エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園   作:M.T.

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非日常編④(オシオキ編)

7時15分、カラオケエリアの17号室にて。

 

「ゆめちゃん、あたしに話って何?」

 

「…ちょっと気になる物があるの。本当はみんなには秘密にしておきたい事なんだけど、ゆめとアンタの仲だから教えてあげる。」

 

「えへへ…なんかそう言われると照れますなぁ。それで、あたしに見せたいものって?」

 

「ちょっとそこの床見てみて。」

 

「床?別に何ともな………ッ!!?」

 

 

 

 

「キャアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

 

ーーー

 

 

 

「っ…!!」

 

どうしようどうしようどうしよう…

ゆめちゃんが頭を打って動かなくなっちゃった。

いきなり切りつけられたから、逃げようとしただけなのに…

 

…あたしのせい?

いや、違う…元はといえばゆめちゃんが襲ってきたから…!

あたしは軽く押しただけ。

あたしは悪くない。

でもでもでもでも…

もし学級裁判でこの事がバレたら…あたしは処刑される…?

 

 

 

「あらあら、大変な事になってますねぇ。」

 

「!?」

 

し、仕田原ちゃん…?

 

「筆染さん。…それ、宝条さんですよね?うわぁ、頭から血が出て瞳孔開いちゃってるじゃないですか。筆染さん、見た目によらずエグい事しますねぇ。」

 

「ち、違う…!これはゆめちゃんが…」

 

「いいえ、これはあなたが殺ったんでしょう?この事がバレれば、処刑されるのはあなたです。でも安心して下さい。筆染さんは処刑されませんから。」

 

「え…?」

 

 

 

「…だって、あたしがアンタを殺すんだもの。」

 

!?

スタンガン!?

仕田原ちゃん、本気だ…

逃げなきゃ!!

 

「っ…!いやぁあああっ!!」

 

ガッ

 

「ッ………!!いっっっ…てぇなぁこのクソアマァ!!!」

 

バチバチバチッ

 

「ぎゃああぁああああああぁああああっ!!?」

 

痛い痛い痛い!!

身体が動かない…

誰か、助け…て………

…り、つ……くん………

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

VOTE

 

仕田原奉子 9票

 

一千歳 1票

 

 

 

『うぷぷぷぷ、お見事大正解ー!!【超高校級の収集家】宝条夢乃サンを殺したのは【超高校級の画家】筆染絵麻サン、そしてその筆染絵麻サンを殺した殺意MAXクレイジーサイコキラーは【超高校級の家政婦】…もとい、【超高校級の爆弾魔】仕田原奉子サンでしたー!!オマエラ3連続正解なんてやるぅー!!』

 

「おい、仕田原…!お前が爆弾魔ってどういう事だよ!?」

 

「どういう事って…そのままの意味だけど?2年前からずっと爆発事件を起こしてたのはあたしだったのよ。」

 

「何でだよ!?お前、恋人が爆発事故に巻き込まれて死んだって…」

 

「…はぁ。これさぁ。いちいち説明しなきゃいけないわけ?」

 

『うぷぷぷぷぷ!本人に説明する気がないみたいだから、ここからはボクが説明してあげるよ!それでは、こちらのVTRをご覧いただきましょう!』

 

 

 

 

 

モノクマがそう言ってリモコンのスイッチを押すと、モニターに絵本のような可愛らしい絵が映し出される。

画面の中心には、小さな女の子が映っていた。

おそらく、この女の子は仕田原だ。

 

『昔々あるところに、可愛らしい女の子がいました。女の子はとても貧乏な家で生まれ育ち、両親からたいそう嫌われて育ちました。』

 

仕田原の両親が、幼い仕田原を痛めつけている。

可愛らしい絵で描かれているが、実際にされているところを想像すると思わず血の気が引いてしまうほどひどい仕打ちだった。

 

『ですがある日、女の子の両親は疫病に罹り幼い娘を遺しておっ死んでしまいました。女の子は路頭に迷い野垂れ死ぬ寸前でしたが、ある大手企業の社長に引き取られそこで専属の家政婦として雇われました。そしてそこで、女の子は運命の人に出会いました。女の子は運命の人と互いに愛し合い、幸せな日々を送っていましたとさ。ですが、二人の幸せはそう長くは続きませんでした!』

 

絵が切り替わり、炎に焼かれた建物と人が描かれている。

 

『何と、女の子の運命の人は爆発事故に巻き込まれてお亡くなりになってしまったのです!女の子は運命の人を亡くしたショックで気が触れてしまい、幸せそうにしている人を見ると亡くなった運命の人と同じ目に遭わせてやろうと考えるようになってしまいましたとさ!でめたしでめたし!』

 

 

 

 

 

「そんな…」

 

「だから爆弾魔になったっていうのか…一人でも多くの人を恋人と同じ目に遭わせるために…」

 

「そうだよ。あたしは、他の奴等を行哉さんと同じ目に遭わせるために爆弾魔になったんだよ。」

 

「そんな、どうして!!」

 

 

 

 

 

「だってムカつくじゃねぇかよ!!!」

 

「っ…!」

 

「行哉さんは、あたしだけを見てくれた。親にすら嫌われてたあたしを、ただ一人だけ愛してくれた人だった。なのに何であの人が死ななきゃならなかった!?何であの人だけが死んでテメェらクズがヘラヘラ笑って生きてんだよ!!おかしいだろうがよ!!!だから殺してやったんだ!!!あたしの前で幸せそうにヘラヘラ笑ってる奴全員!!行哉さんと同じようになぁ!!!」

 

は?

何だその理由。

コイツ…

そんな事のために多くの人の命を奪ったのか…?

コイツは、武本や神崎とは明らかに違う。

この女は、根っからの人殺しなんだ。

 

「オマエ…そんなselfishなreasonで…!!まだlust murderとかの方がマシだったぜ!!」

 

「あ?快楽殺人の方がマシ、っつったのか今。あたしは行哉さんのために殺ったんだ!!楽しくて人を殺すようなクズと一緒にしてんじゃねぇよ!!」

 

「コイツ、ホンマイカれとんのぉ…」

 

「ふざけんじゃねぇぞテメェ…そんなくだらねぇ理由で絵麻を殺したのか…!!」

 

「まあもちろんあの女の後釜に座りたかったっていうのもあるけど、そうじゃなくてもどのみちあの女はあたしの手で殺すつもりだったよ。宝条があたしのターゲットを横取りしようとするからムカついてアイツごと爆破しそうになったけど、筆染が宝条を殺してくれたおかげで余計な手間が省けたのはホントラッキーだったわ。」

 

「は…?」

 

「だって、アイツ調子乗っててムカつくんだもん。あたしは行哉さんを亡くしたのに、あの女はアンタの隣でヘラヘラ笑ってたんだよ?ホント、あの女を殺した時はスカッとしたわ。リア充爆発しろーってね。きゃははっ!」

 

「だったら何でアイツを殺したんだよ!!同じ目に遭わせたいなら俺を狙えば良かっただろ!!」

 

 

 

 

 

「…だって、アイツを殺した方がスカッとするじゃん?」

 

「…………は?」

 

「最初はずっと孤立してたアンタを殺すより、お前ら全員から好かれてるアイツを殺した方がお前らの味わう絶望も大きいだろ?あたしはなぁ、人の不幸が大好きなんだよ!!行哉さんを亡くしたあたしにとって、他の奴等の絶望だけがあたしの心を満たしてくれる!!クズ共が絶望のドン底で死んでいく瞬間だけは、あたしも行哉さんもコイツらよりは幸せだったんだなって思えて、何だか救われた気分になれるんだよ!!」

 

「あ…あああ…」

 

仕田原が壊れたように高笑いをする一方で、弦野は膝から崩れ落ち何かをブツブツ言っている。

 

「…ろ…す…」

 

「あ?」

 

 

 

 

 

「殺す」

 

「!!」

 

弦野は、ハッキリとそう言った。

その直後、弦野が深く暗く沈んだ眼を仕田原に向けたかと思うと仕田原に詰め寄った。

そして、仕田原を強引に床に押し倒し馬乗りになる。

 

「弦野…?お前、一体何を…!!」

 

俺が弦野を止めようとすると、弦野は懐からナイフを取り出して突きつけてきた。

 

「!!」

 

「ひぃっ!?」

 

「キャアアッ!!」

 

弦野がナイフの鋒を向けると、一と聞谷は悲鳴を上げた。

 

「来るな。来たら刺す。」

 

「弦野君、一体どこからそんなものを…!」

 

「倉庫の捜査をした時拝借したんだ。絵麻を殺した犯人をいつでも殺せるようにな。」

 

「なっ…ど、どういう事!?」

 

「殺すんだよ。コイツを。絵麻の仇…!!」

 

「無駄だよ弦野君。その女を殺したところで、裁判で君に勝ち目はない。」

 

「だろうな。だがそれがどうした?コイツを殺して、俺も死ぬ。それで仇を討てて絵麻に会えるなら本望だ。」

 

「ダメだ!!そんなの、俺が許さねぇ!!」

 

「いいじゃん!!本人が死にたがってるなら好きにやらせりゃあさ!!あたしは大歓迎だよ!!」

 

「仕田原、お前…!」

 

「ほら、どうした?あたしを殺すんだろ?早く殺れよ。筆染を殺した憎い憎い仇はここにいるよ?」

 

「ッ…!!」

 

「きゃはははっ、いいねえ!!その絶望的な表情!!アンタが憎めば憎むほどあたしは満たされるんだ!!ほらほら、もっと恨め!!殺せ!!それでもってあたしを気持ち良くしろ!!!」

 

「ッ、う゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 

弦野は、高笑いを浮かべる仕田原を睨んで泣き叫びながらナイフを振り下ろした。

その次の瞬間だった。

 

 

 

「ド阿呆!!」

 

「ぐっ…!!」

 

枯罰が目に留まらぬスピードで弦野を蹴り飛ばして組み伏せた。

弦野は吹っ飛ばされた衝撃でナイフを手放し、俺の席の前にナイフが滑ってきた。

枯罰がアイコンタクトをしてきたので、俺は相槌を打ちナイフを拾い上げる。

 

「落ち着けド阿呆!!」

 

「うるせぇ!!離せ!!アイツを殺させろ!!俺は、死にたいんだよ!!」

 

「弦野…」

 

「俺は、殺されるのが怖くてお前らの言う事を聞かねぇで好き勝手やってた。けど絵麻は違った!!アイツは、誰よりもお前らの事を考えて行動する奴だった。俺なんかよりずっと生きる価値がある奴だった!アイツが殺されるくらいなら俺が死ねば良かったんだ!!」

 

「おう、ほんなら死ねや。」

 

「なっ…枯罰!?」

 

「ウチは死にたがりを止める程お人好しやない。死にたいなら勝手にせぇ。ただ、ウチに迷惑かけへんやり方でやれ。ウチはまだこの女に聞きたい事があんねん。お前の身勝手でウチに迷惑かけんなや。」

 

「…ッ、テメェは自分だけ生き残れればいいと思ってるからそんな事が言えるんだ。結局テメェも自分の事しか考えてねぇじゃねぇかよ!!」

 

「阿呆か。自分の事しか考えてへんのはお前の方やろ。確かに筆染はお前とはちゃう。アイツがお前の立場なら、仲間が殺されたから自分も死にたいなんぞ死んでも言わへん。アイツはそういう奴や。自分は死んでもいいから仇を討つなんぞ身勝手にも程があるやろ。」

 

「っ…」

 

「お前がアイツの想いを無下にしてまで死にたい言うんやったら、ウチも止めへん。せやけど、お前にまだアイツを想う気持ちがあるんやったらなぁ…」

 

枯罰は弦野の胸ぐらを掴み、平手打ちをして発破をかける。

 

 

 

「しゃんとせぇ!!!男なら根性入れんかい!!!」

 

「っ…!!」

 

すると、枯罰の言葉が弦野に響いたのか、弦野の表情からは殺意が消え失せ弦野は静かに俯いた。

そして、決意を固めたのか涙を流しながら両手を強く握りしめた。

 

「…絵麻。俺、強くなるよ。強くなって、お前の分まで生きるから…!!」

 

「よう言うた。絶対最後まで生き延びて、一緒にあのクマ公にキツい一発叩き込もか。」

 

「ああ…!!」

 

 

 

「あーあ、何かしらけちゃった。せっかく弦野があたしを殺してオシオキされればより深い絶望が味わえると思ったのになぁ。」

 

「オマエ…!!」

 

「根っからの屑やな。呆れて物も言えへんわ。…おい、クマ公。」

 

『はい何でしょ?』

 

「コイツが筆染の後釜に座ってまで叶えたかった願いは何なん?どうせこの女の動機はあのクソダサい金ピカ笹に飾ってあった願い事やろ?」

 

『ちょっとー!クソダサいって何ですか!せっかくオマエラのために用意したのに!ゴホン、では発表しましょう!仕田原サンの願い事はーーーーー…これです!!』

 

 

 

 

 

ーーー

 

この世の全てを爆破したい

 

仕田原奉子

 

ーーー

 

 

 

 

 

…は?

 

「ちょっ…何なのこの願い事は!?」

 

「マジで犯人当てられて良かった…これが叶ったらって思うとゾッとするわ。」

 

「仕田原さん、何故このような残酷な事を…!?」

 

「救済だよ。」

 

「…え?」

 

「この世の全てが一斉に消えれば、みんな結末は平等に訪れる。あたしの愛した人だけが不幸にならなくて済む。これこそが真の救いだ!!あははははははは!!!」

 

「ダメだ、完全に正気じゃない。」

 

「うわー、ヤバいね。ボクが言うのもアレだけどさぁ。キミ、相当頭イっちゃってるよ。」

 

「テメェにだけは言われたくねぇよクソ女。でも、叶わないなら叶わないで別にいいんだ。これでやっと行哉さんに会えるしね。おいモノクマ、さっさと始めろ。」

 

『うぷぷぷ、そうですか。じゃあ景気良くヤっちゃいましょうか!』

 

「くっ、仕田原…!」

 

「ふふふ、ねえ行哉さん。あたし、この時をずっと待ってたんだよ。これでずっと一緒になれるね。」

 

『今回は、【超高校級の爆弾魔】仕田原奉子サンのために!!スペシャルな!!オシオキを!!ご用意しました!!!』

 

「行哉さん行哉さん行哉さん行哉さん行哉さん…」

 

『ではでは、オシオキターイム!!!』

 

 

 

「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」

 

 

 

罪人の処刑を宣言するモノクマの声が響き渡ったかと思うと、今度は仕田原の乾いた笑い声が裁判所全体に響いた。

モノクマはピコピコハンマーを取り出して、一緒に出てきた赤いボタンをハンマーで押した。

ボタンに付いている画面に、ドット絵の仕田原をモノクマが連れ去る様子が映っていた。

 

 

 

 

 

ーーー

 

GAME OVER

 

シダハラさんがクロにきまりました。

 

オシオキをかいしします。

 

ーーー

 

 

 

仕田原は、背後から伸びたアームのようなものに首を掴まれそのまま裁判所の外へと引きずっていった。

仕田原が連れて来られたのは、薄暗く辺りに血が飛び散った部屋だった。

仕田原は、血で汚れた拘束具付きの椅子に座らされる。

そこで画面上に文字が現れる。

 

 

 

ーーー

 

君がいた夏は遠い夢の中

 

【超高校級の爆弾魔】仕田原奉子 処刑執行

 

ーーー

 

 

 

仕田原の前に魔女モノクマが現れ、綺麗な花が咲いた植物でできたステッキを振る。

するとステッキから煙が出て、煙を吸った仕田原は目が虚ろになり、視界が原色の絵の具を撹拌したような不気味な風景になる。

煙が晴れるといつの間にか仕田原はウエディングドレス姿になっており、周りは美しい海が見える教会になっていた。

仕田原の目の前には、新郎の格好をした美青年が立っている。

仕田原が『行哉さん』と呼んで恋慕していた青年だった。

 

行哉は仕田原に歩み寄るとベールを外しニッコリと微笑む。

すると仕田原は頬を赤く染め、行哉は顔を仕田原の顔に近づける。

唇が触れる、その瞬間だった。

 

画面が切り替わり、周りは先程の薄暗い部屋になる。

全身が焼け爛れた醜悪な青年が、仕田原の唇を食い千切っていた。

仕田原の口からは、血と肉片がボタボタと滴る。

 

すると再び画面が切り替わり、行哉が仕田原の左手薬指に指輪を填める。

 

画面が切り替わり、醜悪男が仕田原の指を切り落としていた。

仕田原の指の断面からは血が噴き出る。

 

画面が切り替わり、行哉と仕田原が広いホールでダンスを踊る。

それを多くの人々が祝福していた。

 

画面が切り替わり、醜悪男が無理矢理棘だらけの床の上で仕田原を踊らせていた。

仕田原の足はボロボロになる。

それを多くの焼け爛れた人々が嘲笑っていた。

 

画面が切り替わり、行哉と仕田原が豪華な食事やケーキを食べる。

口の周りにクリームをつけた仕田原を見て、行哉は可笑しそうに笑っていた。

 

画面が切り替わり、醜悪男が仕田原の口の中に大量の釘や毒や虫、腐肉や汚物を詰め込む。

口から血や汚物を垂れ流す仕田原を見て、醜悪男は嘲笑っていた。

 

画面が切り替わり、いつの間にか裸になった二人がベッドの上で抱き合う。

仕田原は、恥ずかしそうにしつつも両脚を開いて行哉を受け入れる。

 

画面が切り替わり、仕田原は醜悪男に服を剥ぎ取られ無数の針が敷き詰められた台に押し倒されていた。

両脚を無理矢理大きく開かされ、焼けて真っ赤になった鉄の棒を何度も股間に突っ込まれる。

棒が引き抜かれると、大量の寄生虫が湧いた樹液をかけられる。

仕田原は満身創痍になり、仕田原の股間からは血と虫入りの樹液が混じり合った液体が滴っていた。

 

画面が切り替わり、行哉が仕田原の手を引いて美しい花が咲き誇る庭園へと連れて行く。

仕田原が花壇の花に見惚れていると、行哉がニッコリと笑ってパチンと指を鳴らす。

すると行哉は全身が焼け爛れた醜悪男になり、庭園も血塗れの薄暗い部屋に変わる。

美しい花が咲いていた花壇は、ビッシリと剣が埋め尽くされた深い落とし穴になっていた。

全身ボロボロになった仕田原の身体には痛みが走り、仕田原は体を捩った拍子に落とし穴に落ちる。

 

すると、落とし穴の底から何百もの焼け爛れた手が伸びてきて仕田原の身体を掴み、仕田原を穴の底へ引き摺り込もうとしていた。

落とし穴の底で仕田原を引っ張っていた人物は、よく見ると仕田原が起こした事件の被害者達だった。

仕田原が助けを求める中、落とし穴の上から手が差し伸べられる。

手を差し伸べていたのは、生前の美しい姿をした行哉だった。

仕田原は、蜘蛛の糸に縋るが如く行哉の手を取ろうとした。

だが、行哉は仕田原の手を払い除けると落とし穴の底に蹴り落とした。

最愛の人に見放された仕田原は、絶望で顔をグシャグシャにする。

 

その直後画面が切り替わり、巨大なロケットが映し出される。

するとそこにモノクマが現れて、ロケットから伸びていた導火線に火をつける。

導火線に付いた日はやがてロケットの燃料に届き、ロケットは空高く飛ぶ。

するとロケットの小窓からパラシュートを背負った行哉が飛び降り、炎を上げながら飛んでいくロケットを手を振って見送った。

 

打ち上げられたロケットははるか上空で爆発し、夜空には真っ赤なモノクマの顔の花火が咲く。

河川敷で花火を見上げていたモノクマと行哉の顔が、花火の色で染まっていた。

 

 

 

 

 

『アイスクリーーーーーーーム!!!』

 

「うわあああああああああああああ!!!」

 

「いやっ…いやっ!!こんなの、あんまりですわ!!」

 

「そんな、トモコ…!」

 

「嘘でしょ…!?奉子が…!!」

 

「酷い…酷すぎるよ。」

 

「相変わらず不愉快なモン見せよってからに、虫唾が走るわ。」

 

「あーあ、奉子ちゃん死んじゃった。もうちょい粘ると思ったんだけどなー。」

 

「クソッ…仕田原…!!」

 

大半が泣き叫び、冷静だったのは枯罰と黒瀬だけだった。

 

「っ………」

 

弦野は、膝をついて呆然とモニターを眺めていた。

結局何もできず、筆染を殺した仇をモノクマに残酷なやり方で殺されたのだから当然の反応だった。

 

『いやー、愉快痛快爽快!そんじょそこらのAVよりよっぽどコーフンするよね!脳内麻薬で溺れまくりだね!オマエラには、三度目の学級裁判を乗り越えたご褒美にメダルをあげるよ!』

 

「オマエ…!!I’ll never forgive you!!」

 

『え、なんて言ったの?絶対許早苗?』

 

「お前…!!」

 

『ってゆーかさ、その反応はおかしくない?仕田原サンは連続殺人鬼だったんだよ?筆染サンを殺したんだよ?って、その筆染サンも宝条サンを殺してたか!いやー失敬失敬!』

 

「まあ、そらアイツはそれだけの事をしたわけやし、罰を受けるのは当然っちゅうんはウチも思うわ。ウチはやり方に腹立っとんねん。」

 

『そーんな事言って、枯罰サンがツンデレって事はボクちゃんと知ってるもんね!今の減らず口だってドキドキワクワクの裏返しでしょ?本当は濡れ濡れだったりして!?いやーん枯罰サンのエッチー!』

 

「お前いつかホンマにどつくぞコラ。…ほんでこれはずっと思っとった事なんやけどなぁ。」

 

 

 

 

 

「…これ、生中継されとるやろ?」

 

…。

 

…。

 

………えっ?

 

 

「な、生中継…!?それって、どういう…」

 

『なーんだ、やっと気付いたの?そうです、このコロシアイは全国に生中継されてるんだよ!!オマエラの醜い様を全国の皆様に見ていただいてるわけ!!』

 

「そ、そんな事のために奉子をあんな方法で殺したっていうの!?」

 

「まあ、悪趣味な屑は社会に一定数おるからのぉ。そういう屑は、派手な処刑の方が好きなんやろ。」

 

『うぷぷぷぷ、さすが枯罰サン!そういう屑を今まで嫌というほど見てきたというだけあってクールだねぇ。』

 

「…黙れや。」

 

『キャー怖ーい!枯罰サン、コロッケ抑えて抑えて!』

 

「殺気の間違いだよねー?」

 

…嫌というほど見てきた?

もしかして、枯罰の過去と何か関係あるのかな…

 

「ホンマ、視られてると思うとええ気分せぇへんのぉ。まあ、こないな事言うてもしゃあないし、早う帰らせろや。」

 

『ちょっと待った待ったー!!』

 

「…何や。」

 

『オマエラに一個言い忘れてた事があるんだ。』

 

「言い忘れてた事…?」

 

 

 

 

 

『実は、オマエラの中に内通者がいます!』

 

 

 

…えっ?

 

「な、内通者!?どういう事!?」

 

『そのままの意味だよ!この中に、ボクの仲間がいるわけ。ドゥーユーアンダースタン?』

 

「まあそうだろうとは思ってたけどねー。それで、内通者ってどんな事してるの?情報を売ってるのか、工作してるのか、クマちゃんの助手やってるのか…」

 

『えー、なになに黒瀬サン?やけにグイグイ聞いてくるじゃん。内通者じゃないアピールしたい内通者だったりする?』

 

「それはクマちゃんが一番よくわかってるでしょーが。で、具体的には何してるのかは教えて貰えないのかな?」

 

『まあ、詳しい事は言えませんがね。殺人を企んでる、とだけ言っておこうかな。』

 

「ふーんあっそ。で、人数は?最悪ボク以外全員内通者とかだったら流石にちょっとお手上げぴーやなんだけど。」

 

『あーもううるさいな、じゃあもう特大ヒントあげちゃうよ!生き残ってる9人の中に、一人だけ内通者がいるんだよねー!』

 

「な…嘘でしょ!?そんな、いつから…!?」

 

『少なくとも、札木サンが武本クンに自分を殺させる計画を伝える前からですよ。』

 

「どうせアンタの嘘でしょ!?」

 

『まあ信じるか信じないかはオマエラ次第ですけどね。それじゃボクはこれで。ばいばいきーん!』

 

そう言ってモノクマは去っていった。

 

 

 

「クソッ…!」

 

「うっ…ううっ…宝条さん…筆染さん…仕田原さん…どうして…!」

 

…どうして?

………そういえば。

 

「…なあ。何でだったんだろうな。」

 

「何が?」

 

「モノクマは、仕田原が筆染を殺した理由については教えてくれたけど、宝条が筆染を殺そうとした理由については教えてくれなかっただろ?」

 

「それは、夢乃も願い事を叶えたかったからじゃないの?」

 

「でも、何で筆染だったんだ?わざわざ筆染をターゲットにした理由がわからないんだ。」

 

「そうだよ、何で絵麻は宝条にまで狙われなきゃいけなかったんだ!?」

 

 

 

「内通者が唆したからじゃないの?」

 

「…えっ?」

 

「クマちゃん言ってたでしょ?内通者は殺人を起こすのが仕事だって。だったら、今までの殺人も内通者が唆してたんじゃないの?実は、絵麻ちゃんとゆめちゃんって、前回それぞれお互いの秘密を受け取ってるんだよね。だから、内通者が『絵麻ちゃんがゆめちゃんを裏切るつもり』ーとか何とか言ってゆめちゃんの不安を煽ったんじゃない?」

 

「やけに冴えてんなテメェ。何でそんな事わかんだよ?」

 

「えー、だって…」

 

 

 

 

 

「ボクが内通者だから。」

 

…。

 

…。

 

…。

 

………え?

 

 

 

「なっ…ちょっとましろ!どういう事!?」

 

「だーかーらー、ボクが内通者なんだってばさきー。ボクが、ゆめちゃんに『絵麻ちゃんがネットでゆめちゃんの秘密をバラそうとしてる』って嘘を教えたんだよー。」

 

「そんな…今までわたくし達を騙していたという事ですの!?」

 

「そうなりますなぁー。ボクってば気まぐれで嘘つきだから。」

 

「何でそんな事…」

 

「みんなの事がだーいすきだからだよ?」

 

「は…?」

 

「嘘は何物にも代え難い愛情なんだよ?ボクが嘘をつくのも、みんなの事が大好きだからなんだ〜。」

 

黒瀬は、無邪気な笑みを浮かべてとんでもない事を言い出した。

コイツは、同じ殺人鬼でも仕田原とは根本的に違う。

ただただ純粋に、自分が楽しければそれでいい。

コイツはそういう奴なんだ。

 

「何だよそれ!!サイコパスの発想じゃん!!」

 

「まあまともな神経しとったらこないなふざけたマネせぇへんやろ。」

 

「えー、やだなぁー、環ちゃん。それはキミが言えた事じゃないよねぇ?」

 

 

 

「ボクよりずっと残忍で狡猾で、人だってボクなんかよりいっぱい殺してるくせにさぁ。」

 

「…。」

 

黒瀬がそう言った途端、枯罰の周りを覆う空気が変わった。

仕田原の悪意を間近で実感した俺だからこそ、確信した。

 

…これは、殺気だ。

枯罰は、間違いなく黒瀬に殺意を抱いている。

 

 

 

「にゃはは。うん、いい!そっちの方がいいよ!本来のキミらしくてさぁ。…そうでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【超高校級の傭兵】枯罰環ちゃん♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Chapter3.天国の君のためのセレナーデ ー完ー

 

 

 

《アイテムを入手した!》

 

『サンビタリアのバレッタ』

 

Chapter3クリアの証。

仕田原の遺品。

彼女の恋人の天宮行哉がかつてプレゼントしたもの。

最愛の人を失い気が触れた後も、ずっと身につけていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

ー生存者ー

 

【超高校級の講師】赤刎円

 

【超高校級のカウンセラー】安生心

 

【超高校級の香道家】聞谷香織

 

【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ

 

【超高校級の傭兵】枯罰環

 

【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー

 

【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律

 

【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳

 

【超高校級のランナー】速水蘭華

 

ー以上9名ー

 

 

 

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