エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園   作:M.T.

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(非)日常編④

楽園生活12日目。 

 

『おはようございます、オマエラ!!朝です!!7時になりました!!今日も元気に殺し合いましょう!!』

 

今日もまた、モノクマの耳障りなモーニングコールで起こされた。

俺は、朝の準備を済ませて8時に間に合うように食堂に向かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

食堂には、安生、ジョン、聞谷、俺、一、宝条、黒瀬の順で来ていた。

今日の朝食係は枯罰、仕田原、速水の3人だった。

朝食が運ばれてきても筆染と、いつも飯を作ってくれてる弦野が来ていないので何かあったのかと思っていた、その時だった。

 

「悪い、待たせた。」

 

「お、律に絵麻!どうし…え!?」

 

何と、二人が手を繋いで一緒に食堂に入ってきたのだ。

 

「え、おい…お前らまさか…」

 

俺が二人の方を見ると、筆染が照れながら報告し始めた。

 

 

 

「えへへ。えっとですね…あたし達、付き合う事になりました。」

 

「「「「えぇっ!!?」」」」

 

「Really!!?」

 

俺達は、驚きのあまり目を丸くして二人の方を見た。

嘘だろ!!?

確かに仲は良かったし、俺も二人をくっつけようとはしたけど…まさか本当にくっつくとは。

 

「え、良かったじゃん!おめでとう絵麻!」

 

「最近お二人の仲が宜しいのでどういう事なのかと思っておりましたが…キャーッ、やっぱりそういう事でしたのね!おめでとうございます!」

 

「おめでとうございます、お二人共!」

 

「や、やめてよみんな。恥ずかしいよ…」

 

「おいリツ!!筆染とdatingしてるって!?Really!?」

 

「まあな。」

 

「え、聞いてないんだけど!?」

 

「言ってないからな。付き合う事になったの昨日だし。」

 

「つーか何でオマエはそんなにcool downしてんだ!?」

 

「いや、別に。ただ…お前らとは別の次元に到達しただけだ。」

 

うわウッゼ!!

コイツ、ちょっと調子乗ってるな。

 

「おめでとう、二人共。」

 

「ありがとう安生君!」

 

(チッ…弦野の事ちょっと狙ってたのに。まあでもゆめにはまだ安生くんとジョンくんがいるもんねー♪)

 

何か、安生とジョンが宝条にロックオンされてるような気がするんだが…

 

「おぉ、おめでとさん。ほな式場予約せな。」

 

「ねえねえー、二人ともどこまで行ったー?B?C?」

 

「もー、二人ともやめてよー!」

 

枯罰と黒瀬は相変わらずだな。

 

まさかのカミングアウトの後は、全員で朝食を食べた。

 

「絵麻、口の周りにソース付いてんぞ。」

 

「え、どこどこ?」

 

弦野は、筆染の口の周りに付いたソースを拭き取る。

 

「「「爆ぜろ。」」」

 

ジョン、一、宝条の3人は弦野と筆染に恨みがましい視線を送っていた。

 

「お前ら僻むなって。」

 

エロいジョンと、仕田原に片想い中の一はまだわかる。

宝条は…ああ、そっか。弦野の事狙ってたのか。

 

「ねえ、赤刎君…食事中にああいう事するのってどうなの?マナー的にさ…」

 

「俺に言うなよ。」

 

一の奴、ものすごい僻んでんじゃねぇか。

 

「一さんもお口の周りにパンくずが付いてますよ。」

 

「ぱぇ!?」

 

仕田原が一の口を拭くと、一は顔を真っ赤にしてフリーズしてしまった。

それを見ていたジョンの目つきはさらに恨みがましいものに変わる。

 

「クッソ…チトセまで…! I envy them!!Oh,カオリ!オレのmouthにもsauceが付いちまったから取ってくれねぇか!?」

 

「ご自分でお拭きになってはいかがですの?」

 

「Nooooo!!!」

 

ジョンはわざと口の周りにソースを塗りたくって左隣の席の聞谷にアピールするが、聞谷は呆れ顔を浮かべて拒否した。

すると、右隣の席に座っていた安生がジョンの口を拭く。

 

「ご飯はマナー良く食べようね?」

 

「…Sorry.」

 

安生がニッコリと笑いながら言うと、ジョンはガックリと肩を落として頷いた。

安生の奴、怒ると怖いもんな。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

朝食が終わり、テーブルの上を片付けようとしていたその時、速水が唐突に手を挙げた。

 

「はい!アタシからていあーん!!」

 

「提案?何かな、速水さん。」

 

「あのね、この後全員でプール大会開くの!それでその後はカラオケ大会!ねえ、いいと思わない!?」

 

「え、急にどうしたんだ?」

 

「何か昨日筋トレがてらスポーツエリアを探索してたらプール行きたくなっちゃって!せっかくだし賑やかな方がいいでしょ!?」

 

「まあ、それはいい考えですわね!」

 

「プール大会だって!楽しみだね、律君!」

 

「…そうだな。」

 

「わーい、泳いじゃうぞー。」

 

「バッカじゃないの?アンタ達ってホントガキね。プールなんかで騒いじゃって…」

 

「そんな事言わずに、宝条さんも一緒に来てよ。」

 

「そうだよ!ゆめちゃんがいた方が楽しいって!」

 

「そっ…そ、そこまで言うなら付き合ってあげてもいいわ!」

 

安生と筆染のおかげで宝条も行く気になったみたいだ。

二人とも、宝条の扱い方に慣れてるな…

 

「決まりだね!じゃあ、10時半にプールに集合ね!」

 

全員でプール大会か…

コロシアイで荒みかけた心と身体をリフレッシュするにはいい方法かもな。

よし、そうと決まれば俺も水着を選びに行かないとな。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「さてと。」

 

俺は、更衣室で選んだ水着に着替えた。

ちなみに選んだのはショートパンツタイプの海パンだ。

 

「赤刎君、もう着替え終わったの?」

 

希望ヶ峰のジャージに短パンといった格好だった。

 

「安生はジャージなんだな。」

 

「あはは、僕は泳げないからね。見学させてもらうよ。」

 

「そっか…」

 

「うう…ボク、あんまり泳げないんだけどな…」

 

一は、小学生のようなスクール海パンを履いておりラッシュガードパーカーを羽織っていた。

 

「…。」

 

「…何その目。もしかして今、地味だとか思った?」

 

「あ、いや別にそんな事は…」

 

「…あのさぁ。ボク達が参加するのはプール大会だよ?ファッションショーじゃないんだよ?泳ぐための大会なのにファッションを求めるなんて着眼点がズレてるとは思わない?しかもただでさえボクみたいな貧弱が何が悲しくてこんな肌を露出するような大会に出てるんだって話なのに、派手なの着てきたら絶対自意識過剰だと思われるよね?水着としての機能性が高くて且つ調子に乗ってると思われないためにはこれが最善の選択だったわけで…」

 

「あーもうわかった!!わかったから!!」

 

一の奴、いつにも増してねちっこいな…

 

「Hahaha,オマエら揃いも揃ってskinnyだな!」

 

「お前がガタイ良すぎなんだよ!!」

 

ジョンは、競泳水着を着ていて水泳帽とゴーグルまで付ける徹底ぶりだ。

何より、このメンツの中で一番年下という事実を疑うほどガタイがいい。

コイツの隣にいると俺がもやしみたいだから嫌なんだよな…

 

「ジョナサン、お前気合い入りすぎだろ。」

 

弦野は、普通の短パンの上に半袖のラッシュガードパーカーといった格好だった。

それにしてもコイツ、改めて見るとスタイル良いな。

意外と筋肉あるし、モデルとかやれるんじゃねぇの?

 

「い、イケメンだ…」

 

「うむ、男なのに惚れざるを得ない…」

 

「何だよ。気色悪いなテメェら。」

 

弦野が明らかに引き気味に俺達を見ている。

何だよ、褒めてやったのに。

 

「これで全員揃ったね。それじゃあ行こうか。」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「うわ、広いね…」

 

「これは驚いた。波の出るプールまであるんだ。」

 

初めてプールに来た一と安生は驚いていた。

まあ、初見ならそういう反応になるわな。

二人がプールに興味を示していた、その時だった。

 

 

 

「お待たせー!!」

 

「すみません、着替えに手間取ってしまって…」

 

「ちょっとー、あんまりジロジロ見ないでよー!ゆめ恥ずかしいー!」

 

女子達がプールに来た。

 

「よーし、早速泳いじゃうぞー!!」

 

速水は、競泳水着を着ていた。

さすが体育会系。

ジョンと同じで気合の入り方が違うな。

そして何より、やっぱスポーツやってるだけあってスタイル良いな。

 

「Wooooooooooow!!Awesome!!」

 

「わかる。ここは天国に違いない。」

 

「あの、あまり品の無い目で見ないでいただきたいのですが…」

 

主に俺とジョンが盛り上がっていると、聞谷から蔑むような視線を向けられた。

聞谷は、丈の長い和服のようなデザインの水着を着ていた。

清楚な感じで、これはこれでアリだな。

 

「ねえねえ、みんなー。どう?ゆめ、可愛いでしょ?」

 

「Oh,ユメノ!You are very cute!」

 

「ジョンくんありがとー♡」

 

宝条は、猫被りキャラを作っていた。

さっきまで『バッカじゃないの』とか言ってた奴の態度とは思えないな。

宝条は、フリルの袖とスカート付きのビキニか。

…何だよ、宝条の奴。可愛いじゃねぇかチクショウ。

 

「あはは、速水ちゃんとジョン君は気合の入り方が違うね。」

 

「…。」

 

「あ、律君!どう?これ、自分で選んだんだけど似合ってるかなぁ?」

 

「…良いんじゃねぇの。」

 

「わーい、ありがと♪」

 

弦野が照れながら筆染を褒めると、筆染は上機嫌になった。

筆染はビキニの上に薄手の白いボレロとホットパンツを身につけていて、麦わら帽子を被っている。

弦野には悪いけどメチャクチャ可愛いな…

 

「あのぅ…本当に自分のような愚図が来てしまって良かったんですかね?」

 

「おっふ、し、仕田原さん…」

 

仕田原はスクール水着を着ていて、水泳帽とゴーグルを付けていた。

素顔見られると思ったんだけどな。

そして一はというと、仕田原に見惚れていた。

まあ仕田原はスタイル良いし素顔は美人だからな。

 

「ホンマ喧しいのぉお前ら。」

 

枯罰がため息をつきながら来た。

タンクトップとハーフパンツの水着で、上にシャツを着ていた。

他の女子はちゃんとエロ可愛い水着を着てきているというのに何だコイツは。

 

「…お前さ。何でそういう色気のいの字もないやつ着てくんの?」

 

「Read between the lines.」

 

「ジョン君が空気読めってさ。」

 

俺とジョンと一がガッカリすると、直後俺達3人は枯罰のパーフェクトアッパーでブッ飛ばされた。

 

「「「ぶべぁっ!!!」」」

 

「次おもんない事ぬかしよったら飛ばすぞコラ。」

 

「ぶべ…もうブッ飛ばされたんですけど…」

 

コイツ、ホントおっかねぇなぁ。

えーっと、これであと来てないのは黒瀬だけか。

 

 

 

「ごめんなさーい、お待たせしましたぁー。」

 

「うおっ!!?」

 

黒瀬は、ピンク色のラッシュガードパーカーとモノクマのように白と黒に分かれたビキニを着ていた、のだが…

どう見てもサイズの小さい水着を着ていたので、爆乳が揺れて今にも溢れそうになっていた。

正直、男子高校生には目の毒だ。

 

「うぉい!!お前はなんつー際どいの着てきてるんだよ!!サイズ合ってねーじゃねーか!!」

 

「だってー、ボクの背丈だとこれ以上胸のサイズが大きいやつ無かったんだもん。」

 

まあ、サイズが合わないんじゃしょうがな…くないわ!!

 

「だったらせめて前閉めろ。見てるだけでハラハラするから。」

 

「はーい。」

 

「それじゃあ、全員揃ったしプール大会始めよっか!」

 

「さんせー。まずは何するー?」

 

「ここはやっぱりswimming raceだろ!」

 

「水泳対決か…」

 

「いいね!やろう!!」

 

「人数はどうするんだ?競泳用のコースは6つあるけど。」

 

「じゃあboyはココロ以外全員、girlはparticipateしたい奴2人だけでいいよな?」

 

「え、いや…ボクは遠慮した…」

 

「ったく、しょうがねぇな。負けねーからな。」

 

「あと1人か…」

 

「枯罰ちゃん参加したら?運動得意でしょ?」

 

「…マジかーい。まあ、数合わせっちゅう事なら参加したるけど。」

 

結局男子は安生以外全員、女子は枯罰と速水が参加する事になった。

 

「みんな頑張れー。」

 

「せっかくだし誰が勝つか賭ける?ゆめは速水に賭けるわ。」

 

「ではわたくしはウォーカーさんに賭けますわ。」

 

「あたしは律君に賭けるよ。応援してるし。」

 

「可愛いから円くんに賭けよーっと。」

 

なんか女子は女子で賭け事やってんな…

俺に賭けてくれる奴がいたのは嬉しいけど、黒瀬はアレ絶対真面目に賭けてないよな。

まあいいや。

俺は泳ぎに集中しないと。

 

 

 

「それでは、もう一度ルールを確認しますね。一番早くバタフライを25m泳ぎ切った人が優勝です!では行きますよ!よーい…」

 

ピーーーーーッ

 

仕田原が笛を鳴らすと同時に全員がスタートした。

俺も全力で水を掻いて前に進む。

意外かもしれないが、俺は毎年弟妹達と一緒に海に行っている事もあって泳ぐのはそこそこ得意なのだ。

ここで活躍して、俺も男なんだぞって所を見せてやる!!

 

そう息巻いていた俺だが、その決意は数秒後いとも容易く打ち砕かれる事になる。

 

俺は、他の奴等がどれぐらい進んでいるのか確認するために一度水上に顔を上げた。

すると、信じがたい光景が目に飛び込んできた。

 

「ごぼぁ!!?」

 

俺は、思わず水中で激しくむせ返ってしまった。

何と、枯罰が人間とは思えないスピードでトップを独走していたのだ。

嘘だろ!?

オイオイオイ!!

アイツ、バケモンじゃねぇか!!

もうアイツに勝つのは無理だ。諦めよう。

 

その次にジョンと速水が並んでるって感じか。

アイツらもバリバリの体育会系だからな。

正直勝機はゼロに等しい。

 

となると、狙うのは4位か…

弦野はああ見えて文化系だし、まだ勝機がある。

ここでアイツを抜かしてカッコいい所を見せてやる!

 

ぬぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!!

 

俺は、死に物狂いで弦野に距離を詰めた。

残り3m、2m、1m…

そしてついに…

 

 

 

俺は、弦野より僅かに早く右手で壁を叩いた。

 

「っしゃあああああああああ!!!勝ったどぉおおおおおおお!!!」

 

俺は、右拳を高々と挙げて全力で叫んだ。

俺がゴールしてから1分後、ようやく一がゴールした。

当然、ダントツのビリだった。

 

「一さん記録1分16秒。5位です。」

 

「はぁ、はぁ…何回か足ついちゃったけど何とか泳ぎ切った…」

 

ん?5位?

 

「ちょっと待て、6人で泳いでるんだから一は6位だろ?」

 

「ん?赤刎さんはまだ継続中ですよ?だってまだゴールしてないじゃないですか。」

 

「えっ?」

 

「円くーん、バタフライは両手同時にタッチしないとゴールした事にならないんだよー。」

 

マジかよ!!?

早く言えよ!!

ええいクソッ!!

 

俺は、慌てて両手を同時に壁についた。

 

「はい赤刎さん記録1分28秒。6位です。」

 

「チクショオオオオオオオオオオオ!!!」

 

俺は、膝から崩れ落ちプールサイドに両拳を叩きつけた。

 

「ふふふっ…赤刎君、バタフライは両手同時にタッチしないとダメなんだよー?」

 

「言ってやるな一、失敗は誰にでもあるさ。ププッ…」

 

一と弦野が俺を小馬鹿にしてきた。

マジでムカつくなコイツら。

特に一!お前は実質ダントツビリだったくせに調子こいてんじゃねぇ!

クソッ、俺がミスさえしなきゃお前らに勝ってたんだからな。

 

「お前らなぁ!!俺のミスで得た結果がそんなに嬉しいのかよ!?」

 

「おっと、一の旦那ァ。ダントツビリッケツ君が何か寝言を言ってますぜ。プークスクス。」

 

「負け犬の遠吠えとはまさにこの事ですなぁ。プークスクス。」

 

「ぐぎぎ…!!」

 

うっぜぇえええええええええ!!!

コイツら、煽る側に回ったらマジで癇に障る奴らだな。

見てろ、この屈辱は絶対いつか倍返ししてやらぁ!!

 

 

 

「それでは、結果をまとめたので発表しますね!」

 

仕田原が結果を発表した。

結果はこうだった。

 

1位 枯罰

2位 速水

3位 ジョン

4位 弦野

5位 一

6位 俺

 

「やーん、くやしー!やっぱ環は速いなー!」

 

「Darn!!オレがgirlsに負けるなんて…!!」

 

「まさか枯罰がダントツ1位になるとはね。」

 

「あら。という事は、賭けには全員負けたという事ですの?」

 

「そうなるね。誰も枯罰ちゃんが優勝するって予想してなかったし。いやー、それにしてもすごいね枯罰ちゃん!メッチャ速かったよ!五輪とか出れるんじゃない?」

 

「…別に。いつも通りや。」

 

いつも通りだと!?って事は、普段からあのスピードを出せるっつー事か!?

マジでバケモンじゃねーかよ!!

 

「枯罰はホント何でもできるんだな。でも、もし武本が参加したら勝敗はどうなってたかわかんねぇんじゃねぇのか?」

 

「あれ?赤刎君、知らないの?武本君、全然泳げないんだよ。」

 

「マジで?」

 

「うん。小さい頃川で溺れたのが原因で泳げなくなっちゃったんだって。」

 

「そうだったのか…」

 

百戦錬磨の武本が泳げないなんてものすごく意外だな。

 

「ちなみに漕前君は泳ぐのは少し得意で、神崎君は小、中、高と全国大会の代表候補に上がったんだって。」

 

まあ湊は運動は平均よりちょっとだけ上だったしな。

神崎は、流石としか言いようがない。

 

 

 

「それじゃあ競泳大会も終わった事だし、普通に遊ぶ?」

 

「そうだねー。円くーん、一緒にあそぼー。」

 

「えっ?」

 

「それーっ!」

 

黒瀬は、俺の腕を引っ張ってプールに飛び込んだ。

俺も黒瀬と一緒にプールの中に落ちる。

 

「いっくよー!!」

 

「がばばばばばごぼぼぼぼぼぼぼ」

 

俺は、黒瀬に強引に水中で引きずられていった。

 

「あはは…あの二人は相変わらずだね。」

 

「赤刎の奴、あれだけ黒瀬に振り回されてよく正気を保てるよな。」

 

「確かにね。それはそうと律君、何して遊ぶ?」

 

「絵麻が決めていいぜ。」

 

「じゃあ波の出るプール行こうよ!」

 

 

 

「あらあら。」

 

「ちぇーっ。ゆめ、弦野君の事いいなって思ってたのになー。」

 

「いいじゃん。二人共仲良さそうだしさ。夢乃、アタシらはアタシらで遊ぼうよ。」

 

「そうですよ!」

 

「…しょうがないわねぇ、アンタ達がどうしてもっていうならちょっとだけ付き合ってあげなくもないわ。」

 

筆染、黒瀬、枯罰以外の女子は一緒に遊ぶ事になった。

 

 

 

その様子を、安生、枯罰、ジョン、一の3人が見ている。

 

「ふふっ、みんな楽しそうでいいね。」

 

「そうか?ウチは喧しいんは苦手やなぁ。」

 

「へへへ…poolはsupremeだぜ…」

 

「…ジョン君。やめなよ。盗撮なんかしたら枯罰さんに半殺しにされちゃうよ?」

 

「わかってねぇなぁチトセは。目の前にpretty girlsがいるんだぜ?videoに収めなきゃ男じゃねぇだろ。あ、ほら。トモコがこっちにass向けたぜ。」

 

「えっ!!?」

 

「トモコはnice assしてんな。」

 

「はわわわ…」

 

 

 

「誰がええケツやと?」

 

突然、枯罰の顔がジョンと一の間に割り込んでくる。

 

「ぎゃあっ!?」

 

「Huh!?タ…タマキ!?」

 

「おーおーお兄ちゃんらええ根性しとんのぉ。まぁ〜だお仕置きが足らんかったんか?」

 

「あ、あの…枯罰さん?一旦話し合いましょ…」

 

 

 

ドガァッ

 

「「がべぁっ!!?」」

 

枯罰は、見事な体運びでジョンと一の顔に片足ずつドロップキックを叩き込んだ。

二人は、そのまま後ろにあったプールに勢いよく落ちた。

 

「汚物は消毒や。」

 

「うん、今のは二人が悪いね。」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

…ふう。

全く、黒瀬のせいで死にかけたよ。

さてと。

泳いで腹減ったし、昼飯食いに行くか。

 

俺は、着替えを済ませて食堂へと向かった。

食堂では既にいつもの3人が昼食を用意してくれていた。

 

「うーん、眠いなぁ。」

 

「ふわぁああ…眠いわねぇ。」

 

俺達は食堂で昼食ができるのを待っていたのだが、何人かは泳ぎ疲れたせいか眠そうにしていた。

だが3人が作ってくれた飯を食べた途端にみんな目が覚め、昼食を食べ終わった後はカラオケ大会の話になった。

 

「それじゃ、カラオケ大会やるから4時に20号室に集合ね!」

 

「では、自分達は歌いながらつまめる物を作りますね。」

 

カラオケ大会か…

歌はそんなに得意な方じゃないんだけど、せっかく企画してくれたんだし思いっきり楽しまなきゃな。

俺は、部屋で仮眠を取った後時間に間に合うようにカラオケエリアに行った。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

そして4時、集合時刻には全員20号室に集まっていた。

 

「よっしゃー、それじゃカラオケ大会やるぞー!!みんな、今日はガンガン歌っちゃっていいからね!!」

 

速水がマイクを手に取り、元気よく叫んだ。

その直後場の空気が盛り上がり、俺まで何だか楽しくなってきた。

 

「それじゃあトップバッターは誰が歌う!?」

 

「じゃあオレが歌ってやるぜ!!」

 

「お、頼むぜジョン!」

 

トップバッターのジョンが気持ち良く歌い出す。

英語の歌をネイティブの発音で歌っており、聞いていて元気になる声だった。

 

「おぉ〜。」

 

「ジョン、アンタ上手いじゃん!」

 

「ぱちぱちぱち〜。」

 

「それじゃあ次は誰歌う?」

 

「はい!じゃあアタシ!」

 

速水がマイクを手に取って歌い始めた。

流行りのJ-popを歌っており、中々上手かった。

その後は、聞谷、宝条、安生、黒瀬、仕田原、一の順に歌った。

聞谷は演歌を歌い、宝条はいつもの猫被りキャラで歌い、安生は優しげな歌い方をしていた。

3人とも中々上手かった。

黒瀬は、原曲をガン無視して変な替え歌を歌った。

しかも音程が外れていて下手クソだった。

俺より下手な奴はいないと思っていたので、思わぬ安心材料がいて助かった。

仕田原はぎこちない歌い方をし、一はアニソンを歌った。

…一も上手いな。

 

「それじゃ次は円ね!」

 

「えっ、俺?」

 

ジョン、速水、聞谷、宝条、安生、一と上手い奴が歌った後で歌うのは正直気が進まなかったが、一曲は歌わなければならない感じだったので渋々歌った。

 

「…えーっと。」

 

「うん。上手だったよ。ねぇ?」

 

「うん…」

 

何か気まずい空気になってんじゃねぇか。

下手なら下手って正直に言えよ。

 

「円くん音痴なんだねー。」

 

うっせぇ。

お前にだけは言われたくない。

 

「ボクは、円くんはちょっと音痴なくらいが可愛くていいと思うよー。」

 

黒瀬がしつこく俺の頬をぷにぷにしてくる。

ウザいけど拒絶するのも疲れるだけだし、気が変わるまで放置しとくか。

 

「次は環の番だよ!」

 

「ウチかぁ?ったく、しゃあないなぁ。ホレ、マイク貸せや。」

 

枯罰は、ため息をついて呆れ顔を浮かべつつマイクを手に取る。

枯罰はどんな歌を歌うのかな。

ピアノすげー上手かったし、多分歌もメチャクチャ上手いんだろうな。楽しみだ。

 

 

 

「プ●キュアップ●キュアッ!!」

 

「だっ!!?」

 

思わず、全員がズッコケた。

何と、枯罰は美少女アニメの主題歌を歌い始めたのだ。

当然のように歌は上手かったのだが、それどころじゃなくて全く素直に感動できなかった。

その後も美少女アニメの主題歌や美少女アイドルの歌を歌った。

クールなイメージの枯罰がアニオタでドルオタだったとはものすごく意外だった。

そういやアイツ、たまに年頃の女子っぽい言動を見せる事があったけどこれは流石に想像できなかったな。

 

「歌うのとか久々やさかい張り切りすぎてもうたわ。」

 

「いや、張り切りすぎとかそういう問題じゃ…」

 

「ほな次は弦野、お前歌え。」

 

「おう。」

 

弦野は、枯罰からマイクを受け取ると声の調子を整えて歌い始める。

 

「おおっ…!」

 

弦野は、思わず目を見張るほど歌が上手かった。

これは聴いていて惚れ惚れするな。

やっぱ音楽家の家系って事もあって歌も練習させられてたのかな。

 

「…まあ、こんなもんかな。久々だしなかなか感覚取り戻せなかったけど。」

 

「98点!?」

 

「すごっ!!こんな高得点初めて見たんだけど!!」

 

「プロの歌手みたいだった!」

 

「音楽系の才能ってだけあって、歌にも応用できるんだね。」

 

「褒めすぎだっつーの。別に大した事ねぇよ。」

 

いやいや謙遜しすぎだろ。

 

「それじゃあ最後は絵麻だな。トリだしバシッと決めろよ。」

 

「任せて!あたし、律君の演奏聞いてるしカラオケとかよく行くんだよ?歌なら自信あるよー!」

 

そう言って筆染は元気よくマイクを手に取った。

筆染の歌か。

本人がそこまで言ってるんだし、よっぽど上手いんだろうな。

楽しみだ。

 

「…すまんな、ウチはちと席外すわ。」

 

そう言って枯罰が突然立ち上がり、部屋の外に出て行ってしまった。

トイレかな?

 

するとその直後、イントロが終わり歌に差し掛かった。

 

 

 

 

 

ボエェエエエエ〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 

 

…うぅ。

 

「…ど…く…。」

 

あれ?天井が見える…

 

「まど…くん。」

 

頭が痛い…

俺、今まで何してたんだっけ?

 

「円くん。だいじょーぶ?」

 

うぉっ!?

おっぱいが喋ってる!?

…って、黒瀬じゃねぇか。

 

「…あ、ああ………」

 

俺は、黒瀬に膝枕されていた。

いちち…クソッ、頭が痛い…

…って!?

何だよこれ…!!

 

部屋を見てみると、筆染以外の全員が顔を真っ青にしてぐったりとしていた。

 

「はぁー、歌うの久々だったから思いっきり歌っちゃったー!って、あれ?みんなどうしたの?」

 

…思い出した。

俺達は全員、筆染のデスボイスの餌食になったんだった。

しかし、ここまで酷い奴が現実にいたとはな。

グラスにヒビ入ってるし…

 

「う…うぅ…」

 

「じぬ…」

 

全員、筆染の聴くに耐えない歌声のせいで心身ともにズタボロになっていた。

特に弦野に至ってはもはや瀕死だった。

逆に黒瀬はあの場にいてよくノーダメージで耐えたな。

 

「みんな!?ねぇ、何があったの!?律君、しっかりして!!」

 

いや、お前のせいだよ。

 

「あーあー、予想以上やなぁ。」

 

席を外していた枯罰が呆れ顔を浮かべながら戻ってきた。

 

「…枯罰。お前、まさか知ってたのか?」

 

「たまたまな。」

 

「だったら早く言えよ!この薄情者!!」

 

「…。」

 

枯罰は、視線を逸らして誤魔化した。

 

『ちょっとちょっとー、20号室から悪魔の呻き声みたいな声が聴こえると思ったら何この大惨事!?誰か覇王色でも使ったの!?』

 

突然、モノクマが現れた。

 

『ちょっと、弦野クン死にかけてない!?これ、もしこのまま死んだら学級裁判するまでもなくクロ丸わかりだよ!?』

 

「………勝手に殺してんじゃねぇ。」

 

すると、弦野がゆっくりと目を覚ました。

 

「律君!良かった、気がついたんだね。」

 

「……まあな。…………絵麻。」

 

「何?」

 

「………これは命に関わる事だからハッキリ言わせてもらうけど、お前はもう人前で歌うな。マジで。」

 

「えっ」

 

『えっ』じゃない。

お前のせいで俺達は全員死ぬところだったんだぞ。

結局、筆染のせいでカラオケ大会の続行が困難になってしまったので今日はこれでお開きとなった。

こうして、楽園生活12日目が終わったのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

ー生存者ー

 

【超高校級の講師】赤刎円

 

【超高校級のカウンセラー】安生心

 

【超高校級の香道家】聞谷香織

 

【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ

 

【超高校級の???】枯罰環

 

【超高校級の家政婦】仕田原奉子

 

【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー

 

【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律

 

【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳

 

【超高校級のランナー】速水蘭華

 

【超高校級の画家】筆染絵麻

 

【超高校級の収集家】宝条夢乃

 

ー以上12名ー

 

 

 

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