エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園 作:M.T.
探索を終えた俺達は、探索の結果を報告し合う事になった。
「それじゃあ早速ミーティングを始めようか。まずは赤刎君のグループから報告してくれるかな?」
「ああ。俺達は図書館を探索したんだが、そこには数え切れないほどの本があった。自分で探すと骨が折れるから、本を読む時は検索機を使うといい。」
「それと俺の研究室があったぜ。」
「あとは…」
俺は、【超高校級の爆弾魔】について言おうか迷っていた。
だが、結局言おうとしていた事を飲み込んでしまった。
「どうした?」
「…いや、何でもない。次は枯罰達の班、報告してくれないか?」
「ウチらかいな。まあええわ。ミュージアムエリアは、博物館、美術館、記念館、動物館、植物館、水族館、プラネタリウム…とにかく展示を目的とした施設が密集しとるんや。」
「え、動物園もあるんですか!?」
「動物園言うても動物はおらんかったぞ。檻の中に入った本物そっくりの模型と動物の解説があっただけや。」
「そうなんだよね。水族館も同じ感じだったよ。植物園にある植物も偽物だった。」
「それと近くにクソ野郎の研究室があったくらいやな。」
「黙れ片目関西弁女。」
「喧しいわ。お前なんぞクソ野郎で十分やろ。」
枯罰が吐き捨てるように言うと、筆染が笑いながら付け足す。
「はは…あ、あとね。一応壁を調べてみたんだけど、ちょうど敷地の面積が倍になってる事がわかったんだ。えーっと、正三角形が二つ合わさった菱形になってるって言えばいいのかな?」
なるほど、菱形か…
「ありがとう、枯罰さん、筆染さん。じゃあ最後は僕達の班ね。えっとね、大浴場には色んな種類の温泉があって、露天風呂もあったよ。あ、そうそう。それと異性の脱衣所やお風呂に入るのはルール違反だから気をつけてね。ルールにも項目が追加されてるから。」
「まあルール関係なく異性の風呂に入らんっちゅうんは人としての常識やしなぁ。」
「ぐ…」
「あ…それと、安生君の研究室が開放されてたよ。」
「ほぉーん。」
うん、大体全部の班が情報を共有したかな。
んじゃあ今回のミーティングでわかった情報をまとめとくか。
・今回開放された施設は研究室3か所、図書館、大浴場、ミュージアムエリアの6つ
・今回開放された研究室は、安生、神崎、漕前の3名
・図書館には古今東西ありとあらゆるジャンルの蔵書が置いてあり、検索機を使えばどの蔵書がどこに置いてあるのかを特定できる
・ミュージアムエリアにある施設は博物館、美術館、記念館、動物館、植物館、水族館、プラネタリウム。展示を目的とした建物が密集している。しかし、動物園、植物園、水族館に展示されていたものは全て本物そっくりに再現された偽物
・大浴場には様々な種類の風呂がある。男湯と女湯に分かれており、男子が女湯に、女子が男湯に入るとマシンガンで処刑される
「…とまあ、報告はこのくらいかな。そろそろお昼にしようか。」
すると、その直後…
「…帰る。」
そう言って弦野が席を立った。
「あ、ちょっと!?弦野君!?」
「話し合いは終わったんだろ?じゃあもう俺がここにいる理由はねぇ。」
そう言って、弦野は食堂を出ていってしまった。
「弦野君…大丈夫かなぁ。もう6日はまともなもの食べてないよね?」
「見るからに痩せてるし…流石にちょっと心配になってきたね。」
「しゃあないやろ。アイツが食いたない言いよるんやし、飯無駄に作るんも勿体無いしウチらは12人分の飯作るわ。」
「…12人?」
「神崎のクソのための飯なんぞ作るわけないやろ。」
「俺も貴様らの得体の知れない飯など願い下げだ。俺は俺の分を作る。飯炊きなどこの俺がやる事ではないが、こんな状況だしそうも言ってられん。」
「神崎、お前料理できたのか。」
「当然だ。貴様、俺を何だと思っている?俺に不可能など無い。」
そう言って神崎は足早に食堂から出て行った。
「アイツはannoyだけど、タマキとトモコのhelpingしたいからオレも行くよ。」
神崎、枯罰、仕田原、ジョンの4人が厨房へ向かっていった。
こうして俺達12人は3人が作ってくれた料理を食べ、神崎は自分で作った料理を食べた。
神崎の料理は、流石に本職の仕田原のレベルとまでは言わないが高級レストランのように美しく盛り付けられたフレンチを作っていた。
中身はともかく、完璧なテーブルマナーで作った料理を口に運ぶ姿はまるでどこかの貴族のようだった。
…アイツ、本当に何でも一人でできちまうんだな。
「あー、美味かった。」
「ありがとう、3人とも。それじゃあミーティングで話したい事は大体話したし、自由探索の時間にしようか。」
こうして食事を終えた俺達は、夕食の時間まで自由行動を取る事になった。
…さて、どうやって過ごそう?
俺は、とりあえずプレイルームに行ってガチャを引いた。
「おっ。」
出てきたのは、植木鉢に入った可愛らしいミニサボテンだった。
「サボテンかぁ…」
俺が持っててもアレだし、誰かにあげようかな。
俺は、ガチャの景品を持ってプレイルームを後にした。
外に出てみたはいいものの、これからどうしようかな?
「…あ。」
歩いていると、札木の研究室が視界に入った。
気がつくと、俺は札木の研究室の前に立ってドアを開けていた。
◇◇◇
「…。」
札木がいない研究室は、余計に広く暗く感じられた。
ついこの前ここでお姉さんの話をしてくれてた事が嘘のようだ。
俺がヘアピンをプレゼントした時、とっても嬉しそうに受け取ってくれたのに。
「…あれ?」
ふと机の上を見ると、俺がプレゼントしたピンと、その下に畳まれた紙が置かれていた。
俺は、折り畳まれた紙を開いて読む。
「…え。」
そこには、札木の文字で手紙が書かれていた。
ーーー
赤刎くんへ
この手紙を読んでいる頃、わたしはもうこの世にはいません。
なので、あなたに伝えたい事は全てこの手紙に記しておこうと思います。
まず、何も相談せずに勝手に自殺してしまって本当にごめんなさい。
わたしは、赤刎くんに話した通り義両親にひどい扱いを受けてきました。
わたしにとっては、家族で唯一わたしを愛してくれたお姉ちゃんだけが救いでした。
お姉ちゃんは、わたしの生きる理由でした。
でもわたしの大好きなお姉ちゃんは、突然知らない人に残酷に殺されてもうこの世にはいません。
わたしは、お姉ちゃんに会いに天国に行くの。
他のみんなにも、わたしは自殺だったと伝えてください。
そして必ずみんなで外に出て、わたしの分まで生きてください。
どうか、コロシアイの犠牲者はわたしで最後にしてください。
最後に、あなたに伝えたかった事があります。
わたしは、初めて会った時からずっとあなたの事が好きでした。
本当はもっと、あなたと話したかった。
でも、わたしのせいで傷つく赤刎くんの顔だけは見たくなかった。
自殺しようとしてる事なんて言えなかった。
本当にごめんなさい。
こんなわたしとお話してくれてありがとう。
さよなら。
札木未来
ーーー
「…。」
いつの間にか、手紙は濡れて滲んでいた。
俺は、アイツの事を何もわかってやれなかった。
クラスメイトだ、親友だと言っておきながら、アイツと向き合えなかった。
もっとアイツの事を知れていたら、アイツの心に寄り添えたかもしれないのに。
「俺だって…俺だって、もっとお前と話したかったよ…!札木…札木ぃ…!!」
俺は、札木の手紙を握りしめてその場で泣き崩れた。
もうこんな思いはしたくない。
…札木、俺はやるよ。
全員でここから出て、お前の分まで生きる。
だから、どうか見守っていてくれ。
俺は決意を固めると、札木の研究室を後にした。
「…次は武本の研究室だな。」
俺は、武本の研究室へ足を運ぼう。
◇◇◇
「…。」
武本の研究室は、どこか寂しく感じられた。
ここで話をしたのが嘘のようだ。
今でも信じられない。
アイツが札木を殺したなんて…
武本は、札木の事が好きだったんだ。
だから、武本だけは犯人じゃないと信じたかった。
それなのに、どうして…
「…。」
そういえば、札木は遺書では武本の名前を一度も出していなかった。
きっと、札木は武本を犯人に思わせたくなかったんだ。
優しい札木の事だから、俺達が武本に憎しみを抱くのを避けたかったのだろう。
「…武本。お前とももっと話せていれば、こんな事にならなかったのにな。それと、裁判の時は追い詰めるようなマネをして悪かった。どうか安らかに眠ってくれ。」
俺は、そっと手を合わせて頭を下げるとそのまま研究室を後にした。
「…あ。」
俺が武本の研究室から出ると、ちょうど安生に会った。
「赤刎君。こんな所で何をしてたの?」
「札木と武本に別れの言葉を言ってたんだ。まだちゃんと言えてなかったからな。」
「…そっか。」
安生は少し俯いて声のトーンを低くした。
…ちょっと暗い雰囲気になっちゃったかな?
何か他の話題を探さないと…
「…あ、そうだ。今時間あるか?」
「うん、あるけど…どうしたの?」
「ちょっと話さないか?」
「うん、いいよ。それじゃあ僕の研究室来る?」
俺は安生と過ごす事にした。
俺は、安生に案内されて研究室に向かった。
◇◇◇
俺が研究室のソファに座ると、安生が俺の前に来た。
「それで赤刎君。話って何かな?」
「話っつーか、プレゼントしたいものがあるんだ。」
「プレゼント?僕に?」
「ああ。気に入ってくれると嬉しいんだけど…」
俺は、さっきガチャでゲットしたミニサボテンをプレゼントした。
「!これを、僕に…?」
「ああ。」
「すごく嬉しいよ。ありがとう。…可愛いね、研究室に飾っておこうかな。」
そう言って、安生は診察用のデスクの上にミニサボテンを置いた。
どうやら喜んでくれたみたいだ。
「本当にありがとうね。お礼は何がいいかな?」
「いや、いいよ礼なんて。何か見返りを求めてたわけじゃないしさ。」
「え、でも…」
「いいんだって。あー…じゃあそうだな。せっかく招いてもらったし、ちょっと話すか?」
「それで君がいいなら喜んで。」
安生は、ニコッと笑って承諾した。
俺と安生は、話をする事になった。
「えっと…まず何から話そうか。あ、そうだ。安生、お前はどうしてカウンセラーになったんだ?」
「…僕、生まれつき身体が弱くてね。下半身も動かなくてずっと入院したままだったんだよ。でも、あるお医者様が僕の事を熱心に励ましてくれてね。それで、手術も前向きに受ける事ができたんだ。結局下半身不随は治らなかったけど、その人のおかげで僕は退院できるまで身体が良くなったんだ。だから僕は、そのお医者様に憧れて同じ医者を目指す事にしたんだ。」
なるほどな。
自分を治してくれた医者に憧れて医者を目指すって話は聞いた事あるけど、安生もそのパターンだったわけか。
「でも、僕は生憎血に対する耐性がなくてね…外科医の道は諦めざるを得なかった。でも僕はやっぱり医者になれないんだって挫けてたその時、そのお医者様が僕の事を何度も励ましてくれた事を思い出したんだ。僕は、僕を治してくれたあの人のように、誰かの心が挫けそうな時にその人に寄り添える存在になりたい。そう思ってカウンセラーになったというわけさ。」
「そうか…でも、憧れから本当にカウンセラーになったのも才能のおかげだよな。」
「ううん。僕なんてまだまだだよ。…札木さんも武本君も、もっと僕が力になれていればあんな事にならなかったかもしれないのに…」
「おいおい、お前のせいじゃねぇだろ。そんな悲観的になるなよ。」
「…ふふ、ありがとう。君は優しいね。君、僕より人の話聞くの向いてるよ。」
「いやいやいや!それはねえって!流石にお前にはかなわねぇよ!」
「でも、人の話を聞き慣れてる感じするよ?」
「ああいや…それは、生徒に勉強教えるときにどこが理解できてないのかとかちゃんと把握する必要があるから…」
「なるほどね。」
安生は、俺の話を聞いてクスっと笑った。
俺は、少し下を向いていた顔を上げて安生の顔を見ながら言う。
「…あのさ。安生。」
「何だい?」
「…俺、お前みたいに強くないから…たまにはお前に相談しに来てもいいかな?」
「もちろん!たまにと言わずいつでも来ていいからね。」
そう言って、安生は俺の手を握ってきた。
どうやら安生と親密になれたみたいだ。
俺は、その後も少し安生と話をしてから研究室を後にした。
《安生心との親密度が上がった!》
◇◇◇
自由探索の後は、夕食の時間になった。
今日の夕食係は漕前、枯罰、仕田原の3人で、神崎は自分の分を作っていた。
今回も3人が作ってくれた飯は美味かったのだが、神崎が一からパスタを作っていたのには流石に驚かされた。
アイツ、案外食に拘るタイプだったんだな…
「今日もおいしかったねー。」
食事が終わり余韻に浸っていると、突然速水が手を挙げた。
「ねえ、アタシからひとつ提案があんだけど!」
「提案?」
「あのさ、これからみんなで一緒にお風呂行かない!?」
「あら、いいですわねそれ!」
「風呂ぉ?何でまた…」
「だって、せっかく開放されたんだもん!親睦を深めるって意味でも、みんなで一緒にお風呂入るの!」
「あたし賛成ー!」
「ボクもー。みんなとお風呂楽しみー。」
「ゆめちゃんは?」
「あー…ゆめは遠慮しとくわ。」
「あ…そうでしたわね。ではまたの機会に。仕田原さんは?」
「ええと…お気持ちは嬉しいのですが、自分は後片付けがあるので…」
「せやったらウチがやっとくさかい、お前は楽しんで来い。」
「え、ですが…」
「ウチ、大勢で風呂入るんは苦手やねん。ええからお前もたまにはゆっくりせぇや。」
「い、いけません!自分如きが枯罰さんに仕事を押し付けて皆さんとお風呂など…」
「まあまあ、そんな事言わず!」
「仕田原ちゃんも一緒に入ろうよー!」
仕田原は、聞谷と筆染に半ば強引に引き寄せられる形で一緒に風呂に入る事になった。
漕前は、その様子を遠くからニヤニヤしながら見ていた。
「ふっふっふ、女が集まれば姦しいとはまさにこの事だ。いやー羨ましいねぇ。」
「…漕前君、何考えてんの?」
「決まってんだろ!俺達男子も一緒に風呂入ろうぜ!」
「Oh,それはなかなかcoolなideaだな!マドカとチトセも来るよな!?」
「おう。俺はもちろん行くよ。」
「ほーらー、一も!」
「あ…えっと、じゃあ僕も…」
「安生は?」
「うーん、参加したいのは山々だけど僕は遠慮しておくよ。この身体だと色々助けてもらわなきゃだろうし。」
「えー、そんなの全然気にしねぇよ。安生も行こうぜー!」
「漕前君、誘ってくれてありがとう。でも僕は調査結果をまとめておきたいし、枯罰さんの手伝いもしたいから残るよ。みんなで楽しんできてね。」
「まあ、そこまで言うなら無理強いはしねぇけどよ。」
「神崎は…」
「断る。貴様らと同じ湯に浸かるなど、穢らわしい菌が感染りそうで悍ましい。」
そう言って神崎は足早に食堂から出て行ってしまった。
「やっぱりな。赤刎、あんな奴誘うだけ無駄だっつーの。」
「…そうだったみたいだな。」
結局、俺達は4人で大浴場に行く事になった。
◇◇◇
大浴場に行って廊下を歩いていると、青い暖簾と赤い暖簾が見えた。
ご丁寧に青い暖簾には『男』、赤い暖簾には『女』と書かれているので俺達は青い暖簾の奥へと進んだ。
脱衣所に入った途端、漕前とジョンがキャッキャとはしゃぐ。
「おいジョン!見ろよ!!コーヒー牛乳あるぞ!!」
「Oh!taking a bathの後のmilkはreally awesomeだぜ!!」
「…ねぇ、赤刎君。何か、あの人達うるさくない?」
「俺に言われても。」
脱衣所の中には服を入れるための籠が並んだ棚があり、その他にも洗面台や体重計、冷水機、自販機、マッサージ機などが置かれていた。
自販機のものはモノクマメダルで買えるらしい。
俺は早速服を脱いで籠に放り込み、備え付けのタオルを持って風呂場に行こうとした…のだが。
…何かこう、ものすごく居づらいんだが。
ジョンは鍛えてるだけあってガタイ良いし、漕前も年頃の男子らしい体格をしている。
一も、中性的ではあるが決してもやしというわけではなく程良い身体付きだった。
…何で、俺だけ女子小学生みたいな身体なんですかねええ。
「赤刎、お前…男だったんだな。」
「今更!?」
いや、そう思われても文句言えねぇ見た目してる自覚はあるけどさ。
実際小動物だの幼女だのよく言われるし。
…うう、何か嫌な思い出ばっかり込み上げてきたな。
風呂入って忘れよ。
浴室の扉を開けると、熱気や湯気と共に温泉の香りが鼻を擽った。
「わぁ…!!」
暖かみのある照明と洒落た和風の内装がまるで異空間のような雰囲気を生み出しており、効能ごとに分かれた温泉が十種類近くあった。
足湯や打たせ湯、サウナや岩盤浴まであり、日頃の疲れを十分に癒せる仕様になっていた。
「くっ…モノクマめ、やりおる…!」
「んじゃあ、せっかく来たんだしアレやるか。」
「アレ?」
「サウナで我慢大会!これも一つの醍醐味だろ?」
「That's good idea!!」
「…え、いや…ちょっと何言ってるかわかんない…赤刎君、何か言ってよぉ…」
「はぁ…お前らなぁ。それ身体に悪いんだぞ?熱中症になるからやめとけ。」
「おい赤刎ー。そんな事言って、本当は負けるのが悔しいんだろー?」
「な…!」
「おいおい、言ってやるなミナト。マドカはpretty girlだから仕方ないぜ。」
「誰がpretty girlだコラ!!よーし、そこまで言うならやってやろうじゃねぇか!!」
「ゑ」
「Well said!チトセも来いよ!」
「待って、これ拒否権無し?」
「じゃあ負けた3人が勝った奴に割り勘で牛乳奢るってのはどうだ!?」
「OK!」
「俺は牛乳嫌いだからお前ら俺が勝ったらアイス奢れよ!」
「帰りたい…」
こうして、男子4人による我慢大会が始まった。
3分後。
「…もう出る。」
「おいおい、どうした一!?もうギブアップか!?このチキン野郎がよ!」
「うぅ…チキンでいいもん。身体に悪いって言ったの赤刎君じゃん。ボクは脱水症状で倒れるとか嫌だから。」
こうして一が最初に脱落した。
まあ予想はしてたが一が根を上げたか。
10分後。
「くっ…俺、もう限界だ。出る。」
続いて漕前がギブアップした。
残るはジョンと俺か…
「Hey,マドカ。オマエ、tiny totのクセにやるじゃねぇか。」
プッチーン
はい今完全にキレました。
バカにされてムカついたし、何が何でも絶対優勝してやる…!!
数十分後。
「Ahh!!That‘s it!!I get out!!」
とうとうジョンが先に折れた。
結局、我慢大会の優勝者は俺に決まった。
「っひゃあ、ひぇへへ、どうらみらか…これれおれがゆうひょうらろ…」
「Unbelievable…まさかマドカがvictorになるとは…」
「根性って怖えな…」
「てかさ…大丈夫?全身真っ赤だしさっきから呂律回ってないよ?」
へへへ、どうだ見たか!!
散々バカにしてたお前らに勝ってやったぞざまあみろ!!
…あれ?何か視界がグラついて…
「きゅう…」
「あ、おい赤刎!!」
「あーあ、無理しすぎだよ…とりあえず、冷たいもの飲ませて涼しいとこで安静にさせた方が…」
「だな。」
「…ふぅ。」
よし、水風呂で頭冷やして冷たい水飲んだらだいぶ気分が回復してきた。
「マドカ、Are you OK?」
「ああ…サンキュな3人とも。」
「いやー、しかしお前の根性には度肝抜かれたぜ。文句無しでお前が優勝だよ。」
「へへ…俺、自分で言うのも何だけどブチ切れた時のしつこさだけは誰にも負けねぇ自身あっから。後でアイス奢れよー。」
その後は、身体の調子が元に戻ったのでみんなで露天風呂に行った。
丁度いい温度の温泉が身体を癒し、見上げると夜空が広がっていた。
「はぁー…極楽極楽…」
すっかり気分が良くなり、小さく鼻歌を歌っていた、その時だった。
「うっひょー!!メッチャ広いじゃん!!」
「ひゃっ!?ちょっ…黒瀬さん!?何をなさるんですの!?」
「えへへー♪ひゃっ、だって。香織ちゃんかっわいー。」
「「…。」」
漕前とジョンは顔を見合わせ、コクリと頷く。
そして、俺の方を見てきた。
「…おい赤刎。今のは何だと思う?説明してみろ。」
「え?あー…女湯にいる女子の声じゃねぇの?ほら、風呂場はそこの仕切りで仕切られてるから…」
「…そうだ。赤刎よ、さっきサウナでの我慢大会は温泉での醍醐味だと言ったな。でも、もう一つ定番があるだろ。言ってみろ。」
「いや、知るかよ。」
「とぼけんじゃねぇ!!覗きだよ覗き!!」
…はぁ!?
「え!?ちょっ…お前何言ってんの!?」
「お前こそ何言ってんだ赤刎!!あの仕切りの向こうにはなぁ…!!男にとっての
「カッコよく言ってるけど言ってること最低だかんなお前!?あと夢と書いてロマンと読ませるのと楽園と書いてエデンと読ませるのをやめろ!」
「そうだよぉ…見つかったら大変な事になるからやめときなって…」
「チッチッチ、オマエらnaiveだな。実は、既にpreparationして絶対にバレないangleを見つけたんだぜ。」
「えぇ…くだらないなぁ、わざわざそんなのを調べるために自由探索の時間を…」
「詳しく。」
「へ!?ちょっ、赤刎君!?」
「いやぁだって絶対バレない方法があるんだったら…な?」
「Yeah.」
「えー…ちょっと待って。これもしかしてボクもやらなきゃいけないパターン?」
バレない方法があると聞いたので俺はもちろん参加、そして一も流されるように参加する事になった。
「で、どうすんだよ?」
「まずこの台に登ってだな…」
俺達は、ちょうど登れそうな台を見つけてそこから仕切りの向こうを覗いた。
「よーし、泳いじゃおー!!」
「うおっ!ランカの奴、メッチャattractive bodyじゃねえか!やっぱsportやってるだけあってgreat figureだな!」
速水は、ハイテンションで露天風呂に飛び込んで泳いでいる。
うんうん、速水の奴は抜群のスタイルをお持ちで。
ああいう健康的な女子ってなんかグッと来るよな。
「ひゃんっ、ちょっと!黒瀬ちゃんってばどこ触ってんのよー!」
「えへへー、おっぱいの揉み比べー♪」
「やめてってばぁ〜!」
「うお、マジか。筆染ちゃん、あんなに胸デカかったのか。」
「マシロのbazongasもtubularだぜ!」
「確かに、女子の中じゃ一番背低いのに爆乳だよな。」
「赤刎はあの爆乳に顔挟まれたのか…くっ、羨ましいぜ!」
筆染の胸を黒瀬が後ろから揉みしだく。
…なんか、女子が女子にセクハラしてんのっていいよな。
…で、温泉には聞谷と絶世の美少女が…
ん?絶世の美少女?
「仕田原さんって、本当にお美しいですわよね。羨ましいですわ。」
「そ、そんな…自分みたいな不細工、聞谷さんのような方の隣にいるのももったいないくらいですよ!」
「誰!!?」
「待って!?仕田原ちゃんメッチャ美人じゃん!!」
あー、やっぱりか。
眼鏡越しにチラッと目が見えたけど、パッチリしててバランス整ってたから眼鏡外したら絶対美人だと思ったんだよな。
フッ、やはり俺の目に狂いはなかったか。
「はわ…し、仕田原さん…」
「おいおい、何だよ一。お前もしかして仕田原ちゃんに見惚れちまったのか?」
「そ、そんなんじゃないです…!」
「では、自分はそろそろ…お先に失礼しますね。」
仕田原は、温泉から上がってシャワーで身体を洗い流した。
…うおっ、やっぱ肉体労働もやってるからか筋肉と脂肪がちょうどいいバランスで美しい造形を生み出してるな。
つまり何が言いたいかと言うと、メチャクチャエロい身体してる。
「きゅう」
すると、一は耳まで真っ赤にしたかと思うと顔から煙を出して倒れてしまった。
「あ、大丈夫か一!?」
「あらら、一には刺激が強すぎたか。…ぐへへ、それにしてもみんな揃いも揃って美味しそうな…ん?」
「ふぇ?枯罰ちゃん、何で服着たまま浴室に入ってるの?それに、モップなんて持ってどうしたの?」
枯罰は、ワイシャツにスラックスといった格好でモップを持って露天風呂に来た。
枯罰は、何かいい事でもあったのか満面の笑みを浮かべている。
…普段絶対笑ったりしない枯罰があんなにニコニコしてる…嫌な予感しかしないのは俺だけかな?
「いやぁ〜、ちぃーと風呂掃除でもしよ思て…なぁ!!!」
「ぶべぁっ!!?」
次の瞬間、枯罰の持っていたモップの先端が漕前の顔面に直撃した。
「漕前ーっ!!!」
「No way!!絶対にバレないangleを見つけたはずなのに…!!」
「と、とりあえずズラかるぞ!!」
俺達は、慌てて浴室から飛び出し急いで着替えると男湯から逃げるように飛び出した。
だが…
「げっ!!?」
逃げた先には、既に先回りしていた枯罰が満面の笑みを浮かべて立っていた。
手に持っていたモップは、さっきの攻撃のせいか柄が折れている。
笑顔を浮かべてはいるが、凄まじい気迫がひしひしと伝わってきてまるで地獄の閻魔大王の前に立っている気分だった。
「よぉー、お兄ちゃんら随分と元気がええのぉー。ほんで?これから何方に行かれるおつもりでっか?」
「あ、あのー…枯罰さん?ちょっと一回そのモップ降ろして話し合いましょ?ね?」
「おう。ほなそうしよか。」
すると、枯罰はやけにあっさりモップを置いた。
「ほんならたーっぷりと話し合おうや。…肉体言語でなぁ!!!」
「がぺっ!!?」
枯罰は、目に留まらぬ速度でジョンの顎を蹴り上げた。
蹴り上げられたジョンは吹っ飛ばされた。
「ジョンーッ!!」
「さぁーて…ウチな。ちぃーとお兄ちゃんらに聞きたい事がありまんねん。ウチ怒らんさけ、正直に言うてみ?」
「えっ…い、いや…あの…」
「「「「ぎぃやああああぁあああああああああああぁああああああ!!!」」」」
大浴場の廊下には、4人の悲鳴が響き渡った。
◇◇◇
数分後、顔面をボコボコに腫らした俺達は食堂で正座させられた。
「ばび…ぶびばべんべびば…ぼぶでぃどどびばべん…」
「君達…見損なったよ。こんな事して恥ずかしくないの?」
「うわ…マジであり得ないんだけど…」
「フン、下衆が…貴様らなど同じ空間にいるのも不愉快だ。」
「はっ、くっだらねぇ。」
俺達は、風呂に来なかった5人に蔑みの目を向けられた。
その中には弦野もいた。
そもそもなぜ枯罰に覗きがバレたのかというと、たまたま大浴場の近くを散歩していた弦野が露天風呂にいた俺達の会話を聞き、ちょうど皿洗いを終えて浴場に向かっていた枯罰にチクったからだそうだ。
…確かに閉鎖空間ではなかったけど、塀越しに小声が聴こえるってどんだけ地獄耳なんだよ…
その後風呂から上がってきた女子達にも蔑みの目を向けられ、俺達は心身共にボロボロの状態で6日目を終えたのだった。
ー生存者ー
【超高校級の講師】赤刎円
【超高校級のカウンセラー】安生心
【超高校級の天才】神崎帝
【超高校級の香道家】聞谷香織
【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ
【超高校級の幸運】漕前湊
【超高校級の???】枯罰環
【超高校級の家政婦】仕田原奉子
【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー
【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律
【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳
【超高校級のランナー】速水蘭華
【超高校級の画家】筆染絵麻
【超高校級の収集家】宝条夢乃
ー以上14名ー