合わせだな。何で仕田原と?」
「うるさいわね!何だっていいじゃない!」
すげーキレられた…
コトダマゲット!
【宝条の証言】
「あ、そうそう。それと、冷凍倉庫の履歴とは時間が違うから多分関係ないと思うけど、武本君は途中からプレイルームに来たんだよね。確か9時半ちょっと前くらいだったかな?トイレしてきたんだって。それと、その直後黒瀬ちゃんもトイレしてくるって言って出てって、5分ぐらいで戻ってきたよ。」
「なるほどな。」
コトダマゲット!
【筆染の証言】
「一、お前は何かわかる事とかあるか?」
「あ、えっと…これ…」
そう言って見せてきたのは、パスポートだった。
「これ…札木さんの死体の近くに落ちてたから調べてくれって、枯罰さんに…多分札木さんのだと思うんだけど…」
「あれ?でもこれ壊れてるよな?電源が付かねぇぞ。」
「あ、それはね。パスポートの性質が原因なんだ。」
「性質?」
「うん、そのパスポートね。衝撃とか電圧とか水とか、あらゆるものに対して耐性があるんだけど、極度な高温と低温には弱いんだよね。具体的には、−50℃の空間の中に3時間ぐらい入れてたら壊れちゃうんだ。」
「…まさかとは思うけど、実験したんじゃないだろうな?」
「まさか。うっかり壊したらマズいと思ってあらかじめモノクマに聞いておいたんだよ。ボク、機械だけは強いから…」
「…そうか。」
一の奴、意外と有能だな。
「…今、『意外と』有能だなって思ったでしょ。」
ギクッ…
「いいよ、どうせボクは機械以外はポンコツだし。」
あーあ、拗ねちゃったよ。
コトダマゲット!
【壊れたパスポート】
コトダマゲット!
【パスポートの弱点】
ピーンポーンパーンポーン
『えー、もう待ちくたびれたので捜査時間を打ち切らせていただきます!オマエラ、ホテル1階のエレベーター前まで集合して下さい!15分以内に来ないとオシオキしますよー!』
え、もう終わり!?
まだ調べたい事あったんだけど…
でも、ここで迷っている場合じゃない。
俺は、覚悟を決めてエレベーター前に向かった。
◇◇◇
エレベーター前には、神崎、黒瀬、枯罰以外の11人が集まっていた。
俺がエレベーター前に集まってから数分後、ようやく3人が来る。
「すまんなぁ。ちぃと気になる事があって調べとったら遅なったわ。」
「おまたぁ〜♪」
「…フン。」
ようやく3人が集まり、その直後アナウンスからちょうど15分になった。
『うぷぷぷ、ちゃんと全員集まりましたね?』
「テメェ、こんな所に俺達を集めて何させる気だ?」
『言ったでしょ?これから裁判をやるんだよ!でも、こんな所でやるのは華がないよね?そういうわけなので、オマエラには今から裁判をするのにふさわしい場所に移動してもらいます!』
モノクマがそう言った直後、エレベーターの扉が開く。
乗ってみると、今まで行けなかった地下にいけるようになっていた。
15人全員が乗り込んだ直後、エレベーターの扉が閉まり下に動き出した。
…本当に、この中にいるのか?
札木を殺した犯人が…
俺だって、本当はみんなを疑いたくない。
モノクマの仕業だって思いたい。
だけど、ここで間違った判断をしてしまったら犯人以外の全員が死ぬ。
だったら俺はやる。
…待ってろよ、札木。
俺達がお前の仇を討ってやるからな。
「…。」
恐怖や絶望で折れそうな心を奮い立たせ命懸けの裁判に挑もうとする少年を、才能を語らない少女が静かに見下ろしていた。
ー生存者ー
【超高校級の講師】赤刎円
【超高校級のカウンセラー】安生心
【超高校級の天才】神崎帝
【超高校級の香道家】聞谷香織
【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ
【超高校級の幸運】漕前湊
【超高校級の???】枯罰環
【超高校級の家政婦】仕田原奉子
【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー
【超高校級の武闘家】武本闘十郎
【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律
【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳
【超高校級のランナー】速水蘭華
【超高校級の画家】筆染絵麻
【超高校級の収集家】宝条夢乃
ー以上15名ー