エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園   作:M.T.

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非日常編④(オシオキ編)

動機発表から30分後、【超高校級の幸運】漕前湊の研究室にて。

 

「あー、神崎?悪いな、突然呼び出しちまって。」

 

「フン。本来なら貴様のような凡俗の呼び出しに応じる事自体がおかしな事なのだぞ。俺の寛大さに感謝しろ。」

 

「…ははっ、相変わらずだなお前は。尚更信じらんねぇわ…」

 

「ほう。やはり用事は秘密についてか。まあ、このタイミングでの呼び出しなどそれ以外あり得ないしな。」

 

「まあそうだわな。」

 

「それで?用件は何だ?」

 

「ああ、それは…」

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

VOTE

 

神崎帝 13票

 

 

 

『うぷぷぷぷ、お見事大正解ー!!【超高校級の幸運】漕前湊クンを殺したイカレ野郎は、【超高校級の天才】神崎帝クンでしたー!!オマエラ連続正解なんてやるぅー!!』

 

「そんな…嘘だよね!?本当に神崎君が漕前君を殺したの!?」

 

「くくく、そうだ。俺が殺したのだよ。」

 

「嘘ですわよね!?そんな…」

 

「いや、コイツならやりかねねぇだろ。」

 

「まあ前回はクロの事前把握に裁判の撹乱なんざゴミみたいな事しよったしのぉ。ウチは正直コイツを第一に疑っとったわ。」

 

「弦野、枯罰。言い過ぎだぞ。…神崎、お前は何で湊を殺したんだ?やっぱり、秘密が関係あるのか?」

 

「莫迦か貴様は。人に言えないから秘密なのだぞ。おいモノクマ、さっさとオシオキを始めろ。」

 

『うぷぷぷ、オマエをいつオシオキするかはボクが決める事だよ!せっかくだしオマエの秘密をみんなに知ってもらってからの方が良いんじゃない?』

 

「…チッ。そんなに言いふらしたいなら勝手にしろ。どうせ俺は処刑されるのだからな。」

 

『はいはーい、それじゃあ本人のお赦しが出た事だしボクの口から説明するよ!実はね、神崎クンが漕前クンを殺したのには深ぁ〜いワケがあるんだよ!』

 

「complex reasonだと!?」

 

『それでは本人が言う気が無いみたいなので早速二人に送られた秘密を見ていただきましょう!こちらです!!』

 

 

 

【超高校級の天才】神崎帝クンの秘密!

神崎帝クンは、漕前湊クンの実の兄です!

 

【超高校級の幸運】漕前湊クンの秘密!

漕前湊クンは、神崎帝クンの実の弟です!

 

 

 

『いやーこれはビックリだよね!まさか正反対の二人が兄弟だったなんてさ!』

 

「………チッ。」

 

秘密を暴かれた神崎は、あからさまに不機嫌そうな表情を浮かべていた。

 

「そんな…では、神崎さんは実の弟を殺したんですか!?」

 

『うぷぷ、そうなるね!』

 

「そんな…ひどい!!どうして!?色々あったかもしれないけど、血の繋がった弟だったんでしょ!?」

 

『それでは秘密だけでは何が何だかサッパリだろうし、彼らの過去について迫っていきましょうか!ではVTRスタート!』

 

 

 

 

 

モノクマがそう言ってリモコンのスイッチを押すと、モニターにルネサンス期を思わせるような絵が映し出される。

画面の中心には、鼻筋の通った端麗な顔立ちの男が描かれていた。

 

『昔々あるところに、一人の男がいました。男の名前は神崎皇一。世界中にあらゆる事業を展開する神崎財閥の若きトップで、国内屈指の大富豪です。』

 

画面が切り替わり、先程の男の右に美女が現れる。

 

『そんな彼はある日、ご両親の紹介である女性に出会いました。女性の名前は漕前琴奈。漕前製薬の社長令嬢で、生まれつき身体が弱いものの聡明で美しい女性でした。その後、神崎財閥が倒産の危機にある漕前製薬を下請けするという条件で二人は政略結婚を果たしました。』

 

画面が切り替わり、女の腕には赤ん坊が抱かれている。

 

『そして1年後、二人の間には元気な男の子が産まれました。二人は息子に『帝』と名付け、たいそう可愛がりました。二人の息子は生まれつき他を圧倒する才能を持っており、彼の父親は息子にとても期待していました。しかしその2年後、夫婦の間にある問題が起こったのです。』

 

画面が切り替わり、何やら男と女が言い争いをしている。

 

『息子が2歳の誕生日を迎えようとしていたその時、妻の妊娠が発覚しました。妻の方はもうすぐ家族が増えると胎児の出産を心待ちにしていましたが、夫の方は何と、『跡を継がない子供など邪魔だから堕ろせ』と言い出したのです!それを聞いた妻は大激怒!絶対に産むと言い張り、未だかつてない大喧嘩に発展してしまいました!』

 

画面が切り替わり、男が女の髪を引っ張って拳を振りかぶっている。

 

『そこからは早く、夫は日常的に妻を虐待するようになったのです!毎日のように妻に暴力や暴言を浴びせるようになり、ひどい時は医者を呼びつけて無理矢理堕胎させようとしました。しかし、それでも妻は必死の抵抗で胎児を守り抜きました。するととうとう夫の方が折れ、離婚し金輪際神崎家に関わらない事、そして産まれてくる子供を神崎家とは無関係の人間として育てる事を条件に出産を許しました。妻の方もこれを承諾。こうして二人の離婚は成立し、妻は神崎家を出ていき夫はまだ幼い息子を引き取りました。』

 

画面が切り替わり、仕切りの左側には男と美少年が立っている。

そして、仕切りの右側には女と少年が立っていた。

 

『そして父親に引き取られた長男は、その後もあらゆる分野でバリバリ才能を発揮し【超高校級の天才】としてスカウトされるまでに至りました。一方母親の方はというと、元夫が『妻が不倫してどこぞの馬の骨との子供を身籠った』と情報操作をした事で彼女の父親の会社が倒産し、そのせいで両親に勘当され路頭に迷うものの何とか次男を出産し『湊』と名付けました。そして長男に十分な愛情を注いであげられなかった分、次男に最大限の愛情を注いで育てました。母親の献身的な子育てのお陰か、彼は母親によく似た心優しい少年に成長しました。そして数年後、二人は運命の悪戯か、はたまたお天道様の気まぐれか、この希望ヶ峰楽園で出会いましたとさ!でめたしでめたし!』

 

 

 

 

 

「…。」

 

「そんな…こんな事って…」

 

「ねえ、今の映像って本当なの!?」

 

「………ああ。本当だ。当時は幼かったが、母の妊娠がきっかけとなって父と母が大喧嘩をした事は鮮明に覚えている。」

 

「だったら、何で…!!」

 

 

 

「……………邪魔だったから。」

 

…。

 

…………。

 

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?

 

 

 

「あんな何の才能もない凡愚が俺の弟だなんて耐えられなかったのだ。せっかく聡明で才能ある人材に恵まれた家系に生まれ、俺自身も【超高校級の天才】として全ての分野で功績を残してきたというのに、アイツのせいで全て台無しだ。アイツが弟だというだけで俺の格が落ちる。アイツさえいなければ、俺は完璧になれたんだ。あんな神崎家の面汚しは死ぬべきなのだよ。」

 

「………それだけ?」

 

「?」

 

「邪魔だったから…?面汚し……?たったそれだけで…それだけの理由でお前は………湊を殺したのか!!!」

 

俺は、神崎に感情を全てぶつけた。

コイツだけは絶対に許さない。

下らない理由で俺のダチを殺した。

 

「…………ろして………る……」

 

「あ?」

 

「よくも湊を…殺してやる!!!」

 

「ミナトの敵…!!I’ll never forgive you!!Fuck you!!You bastard!!!」

 

俺とジョンは、怒り狂って神崎に飛びかかった。

もうオシオキなんてどうでもいい。

コイツだけは、俺が殺さないと気が済まない。

ここで湊の仇を討つんだ…!!

 

 

 

するとその直後、俺は枯罰に、ジョンは弦野と速水に取り押さえられた。

 

「Let go!!I kill that mother fucker!!!」

 

「クソッ、なんつー馬鹿力だよコイツ!」

 

「ジョン!!やめなって!アイツを殺したらアンタがオシオキされちゃうんだよ!?」

 

「おい落ち着けこのドチビがぁ!!」

 

「チクショウ!!湊を返せ!!返せよぉおお!!うぁあああああぁあああああああああ!!!」

 

 

 

「ド阿呆!!!」

 

ビシッと乾いた音が響いた。

左頬が痛い。

…俺は枯罰に叩かれたのか。

 

「お前…それでアイツ殺してホンマに満足か?アイツは裁きを受けずに死んで、お前が代わりに裁きを受けるんやぞ?そんなん、漕前が望んどると思うか?」

 

「ッ………そんなの綺麗事だ…!!だってアイツは湊を…!!」

 

「せやで。綺麗事や。せやけどなぁ。お前、悔しくないんか?」

 

「悔しい…?」

 

「ここでお前がオシオキされたら、完全にあのクソ野郎とクマ公の思う壺やぞ。結局何も得られへんで、アイツらは喜ぶ。一番ムカつく死に方やんか。」

 

「…。」

 

「ウチはあのクマ公の思い通りになるなんて死んでも御免やねん。アイツにキツい一発叩き込むまではどないな手を使ってでも生き延びる。お前はちゃうんか?」

 

「っ………」

 

目が覚めた。

そうだ。

俺はモノクマを絶対許さない。

アイツに一泡吹かせるまでは絶対死ねない。

それに、外にはシスターや弟妹達が待ってるんだ。

札木や武本、そして湊の分まで俺は生きる!!

 

「…………ありがとう、枯罰。お陰で目が覚めたよ。」

 

「おう。お前はいつも通り小生意気なチビでおればええねん。」

 

「小生意気って…俺の方が年上なんだが。」

 

「チビはチビやろ。」

 

俺は、枯罰のお陰で冷静さを取り戻した。

ジョンも、みんなの説得によって落ち着いたみたいだ。

 

「チッ、コイツらにオシオキを押し付けるつもりだったのだがな。」

 

「お前ホンマに屑やのぉ。口閉じろや。」

 

「まあいい、どうせクロがバレたらオシオキは受けるつもりだったし貴様らも退屈しているだろうから始めるとするか。おいモノクマ、オシオキを始めろ。」

 

 

 

 

 

「つまんなぁ〜い。」

 

 

 

突然そう言ったのは、黒瀬だった。

 

「…は?」

 

「キミ、いい加減にしなよ。クールな悪役ぶってるつもりなんだろうけど、ハッキリ言って寒いんだよ。」

 

「…貴様、何を言って…」

 

「ああ、そうそう思い出した。今回の事件って、なーんかどっかで見た事ある展開だなーって思ったんだ。そう、まるで…

 

 

 

 

 

…カインとアベルみたいだよね?」

 

 

 

「…あ?」

 

「カイ…?何それ?」

 

「旧約聖書の『創世記』に登場する兄弟だよ。アダムとイヴの子供達で、人類最初の殺人の加害者と被害者って言われてるんだー。」

 

「それのどこが今回の事件と似てるの?」

 

「あらすじを簡単に言っちゃうとねー、お兄ちゃんのカインが神様に贔屓されてる弟のアベルに嫉妬してアベルを殺しちゃうんだよ。ほら、帝くんそっくりじゃない?」

 

「嫉妬だと?莫迦莫迦しい、俺があんな奴に嫉妬するわけ…」

 

 

 

『はいはーい!もうちょっと粘ると思ったけどボロが出ちゃったからボクの口から説明するよー!』

 

「は…!?おい、貴様何を…!?」

 

『実はね、弟の事は大っ嫌いな神崎クンなんだけど、お母さんの事だけは大好きだったのです!だからお父さんの目を盗んでお母さんと連絡と取り合ったり弟のいない時を狙って会いに行ったりしてたんだよ。でもね。お母さんは息子二人を平等に愛してて神崎クンも大事な息子だって事には変わりなかったんだけど、神崎クンと会ってる事がバレたら火の粉が神崎クン自身と漕前クンに飛んできちゃうからあくまで他人のふりをしてたんだよね。』

 

「ッ…!!」

 

『それと、彼のお母さんは神崎クンの性格が悪いのを相当心配してたみたいでさ。それとなく本人に注意したんだよ。そしたら、アホなのか知らないけど、神崎クンは、お母さんが弟ばっかり贔屓して自分は愛されてないって勘違いしちゃったんだよね!そして嫉妬に狂った神崎クンは、弟を見つけ出して亡き者にしてやろうと心に決めたのでした!全く、親不孝な息子だよね!お母さんの行動は全部息子のためを思っての行動だったのにさ!一回愛情って言葉を辞書で引いた方がいいんじゃないの!?』

 

「黙れぇえええええっっっっ!!!!」

 

「ひっ…!?」

 

突然、神崎は今までに聞いたことがないくらい大きな声で怒鳴り散らした。

 

「貴様ら凡俗に何がわかる!!?俺は【超高校級の天才】だぞ!?勉強でも、スポーツでも、芸術でも、ありとあらゆる分野で凡人では到底成し遂げる事のできない功績を残してきた!!片やアイツはどうだ!?莫迦で鈍間で不細工で喧しい!!俺は優れた人間で、アイツは劣ってるんだ!!なのに、何故アイツなんだ!?母上は何故アイツばかり贔屓するんだ!!おかしいだろ!!」

 

神崎は、訳の分からない事を喚き散らした。

神崎の母さんの離婚は母親として湊を守るために決めた事であって、決して神崎に対して愛がなかったわけじゃなかったはずだ。

コイツらの母さんも、もちろん湊も悪くない。

悪いのは、コイツらの母さんと湊を捨てた男と、湊を殺した神崎だけだ。

 

「アイツさえいなければ、母上は離婚して家を出て行く事もなかったし俺だけを見てくれていたんだ!!それをアイツが全部奪った!!アイツのせいで母上は貧乏人に成り下がったんだ!!アイツは母上を不幸にしておいて何の才能も無いくせに甘い汁を吸う屑だ!!あんな奴、生まれて来なければ良かったんだよ!!!」

 

「神崎君…」

 

「何が面汚しや、特大ブーメランやんか。」

 

「クソッ、クソクソクソ!!!あの時母上が俺を選んで腹の中のアイツを殺していればこんな事にならなかったのに!!アイツが全部悪いんだ!!!アイツが俺と母上の人生を滅茶苦茶にしたんだ!!!俺の母上を返せ愚図餓鬼がぁああああああああ!!!」

 

 

 

『あーもううるさいったらありゃしない!それじゃ、みんな退屈してるしそろそろオシオキするよー。』

 

「待て!!俺は悪くない!!全部あの愚民が悪いんだ!!俺はアイツに嵌められたんだよ!!」

 

『何訳の分からない事をほざいてるんですかね全く!ここまで尺取りすぎたし、巻きで行くよ巻きで。』

 

「ふざけるな!!この俺がここで死ぬなどあり得ない!!無効だ!!こんな裁判無効だ!!」

 

神崎は、完全に冷静さを失って子供のように喚き散らしていた。

 

「そ、そうだ関さ…こっ、枯罰!!お前からも何か言ってくれ!!お前ならこの裁判が無効だって証明できるだろ!?」

 

 

 

「……………黙れや。」

 

枯罰は、どこまでも冷ややかで突き刺すような視線を神崎に向けて軽蔑の言葉を吐き捨てた。

その目はこれ以上見苦しいものを見せるな、そう言っているようだった。

 

「ッ…………!!!」

 

『うぷぷ、そりゃそうなるよ。だってみんなオマエに投票してるし、単独行動とかクロの事前把握とか好き勝手やらかしちゃったから株ダダ下がりなんじゃないの?日頃の行いだと諦めるんだね。それじゃオシオキいくよー。』

 

「嫌だ!!嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだいやだいやだいやだ死にたくない死にたくない死にたくないぃいいいい!!!」

 

俺は、喚き散らす神崎と目が合った。

俺は思わず言葉を放った。

 

 

 

「…お前は可哀想な奴だな。」

 

「ッ……うっ、うぅっ…………」

 

神崎は、居た堪れなくなったのかその場で蹲って泣いた。

次の瞬間だった。

 

 

 

 

 

「う゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 

神崎は、全員の耳を劈く程の悲鳴を挙げながら走り出した。

 

「アイツ、まさか逃げる気か!?」

 

「ド阿呆…」

 

『うぷぷぷ、実にバカだなぁ。逃がすわけなーいじゃーん!!』

 

「クソッ!!クソクソクソッ!!こうなったのは全部あの凡愚のせいだ!!俺は悪くない!!」

 

『今回は、【超高校級の天才】神崎帝クンのために!!スペシャルな!!オシオキを!!ご用意しました!!!』

 

「こんな所で死んでたまるか!!俺は母上を取り戻すまでは死ねないんだ!!」

 

『ではでは、オシオキターイム!!!』

 

 

 

「は゛は゛う゛え゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」

 

 

 

神崎は、大声で泣き叫びながら逃げ回っていた。

だが、無慈悲にも罪人の処刑を宣言するモノクマの声が響き渡る。

モノクマはピコピコハンマーを取り出して、一緒に出てきた赤いボタンをハンマーで押した。

ボタンに付いている画面に、ドット絵の逃げる神崎をモノクマが追いかける様子が映っていた。

 

 

 

 

 

ーーー

 

GAME OVER

 

カンザキくんがクロにきまりました。

 

オシオキをかいしします。

 

ーーー

 

 

 

神崎が必死に逃げていると、背景が19世紀のロンドンのような風景になる。

神崎は、後ろから追ってくる大量のモノクマから逃げていた。

そこで画面上に文字が現れる。

 

 

 

ーーー

 

Genius Boy Is Broken Down

 

【超高校級の天才】神崎帝 処刑執行

 

ーーー

 

 

 

神崎がついに橋に辿り着き橋を渡っていると、どこからか子供が英語で『ロンドン橋落ちた』を歌う声が聞こえる。

するとその瞬間、橋が崩れて神崎は橋と一緒に落ちた。

橋の下は暗闇になっており、神崎はどこまでも下へ下へと落ちていく。

 

すると突然左足をロープで捕まれ神崎は宙吊りになり、紳士風のモノクマに木の棍棒と石礫で全身ボコボコに殴られる。

百発ほど殴られるとロープがひとりでに切れ汚水が流れる川に真っ逆さまに落ちた。

神崎は川を泳いで逃げようとするが、汚水の激しい流れには逆らえず結局溺れた。

汚水の流れ着いた先は崖になっており、神崎は汚水の滝と一緒に下へと落ちていく。

 

すると今度は巨大な時計の針に磔にされ、モノクマに大量の石灰を飲まされる。

タンクの中の石灰を全て神崎の胃の中に詰め込むと、その直後時計の針が猛スピードで回り始める。

神崎が胃に詰められた石灰と針の回転によって吐き気を催すと、トドメと言わんばかりにモノクマが巨大パチンコでレンガを時計目掛けて飛ばす。

レンガは神崎の腹に命中し、神崎は目を見開いて血と大量の石灰が混ざった吐瀉物をブチ撒けた。

すると神崎を固定していた時計の針の拘束具が外れ、神崎は遠心力で振り落とされる。

振り下ろされた神崎は下へ下へと落ちていく。

 

すると今度はアンティーク調の十字架に磔にされ、下には野球のグラウンドが広がっていた。

モノクマは、自信満々の表情でスチール製の金属バットを振りかぶる。

すると反対側からもう一匹のモノクマが鉄球を投げ、バッター役のモノクマが鉄球をバットで打つ。

鉄球は神崎の右肘に当たり、腕が変な方向に曲がった。

続けてモノクマは何発もの鉄球を打ち、神崎の両腕と両脚はグチャグチャに曲がり原型を留めていなかった。

モノクマが打った最後の一発は十字架に当たり十字架がポキっと折れる。

磔にされた神崎はそのまま後ろに倒れ、神崎は真っ逆さまに落ちていく。

 

すると今度はテーブルの上に乗せられる。

テーブルにはテーブルクロスが敷かれており、皿やワインの入ったグラスが並んでいた。

神崎は、今度は拘束はされなかったものの両手足が使い物にならないため動く事すらできなかった。

するとモノクマがまず金のテーブルナイフを手に取り、神崎の両耳を削ぎ落とす。

次に、銀のフォークを手に取って神崎の両目を抉り取った。

その直後、テーブルがパカっと開き神崎は下へと落ちていく。

 

落ちた先には今度は棘付きの棺桶が待ち構えており、神崎が落ちた瞬間に扉が勢いよく閉まる。

するとそこに巨大なモノクマが現れ、棺桶を開けると中に入っていた神崎を巨大なパイプタバコの中に振り下ろした。

モノクマは、パイプの中の刻み煙草に火をつけ一服する。

そして、大きく煙を吐き出すとパイプの中身を下に落とした。

 

地面に落ちた真っ黒焦げの肉塊に、トコトコと歩いてきたモノクマのような犬が小便をかけどこかへと歩いていった。

 

 

 

 

 

『ジェットストリーーーーーム!!』

 

「うわあああああああああああああ!!!」

 

「いやああああ!!!もう無理!!帰して!!」

 

「もうやだ…こんなのあんまりだよぉ…!!」

 

「あ、ああああ…神崎さんが…!!」

 

「そんな、ミカドが…!!」

 

「嘘でしょ…!?帝…!!」

 

「うっ、うぅっ…神崎さん…!」

 

「酷い…酷すぎるよ。」

 

「あの野郎…!!」

 

「相変わらずええ趣味しとんのぉ。」

 

「あーあ、帝くん死んじゃったー。」

 

『いやー、スカッとした!神崎クンには前回学級裁判を茶番にされたからね!人殺しのマザコンに居場所なんてありませーん!』

 

「お前…よくも神崎を…!!」

 

『あれ?赤刎クン、何で怒ってんの?神崎クンは下らない理由で漕前クンを殺したんだよ?確かさっき『殺してやる』とかほざいてなかったっけ?』

 

「…確かに神崎は屑だ。下らない理由で湊を…俺のダチを殺した。それはこれからも絶対許せないと思う。だけど、クラスメイトをあんな方法で殺したお前の方がもっと屑だ!!」

 

『葛切りとマロニーって似てるよね。』

 

「お前…!!」

 

「いちいち相手にすんなや。」

 

『それでは学級裁判を乗り越えたオマエラにはメダルと…今回は特別にもう一つプレゼントがあります!』

 

「プレゼントだと…?」

 

『ズバリ、『爆弾魔』に関する情報だよ!』

 

「爆弾魔ですって!?」

 

「爆弾魔がどうしたんだよ!?」

 

『実はその爆弾魔ですがね…』

 

 

 

 

 

『オマエラの中にいます!!』

 

「は!?どういう事だよオイ!?」

 

『話はそれだけだよ。爆弾魔はオマエラ16人の中の誰かなんだよ!もしかしたら既に死んじゃったかもしれないし、まだ生き残っててオマエラを爆殺する機会を虎視眈々と狙ってるかもね。』

 

「ちょっと待って、爆弾魔がこの中にいるってどうしてわかるの?」

 

『今時調べれば何でもわかっちゃうんだよ。情報社会って怖いよねー。オマエラの中にいるんだよなー。【超高校級の爆弾魔】が。』

 

「調べたって…どうやって!?【超高校級の収集家】の私ですら正体を突き止められなかったのに!」

 

『企業秘密。それじゃバイバーイ!』

 

「待てコラァ!!」

 

弦野はモノクマを引き止めようとするが、モノクマはそそくさと去っていった。

 

 

 

「クソッ、あの野郎…!!」

 

「ね、ねぇ…!爆弾魔がこの中にいるってどういう事なの!?」

 

「そのままの意味やろなぁ。」

 

呆れ返ったようにため息をつく枯罰を、弦野が睨みつけた。

 

「…オイ。テメェなんじゃねぇのか?」

 

「はぁ?」

 

「テメェ、才能について一回も喋った事ねぇだろ。才能を頑なに言わねぇのはテメェが【超高校級の爆弾魔】だからなんだろ?」

 

「そ、そうだよ…!才能不明なんて怪しいよ!」

 

「ちょっ…弦野君!一君!まだ枯罰ちゃんが爆弾魔って決まったわけじゃないよ!」

 

「そうだよ!ほら環、アンタも何か言ってやりなよ!」

 

「別にええわ。違う言うたところで嘘つきや思われんのがオチやろ。わかりきった問答をする程ウチも暇人やない。」

 

「ほら見なさいよ!否定しないって事はやっぱりアンタが爆弾魔なんでしょ!?」

 

「…はぁー、めんどくさ。もう帰ってええか?」

 

そう言って、枯罰はエレベーターに乗り込んでしまった。

 

「ちょっと!!話はまだ終わってないわよ!!」

 

…枯罰が爆弾魔?

いや、アイツに限ってそれはないだろ。

アイツは裁判で俺が困った時サポートしてくれたし、快楽殺人をするような奴とは思えないんだが…

 

…いや、ここでみんなを疑ってても仕方ないな。

湊や神崎のためにも、12人全員で脱出する方法を考えないと…!

 

 

 

「まーどーかーくーん。」

 

「うおっ!?」

 

いつの間にか、黒瀬が至近距離で俺の顔を覗き込んでいた。

 

「大丈夫?おっぱい揉む?」

 

「何でだよ!揉まねーよ!」

 

ったく…

油断も隙もありゃしねーぜ。

コイツは、こう見えてなんとなくで人を殺す殺人鬼なんだ。

…今のところ、爆弾魔の可能性が一番高いのがコイツだ。

コイツが変な気を起こさないように気をつけないと…

 

「…むぅ。何ですかその目はー。」

 

「あ、いや…」

 

「言っておくけど、ボクは爆弾魔じゃないからねー。」

 

「違ったとしても快楽殺人をしてる時点で同じようなもんだろ。」

 

「何よぉー。揉ますぞコラぁー。」

 

「何だその脅し。」

 

「ボクのおっぱい無しじゃ生きていけないようにしてやるー。」

 

俺は、黒瀬の言動に呆れつつエレベーターに乗った。

…もう頭がついていけない。

黒瀬の知りたくもない秘密を知っちまうわ、神崎は弟の湊を殺しちまうわ、爆弾魔がいるって言われるわ…

俺はこれからどうすればいいんだ…?

 

 

 

 

 

Chapter2.人はその妻エバを知った ー完ー

 

 

 

《アイテムを入手した!》

 

『アンティークジュエリー』

 

Chapter2クリアの証。

神崎の遺品。

神崎が常に身につけていたブローチ。

母親が神崎の2歳の誕生日にプレゼントしたもの。

全てを見下していた少年が唯一尊敬していた女性の形見。

 

 

 

 

 

ーーー

 

???の部屋

 

 

 

「くっくっく…いやぁ、想像以上に盛り上がってるねぇ。傍観者でいるのにも飽きたし、そろそろ動き出そうかな?」

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 


 

 

 

ー生存者ー

 

【超高校級の講師】赤刎円

 

【超高校級のカウンセラー】安生心

 

【超高校級の香道家】聞谷香織

 

【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ

 

【超高校級の???】枯罰環

 

【超高校級の家政婦】仕田原奉子

 

【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー

 

【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律

 

【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳

 

【超高校級のランナー】速水蘭華

 

【超高校級の画家】筆染絵麻

 

【超高校級の収集家】宝条夢乃

 

ー以上12名ー

 

 

 

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