エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園   作:M.T.

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(非)日常編⑤

楽園生活18日目。

 

『おはようございます、オマエラ!!朝です!!7時になりました!!今日も元気に殺し合いましょう!!』

 

今日もまた、モノクマの耳障りなモーニングコールで起こされた。

モノクマのせいで目覚めが最悪だ。

アイツ、本当に俺達を苛立たせるような事しかしないよな。

俺は、朝の準備を済ませて8時に間に合うように食堂に向かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

食堂には既に安生、聞谷、速水、一が来ており、遅れて黒瀬が来た。

今日は、枯罰、ジョン、弦野の3人が朝食を作ってくれていた。

朝食の後は軽めのミーティングを済ませ、その後は各自自由行動の時間となった。

まずはどこに行こうか?

…とりあえず、まだメダルがあるしガチャでも引こうかな。

 

俺は、プレイルームに行ってガチャを引いた。

出てきたのは、十徳ナイフだった。

…んー、誰かにあげようかな。

俺は、景品を持ってプレイルームを後にしようとした。

 

「マドカ。」

 

すると、俺はジョンに話しかけられた。

 

「ジョンか。どうした?」

 

「Well…オマエが何してるのか気になってな。What are you doing?」

 

「ああ、このモノモノマシーンで遊んでたんだよ。それで景品を当てたんだ。…あ、そうだ。」

 

俺は、ジョンにさっき引き当てたナイフを渡した。

 

「はいこれ。」

 

「What?」

 

「プレゼントだよ。お前なら気に入ってくれるんじゃないかと思ってな。」

 

「Wow!!Thank you,マドカ!!I'm so happy!!」

 

お、ものすごき喜んでくれたみたいだ。

 

「なあ、ジョン。」

 

「Huh?」

 

「せっかくだしさ、この機会に色々話さないか?俺達って、湊と一緒に3人で集まる事はあっても二人でじっくり話す機会ってあんまり無かっただろ?」

 

「Certainly. OK,Let's talk together. Let's go to my laboratory for now.」

 

今まであまり話す機会がなかった奴と話して仲良くなるのもいいが、たまには親友と語り合う時間も欲しかった。

俺が話をしないか誘ってみると、ジョンは快く承諾してくれた。

ジョンが研究室へ案内してくれるらしいので、俺はジョンについて行った。

俺は、ジョンと一緒に過ごす事にした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

俺は、ジョンの研究室に入ると用意されたキャンプ用の椅子に座った。

 

「Where to begin?」

 

「何から話すか、か…そうだな。じゃあお前はどうして【超高校級の冒険家】になったんだ?」

 

「Hmm…オレは、parentsが仕事の都合でよく世界中をtravelしてて、travelはオレにとって生活の一部だったんだよな。それで連れてってもらった場所のcultureやsuperb viewに触れて、オレも自然と自分でadventureに行こうと思ったんだ。」

 

なるほどな。

ジョンが旅が好きなのは、両親の影響だったのか。

両親に旅の楽しさを教えてもらって、自分も冒険家になろうと思ったんだな。

 

「…あれ?この写真は?」

 

俺は、写真立てに飾られた絶景の写真を指差して尋ねた。

 

「それはオレが初めてadventureに出た時に撮ったpictureだ。adventureはいいぞ。superb view,culture,unknown creature…まだ見た事のないものに触れられるからな。その時のexcitementは言葉に表しようがないぜ。」

 

自分で現地に足を運んだからこそできる発見か。

なんかジョンが言うとものすごく説得力があるな。

ジョンは、冒険の途中で発見した新種の生物や世間であまり知られていない文化についてブログで教えてくれるから読んでて飽きないんだよな。

あれもわざわざ秘境に足を踏み入れて発見したものだと思うと素直に感心する。

 

「いい所はまだあるぜ?localsと仲良くなれるんだ。オレは、世界中にfriendsがいるんだぜ?」

 

確かに、ジョンの性格ならどんな奴とでもすぐ仲良くなれそうだよな。

世界中に大勢の友達がいるというのも納得できる。

 

「そういやジョンって、日本に何回も来た事あるって言ってたよな。そんなに好きなのか?」

 

俺がそう質問すると、一瞬ジョンの表情が固まったがジョンはすぐに答えた。

 

「…Of course. オレは、Japanが大好きなんだ。オレの国にはない珍しいものがたくさんあるし、foodは美味いし、girlsはvery cuteだからな。」

 

そんなに好きだったのか。

そう言われると何かこっちが照れるな。

…でも、さっき一瞬固まったのは一体何だったんだ?

気になる…けど、本人が気にしてる事かもしれないから詮索するのはやめておこう。

 

「なあ、ジョンはここから出たらまずは何がしたいんだ?」

 

「もちろん、adventureだな。まずはオレのfriendsのsafetyをconfirmしてから、今までのactivityをcontinueしようと思ってる。」

 

「そうだな、まずは大切な人の無事を確認しないとな。」

 

「マドカ、オマエもオレと一緒に来ないか?」

 

「え、いいのか!?」

 

「Of course. オレ達、best friendだろ?」

 

「ジョン…ありがとう。楽しみにしてるよ。」

 

俺がそう言って頷くと、ジョンの表情が少し暗くなった。

 

「…本当はミナトも連れて行きたかったんだけどな。」

 

「あ…」

 

そうだ。

湊も、俺達の大事な親友だった。

神崎に殺されなければ、今頃3人で仲良くやってたはずなんだ。

なのに、何であんな事になっちまったんだよ…

 

「オレは、shockだった。まさかミナトとミカドがreal brotherで、ミカドがミナトを殺しただなんてな。オレは、sorrowfulだった。だって、real brotherがmurderをするなんて、too cruelだろ?」

 

「…。」

 

…悲しかった、か。

俺は、湊が殺された時悲しかったのかな?

むしろ、『許せない』って気持ちの方が大きかった気がする。

神崎が犯人だって分かった時は、俺は湊の仇を討って後を追う事も考えていた。

でも、それは湊のためにならないって枯罰に言われて目が覚めた。

湊は、やっぱり自分が殺された事で誰かを恨んでほしくなかったのかな?

 

「ジョン。いくら嘆いても、湊は還ってこない。だから俺達は、今を生きなきゃいけないんだ。湊の分まで、俺達が生きるんだよ。生きてここを出て、世界中を旅しよう。な?」

 

「…そう、だな。」

 

俺がジョンを励ますと、ジョンは頷いた。

俺は、その後もジョンと話をした。

ここに連れて来られるまでの事、学校の事、色々話した。

俺とジョンは元々仲が良かったから気軽に話せたし、お互いに色々話し合った事で今まで以上に仲良くなれた気がする。

俺達は時間も忘れて語り合い、気付けば昼飯の時間になっていた。

 

「うわ、お前それマジか!!アハハハハハハ!!!…っと、そろそろ昼飯の時間だし行くか。」

 

「Yeah.」

 

俺とジョンは、キリのいいところで話を切り上げて研究室を後にした。

すると、ホテルに戻る途中ジョンが話しかけてきた。

 

「…なあ、マドカ。」

 

「何だ?」

 

「…………Oh no,nothing.」

 

「?」

 

ジョンは、言いづらそうに何かを言いかけたが、すぐに黙りこくった。

いつものジョンならそんな事せずにハッキリ言うのに、どうかしたのか?

そういえばさっきも俺が質問したら一瞬固まった事があったし、何か俺に隠してる事でもあるのかな?

 

「…ジョン。もし何か悩みがあるなら聞くぞ?それか、一緒に安生に相談に行ってやろうか?」

 

「………Thank you. But I'm OK.」

 

「そっか…」

 

ジョンが笑顔で何でもないと言うので、俺はこれ以上何も聞けなかった。

…この時、気付いておくべきだったのかもしれない。

痩せ我慢をしているジョンの顔は、確かに笑ってはいたが目が笑っていなかった事に。

 

俺は、少しは疑問を抱きつつも特に問い質す事なく食堂に行き、ジョンの隣の席で昼飯を食べた。

 

《ジョナサン・ウォーカーとの親密度が上がった!》

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

昼食の後は自由探索の時間になった。

…つっても、全部の施設に行ったしもう探す所は無いんだよな。

一の研究室にも行こうと思ったけど、本人は忙しいって言うし。

どうしたものかな。

 

「…本でも読むか。」

 

俺は、とりあえず図書館に行くことにした。

図書館の本を一冊手に取って読もうとした。

すると、枯罰が隣に来た。

 

「…隣、ええか?」

 

こんなに広い図書館なのに、わざわざ隣に?

…もしかして、トナラーって奴?

 

「え、あ、ああ…」

 

俺が戸惑いつつも頷くと、枯罰は隣に座って本を捲った。

隣に座られて気まずいので、場を和ませるために話題を振った。

 

「なぁ、お前も暇潰しに来たのか?…やっぱ自分の研究室が無いと寂しいよなー…ははは…」

 

「無駄口叩くなや。図書館内は私語厳禁やぞ。」

 

「えぇ…」

 

せっかく場を和ませようと思ったのに…

っていうか、話があったわけじゃないならマジで何で横に座ったんだ?

もやもやしていると、チラッと枯罰が読んでいる本のタイトルが目に入った。

 

「あ、それ…」

 

「何や。」

 

「この前発売されたやつだよな?すごい話題になった…」

 

「ああ。この図書館の中にある本の中では一番新しかったさかい、目ぇ通しとんねん。」

 

「へぇ…」

 

さっきみたく冷たいレスポンスが返ってくるかと思ってたけど、こういう話には乗っかってくれるんだな。

 

「他にも何かあるんとちゃうか思て最新の新聞もチェックしとったんやけどな、気になる事があんねん。」

 

「気になる事…?何か重要な事でも書かれてたのか?」

 

「逆や。重要な事が何も書かれてへんかった。ウチらが拉致監禁された事に関しては一ミリも触れとらん。もうここに監禁されて2週間半経っとるんやぞ?ニュースに取り上げられててもおかしないやろ。これがどういう事かわかるか?」

 

「えーっと…」

 

「そもそも誰もウチらがおらん事に気付いてへん、もしくは国が黒幕とグルやっちゅう事やないか?」

 

「なっ…!?」

 

「ウチとしては前者の方がありがたいけどなぁ。国がウチらを殺そうとしとるなんて考えとうないわ。」

 

「…。」

 

確かに…

これが国家の陰謀だとすれば、外に出ても俺達の味方はいないのかもしれない。

そんな事、信じたくない。

…でもそれ以上に、枯罰は苛立ってる。

傭兵としての仕事を長年やってるなら、国に雇われた事だってあるはずだ。

一度は雇い主だった相手に裏切られるなんて、本当は腑が煮えくりかえる思いなんだろうな。

でも、それでも俺達は外に出なきゃいけないんだ。

 

「…国の陰謀だったとしても、まだ全てを諦めるのは早いんじゃないのか?俺は、みんなとここから出るって約束したんだ。例え外が敵だらけでも、俺は外に出たい。」

 

「…。」

 

俺がそう言うと、枯罰は小さくため息をついて手に持っていた本を俺に持たせた。

 

「これ持っとけ。」

 

「…えっ?」

 

「それ、ウチのオススメや。明日読んで感想聞かせてくれるか?」

 

「あ、え…?」

 

俺が急に本を渡されて読んで感想を聞かせろと言われ混乱していると、枯罰は図書館から出て行ってしまった。

…マジで何がしたかったんだアイツ。

 

「…。」

 

…明日中に読めって言われてもなぁ。

俺は、本をじっと見つめふとページを開いてみた。

すると、開いたページに折り畳まれた紙が挟まっていた。

 

「!」

 

俺は、紙を開いて書かれていた文字を読む。

 

『【超高校級の絶望】に気を付けろ』

 

本に挟まっていた紙には、そう書かれていた。

…もしかしてアイツ、これを渡すためにわざわざ俺の隣に?

【超高校級の絶望】…?

枯罰は何でこれを俺に渡したんだ?

枯罰は、一体何をどこまで知ってるんだ…?

 

「…。」

 

俺は、とりあえず渡された本を読んでから図書館を後にした。

その後は、食堂に行って早めの夕食を摂る事になった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

夕食の時間、珍しく黒瀬が手を挙げて発言した。

 

「はいはーい、ボクから提案でーす。」

 

黒瀬は、ヒラヒラと手を振って間延びした口調で言った。

 

「提案?何かな、黒瀬さん。」

 

「みんなで一緒にミステリーを見ましょー。」

 

黒瀬の思いがけない提案に、その場にいたほぼ全員が口をぽかんと開けた。

 

「え…?それは…どういう事ですの?」

 

「こんな状況で全員で映画?頭湧いてんのかテメェ。」

 

「こんな状況だからこそ映画を見るんだよー。」

 

「What do you mean?」

 

「あのさー、コロシアイが起こるとすれば犯人は何かしらのトリックを使ってくるじゃん。だからミステリー映画を見て推理慣れしておくんだよ。そうすれば捜査や裁判を効率よく進められるでしょ?」

 

「また殺人が起こるみたいな言い方するな。」

 

「だってボクは内通者ですしおすし。」

 

「…。」

 

そうだ、コイツはこういう奴だった。

 

「みんなでミステリーを見れば団結力が高まるよ。ボクが手掛けたミステリー映画を見ようよ。」

 

黒瀬の提案という事もあってみんなが行くのを渋っていると、黒瀬がしつこく言ってきた。

あまりにもしつこいので、俺はウンザリしてため息をついた。

 

「…ったく、しょうがねぇな。見ればいいんだろ?」

 

「マドカ!!」

 

「テメェ、お人好しにも程があるだろ。コイツがまた何か企むかもしれねぇだろうが。」

 

「その時はその時だ。黒瀬も、こんな状況で殺人が起こったら自分が真っ先に疑われる事くらいわかってるだろ。みんなで集まってる状況なら、殺人も困難な筈だ。」

 

「「…。」」

 

俺がそう言うと、声を荒げていたジョンと弦野が大人しくなった。

 

「アタシは賛成!映画見たい!!」

 

「黒瀬さんと赤刎さんの仰る事も一理ありますわ。」

 

「僕はみんなが行くなら行こうかな。」

 

「オレも、マドカが言うなら…」

 

「はぁ、付き合ってられへんわ。ウチは行かへんぞ。」

 

「俺もそうさせてもらうぜ。絵麻の時の二の舞は御免だ。」

 

「ボクも遠慮しとく…怖いのムリだし、黒瀬さんの事だから絶対何か企んでるでしょ…」

 

「お前ら…」

 

「まあ、無理して誘う事はないんじゃないかな。」

 

結局、枯罰、弦野、一以外のメンバーで映画を見ることになった。

 

「そいじゃー行きましょ行きましょー。」

 

黒瀬は、俺の手を強引に掴んでルンルン歩きで映画館へ歩いて行った。

メチャクチャ痛くて手首が折れそうだから離してくれとは言えなかった。

俺達6人は、ミステリーを見るために映画館に行った。

 

 

 

映画館に着き、俺と黒瀬以外の4人は席の確保に行ったので、俺と黒瀬はポップコーンとジュースを取りに行った。

すると早速黒瀬が映画のDVDを何本か見せてきた。

全部黒瀬が脚本を手掛けた作品だ。

 

「ねぇー、何見るー?」

 

黒瀬は、きゃっきゃとはしゃぎながら聞いてきた。

…コイツ、殺人鬼で内通者のクセに普通にしてる分には可愛いんだよな。

 

 

 

「…なあ。黒瀬。」

 

「ぴぇ?」

 

「何でお前は自分が内通者だって言ったんだ?このタイミングでカミングアウトしても何のメリットも無いだろ?」

 

俺がそう言うと、黒瀬は少し考える仕草をして猫耳のような癖毛をパタパタさせた。

 

「…あ、そっか。うんうん、だったらこっちのシナリオの方が面白そうかな?」

 

黒瀬は、うんうんと頷いて訳の分からない事をブツブツ言い出した。

 

「何をブツブツ言ってるんだ?」

 

「ああ、ボクが内通者って自分で言った話だけどね…」

 

 

 

 

 

「あれ、嘘だよ?」

 

…。

 

…。

 

………はぁ?

 

 

 

「ちょっ…は?嘘?ナニソレ?ドロー2?」

 

「それはUNOだよー。」

 

「えっ、ちょっ、ちょっと待て!!嘘ってどういう事だよ!?」

 

「そのままの意味だよ。ボク、本当は内通者じゃないし、ゆめちゃんをけしかけたりもしてないんだよ。っていうか冷静に考えてもみなよ。ボクがクマちゃんなら、殺人鬼を内通者にしたりしないよ。怪しまれるだけじゃん。」

 

「じゃあ、何で内通者だなんて嘘をついたんだよ!?お前それ、ただただ自分の立場を悪くしただけじゃねぇか!!」

 

「んあー。ボクが内通者だと嘘をついて全員の注目がボクに向くようにすれば、その状況を利用して本物の内通者が動くんじゃないかと思ってね。これは、本物の内通者を炙り出す作戦だったんだよー。ボクとて、クマちゃんの手下に周りをウロチョロされるのは嫌だし。」

 

「なっ…お前、それだけのために俺達を騙したのか…!?」

 

「言ったでしょ?嘘は愛だって。ボクがみんなに内通者だって嘘をついたのは、みんなの事が大好きだからなんだー。」

 

「だったら、何でそれを今俺に話したんだ?」

 

「ボクは円くんの事を信じてるから。だからボクがこの話をしてもちゃんと受け入れてくれると思って話したんだよー。」

 

くっそう、黒瀬にしてやられた…

…あれ?待てよ…?

 

「…でも、その話はおかしくないか?」

 

「何が?」

 

「お前、宝条と筆染がお互いの秘密を受け取ってるって言ってたよな?それに、湊と神崎の秘密が発表された時もお前は秘密をあらかじめ知ってたかのような口ぶりをしたよな?内通者じゃないなら、何でアイツらの秘密を知ってたんだ?」

 

「秘密ー。」

 

「それに、もう一つ気になってた事があるんだ。」

 

「ん?」

 

「内通者だっていうのは、俺達を騙して内通者を炙り出すために言ったんだよな?」

 

「そうだけど。」

 

「誰かがもしお前の行動の矛盾に気付いていたら、内通者だって嘘をついてもすぐにバレただろ。何で俺達を騙せると思ったんだ?」

 

俺がそう尋ねると、黒瀬は首をくりんと傾げて笑った。

 

「…さぁ?何でだろうね?」

 

コイツ…

 

「…で、結局内通者が誰だかわかったのか?」

 

「分かったとしても円くんには教えないよ?だって内通者の正体がわかった事がバレたら興醒めだしね。ボクのシナリオ的には、まだ種明かしをするのは早いよ。」

 

興醒めって…

そんな呑気な事言ってる場合じゃないだろ。

 

「さ、早く映画見ようよ。」

 

俺は、黒瀬に呆れつつもポップコーンとジュースを持ってシアターに入った。

シアターに入ると、俺が選んだ映画が上映された。

 

「始まり始まりー♪」

 

黒瀬は、俺の隣で上機嫌で手を叩いていた。

やっぱり自分が脚本を手掛けた作品を見るのはコイツにとっては嬉しいのか。

 

すると直後、部屋が暗くなり上映が始まる。

『古城の悪魔』というタイトルで、とある名門大学のミステリーサークルのメンバーが、好奇心のあまり夏休みにとある古城に行きそこに泊まる事にしたのだが、そこで次々と不可解な事件に巻き込まれていくという物語だ。結局何人かは生き残って1週間後に警察に保護されるのだが、その事件の生き残りメンバーの後日談で真相が明かされていくという形で話が進んでいく。

さすが【超高校級の脚本家】が手がけた作品というだけあって、黒瀬の映画はモノクマの映画とは違い見応えがあった。

絶妙なタイミングで眠気を吹き飛ばすような展開が来て予想外の方向へ話が進んでいくので、見ていて全く飽きない。

…しかし、気になるのが被害者の死亡シーンやメンバー達が日に日に狂っていく様子が妙にリアルで不気味だな。

こういう表現ができるのも、やっぱり本当に人を殺してるからなのか…

 

 

 

2時間後、結局何も起こらないまま上映が終わった。

映画は最初から最後まで面白かった。

黒瀬は、頭おかしいのに面白い作品を作る事に関しては天才なんだな。

 

「It was very interesting!!」

 

「ましろって何考えてんのかわかんないけど映画は面白かったよね。」

 

「終わったー。円くーん。面白かったー?」

 

「ああ。完全に予想を裏切られたよ。まさかアイツが犯人だったとはな。」

 

「えへへー、そんなに褒められると照れますなぁー。」

 

コイツ、普通にしてる分には可愛いんだよな。

実際、俺も最初はコイツのふわふわした雰囲気に騙されたし。

 

「なあ、どうやったらあんな面白い作品が作れるんだ?」

 

「うーん、どうやってって言われても、普通に脚本書いてるだけだからなー。…強いて言うなら、見てくれた人が喜んでくれるところを想像しながら作る事…とか?ここでこういう展開に持っていったらみんなビックリするかなー、とか、こういう台詞入れたら盛り上がるかなー、とか。」

 

いや、それであんなに面白い作品が作れるから評価されるんだと思うぞ。

流石、天才は言う事が違うな。

 

「結局何も起こらなかったねー。」

 

「そうですわね。」

 

「マシロのsuggestionだからcautionしてたんだけどな。overanxiousだったな。」

 

「むぅ、何ですかその言い草は!まるで人を不審者みたいに!」

 

「不審者以外の何者でもないだろ。」

 

「ぴえん。円くんひどいよー。」

 

黒瀬は、顎の下で二つの握り拳を作ってわざとらしく目を潤わせていた。

コイツ…マジで一度自分の立場をわからせた方がいいな。

とりあえず、念のため枯罰と弦野と一の様子を確認しに行くか。

俺は、3人の様子を確認しに行った。

3人とも、何かされたという様子はなくいつも通りだった。

どうやら、今回は黒瀬がただ純粋に自作の映画を自慢したかっただけのようだ。

全員の安否を確認し終えたので、その場で流れ解散となった。

 

「9時か…」

 

俺は、映画館の時計を確認した。

夜時間までまだ少し時間があるし、プレイルームで遊ぼうかな。

俺は、10時までの間プレイルームで遊ぶ事にした。

プレイルームには、俺の他に安生、聞谷、枯罰、弦野がいた。

せっかくなので5人でトランプで遊んだのだが、枯罰と安生のババ抜きの強さには心底驚かされた。

その後10時ギリギリに速水と合流し、そのまま各自部屋に戻った。

 

『おやすみなさい、オマエラ!!10時になりました!!たくさん寝て、明日も張り切って殺し合いましょう!!』

 

モノクマの耳障りな放送を聞き流しながらベッドに潜り込む。

こうして、楽園生活の18日目が終わったのだった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

楽園生活19日目。

 

『おはようございます、オマエラ!!朝です!!7時になりました!!今日も元気に殺し合いましょう!!』

 

今日もまた、モノクマの耳障りなモーニングコールで起こされた。

…マジでうるさいな。

18回もこの耳障りな放送を聴かされれば慣れはするが、ストレスは溜まっていく一方だ。

俺は、朝の準備を済ませて8時に間に合うように食堂に向かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

食堂には既に安生、聞谷、一が来ており、遅れて黒瀬が来た。

 

「一。お前顔色悪いな。大丈夫か?」

 

「ああ、うん…ちょっと昨日ずっと作業やってたからあんまり寝れてなくて…」

 

「夜更かしも程々にしろよ。お前、ただでさえ朝弱いんだから。」

 

「そうだよ千歳くーん。」

 

「お前は寝すぎだ。」

 

その後、枯罰、弦野、速水の3人は、作った朝食を持ってきてくれた。

 

「…あれ?ジョンは?」

 

「え?見てないよ?」

 

「わたくしも存じ上げませんわ。」

 

「ボクも見てませーん。」

 

「ぼ、ボクも…」

 

「なあ、お前らも見てねぇのか?」

 

「見てねぇな。つーかアイツ今日朝食係じゃねぇだろ。」

 

「うん、アタシも見てないよー!」

 

「…嫌ーな予感。」

 

枯罰は、ボソッとそう呟いた。

 

「探した方がいいかもね。」

 

「だな。手分けして探そう。俺と黒瀬と弦野で第三区画と第四区画を探すから、枯罰と速水は第一区画を、安生と聞谷と一は第三区画を探してくれ。」

 

「了解。」

 

俺達は、3つのグループに分かれて手分けしてジョンを探した。

多目的ホール、アミューズメント施設、仕田原、弦野、筆染、宝条の研究室の順に探したがジョンは見つからなかった。

2班の枯罰と3班の安生からチャットが来た。

二つとも、それぞれの担当区画を隈なく探したがジョンはいなかったという報告だった。

そして、残るは第四区画となった。

俺達は、第三区画に最も近いモノクマタワーを最初に探索する事にした。

エントランスにはいなかったので、放送室を探す。

 

ジョン…!

無事でいてくれ…!!

俺は、ただその思いだけを胸にジョンを探した。

 

「俺と黒瀬は主調整室を探す!!弦野は副調整室を探してくれ!!」

 

「わかった。」

 

俺は、主調整室の扉を開けた。

そこには、ジョンの姿はなかった。

 

「いないねー。」

 

「クソ、次だ!!」

 

俺が次の場所を探そうとした、その時だった。

 

 

 

「うわぁああああああぁああああっ!!?」

 

突然、主調整室と副調整室を繋ぐ廊下の方から叫び声が聞こえた。

 

「!!?」

 

「律くんの声だよね?」

 

「行こう!!」

 

俺達は、弦野の叫び声を聞いて廊下に駆けつけた。

 

「おい、弦野!!何があった!?」

 

「っ…!!」

 

弦野は、顔を真っ青にして廊下の奥を指差した。

 

「…?」

 

俺は、その方向に視線をやった。

 

 

 

 

 

「ッーーーーー!!!」

 

次の瞬間、俺は言葉を失った。

廊下の奥の、6階へと続く階段。

その下には、そこにあるはずのないものが転がっていた。

 

俺達の希望を嘲笑うかのように、『それ』はただそこにあった。

…何でだよ。

何でこうなっちまうんだよ…!!

そこにあったのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原型を留めない程に頭部を砕かれた、【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカーの亡骸だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

ー生存者ー

 

【超高校級の講師】赤刎円

 

【超高校級のカウンセラー】安生心

 

【超高校級の香道家】聞谷香織

 

【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ

 

【超高校級の傭兵】枯罰環

 

【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律

 

【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳

 

【超高校級のランナー】速水蘭華

 

ー以上8名ー

 

 

 

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