エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園   作:M.T.

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プロローグ④

これでやっとあと5人か…

身体の疲れ具合的にはもうかれこれ1時間ぐらい経ってるんじゃないか?

 

「…………赤刎くん、まだ30分しか経ってない…」

 

マジか。

どいつもこいつもキャラが濃いからなぁ…

 

 

 

俺達は、ベンチの上で体育座りしている男子に声をかけた。

ボサボサした明るめの茶髪で、クリーム色のパーカーを着てて女の子みたいに華奢な体格だ。

 

「ちょっといいか?自己紹介まだだよな?」

 

「ひぃいいぃいっ!!」

 

俺がソイツに声をかけると、ソイツは悲鳴を上げて跳び上がった。

 

「ごっ、ごめんなさい!!な、何でもしますからどうか命だけは見逃してください!!」

 

ソイツは、涙目になってガタガタと震えパニック状態になっていた。

命って…んな大袈裟な…

 

「おい、落ち着けって。ただの自己紹介だよ。」

 

「…へぁっ?」

 

俺がゆっくりと宥めると、ようやく落ち着いたのかソイツは涙を拭って深呼吸を始めた。

 

「悪いな、怖がらせちまって。俺は【超高校級の講師】の赤刎円だ。」

 

「……………札木未来。【超高校級のタロット占術師】。」

 

「お前は?」

 

俺達が自己紹介すると、ソイツはオドオドした様子で話し始めた。

 

「あ、えっと…ボッ、ボクは…(ニノマエ)千歳(チトセ)…【超高校級のソフトウェア開発者】です…」

 

 

 

【超高校級のソフトウェア開発者】(ニノマエ)千歳(チトセ)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

一千歳。

プログラミングやシステム開発など数多くの功績を残している若き天才だが、突出した分野が無いため一括りに『超高校級のソフトウェア開発者』と呼ばれている。

機械関係の家系で、確か遠い親戚にプログラマーの才能を持った希望ヶ峰学園の生徒がいるんじゃなかったっけか。

 

「これからよろしくな、一。」

 

「ひっ、は、はひ…よ、よろしくお願いします…」

 

俺は一に握手を求めたが、一は震え上がったまま手を出そうとしなかった。

あー、やっぱりダメだったか。

自分より小さい相手にここまでビビるか普通?

人一倍臆病な奴なんだな。

いきなり知らない場所に連れて、しかも来られて知らない奴に囲まれてるから怖かったのか。

これ以上怖がらせるのもアレだし、そろそろ次の奴に行くか。

 

「行こうか、札木。」

 

「…うん。」

 

 

 

俺と札木は、固まっている3人組のところへ行った。

さっき喋っていたプラチナブロンドの奴もいるな…

 

「入学しようと街まで〜で〜か〜けた〜ら〜♪電車で〜寝落ちた〜マヌケな律くん〜♬」

 

「うっせぇな。テメェだって同じだろうが。」

 

「チッ、喧しいな全く…」

 

「あ、帝くんバージョンもあるよ?」

 

「黙れ。貴様のその小汚い口を縫い付けてやろうか?」

 

透き通った白い髪の女の子が替え歌を歌っていると、銀髪の男子とプラチナブロンドの男子が悪態をつく。

俺は、銀髪のウルフカットの男子に声をかける。

 

「なあ、ちょっといいか?」

 

「あ?何だよ。」

 

銀髪の男子は、面倒くさそうに振り向く。

ヘアピンとピアスを付けてて、制服の上に黒いジャンパーを羽織っている。

見た感じかなりのイケメンだった。

 

「自己紹介まだだろ?俺は【超高校級の講師】の赤刎円で、こっちが【超高校級のタロット占術師】の札木未来だ。お前は?」

 

「チッ。俺は弦野(ツルノ)(リツ)。【超高校級のヴァイオリニスト】だよ。これで満足かよ?」

 

 

 

【超高校級のヴァイオリニスト】弦野(ツルノ)(リツ)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

弦野律!?え、コイツが!?

弦野律といやあ、あの世界的に有名なヴァイオリニストだろ!?

超有名な音楽家一家の長男で、史上最年少で国際ヴァイオリンコンクールに出場した、あの!?

当時、一度聞いた曲はどんなに難易度の高い曲でも完璧に演奏できる神童って話題になったんだよなぁ。

でも最近ぱったりと音楽業界から姿を消したって聞いたぞ。

 

「俺、お前の演奏聴いた事あるよ。あれは誰にも真似できない才能だなって思ったよ。なのに何でヴァイオリンやめちまったんだ?」

 

すると、弦野はあからさまに嫌そうな顔をして大きめの舌打ちをした。

 

「うるせーな、テメェには関係ねぇだろーが。」

 

「…え?」

 

あれ?何か感じ悪くないか?

テレビで見た時は普通に受け答えしてたんだけどな。

その時は格好も黒いスーツで髪もキッチリオールバックにしてたし、最初誰だかわかんなかったぞ。

 

「ムカつくんだよ、そういうの。どいつもこいつも才能があるってだけで人を振り回しやがって、望んで超高校級になったと思うなよ。俺はな、何もわかってねぇ奴を見ると虫唾が走んだよ。」

 

あぁ…親に無理矢理やらされてたのか…

そりゃあ、反動でグレて辞めたとしても不思議じゃないわな。

 

「ってかさ、くだらねー話してる暇あんなら早くそこの二人に挨拶してやれよ。」

 

「…そうだな。そうさせてもらうよ。」

 

弦野は、白い女の子とプラチナブロンドの男子を顎で差した。

これ以上は警戒して何も話してくれなさそうだったので、俺達は他の二人に話しかける事にした。

 

 

 

俺は、さっき替え歌を歌っていた女の子に声をかけた。

ふわっとした癖っ毛のセミロングで、肌や髪が真っ白な子だ。

セーラー服の上にピンク色のパーカーといった格好で、白いリュックを背負っているのが特徴的だ。

ちなみに俺の次に小柄なんだが、パーカーの上からでもわかる程の巨乳だ。

 

「ドーは独立行政法人のドー、レーは連立方程式のレー♪」

 

女の子は、地面をいじりながら歌っていた。

不思議ちゃんっぽい子だな。

 

「なあ、ちょっといいか?」

 

「んー?」

 

女の子は、ピョンっと立ち上がると猫耳のようなアホ毛をピコピコさせる。

 

「俺は【超高校級の講師】の赤刎円で、こっちが【超高校級のタロット占術師】の札木未来だ。お前は?」

 

「…ふぅん、円くんと未来ちゃんかぁ。ボクは黒瀬(クロセ)ましろ。【超高校級の脚本家】だよぉ、よろしくね?」

 

 

 

【超高校級の脚本家】黒瀬(クロセ)ましろ

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

黒瀬(クロセ)ましろか。

映画やドラマ、ゲームなど数多くの作品を手がけてて、手がけた新作は全てその週のランキングで1位になる程の天才脚本家だよな。

主にミステリー作品を手がけてて、実際に殺人事件に居合わせた事があるんじゃないかってくらいリアルで、鑑賞者を物語の中に引き込むような作風が特徴的なんだよな。

まさかこんな小さくてふわふわした感じの子だったとは。

 

「俺、新作の映画見たぞ。どうやったらあんなシナリオが作れるんだ?」

 

「えへへー、ありがとー。でも秘密ー。」

 

ホントふわふわしてるなぁ…

 

「よろしくな、黒瀬。」

 

俺は、黒瀬に握手を求める。

すると、いきなり黒瀬が抱きついてきた。

 

「ぎゅーっ。」

 

「うぉっ!?お、お前何してんの!?」

 

「ふぇ?何って…ぎゅーしてるの。ぎゅーは、大好きな人とするものでしょ?ボクは、円くんの事が大好きなんだよー。円くんはー、ちっちゃくってお人形さんみたいでかわいいよね。ボク、ちょうど欲しかったんだよねー。かわいい着せ替え人形がさ。」

 

…!?

何だこの得体の知れない悪寒は…

まさかコイツ、そういう趣味…?

 

「ぎゅーっ。未来ちゃんの事も大好きだよぉー。」

 

「……………。」

 

やめたれ。

札木が困ってるぞ。

あ、弦野が嫌そうな顔してる。

…なるほど、ここにいる全員既に黒瀬の餌食になってるのか。

可愛らしい見た目して怖いもの知らずな奴だな。

 

 

 

「全く、これだから凡愚は…」

 

俺達が黒瀬に絡まれて困惑していると、例のプラチナブロンドの奴が口を開く。

かなりの美青年で、白いカッターシャツと濃紺のベスト、黒いスラックスの上に黒いロングコートを羽織っている。左耳にはフルール・ド・リスのイヤリング、首には赤いリボンを付けており、手には手袋をはめていた。

その全てが見るからに高級品でできており、コートに着けられたアクセサリーなどからも高貴な出自である事は一目瞭然だ。

 

「そういやお前も自己紹介まだだったよな。俺は【超高校級の講師】の赤刎円で、こっちが【超高校級のタロット占術師】の札木未来だ。お前は?」

 

「黙れ。」

 

「…え?」

 

「貴様らの会話を俺が聞いていないとでも思っているのか?何故貴様ら凡愚の名を二度も聞かねばならない?この俺を愚弄する気か、低脳が。」

 

え?

なんだコイツ?

いきなり初対面の相手に凡愚とか低脳とか…

見た目はどっかの貴族みたいだけど、中身は最悪だな。

 

「な…初対面の相手に対してそれはないだろ!あと、人が質問してんだから答えたらどうなんだ!?」

 

「黙れ子供。貴様、凡愚の分際で俺に口答えする気か。」

 

「………自己紹介くらいは…してもいいと思う……わたし、君の事…まだ何も知らないから…」

 

札木がボソッと呟くと、奴は呆れ顔を浮かべた。

いや、呆れたいのはこっちだから。

 

「…フン。凡愚に名乗る名などない、と言いたいところだが、特別に教えてやろう。こうして問答をしているのが一番時間の無駄だからな。俺の名は神崎(カンザキ)(ミカド)。【超高校級の天才】だ。」

 

 

 

【超高校級の天才】神崎(カンザキ)(ミカド)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

【超高校級の天才】、それは全ての物事において、何の努力をしなくても優れた才能を発揮する才能の事だ。

神崎は財閥社長の御曹司で、モデルとして食っていけるほどの美形、学校では常に首席でスポーツ万能で博学多才、全てにおいてその分野の超高校級には及ばないものの類稀なる才能を発揮する、まさに完璧超人というわけだ。

 

「自己紹介は済んだぞ。とっとと失せろ凡俗共。貴様らと同じ空気を吸っているだけで、俺の才能が汚染される。」

 

「ぐ…」

 

俺達が神崎に一方的に罵倒されていた、その時だった。

 

 

 

「その辺にしときぃや。」

 

「!?」

 

いつの間にか、さっきの関西弁の男子が腕を組んで輪の中に入っていた。

ワインレッドっぽい黒髪で、右目が若干髪で隠れ気味だが、男子の中では一番美形だった。

色白だし、背は高いが華奢だし、全体的に女性的な雰囲気がある。

希望ヶ峰の茶色いブレザーを着ており、両耳にはクロスのピアスをつけている。

 

俺達は、ソイツの顔を見るなり思わず目を見開いてギョッとした。

ソイツが輪の中に入っている事に全く気付かなかったからだ。

こんなイケメンなのに、ここまで接近されるまで気付かなかった…コイツ、何者なんだ?

 

「…。」

 

「何や、人の顔ジロジロ見よってからに。ウチの顔に何か付いとるんか?」

 

「あ、いや…」

 

「…もしかして、ウチが男か女かで迷うとるんか?せやったら正解は女やぞ。」

 

「え!?」

 

マジかい。

今のところ今日一番の衝撃だぞ。

 

「マジかよ…」

 

「ド阿呆。そないに驚く事ないやろ。」

 

「いや、だって男ものの制服着てるからてっきり男子かと…」

 

「女が男の制服着て何がアカンねん。このご時世んな事言うたら叩かれるでお前。」

 

「う…」

 

「それと、見た目詐欺はお互い様やろが。ウチからすりゃ、お前なんかちっこい女にしか見えへんぞ。」

 

「ぐ…」

 

痛い所を突かれた俺は押し黙ってしまった。

確かに、人から見て間違われる外見をしているのはコイツに限った事じゃない。

 

「ええと…自己紹介まだだよな?俺は【超高校級の講師】の赤刎円で、こっちが【超高校級のタロット占術師】の札木未来だ。お前は?」

 

「… 枯罰(コバチ)(タマキ)。ほれ、名乗ったで。」

 

「え、それだけ?」

 

「何や、他にも言わなアカン事あるんか?」

 

「いや、才能をまだ言ってないだろ。お前の才能を教えてくれないか?」

 

「阿呆。答えはノーや。何でお前らにわざわざ教えなアカンねん。」

 

「………わたし達は言った…」

 

「んなモン、お前らが勝手に言うただけやろが。ウチにまで強制すんなや。」

 

 

 

【超高校級の???】枯罰(コバチ)(タマキ)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

枯罰環か…俺が事前に調べた情報にも無いな。

名前さえわかれば才能に関する手がかりを思い出せると思ったんだが…

ん?待てよ?

 

「あ、わかった!お前アレだろ。【超高校級のお笑い芸人】だろ!」

 

俺がビシッと指を差すと、頭に鋭いチョップが飛んできた。

 

「ド阿呆。関西弁喋る奴が全員芸人や思うたら大間違いやぞ。くだらんボケかますなや。」

 

「って事は…」

 

「ちゃうに決まっとるやろボケ。」

 

ですよね。

いや、ちょっとふざけてみただけじゃん。

そんな馬鹿にしたような目で見る事ないだろ。

 

…ええっと、これで全員の自己紹介が終わったんだよな?

すると、その直後だった。

 

 

 

『あー!!あー!!マイクテス!!マイクテスッ!!全員いるよね?オマエラ、大変長らくお待たせしました!!』

 

突然、改札口のスピーカーからダミ声が聞こえてくる。

 

『これより、『希望ヶ峰楽園』の入園式を執り行いたいと思います!!』

 

 

 

この時、俺達はまだ知らなかった。

これが絶望の始まりだという事をーーー。

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